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11/25  出発 (移動)11/26  研究発表会(スライドショー、ポスター)11/27  研究所見学(MPOB)、工場見学(Permanis Bangi)11/28  公開講座、工場見学(Beryl's Chocolate)11/29  市内見学11/30  UKM学生との交流会12/1  UKM授業聴講、燃料電池研究所見学12/2  交流会(Istana budaya、KLCC)12/3  市内見学12/4  帰国 (移動)

平成 26 年度海外短期留学 報告書

1.プログラムの概要 本プログラムは、「持続可能な環境とエネルギーの創生をテーマとする学生交流のため

の海外派遣」というプログラム名で、マレーシアのマレーシア国立大学(UKM)の工学部

に 2014 年 11 月 25 日から 12 月 4 日まで訪問し、研究発表会や研究室見学、授業の聴

講、工場等施設見学会等を行った。 また本プログラムは、エネルギー・環境関連技術を研究テーマとする群馬大学工学

部、理工学府(GU)の学生をマレーシアのマレーシア国立大学(UKM)の工学部に派遣し、

関係する研究・学修テーマを持つ現地の学生と交流する機会を設け、研究発表会、討論

会、見学会、交流会等を行い、学生どうしの交流を深めるとともに国際的なコミュニケ

ーション能力の向上を目的とする。また、相互の国のエネルギー、資源、環境に関わる

状況を実地見聞し、エネルギー・環境関連技術とそれらの用途に関する視野を広げ、学

修と研究に生かす機会とすることを目的とする。 また、私は海外へ行ったことがないため、現地の学生たちと積極的に英語で交流する

ことにより英語でのコミュニケーション能力を向上させ、TOEIC のスコアも伸ばすこ

と、現在の社会で必要とされているグローバルに活躍できる人材になるためには何が必

要か考えること、マレーシアの歴史や宗教、作法、しきたり等の様々な文化について学

修すること、研究発表会等を通して UKM の学生と互いに情報交換を行い、自らの研究

に対する視野を広げることを目的とする。 2.プログラムの日程 本プログラムの内容は以下のとおりである。

環境創生理工学教育プログラム Student 7

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3.実施内容 3.1.研究発表会 研究発表会では、スライドショーによるプレゼンテーションを UKM の学生 2 人、

GU の学生 3 人が担当した。UKM の学生はバイオメタノール精製のモデリング・シミ

ュレーション、白金に代替するグラフェンオキサイド(GO)触媒の開発について発表し

た。GU 側の学生からは、私が 100 wt%メタノールを用いる炭素多孔質基板(PCP)を利

用した直接メタノール型燃料電池(DMFC)スタックの長時間運転時の出力特性につい

て、もう二人が DMFC のアノード用触媒としての PtRu 担持 CeO2埋包カーボンナノフ

ァイバーの開発、PtRu 担持 TiO2埋包カーボンナノファイバー触媒を用いた DMFC の

出力特性の研究というテーマで英語で発表した。 発表および質疑応答は英語で行ったが、特に質疑応答では質問者の質問内容を聞き取

れない、聞き取れても理解できない、理解できても自らの考えを英語上手く表現するこ

とができないことがあり、まだまだ自分の英語力が足りないことを痛感した。マレーシ

ア人の使う英語は、少し綴りや発音がネイティブとは異なっていることもあり、スムー

ズに会話することが難しかったが、ゆっくり話してもらったり、別の表現で質問しても

らうなどして、しっかりと自らの主張を相手に伝えることができた。 また、ポスター発表の部では、UKM の学生 3 人、GU の学生 4 人が発表を行った。

UKM の学生は直接アンモニア燃料電池の開発、光触媒として TiO2半導体を用いた

DMFC の改良、DMFC 単セルの性能に組み立て時のトルクがおよぼす影響の研究につ

いて発表した。GU の学生は Pd 担持 TiO2埋包カーボンナノファイバー触媒のギ酸酸化

特性、TiO2修飾カーボンナノファイバーを用いたアルコール酸化電極触媒の作製、ナノ

ファイバー触媒層構造と層活性の研究、アルコールの影響を考慮した直接アルコール燃

料電池の触媒について発表した。ポスターセッションでも英語による発表、質疑応答が

行われ、相互に意見交換を行った。また、発表会の合間には、プレゼントの交換やグル

ープに分かれての昼食など、UKM の学生たちとの交流を行った。

Fig.プレゼンテーションの様子 Fig.ポスター発表の様子

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3.2.研究所・工場見学会 第 3 日目には、パームオイル研究所 Malaysia Palm Oil Berhad(MPOB)の研究所およ

び清涼飲料水の製造工場 Permanis Bangi を見学した。 MPOB では、展示スペースでパーム油の製造の歴史や製造方法、製造やプロセスの研

究などについて見学した。マレーシアは世界第二位のパーム油の生産地であり、研究所

は非常に広大であった。製造した製品の 9 割が輸出用で、食用のパーム油のほか、化粧

品や洗剤等の多くの製品に利用される。また、現在は稼働していない実験プラントを見

学した。 Permanis Bangi では、炭酸飲料の製造方法の説明を受け、製造ラインの一部を見学

した。Permanis Bangi の製品には、ペプシやリプトン、ゲータレード、トロピカーナ

など、日本でも売られているものも多い。 また、第 4 日目の午後にはマレーシアの高級チョコレートメーカーである Beryl’s chocolate の工場を見学した。工場の外観はカラフルで、欧風の城のようなユニークなも

のであった。内部には展示スペースがあり、チョコレート製造の歴史や道具、様々な製

品が展示されていた。工場では、チョコレートのコーティングや製品の袋詰めのプロセ

ス等を見学した。

3.3.公開講座および講義の聴講と研究室見学会 第 4 日目には公開講座を聴講した。UKM の Wan 先生が固体高分子型燃料電池

(PEMFC)について、Kim 先生がバイオ燃料電池(BFC)について、GU の中川先生が

DMFC についてお話しされた。 また、第 7 日目には UKM で講義を受け、燃料電池研究所の見学会を行った。講義で

は研究倫理について学び、自らの研究に対する姿勢を見直すことができた。研究所見学

では、実際に研究所で実験装置を見せていただき、研究内容の説明を受けた。実験設備

は非常に整っており、3D プリンタなどの大型の装置もあった。また、マレーシアでは女

Fig.MPOB 展示スペースの見学 Fig.MPOB 旧試験プラント見学の様子

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性の研究者が多いというのも特徴であった。

3.4.UKM 学生との交流会および市内見学 第 8 日目には交流会として、UKM の学生と一緒にクアラルンプール市内を見学し

た。まず、国立劇場イスタナブダヤは非常に特徴的な外観をしており、この形は東マレーシ

アの伝統工芸品ムーンカイトが飛んでいる様子を模したデザインとなっている。また、ロゴ

マークはマレーシアの歓迎や結婚式などのお祝いの場や祭事で用いられるコショウ科の植物

キンマの葉を模したデザインであり、この葉それぞれが演技、踊り、音楽を表し、合わせて

舞台芸術を意味する。また、イスタナブダヤはアジアで初めての最先端技術のステージ機材

を完備した劇場であり、ロンドンのロイヤルアルバートホールと同様世界の優れたシアター

10 選の一つに数えられている。 また、クアラルンプールセントラルシティー(KLCC)、ペトロナスツインタワー周辺は、非

常に近代的な高層ビル群が多く見られた。マレーシアの国立石油会社ペトロナスにより建設

されたツインタワーは、マレーシアのモスクに似せて造られたイスラム様式であり、特徴的

な尖塔を持っている。20 世紀までの超高層建築では世界一である 452m を誇り、写真の右側

のタワー1 を日本のハザマが、左側のタワー2 を韓国のサムスン物産が建設した。用途は主

にオフィスで、タワーの下部は商業施設スリアクアラルンプールシティーセンター(Suria KLCC)となっており、伊勢丹や紀伊国屋書店など、日本のテナントもあった。

第 9 日目には国立博物館、イスラム美術館を訪れ、マレーシアの歴史や宗教について学ん

だ。マレーシアの民族構成はマレー系が 60%、華人系が 23%、インド系が 7%、外国人その

他が 10%となっている。マレーシア憲法では、イスラムがマレーシア連邦の公式宗教である

と定められているが、多民族国家であるため、同時に個人の信仰の自由も保証されており、

宗教別人口構成はイスラム教徒 60%、仏教徒 19%、キリスト教徒 9%、ヒンズー教徒 6%、

儒教・道教その他 3%となっている。マレーシアは、このような典型的な多民族国家である

ため、非常に多くの国の文化が混在している。街を歩いてみると、中心地では近代的な高層

ビル群が次々と建設されているが、その近代的なビル群の中にはモスクや寺院などの歴史的

建造物が保存されており、新旧の調和のとれた街並みとなっていた。また、イスラムのモス

クのすぐ隣に仏教系の寺院が建っていたり、看板の文字も英語やマレー語があったりと、建

Fig.公開講座聴講の様子 Fig.燃料電池研究所見学の様子

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築や飲食店、言語など、様々な国の文化が混在している様子がうかがえた。

4.プログラムを終えて 今回本プログラムに参加し、研究発表会や UKM の燃料電池研究所見学、現地産業の施設

見学などを通し、自らの研究に対する姿勢を見直し、モチベーションを上げることができ

た。しかし、英語でのコミュニケーション能力がまだまだ足りないことを痛感し、現在の社

会で必要とされているグローバルに活躍できる人材になるには、今後英語力を向上させる努

力が必要だと感じた。なかなかスムーズな会話はできなかったが、自らの意思を伝えようと

ジェスチャーを交えながら UKM の学生たちと積極的に交流した。たとえ細かな文法のミス

があろうと、自らの意思を相手に伝えようとする意志、努力があれば必ず相手に伝わった。

英語でのコミュニケーション能力の向上のためにも、こうしてとにかく積極的に話すことが

大事であると感じた。 また、マレーシアは多民族国家であるため、宗教や建築、食、言語など、非常に文化の多

様性のある国であるという印象を受けた。それを一番強く感じたのはマレーシアの食文化で

あった。マレーシアの食文化は多民族国家ならではの多彩なものであった。しかし、各民族

の伝統料理が融合したようなものも見られたが、伝統料理はしっかりと伝統として残ってい

た。これは食文化に限ったことではなく、マレーシアには多くの民族が暮らしているが、彼

らは互いの文化を受け入れ、尊重し合っている様子がうかがえた。 最後に、快くもてなしてくださった UKM の先生方や学生、引率してくださった先生方、

その他サポートしてくださった関係者各位に深く御礼申し上げます。

Fig.Istana budaya 内部 Fig.ペトロナスツインタワー