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31 (1) 香港 Hong Kong 各国・地域への輸出に向けて 3 平成26年 平成28年 生産量(百万トン) 消費量(百万トン) 輸出量(万トン) 輸入量(万トン) 33.0 33.1 34.7 平成27年 市場の特性 香港で消費されるコメは、すべてが輸入米 タイ、ベトナム、中国、日本、オーストラリア、 カンボジア、米国、パキスタン、台湾、インド 香港で消費されているコメは、基本的にはすべてが輸入米で す。コメの消費量は年間30万~34万トンで推移しています。 香港で流通しているコメの品種は、インディカ米が3分の2、 ジャポニカ米が3分の1とされています。 日本からの精米及び玄米の輸出は、ともに拡大を続けていま す。特に玄米は、2015年には2012年と比較して日本からの輸 入量が10倍以上に拡大しました。玄米の状態で日本から輸出 し、香港にある冷蔵倉庫で保管、注文を受けてから精米して販 売する、というビジネスモデルの参入により、玄米輸出が大き く拡大していることも一因となっています。 また、既に多数の輸出事業者が香港マーケットに参入してお り、現地で日本産米同士の競争が生じているとの報告もありま す。これまで日本産米、コメ加工品が入っていない新たな領域 を開拓していく意識が不可欠です。 家で料理を作って食べる内食と、レストランなどでの外食の 割合は「2対8」と外食率の方が高くなっています。また、コメ の販売先の比率で見ると、小売とレストランでおよそ「1対9」 となっています。 現状では、家庭で日常的に日本産米を消費しているのは、現 地在住の日本人や一部の富裕層などに限られており、日本産米 は外食分野で多くの割合が消費されているといえます。日本食 レストランの数は香港では伸長が続いていますので、今後も需 要の核となることが期待されます。 市場の特性と消費の傾向 A 消費の傾向 B 表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況 平成26年 平成28年 1,744 285 70 26 3,342 252 84 42 平成27年 2,519 262 85 33 表-2 日本からのコメの輸出状況 平成26年 平成28年 輸出量(トン) 輸出額(百万円) 698 811 578 725 輸出量(トン) 輸出単価(円/kg) 輸出事業者数 1者当たり輸出量(トン)推計 平成27年 664 826 表-3 日本からの米菓の輸出状況 人口:731万人 名目GDP:3,092億米ドル 1人当たり名目GDP:42,295米ドル 名目GDP成長率:6.18% 日系企業数:1,358社 在留邦人数:27,429人 日本食レストラン等の状況:約1,400店。幅広いジャン ルがあり増加中。好きな外国料理で日本食がトップ。 (2015年) 基礎データ 日本との関係 コメの主な輸入先国(2016年)

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31

(1)香港 Hong Kong

各国・地域への輸出に向けて3 章

平成26年 平成28年

生産量(百万トン)消費量(百万トン)輸出量(万トン)輸入量(万トン)

***33.0

***33.1

***34.7

平成27年市場の特性

香港で消費されるコメは、すべてが輸入米

タイ、ベトナム、中国、日本、オーストラリア、カンボジア、米国、パキスタン、台湾、インド

 香港で消費されているコメは、基本的にはすべてが輸入米です。コメの消費量は年間30万~34万トンで推移しています。香港で流通しているコメの品種は、インディカ米が3分の2、ジャポニカ米が3分の1とされています。 日本からの精米及び玄米の輸出は、ともに拡大を続けています。特に玄米は、2015年には2012年と比較して日本からの輸入量が10倍以上に拡大しました。玄米の状態で日本から輸出し、香港にある冷蔵倉庫で保管、注文を受けてから精米して販売する、というビジネスモデルの参入により、玄米輸出が大きく拡大していることも一因となっています。 また、既に多数の輸出事業者が香港マーケットに参入しており、現地で日本産米同士の競争が生じているとの報告もあります。これまで日本産米、コメ加工品が入っていない新たな領域を開拓していく意識が不可欠です。

 家で料理を作って食べる内食と、レストランなどでの外食の割合は「2対8」と外食率の方が高くなっています。また、コメの販売先の比率で見ると、小売とレストランでおよそ「1対9」となっています。 現状では、家庭で日常的に日本産米を消費しているのは、現地在住の日本人や一部の富裕層などに限られており、日本産米は外食分野で多くの割合が消費されているといえます。日本食レストランの数は香港では伸長が続いていますので、今後も需要の核となることが期待されます。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

1,7442857026

3,3422528442

平成27年

2,5192628533

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

698811

578725

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

664826

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:731万人● 名目GDP:3,092億米ドル● 1人当たり名目GDP:42,295米ドル● 名目GDP成長率:6.18%

● 日系企業数:1,358社● 在留邦人数:27,429人● 日本食レストラン等の状況:約1,400店。幅広いジャン ルがあり増加中。好きな外国料理で日本食がトップ。                   (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2016年)

32

各国・地域への輸出に向けて3 章

 コメは年間契約で輸入量を決め、年数回に分けて輸送するケースが多く見られます。香港では多くの輸入業者や貨物取扱業者がオンラインによる通関システムを導入しており、香港の輸入業者が申告に必要な書類と,引渡し指図書によって貨物の引き取りを行う場合が多いのが実際です。小売業者は、日本で精米処理した日から1か月以内の販売を目標としています。

(1)香港 Hong Kong

日本産米の流通経路

(出典)日本貿易振興機構(JETRO)「平成22年度 香港における米市場調査」

コメは輸入ライセンス保有業者の介在が必要

日本産米の流通経路図-1

流通チャネルと取引慣行 

A

加工食品の流通経路

出典)信金中央金庫総合研究所「アジア業務室情報 Vol.65-3日本産食品・食材の海外販路拡大に向けて(No.3)-近隣アジア諸国のビジネス環境(香港)」(2009年6月)

B

取引慣行C

日本食品の流通経路図-2

 コメの輸出には、輸入ライセンスを保有する輸入業者が介在する必要があります。香港に輸入後は、輸入業者から小売店や飲食店に納品されます。

 日本産の食品の多くは、日本国内の商社、現地輸入商社(インポーター)を経由して、小売店に卸されます。コメ加工品も同様となっています。

日本 香港特別行政区

高級料理飲食店ファーストフード寿司専門店

デパート スーパー米販売店

外食販売

販売

販売

販売

小売業二次代理店

輸入日本産米 ストックホルダー

輸出入業者(米専用ライセンス保持者)

日本の生産者・卸業者 香港の輸入業者

香港の卸売業者 香港の中小小売業者

香港の大手小売業者

香港の消費者

33

各国・地域への輸出に向けて3 章

(1)香港 Hong Kong

関税割当枠と関税

関税割当枠、輸入関税はなし

表示は中国語又は英語、あるいは両言語で

 食品の残留農薬規則(Pesticide Residues in Food Regulation)により規定されています(2014年8月より施行)。ポジティブリストが採用され、同規則に掲載されていない農薬が食品から検出された場合は、食物環境衛生署(FEHD)の判断により、輸入・販売が禁止されます。 コメについては、貴金属(カドミウム、ヒ素等)の基準値やその設定状況が日本と香港で異なっているため、輸出に際して香港の基準値に適合を図る必要があります。

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 コメ、コメ加工品に関しては、香港にてサンプル検査が実施されています。野菜、果実、牛乳、乳製品、粉ミルクに関しては、規制対象の5県(福島、茨木、栃木、群馬、千葉)については輸入停止されています。

 香港には、コメ、包装米飯、米菓についての輸入関税はありません。従って、関税割当枠もありません。

製品表示の内容

a. 食品の名称b. 重量あるいは容量の多い順に並べた成分の一覧 c. 消費期限(use by date) あるいは賞味期限(best before date) d, 保存方法あるいは使用方法(該当する場合のみ)e. 製造業者あるいは包装業者の名称及び住所

f. 食品の個数、重量あるいは容量 g. アレルゲンを含む場合は成分一覧に表示 h. 包装済み食品の原材料に含まれる添加物は、 当該添加物の機能分類及びその名称と 国際登録固有番号を明記

主な関連法規

●食品関連法規

●食品表示規格 (包装済食品)●食品包装に関する規制

公衆衛生及び市政条例第132章第V部 食品及び薬品

香港食品薬品成分及び表示規則2004

明確にはなし

検疫制度A

食品規制B

検疫制度と食品規則 

残留農薬基準

 コメは輸入検疫の対象となっておらず、日本側で植物検疫証明書を取得する必要はありません。 香港の輸出入監督官庁は、食物環境衛生署(FEHD: Food and Environmental Hygiene Department)とその食品安全管理業務を担う食品安全センター(CFS: Center for Food Safety)です。 コメ・コメ加工品の輸入通関の際に特別な食品検査はありませんが、食品安全センター(CFS)の検査官が輸入、卸売、小売のレベルで、市場に出回る食品の調査・監視を行っています。

(平成29年1月6日現在)

*2016年7月末為替レート:1香港ドル=13.5円

34

各国・地域への輸出に向けて3 章

(1)香港 Hong Kong

原産国(産地) 販売 単位 円換算*商品名

日本(北海道)

日本(秋田)

日本(宮城)

日本(新潟)

日本(富山)

日本(三重)

日本(徳島)

タイ米国中国

オーストラリア

2kg2kg2kg2kg1kg2kg2kg2kg2kg2kg2kg

1,6201,8771,6201,6881,5531,4721,3496741,289458525

北海道米 ゆめぴりか日本産米 あきたこまち特別栽培米 ひとめぼれ魚沼こしひかり 香港精米こしひかり三重のコシヒカリKumai Tokushima Rice

Royal Elephant Thai Healthy Rice田牧米 クラシックHonokaori Premium Japonica SpeciesDouble Ram,Austrailian Calrose Rice

12013912012511510999.949.995.533.938.9

価格(香港ドル)

円換算*原産国商品名 販売単位 価格(香港ドル)

日本AEON 食物繊維入り 麦ご飯 170g 9.9 134

日本AEON 新潟県南魚沼産コシヒカリ ごはん 180g 12.9 174

日本サトウのごはん あきたこまち 200g 17.9 242

日本新潟県産コシヒカリ日本のごはん 120g×4 27.9 377

日本Style One ごはん 200g×3 39.9 539

日本玄米ごはん 160g×3 59.9 809

日本※米国産もち米を使用ふっくら赤飯 160g×3 59.9 809

日本赤飯 160g×3 55 743

日本あったかごはん 200g 13.9 188

日本※米国産もち米を使用ふっくら赤飯 160g 16.9 228

日本富山県北アルプスの天然水仕立てふんわりごはん富山県産こしひかり 200g×3 44.9 606

日本ごはん 200g×3 44.9 606

日本たきたてご飯 山形県産つや姫 150g×4 50.9 687

韓国Ottogi Cooked Rice Five Grains 210g 9.9 134

韓国Ottogi Cooked Rice - Sushi Rice 210g 7.9 107

❺ 小売店の店頭価格

コメの価格は、タイ産の約3倍、米国産の1.5~2倍程度表-4

 調査した4店舗(日系スーパー3、現地大手スーパー1)のうち、日本産米は、主に日系スーパーで取り扱われており、現地系のスーパーではごく一部の取扱いにとどまっています。販売価格を他国産と比較すると、タイ産・中国産・オーストラリア産のおよそ3倍、米国産のおよそ1.5~2倍程度です。

 日本産と韓国産の販売が確認されました。日系スーパーでは日本産の商品のみを、現地系大手スーパーでは韓国産の商品のみを取り扱っていました。 1食入りで価格を比較すると、日本産は10~18香港ドル(135~243円)程度、韓国産は8~10香港ドル(108~135円)程度の価格帯でした。

 日本産米菓は、16香港ドル(216円)前後の価格帯で販売されていました。地場系のスーパーで販売されている米菓は、中国産が中心となっていました。

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C

コメの販売価格(調査月:2016年6月~7月)

原産国(産地) 販売単位 円換算*商品名

日本日本日本日本中国中国

90g111g168g180g400g136g

404228216174323169

柿の種越後 樽焼雪の宿大番あられ

29.916.916.012.923.912.5

価格(香港ドル)表-6 米菓の販売価格(調査月:2016年6月~7月)

包装米飯の販売価格(調査月:2016年6月~7月)表-5

Want Want ShellySenbei Rice CrackersWant Want SeaweedRice Crackers

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各国・地域への輸出に向けて3 章

(1)香港 Hong Kong

産地直送、日本から香港への越境Eコマースが活発化 日本産の精米、包装米飯、米菓は、香港の大手ECサイトや日系ECサイトでさまざまな種類が販売されています。価格は、実店舗で購入する場合と大差はありません。 また、近年「産地直送」をテーマとして、日本から香港へ向けた越境ECが活発化しており、多くの事業者が参入しています。これは、商業用ではなく個人の消費用であれば、4,000香港ドル以下(コメの場合はこの条件に加えて15kg以下)は、国際宅配便や国際郵便で通関申告なしで日本から香港に販売できることが関係しています。

 香港では、正常なインターネット取引を促進するために、以下ような法規制が整備されています。 『版権条例』 (香港法例第528章) ・・・知的財産権の保護  『個人資料(私隱)条例』(香港法例第486章) ・・・個人情報の保護 『電子交易条例』 (香港法例第553章) ・・・電子商取引を促進  ECサイトの多くはサイト上に「香港個人情報(プライバシー)条例」を遵守する旨を記載しており、個人情報保護に関する方策を説明しているサイトも多くあります。 中国本土で行われているウェブコンテンツを管理、規制するICP(Internet Content Provider)規制はありません。また、日本のように『電子消費者契約法』(電子商取引などにおける消費者の操作ミスの救済、契約の成立時期の転換などを定めたもの)や「特定商取引法に関する法律」は制定されていません。

インターネット取引の最低限の法規制は整備 

香港のEコマース利用率は2割程度 2014年のインターネット世帯普及率は78.7%、15歳以上のEコマース(EC)利用率は23.4%です(香港統計局)。他の先進国の都市と比較して、EC利用が浸透していないとされています。東京都の約半分の面積に約750万人の人口が密集し、店舗が集中する中心街へのアクセスが容易なことなどが影響していると考えられます。2015年のインターネット小売市場は141億香港ドルで、これは小売市場全体の約3%です。

 外食の比率が高いマーケットであるため、業務用販売に重点を置きつつ、小売の可能性を探っていく取組が中心となると思われます。よって、業務用ニーズに合った商品提供や外食・中食事業者と連携したPR・キャンペーン等を進めていくことが重要だと考えられます。  包装米飯は、商品カテゴリー自体の存在感がまだうすいため、玄米や雑穀米などの包装米飯は美容や健康という価値で需要を喚起するなど、検討の余地があります。米菓は他国産との価格差は大きくないので、輸出拡大のためにはパッケージの質感や表示内容による訴求力が重要だと考えられます。

主要ECサイトa.HKTVmallb.AEON CITYc.Oisix香港 

http://www.hktvmall.com(中国語/英語)https://www.aeoncity.com.hk(中国語/英語)https://hk.oisix.com/(中国語/日本語/英語)

インターネット販売の実態

輸出拡大に向けて

36

各国・地域への輸出に向けて3 章

(2)台湾 Taiwan

平成26年 平成28年

生産量(千トン)消費量(千トン)輸出量(トン)輸入量(トン)

1,399.41,297.030,000108,322

***

123,796

平成27年

***

125,904

市場の特性

国内のコメ消費量は減少傾向

米国、ベトナム、タイ、オーストラリア、日本、ミャンマー、イタリア、コロンビア、インド、パキスタン

 台湾政府は国内産米の支援政策を実施しており、国内生産米が国内消費量の約90%を構成。残りの10%が、2003年以来WTOの関税割当枠の下で輸入されています。2014年の米の生産量は政府の目標値より8%高い、120万トンを超える水準になっています。 国内のコメ消費量は128万トン(10万トンの飼料用を含む)程度で推移するものと考えられていますが、加工食品での米粉の使用は増加傾向にあります。 玄米と精米の実際の輸入量は年間10~13万トン程度で落ち着いており、2015年の輸入量は約12.5万トン(玄米3万7,667トン、精米8万8,237トン)でした。玄米、精米ともに米国、ベトナム、タイからの輸入量が多く、日本からの輸入は玄米で0.3%(95トン)、精米で0.8%(670トン)にとどまっています。

 国内のコメ消費は減少傾向にあり、一時98kgあった1人当たり年間消費量は、2013年には45kgの水準にまで落ち込んでいます。コメ消費量減少の要因は、商工業の発展、外食人口の増加、消費スタイルの変化などが考えられます。一方、小麦の1人当たり消費量は増大傾向にあり、食の欧米化が進んでいます。 また、台湾では働く女性や結婚しても共働きというケースも多く、外食が盛んです。若者層の自炊離れとともに、外食の割合は今後も増加する傾向があります。  台湾では、日本産米は高級品、嗜好品として消費されています。包装米飯はこのジャンル自体があまり認知されていませんが、米菓は健康志向を背景に需要の拡大が期待されています。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

4073813412

9103533725

平成27年

7533563920

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

1,2371,283

868909

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

895921

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:2,349万人● 名目GDP:5,230億米ドル● 1人当たり名目GDP:22,263米ドル● 名目GDP成長率:-1.33%

● 日系企業数:1,125社● 在留邦人数:20,162人● 日本食レストラン等の状況:日本食が圧倒的人気で、 現地の日本料理店も多数存在。定食人気が年々高まる。                   (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2016年)

37

各国・地域への輸出に向けて3 章

(2)台湾 Taiwan

 コメは登録卸業者を通じて販売され、日本産米輸入は民間枠のロットをもつ認可輸入業者が行います。認可輸入業者が卸売業を兼業し、直接小売店や飲食店に卸すこともあります。 日本産米の需要は日本食レストランの方が多く、注文を受けた後、日本米を精米・配送する販売業者から購入するケースが増えています。 米菓は市場に定着しています。日系スーパーに限らず地元スーパーでも陳列されており、味にこだわる消費者は日本産を好むようです。

 コメの関税割当数量14万4,720トンの内訳は、台湾当局の輸入量が9万4,068トン(65%)、民間の輸入量が5万652トン(35%)です。関税割当外のコメの輸入は1kgに対して45台湾ドルの関税が課されるため、関税割当を受けている輸入業者を経由して輸出を行うことでコストを抑えることができます。

 台湾での包装米飯や米菓の流通経路は、日本国内の商社を通じ現地輸入業者を経由して小売店に卸されるのが主流です。日本からの輸入食品を購入するチャネルが、デパートからコンビニへと拡大、ドラッグストアも小売チャネルとして注目を集めています。

(出典)米国農務省(USDA)「Taiwan: Top Ten Market & Springboard to Asia」

日本産米の流通経路

(出典)農林水産省「平成19年度 海外貿易制度等調査報告書(台湾編)」

台湾におけるコメの流通経路図-1 台湾における加工食品の流通経路図-2

コメは関税割当品目。ライセンスを持つ輸入業者経由が有利

流通チャネルと取引慣行 

A 加工食品の流通経路B

取引慣行C

登録小売業者

消費者

海外生産者 台湾内生産者政府米 自主販売米

登録卸売業者

政府備蓄・管理

農会(農協)

加工業者外食業者スーパー

政府指定輸入業者政府米

一般輸入業者民間米 食糧業者

海外製造業者

輸出商社/輸出業者

混載輸送業者/貿易会社

輸入業者/配送業者/代理人

卸売業者

小売業者/外食業者/加工業者

38

各国・地域への輸出に向けて3 章

(2)台湾 Taiwan

関税割当枠

関税

 台湾では、2003 年からコメの関税割当制度が実施されています。コメの関税割当には、コメをつぶして串につけた「きりたんぽ」のように、コメの含有量が30%以上の「調理済み食品」も含まれ、包装米飯や米菓も対象になります。

コメ:割当内関税率は無税、割当外関税率は45台湾ドル/1kg包装米飯:割当内関税率は無税、割当外関税率は49台湾ドル/1kg米菓:割当内関税率は無税、割当外関税率は20%

関税割当枠と関税

コメ、コメ加工品ともに関税割当制度が適用される

精米、包装米飯、米菓は植物検疫証明書が不要

 家畜、家禽及び魚介類を除き、食品の残留農薬の許容基準は規制対象外農薬リスト(使用が安全で規制する必要のない農薬)、ポジティブリスト(最大許容の規制対象とすべき農薬)、ネガティブリスト(製造・輸入・販売・使用が禁止の農薬)に示されています。

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 台湾からすべての食品の輸入停止措置の対象となっている県は以下のとおりです。福島、茨城、栃木、群馬、千葉 (平成29年1月6日現在)

製品表示の内容

a. 品名b. 内容物の名称および重量、容量又は数量c. 食品添加物の名称d, 製造会社の名称、住所、電話番号、輸入品は輸入者名、住所、電話番号e. 消費期限f. その他(ラベル文字の大きさ、輸入包装済み製品の中国語表記)

主な関連法規

●食品関連法規●食品添加物関連法規●食品表示規格

●食品包装に関する規定

食品衛生管理法、食品安全衛生管理法、食糧管理法衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)が示している登録食品添加物の使用とその許容限度食品安全衛生管理法の第17条、第18条、第19 条、食品衛生管理法施行規則の第9条、第10条、第11条、第12条、第13条で規定食品安全衛生管理法

検疫制度A

食品規制B

検疫制度と食品規則 

残留農薬基準

 精米は日本での輸出検査を受けず植物検疫証明書なしで輸出できます。玄米は日本での輸出検査を受けて植物検疫証明書を添付する必要があります。動物性食品を含まない一般的な包装米飯や米菓については、日本の検疫証明書は必要ありません。

39

各国・地域への輸出に向けて3 章

(2)台湾 Taiwan

*2016年8月末為替レート:1台湾ドル=3.3円

日本産米の価格帯は外国産の1.5倍~3倍

 全5店舗(日系スーパー2、輸入系高級スーパー1、欧米系スーパー1、現地系スーパー1)で調査。日本産米の取扱いは日系スーパーがメインで、1~2kgの商品が多く見られました。日本産米の価格帯は、台湾産や米国産のおよそ1.5~3倍程度です。

台湾人は新潟のコシヒカリが一番美味しいと認識しており、新潟産のコメが売れている。仕入れる日本産米の産地は台湾人が馴染み易い地区から候補に上る。例えば北海道。

 包装米飯は、日系スーパーで日本産と台湾産の取扱いが確認できました。日本産の価格は、1食入りで100台湾ドル(330円)、3食入りで160~290台湾ドル(528~957円)程度。日本産、台湾産ともに健康食としての商品の品揃えが目立ちました。

 調査した日系、欧米系、現地系の各店舗で日本産米菓が取り扱われており、台湾ではすでに一定のポジションを確立しています。

台湾産の米果は種類が少なく、大手は一社のみ。価格が安く美味しいが、種類が少ないので日本産の競合品にはなれない。

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C

❺ 小売店の店頭価格

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

表-5 包装米飯の販売価格(調査月:2016年7月~8月)

商品名 原産国(産地) 販売 単位 円換算*

米菓の販売価格 (調査時期:2016年7月~8月)表-6

商品名 原産国 販売 単位 価格(台湾ドル) 円換算*

商品名 原産国 販売 単位 価格(台湾ドル)

価格(台湾ドル)

円換算*

528

528

330

891

957

182

363

248

248

160

160

100

270

290

55

110

75

75

※日本産米を 現地で包装

コメの販売価格 (調査時期:2016年7月~8月)表-4

熊本県産 森のくまさん

新潟魚沼棚田米

石川コシヒカリ 雪娘

宮城県産寿司米 ササニシキ

つや姫

新潟産こしいぶき

富山県産 こしひかり

日本一番米

池上米 越光米

陽光米

丸井 壽司米

タニタ食堂 金芽米包裝米飯 白米

ちょこっと一膳ごはん

サトウのごはん

サトウのごはん

金賞 健康米のごはん

御米飯 美味熟飯

御米飯 美味熟飯

膳纖熟飯 健康雙麥飯

膳纖熟飯 健康多穀飯

黒大豆おかき

歌舞伎揚 揚げせんべい

雪の宿 サラダ

おこげせん 塩

柿の種

ぼんち揚 醤油

海苔 厚焼

米豆

海苔巻

韓国蜜糖米香餅

日本

日本

日本

日本

日本

台湾

台湾

台湾

台湾

日本

日本

日本

日本

日本

日本

台湾

台湾

タイ

韓国

56g

132g

160.8g

189.6g

200g

140g

150g

160.8g

70g

110g

58

105

72

120

99

125

46

79

59

89

191

347

238

396

327

413

152

261

195

294

160g×3

180g

200g

200g×3

180g×3

200g

200g×2

200g

200g

日本(熊本)

日本(新潟)

日本(石川)

日本(宮城)

日本(山形)

日本(新潟)

日本(富山)

日本   

台湾

オーストラリア

米国

2kg

2kg

2kg

1kg

2kg

1kg

2kg

2kg

1.5kg

1.5kg

3kg

600

799

499

280

580

679

505

449

245

188

114

1,980

2,637

1,647

924

1,914

2,241

1,667

1,482

809

620

376

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

40

各国・地域への輸出に向けて3 章

(2)台湾 Taiwan

ECサイトでの包装米飯の取扱いは少ない 台湾のECサイト大手では日本産米、包装米飯、米菓も販売していますが、ECサイト上には廉価な台湾産米も多く、日本産米との価格差は実店舗よりも大きいようです。包装米飯は、コメや米菓と比べて取扱いが少ないのが現状です。 また、コメの日本から台湾への小口貨物としての輸送には許可証などの添付が求められることが、日本からの越境ECにとってのハードルになっています。

 ECを行うに際し、「小売業等網路公益定型化契約応記載及不得記載事項」によって、ウェブサイト上に、以下を中国語で記載することが義務付けられています。 ・企業経営者の名前 ・電話番号 ・電子メールアドレス ・営業所の所在地  ・契約条項に疑義がある場合、消費者に有利に解釈すること  ・商品取引ページに表示された商品名称、価格、内容、仕様、型番及びその他の関連情報は、契約の一  部であること 等 さらに、「商品表示法」で個別商品のラベルなどに、以下の事項について中国語で記載する必要があります。 ・製造者 ・生産地 ・成分 等 また、「消費者保護法」で特に重要な事項とされているのがクーリングオフ制度で、Eコマース事業者も対象とされています。

求められる表示義務とクーリングオフへの対応 

Eコマース市場は順調に拡大を続けている 2015年の台湾のインターネット個人普及率は約88%で、Eコマース(EC)市場は1兆台湾ドル規模と推定されています。ECに関する法律、決済サービス、物流が整備され、EC市場は順調に拡大を続けています(ITC:International Telecommunication Union調べ)。 なお、台湾のEC市場では、プラットフォーム型の大手ECサイトの存在が大きく、2012年には、ECを行っている商店の95.3%が何らかのECプラットフォームを利用していました。

 台湾では、日本産米のブランドや味に対する評価は高く、輸出拡大のポテンシャルが感じられる状況ですが、輸出ロットの拡大などによるコスト削減が望まれています。  包装米飯はコメと同じ関税割当の対象となるため、割当枠を活用できれば、関税なしで台湾に輸出することができますが、商品認知があまりなく、商品理解、プレミアム感、安心・安心な健康食としての訴求などが有効と考えられます。 日本産米菓は高く評価されていますが、さらに保存期限が長い商品が求められています。

主要ECサイトa.PChomeb.Yahoo!奇摩 超級商城c.楽天市場購物網 

http://www.pchome.com.tw/http://tw.mall.yahoo.com/http://www.rakuten.com.tw/

インターネット販売の実態

輸出拡大に向けて

平成26年 平成28年

生産量(百万トン)消費量(百万トン)輸出量(万トン)輸入量(万トン)

144.6144.541.9256.7

146.5144.5*

353.5

平成27年

145.8144.528.6335.0

41

各国・地域への輸出に向けて3 章

市場の特性

生産量・消費量ともに伸びているジャポニカ米

ベトナム、タイ、パキスタン、カンボジア、ラオス、ミャンマー、日本、ロシア、北朝鮮、台湾

 コメは、小麦、とうもろこしと並んで、中国の最も重要な食糧作物の一つです。精米の2014年度の生産量は1億4,460万トン、同年度の消費量は1億4,450万トンです。精米は年間の生産量と消費量がほぼ同じで推移しています。 2015年の中国でのコメの輸出入量は、輸入が約335万トン、輸出が約28万6,000トンと、輸入量が輸出量を上回っています。輸入先国はベトナムとタイで全体の約8割を占めています。 日本から中国への商業用の米輸出量は、香港、シンガポール、台湾に次ぐ第4位で568トンです(2015年実績)。

 中国の北方地域では小麦食(饅頭、包子、麺など)が、南方地域では米食が好まれていますが、近年、北方地域でも生活水準の向上による食事の多様化や、炊飯方法の簡便化などから、米の消費が増えています。 主流はインディカ米ですが、生産量・消費量ともに伸びているのはジャポニカ米です。ここ20年間に、ジャポニカ米の1人当たりの年消費量は、20kg弱から30kg超に増加しました。実際に中国の消費者に日本のごはんを試食してもらうと、日本のごはんに対して極めて高い評価が得られます。一方で、中国産との価格差は極めて大きいため、この価格差を乗り越えて日本産米を選んでもらうための仕掛け・努力が必要です。 食に関する事件や事故が多発したことで、安全・安心への意識が高まっています。特に小さな子どもを持つ若い世代、女性、富裕層を中心に、健康・美容に良い食品への関心は高いと言えます。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

(3)中 国(上海/北京) China

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

1574841

136

375435578

平成27年

5685121

571

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

6559

5255

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

7886

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:13億7,349万人● 名目GDP:11兆1,816億米ドル● 1人当たり名目GDP:8,141米ドル● 名目GDP成長率:5.91%

● 日系企業数:33,390社● 在留邦人数:131,161人● 日本食レストラン等の状況:全国で23,100店舗。 北京、上海、広州等の大都市を中心に普及。                  (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2016年)

42

各国・地域への輸出に向けて3 章

日本産米の流通経路

出典:農林水産省「平成23年度輸出倍増リード事業のうち戦略的マーケティング事業(中国)」

流通窓口は単一的、店頭までの流通は複層的

日本産米の流通経路図-1

流通チャネルと取引慣行 

A

加工食品の流通経路

出典:農林水産省「平成23年度輸出倍増リード事業のうち戦略的マーケティング事業(中国)」

 加工食品の流通の特徴は、日本の大手商社系企業においても自社で中国全体にネットワークがあるわけではなく、二次卸を活用して流通させていることです。B

取引慣行C

加工食品の流通経路図-2

(3)中 国(上海/北京) China

 中国では、メーカーから小売企業までの流通段階で、複数の階層からなる代理商を介することが多く、そのために流通コストがかさみ、小売価格が割高になっています。春節、中秋節等で食品のギフト(果物、菓子、酒など)を贈る習慣があります。

国内取引

日本国内 中国国内

非日系の高級デパート中心

日系デパート高級スーパー百貨店 など

小売店

国内の問屋販売社会

食品メーカー

小売店

三次卸が入る場合あり

二次卸としてCOFCO流通部門が入る場合あり店頭に出ない法人需要も多い

日本国内 中国国内

現地での一次卸

商社(日系現地法人)

二次卸

現地の卸問屋

日本の食品専門商社系

卸問屋

中国系の卸問屋 二次卸

二次卸

二次卸日本の総合商社系卸問屋

輸入業者(メーカーの現地法人や代理店)

現地のバイヤー 多様な国内ルート

日系スーパー百貨店

レストランなど

中国系スーパー百貨店

レストランなど

上記以外のルート

中国系の業者が多いが、中には日系もある

輸出事業者生産者中国政府が認可した指定登録施設での精米・くん蒸

輸入業者(COFCO)

43

各国・地域への輸出に向けて3 章

(3)中 国(上海/北京) China

 中国では、国家質量監督検験検疫総局(質検総局)が「輸出入商品検験法」及び「出入国動植物検疫法」に基づき検査検疫を管理しています。コメをはじめ、大部分の農産物は検査検疫を受ける必要があります。なお、中国への玄米の輸出はできません。 中国向けに日本産精米を輸出する場合には、指定精米工場での精米、包装及び登録くん蒸倉庫でのくん蒸処理の後、輸出検査を受けなければなりません。 既に認定を受けている指定精米場に精米を委託することなどにより、植物検疫条件を満たせば、輸出することができます。

輸入枠と関税

関税のほかに「輸入増値税」がかかります

精米は指定工場で、くん蒸は登録倉庫で処理

 食品安全国家標準「食品中農薬最大残留減量」により規定されています(2014年8月1日より施行)。ポジティブリストが採用され、食品に残留する農薬の種類と、それぞれの農薬ごとに対象となる食品と最大許容量が明記されています。

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 以下の都道府県の食品は全て輸入禁止となっています。宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、新潟、長野 他の産地は産地証明書の添付が必要です。

関税

輸入枠 精米:関税割当数量は、年間532万トン(短粒種266万トン、長粒種266万トン)。包装米飯、米菓:関税割当の設定はありません。

精米:輸入関税率=1%(関税割当枠内)、65%(関税割当枠外)   輸入増値税*率=13% *輸入増値税:輸入関税を加えた価格に対してかかる税   合計税率:14.1%(関税割当枠内)、86.5%(関税割当枠外) 包装米飯:輸入関税率=30%、輸入増値税率=17% 合計税率=52.1%米菓:輸入関税率=20%、輸入増値税率=17% 合計税率=40.4%

製品表示(中国語ラベル)の内容

a. 加工食品の商品名b. 原材料(添加物を含む)名c. 製造年月日d, 賞味期限e. 原産地

f. 保存方法g. 内容量h. 輸入企業名i. 輸入企業の所在地j. 輸入企業の電話番号等

主な関連法規

●食品関連法規●食品添加物関連法規●食品表示規格 (包装済食品)

●食品包装に関する規制

食品安全法(2015年4月公布改訂版)GB2760 食品添加物の使用の標準包装済食品ラベル通則 中国語のラベル、商品説明書が必要食品容器、包装材料用添加剤使用衛生標

検疫制度A

食品規制B

検疫制度と食品規則 

残留農薬基準

(2017年1月6日現在)

<精米の委託に関する問合せ先>工場名:全農パールライス株式会社 神奈川精米工場 問合せ先:全農パールライス株式会社 営業一課 TEL:03-3518-0593

<中国向け輸出の具体的な手順>農林水産省「中国へのお米の輸出について」 http://www.maff.go.jp/j/seisan/boueki/kome_yusyutu/china.html

44

各国・地域への輸出に向けて3 章

(3)中 国(上海/北京) China

❺ 小売店の店頭価格

*2016年8月末為替レート:1元=15.45円

日本産米のキロ単価は、中国産の4倍以上

米菓の販売価格(調査月:2016年7月~8月)表-6

日本産米は価格が高く、購入するのは日本人と中国人の高収入層、訪日経験者にほぼ限定されている。

 上海5店舗(日系スーパー3、現地スーパー1、欧米系スーパー1)と北京5店舗(日系スーパー2、現地スーパー2、欧米系スーパー1)を調査。日本産米は、上海では日系スーパーのみで販売。北京では、現地系高級スーパーのみで販売していました。

 日本産、中国産、韓国産が販売されており、価格は高い順に日本産、韓国産、中国産でした。日本産の取扱いは、上海、北京ともに日系スーパー各1店舗のみでした。

 日本産は、上海では5店舗中欧米系スーパーを除く4店舗で、延べ36品目の販売が確認されました。北京では、調査時点で日本産米菓は販売されていませんでした。

包装米飯の売上は安定しているが、客層は限定されている。客から包装食品なので添加剤への不安、容量が少ないという声があった。

日本産の価格は高めだが、味のよさ、品質への信頼感があるので、子どものおやつとして安心して与えられる。運送、通関で2か月ほどかかり、店頭に並んだ時には賞味期限が残り少なく、販売への支障となっている。

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

コメの店頭価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C 商品名 原産国 販売単位 価格(元) 円換算*

商品名 原産国コメの産地 加工工場 販売単位 価格(元) 円換算*

北海道のおこめ ゆめぴりか

白雪米飯越光大米飯美時園越光大米

日本(北海道) 日本(富山)

日本(北海道)日本(北海道)

日本(富山) 日本(富山)

200g210g200g200g200g200g260g

2617.513.21118.819.97.6

402270204170290307117

韓国中国(湖北)

緑潤白米飯

中国(湖北)サトウのごはん きらら397富山県北アルプスの天然水仕立て ふんわりごはん

中国(北京)

包装米飯の販売価格(調査月:2016年7月~8月)表-5

味満月磯焼ぼんち揚おにぎりせんべい味ぞろい浮千鳥旺旺雪餅旺旺厚焼海苔米餅旺旺仙貝物語原味徐福記米格瑪奶油玉米夾心米旺旺厚焼海苔幑 好巴食楽香米太陽鍋巴麻辣味北田蒟蒻糙米卷海苔口味黑熊紫菜糙米果

日本日本日本日本日本日本中国中国中国中国中国中国中国台湾台湾

160g137g140g62g54g80g84g118g88g90g118g400g130g160g160g

5028784402132944717612416110712416776260337

32.556.828.513.81930.54.98

10.46.98

10.84.916.821.8

上海

都市

北京

上海

都市

北京

米菓の販売価格(調査月:2016年7月~8月)表-4

商品名 原産国 販売単位 価格(元) 円換算*

ななつぼし日本産米コシヒカリつや姫穗之香心悦越光大米真地稲稲花香米東町越光米皇族金輝泰国茉莉香米日本産コシヒカリ福臨門秋田小町大米金龍魚清香稲美裕私家米金健東北推奨米福臨門泰国茉莉香米金熊泰国茉莉香米

日本(北海道)日本(北海道)日本(山形)中国(広東)中国(遼寧)中国(黒竜江)中国(遼寧)タイ

日本(不明)中国(吉林)中国(黒竜江)中国(北京)中国(遼寧)タイタイ

2kg2kg2kg2kg2kg5kg5kg2kg2kg5kg5kg1.5kg5kg5kg5kg

2,5963,1683,0908967731,2051,4757422,5961,0519582,5966241,4801,692

16820520058507895.548168686216840.495.8109.5

上海

都市

北京

45

各国・地域への輸出に向けて3 章

(3)中 国(上海/北京) China

日本産コメ・コメ加工品もインターネットで販売 主要なECサイトでは、日本産のコメや包装米飯、米菓が販売されています。コメは、日本産米だけでなく、日本産品種の中国産米も取り扱われています。

 中国では、越境ECの健全な発展を促すための新政策を2016年に施行しました。これにより、商品の発送拠点が中国国外となる場合、一般貿易と同様に中国での輸入通関が必要となりました。 日本の事業者が中国への越境ECを行う場合のポイントは、販売活動の拠点を日本と中国のどちらに置くかにあります。相違点は以下のとおりです。

 なお、ECであってもコメの輸出に際しては、精米輸出に関する検疫条件を満たす必要があります。合意されている検疫条件では、コンテナでの輸送を前提とされており、日本に物流拠点を置いて国際郵便等で発送する手法による越境ECは、検疫条件を満たさないことになると判断されます。

2016年より越境ECに関する新政策が施行

a.日本国内にサーバーを設置または日本国内のECプラットフォームに出店  中国の法律に基づく手続きの必要はなし。b.中国のCtoCプラットフォームに出店  中国人の連帯保証人がいれば、外国企業も出店可能。c.海外のBtoCプラットフォームに出店  法人アカウントを取得(各種書類の審査あり)、出店料(保証金、年会費等)の支払い義務あり。d.中国国内にサーバーを設置  中国の法律に基づいて登録している外商投資企業であれば、通常の販売行為の延長と見なされる。

中国のEコマース市場取引額は世界一 2015年の中国のBtoCのEコマース(EC)市場取引額は、6,720億米ドル(対前年比142%)にのぼると推定されています(eMarketer調べ)。これは2位の米国の約2倍、日本の7倍以上と世界一の規模です。BtoCのECプラットフォームのシェアは、天猫(Tmall)と京東(JD)で約8割を占め、それぞれ55.6%、23.5%となっています(2015年度 中国電子商務研究センター調べ)。

 コメについては、日本産の評価は高いものの、その評価が中国産との大きな価格差を乗り越えられるかが課題です。一定程度の所得を有する消費者に説明する機会を設け、日本のコメのPRポイントを丁寧に説明し、口コミによるマーケットの拡大を戦略的に行っていく必要があります。 包装米飯は、商品の認知度や浸透度をアップさせ、市場をつくることが輸出拡大につながります。米菓への満足度は高く、今後は賞味期限延長への取組が期待されています。 2015年10月に食品安全法が改正され、越境ECに対しても規制が強化されています。越境EC進出には、中国の規制情報に通じたパートナーやコンサルタントとの連係が必須です。

主要ECサイト

a.天猫(Tmall)b.天猫国際(Tmall Global)c.淘宝網(Taobao) d.京東(JD.com)e.京東全球購(JD Worldwide)f.亜馬遜(Amazon)中国 

https://www.tmall.comhttps://www.tmall.hkhttps://www.taobao.comhttps://www.jd.comhttp://www.jd.hkhttps://www.amazon.cn/

インターネット販売の実態

輸出拡大に向けて

46

各国・地域への輸出に向けて3 章

(4)シンガポール Singapore

平成26年 平成28年

生産量(千トン)消費量(千トン)輸出量(トン)輸入量(トン)

* 275

172,823498,633

平成27年

* 280

137,043422,487

市場の特性

日本産のコメ輸出実績は香港に次いで第2位

タイ、インド、ベトナム、日本、米国、コロンビア、オーストラリア、ミャンマー、パキスタン、台湾

 シンガポールのコメの輸入量は、ここ10年間では全体として増加傾向にあり、2006年の30万トン台から2013年以降は40万トン台で推移しています。国内市場へのコメの安定的供給を確保する目的で、米貯蔵計画(Rice Stockpile Scheme:RSS)が策定されており、コメの一定の輸入量と貯蔵量の確保が義務付けられています。 日本からの商業用のコメの輸出実績は、香港に次ぐ第2位。2015年度の輸出量は1,850トンで、2010年度の輸出量334トンの約5.5倍に伸びています。 また、すでに多数の輸出事業者がシンガポールマーケットに参入しており、日本産米同士の競争が発生しているとの報告もあります。これまで日本産米、コメ加工品が入っていない新たな領域を開拓していく意識が不可欠です。

 シンガポールはアジアの食の都として知られ、その食文化は中国とマレーシアを筆頭に、インドネシアやインド、欧米の影響を受けています。コメを主食としており、消費者に人気のある種類は、ポンニ米やジャスミン米などです。 現地裕福層では日本産米を贈答用にする人もあり、「著名」「日本ブランド」「良い食味」な銘柄が選ばれています。近年は食の安全がクローズアップされ、オーガニック食品が増加、需要も高まりつつあります。 共稼ぎが一般化し、外食の利用率は高い傾向です。日本食ブームを背景に、日系企業の出店が増加しており、2015年6月現在の日本食レストラン数は1,105店舗で、これは全飲食店舗の16%に当たります。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

1,2952873736

2,3502294160

* 285*

318,573

平成27年

1,8502504149

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

233  226

202250

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

239264

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:560万7千人● 名目GDP:2,927億米ドル● 1人当たり名目GDP:52,888米ドル● 名目GDP成長率:-4.45%

● 日系企業数:1,116社● 在留邦人数:36,963人● 日本食レストラン等の状況:日本食レストランが 人気で店舗数は1,105店。レストラン全体の約15%。                   (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2016年)

47

各国・地域への輸出に向けて3 章

(4)シンガポール Singapore

食品の流通経路

(出典)全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会「シンガポールにおける輸入米・米加工品の規制等に関する実態について調査研究事業 報告書」

精白米の輸入には輸入ライセンスの取得が必要

食品の流通経路図-1

流通チャネルと取引慣行 

A

取引慣行B

 シンガポールに輸入された精白米は、輸入ライセンスを有する輸入業者を経由し、小売店や業務店へ卸売されます。ライセンス取得には、米貯蔵計画(R i c e S t o c k p i l e Scheme:RSS)への参加が義務付けられます。

 日本産米(精白米)の輸入ライセンス取得が困難なため、ライセンスを持つ輸入業者を荷受人として、輸入を行っているケースが多く見られます。 玄米については貯蔵上の規制が無いため、店内で精米できる玄米を販売する日系スーパーや、シンガポールの自社工場で精米し、個別発送を行う企業が出てきています。 日本産の食品全般の輸入に当っては、輸入業者の多くが卸売業者を兼ねています。

市場取引

二次卸売業者 二次卸売業者

小売店(スーパーマーケット等)

業務店(ホテル・飲食業等)

消費者(購買)

消費者(飲食)

産地・生産者

輸出業者(日本法人)

海上輸送

日本国内

シンガポール国内

輸入業者(一次卸売業者)

現地精米業者

48

各国・地域への輸出に向けて3 章

(4)シンガポール Singapore

輸入枠と関税

輸入時に財・サービス税が必要です

コメは輸入検疫の対象外。植物検疫証明書は不要

 食品規則(第30条)により規定されています。ポジティブリストが採用されており、食品に残留する農薬の種類と、それぞれの農薬ごとに対象となる食品と最大許容量が明記され、この基準を満たさない食品の輸入、販売、広告、製造、委託、納品は禁じられています。

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 シンガポールから日本産のコメ・コメ加工品の輸出停止措置の対象となっている県(市町村)は、以下のとおりです。福島県(南相馬市、川俣町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾町、飯舘村)                     (2017年1月6日現在)

輸入枠

関税

コメ:指定なし(シンガポール国際企業庁の輸入ライセンス取得が必要)コメ加工品:指定なし(食農品・獣医庁の輸入ライセンス取得が必要)

製品表示(英語ラベル)の内容

a. 食品の一般名称又は(一般名称がない場合)食品の概略b. 重量の多い順による成分一覧表(2種類以上の成分を含む場合)c. 輸入業者又は国内流通業者、販売代理店の会社名と住所(輸入食品の場合)d, 正味重量又は容量表示による内容量e. 原産国(輸入食品の場合)f. 必要に応じ、食品規制に定められた表示義務のある追加情報 (アレルギー原因物質を含む場合はその名称、人工着色料、人工甘味料を使用した食品、照射食品)

主な関連法規

●食品関連法規●食品添加物関連法規

●食品表示規格 (包装済食品)

●食品包装に関する規制

食品販売法、食品規定食品規定(第15~28条及び第3付表~第8付表)本規定に記載されていない食品添加物の使用については、コーデックス委員会の勧告に準じる食品規定(第5条)文字の高さは1.5mm以下であってはならない※食品表示については欧米と同様の食品表示規制の導入の動きがあり、実施された場合には追加での成分検査等が必要となります。食品規制(第37条「食品包装容器」)

コメ・コメ加工品への関税はなしただし、輸入時に財・サービス税7%が必要(2016年10月末現在)

検疫制度A

食品規制B

検疫制度と食品規則 

コメは輸入検疫の対象ではなく、日本側で植物検疫証明書を取得する必要もありません。

残留農薬基準

*2016年8月末為替レート:1シンガポールドル=75.68円

49

各国・地域への輸出に向けて3 章

(4)シンガポール Singapore

価格(Sドル)

21

40

23.529.89.7518.7539.715.6510.918.8

円換算

1,589

3,027

1,7782,2557381,4193,0041,1848251,423

商品名

魚沼産こしひかり

あきたこまち

さがびよりななつぼしはえぬき

登米産ひとめぼれお寿司のお米笑みの絆

Okome Short Grain Rice松鶴

こしひかり

原産国(産地)

日本(新潟)

日本(秋田)

日本(佐賀)

日本(北海道)

日本(山形)

日本(宮城)

日本(茨城)

米国米国

ベトナム

販売単位

2kg

5kg

2kg5kg2kg

2kg

2kg5kg2.5kg

5kg

商品名 価格(Sドル)円換算

9.8

4.4

5.8

4.9

5.05

4.0

742

333

439

371

382

303

いわて純情米ひとめぼれ

ゆめぴりかごはん

山形のおいしい水で炊き上げましたごはん

特盛ごはん

サトウのごはんひとめぼれ

販売単位

200g

150g×3

200g×3

300g×3

200g

200gサトウのごはん魚沼産コシヒカリ

原産国(産地)

日本(岩手)

日本(北海道)

日本(山形)

日本(富山)

日本(宮城)

日本(新潟)

商品名 販売単位 円換算

155g揚一番 288柿の種 200g 378黒豆せんべい 10枚 356ソフトサラダ 130g 352チーズアーモンド 45g 371ぼんち揚 80g 151瀬戸の汐揚ゆず塩味 103g 341味焼海苔 135g 208芝士餅 96g 208Lukes Organics Brown Rice Chips 142g

価格(Sドル)

3.854.74.654.924.52.752.755.5 416

原産国

日本日本日本日本日本日本日本タイ中国米国

❺ 小売店の店頭価格

米菓における日本産、外国産の価格差は見られない表-4

米菓の販売価格(調査月:2016年8月)表-6

価格より品質にこだわるお客様が多く、高価格な魚沼産こしひかりがよく売れる。実際の味よりプロモーションなどメディア露出・口コミが勝ることもある。

 日本産米は調査した全5店舗(日系スーパー4、日系百貨店1、現地系スーパー1)で取り扱われていました。原産国別の1kg当たりの平均単価は、日本産米(105品目)が12.9Sドルで、米国産米(12品目)平均の5.8Sドルの2.24倍でした。

 包装米飯は調査した全5店舗で日本産商品のみが取り扱われていました。このうち3店舗は1パック売りのみの販売でした。

 米菓は調査した全5店舗で取扱いがありましたが、日系4店舗は日本産のみを販売。確認できた228品目のうち日本産は約82%であり、他国産と比較して大きな価格差は見られませんでした。

コメを普段それほど買わない一人暮らしの人や旅行者が購入する。日本ほど電子レンジの利用が家庭で普及していないのが実情。

ゆず味など、珍しい商品を好むお客様が多く、できるだけユニークな商品を輸入している。シンガポールでは賞味期限と消費期限が同義なため、賞味期限を過ぎると捨てられてしまう。

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C

コメの販売価格(調査月:2016年8月)

包装米飯の販売価格(調査月:2016年8月)表-5

50

各国・地域への輸出に向けて3 章

(4)シンガポール Singapore

ECサイトでの包装米飯の取扱いは少ない 主要なECサイトで、競合品のコメはすべてのサイトで取り扱われていますが、日本産のコメの取扱いにはばらつきが見られます。包装米飯は、コメや米菓と比べて取扱いが少ないのが現状です。

 日本の事業者がシンガポールへの越境ECを行う場合のポイントは、販売活動の拠点を日本とシンガポールのどちらに置くかにあります。相違点は以下のとおりです。 

シンガポール国内のサーバーでの運営には留意が必要

a.日本国内にサーバーと商品発送拠点を設置し、販売する場合   シンガポールの法律に基づく手続きの必要はなし。b.シンガポール国内のサーバーに情報登録し、シンガポール外から発送する場合      サイトにより運営・出店方法が異なる点(日本での法人登録者のみ許可等)に留意する。c.シンガポール国内のサーバーに商品情報を掲載し、商品発送拠点をシンガポールに設置、シンガポール国内向けに販売する場合    所得税の課税対象として登録(PE認証)が必要となる可能性があるため、計画段階で会計事務所やシンガポールの税務当局に   確認。d.シンガポールのサーバーで通販サイトを運営する場合   シンガポールのメディア開発庁による事前承認が必要。

Eコマースの売上はASEAN諸国第3位 2016年のシンガポールのEコマース(EC)売上は21億3,000万米ドルで、ASEAN諸国内で第3位でした(Statista調べ)。インターネットの浸透率が2013年に80%を超え、以降も高い比率で安定しており、この点もECの売上が大きい一つの要因と考えられます(Internet Live Stats調べ)。

 日本産米は“玄米での輸出とシンガポール現地での精米”が輸出拡大の有効な方法となっており、近年、玄米輸出が拡大しています。また、外食の比率が高いため、業務用販売に重点を置きつつ、小売の可能性を探っていく取組が中心となると思われます。よって、業務用ニーズに合った商品の提供や外食・中食事業者と連携したPR・キャンペーン等を進めていくことが重要だと考えられます。 包装米飯は、一般家庭での電子レンジ普及状況など、現地の文化的事情を考慮したうえでの販売策が必要です。米菓は、人気の高い商品群であり、賞味期限確保に向けた物流の工夫で輸出量拡大に期待が持てます。 国土面積が狭いシンガポールでは、自らの目で確認してから物を購入する文化があるとされます。現地消費者に日本産米を認知してもらう店頭プロモーション活動が、EC進出に向けた第一歩となります。

主要ECサイト

a.Qoo10b. Lazadac.eBay d.RedMarte.Shopbackf.thinkRice.sg 

http://qoo10.sg/http://www.lazada.sg/http://www.ebay.com.sg/https://redmart.com/https://www.shopback.sg/http://thinkrice.sg/ja/

インターネット販売の実態

輸出拡大に向けて

51

各国・地域への輸出に向けて3 章

(5)マレーシア Malaysia

平成26年 平成28年

生産量(万トン)消費量(万トン)輸出量(万トン)輸入量(万トン)

1802753.794.2

182282.5* *

平成27年

1802807.3

105.1

市場の特性

1人当たりのコメの年間消費量は、日本の約1.4倍

タイ、ベトナム、パキスタン、インド、カンボジア、オーストラリア、日本、韓国、バングラデシュ、台湾

 マレーシアでは、1971年、消費者に対するコメの安定供給と生産者に対する米価の安定を目的に国立米穀公社(LPN)が設立され、コメ輸入も一元的に扱ってきました。LPNは後に法人化されBERNAS社となり、1996年には民営化、上場されました。 現在、マレーシアではコメの流通は自由化されましたが、BERNAS社が、買付、精米、輸入、物流及び貯蔵などで主導的な役割を担っています。特にコメの輸入については、政府との契約の下、2021年1月まで同社が独占して実施しています。 2006年から2015年までのマレーシアのコメの輸入量は、おおよそ80万~110万トンの範囲で推移しています。また、輸出は2013年以降、増加傾向がみられ、2015年は7万トンを超えましたが、全体としては輸入量が上回っています。 日本からマレーシアへの商業用のコメ輸出量は124トンで、第10位の輸出先です(2015年実績)。

 マレーシアの主食はコメです。他民族・宗教国家のため、それぞれの食文化を尊重する風土があり、コメに合う料理や米料理もバリエーションに富んでいます。品種はインディカ米が主流です。2014年のマレーシアにおける1人当たりのコメの年間消費量は、日本人の平均54.6kg(2015年)より20kg以上も上回る78.6kgで、約1.4倍です。 近年、マレーシアの経済発展は著しく、中間層及び富裕層の割合が増加し、2010年以降新しい食文化も発展しています。欧米風のカフェや日本食店等が急増し、おしゃれなカフェ文化や洋食レシピを取り入れる若手経営者も増え、マレーシアでの食の選択肢は幅広くなってきています。また、健康志向者の増加により、オーガニック食品分野の発展が期待されています。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

4931568

1672691018

平成27年

1243271011

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

1214

2629

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

1417

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:3,116万人● 名目GDP:2,963億米ドル● 1人当たり名目GDP:9,501米ドル● 名目GDP成長率:-12.36%

● 日系企業数:1,383社● 在留邦人数:13,739人● 日本食レストラン等の状況:約1,400店。料理の クオリティも年々上昇。ハラール対応はごく一部。                  (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2015年)

52

各国・地域への輸出に向けて3 章

 マレーシアの取引慣行には、開店時を含む商品登録(リスティングフィー)、棚貸し代、レジ前ゴンドラ利用料、チラシ代、リベートなどがあります。返品制度もあり、賞味期限切れや損傷した商品、催事後に売り場に残せない商品などが対象となり、その際にフィーが発生することもあります。

 マレーシアで政府からコメの輸入許可を得ているのは、BERNAS社のみです。コメの流通は自由化されていますが、このBERNAS社がコメの買付、精米、物流及び貯蔵などで主導的な役割を担っています。

 マレーシアでは、一般的に食品メーカーから卸売業者や代理店などを介して小売店に流通しています。

(出典)大和総研「アジア小売市場の実態調査」?

コメの流通経路

(出典)Food and Fertilizer Technology Center for the Asian and Pacific Region(食糧肥料技術センター)「Roles of Cooperative Movement as Middlemen to Increase the Efficiency

of Agricultural Marketing in Malaysia」

コメの流通経路図-1 加工食品の流通経路図-2

返品制度、リスティングフィーなどの取引慣行に留意

流通チャネルと取引慣行 

A 加工食品の流通径路B

取引慣行C

(5)マレーシア Malaysia

農家・協同組合・集荷業者

卸売業者

小売業者

消費者

BERNAS系精米業者 その他の精米業者

その他米商社BERNAS

国内食品メーカー海外食品メーカー

輸入業者

公設市場

トラディショナルトレード

モダントレード

食品小売 食品小売

販売代理店卸売業者

物流センター

輸入米

精米

53

各国・地域への輸出に向けて3 章

(5)マレーシア Malaysia

関税割当枠

関税

精米、玄米、包装米飯、米菓のいずれも関税割当枠の設定はありません。

コメの輸入には、農業省稲・米管理局から卸売ライセンス、輸入ライセンス、輸入許可を取得しなければなりません。現在マレーシア政府からコメの輸入許可を得ているのは、BERNAS社のみです。輸入量は政府が定めています。今回の調査対象品の関税率は以下のとおりです。 精米・玄米:40% 包装米飯:7% 米菓:0%

主な関連法規

●食品関連法規 

 ●食品添加物関連法規●食品表示規格  

●食品包装に関する規制

保健省 1983年食品法、    1985年食品規則    2009年食品衛生規則 など食品規則1985第5編第19規則食品法及び食品規則1980年価格管理(製造者、輸入者、生産者及び卸業者による表示)令 など

食品規則パートⅥ

関税割当枠と関税

マレーシア側の輸入業者は1社のみ

精米及び玄米は、植物検疫証明書が不要

 食品規則第16表で、許可されている農薬及びその最大残留量が定められています。その基準からはずれた場合は、食品の輸入、販売に向けた調整、又は販売を行うことはできません。

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 平成25年3月1日付けで、マレーシア向けに輸出される食品に関する輸入規制はすべて解除されました。

1980年価格管理令で義務付けられている表示

a. 商品に関する適切な名称b. 最低重量、数量、容量、容積c. 製造者、輸入者、生産者、卸売業者の情報d. 輸入商品の場合は、原産国e. その他商品特有の情報

検疫制度A

食品規制B

検疫制度と食品規則 

残留農薬基準

ハラール(Halal)認証について

 マレーシアは国民の大半がイスラム教徒ですが、「ハラ―ル認証」の義務付けはありません。しかし、加工品においてはアルコールや豚由来品の含有などに留意する必要があります。

 精米及び玄米は植物検疫証明書なしで輸出できます。マレーシアで農林水産品の輸入を管轄するのは、農業省、保健省、税関、マレーシアイスラム開発局の4機関で、これらの機関で検疫、食品管理、通関、ハラール規制を行っています。

54

各国・地域への輸出に向けて3 章

(5)マレーシア Malaysia

*2016年8月末為替レート:1RM=25.24円

日本品種の米国栽培米のキロ単価は、日本産米の半額以下

 クアラルンプール市内の4店舗(日系スーパー、日系デパート、日本食材専門店、地元系高級スーパー)で調査した結果、3店舗で日本産米の取扱いがありました。取扱い商品は同じ精米会社の「低温製法米」を謳う商品で、2kgの平均キロ単価は677円、5kgの平均キロ単価は615円です。

 日本産米と同じ3店舗で日本産商品のみ取扱いがありました。3食パックが主流で、日本産米に比べて包装米飯は店頭価格にやや大きな差がみられる商品もあります。中でもプライベートブラント商品の価格は、かなり安価となっています。

 調査した全4店舗で日本産を含めて延べ166商品が販売されていました。日本産米菓はタイ産米菓の約2~3倍の価格で売られていました。

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C

小売店の店頭価格

日本(北海道)日本(北海道)日本(宮城)日本(山形)日本(新潟)マレーシアマレーシアマレーシアタイタイ韓国米国

5kg5kg5kg5kg5kg5kg5kg5kg10kg10kg5kg2.5kg

コメの販売価格(調査月:2016年8月)表-4

商品名 原産国(産地) 販売単位 価格(RM) 円換算*(平均)

ななつぼしゆめぴりかひとめぼれつや姫こしひかりJapanese calfresh riceSumrize riceSuper 5 riceJati Super SpecialJasmine Thai FreshHangawee riceNishiki Japonica Rice

3,0263,6072,2693,5312,9517579724167079311,641833

119.9142.989.9139.9116.929.9938.516.52836.96533

包装米飯の販売価格(調査月:2016年8月)表-5

商品名 販売単位 価格(RM) 円換算*

ごはん(プライベートブランド)テーブルマーク たきたてご飯 国産こしひかりサトウのごはん 新潟県産コシヒカリサトウのごはん 新潟県産コシヒカリサトウのごはん 宮城県産ひとめぼれサトウのごはん 銀シャリ

180g×3

200g×3

180g×3

200g×3200g x 5

200g×3

11.926.529.845.52727

3006697521,148681681

米菓の販売価格(調査月:2016年8月)表-6

商品名 原産国 販売単位 価格(RM) 円換算*

日本日本日本日本日本日本日本タイタイタイ

味しらべ柿の種柿の種ピーナッツなし磯めぐりプチうす焼おこげせん しょうゆこんぶあられFantastic Japanese Rice Crackers OriginalFantastic Japanese Rice Crackers BBQFantastic Japanese Rice Crackers seaweed

34枚200g130g80g36g5枚72g100g100g100g

14.115.97.3112.95.39.37.74.14.14.1

356401185326134235194103103103

55

各国・地域への輸出に向けて3 章

(5)マレーシア Malaysia

a. 日本国内にサーバーと商品発送拠点を設置し、マレーシア向けに販売する場合

    輸入禁止品目以外は、マレーシアの規制を受けずに輸出が可能。ただし、通常の輸入関税は課税対象となる。 b. マレーシア国内のサーバーに情報を登録し、発送は対象国外から行う場合

    マレーシアのECサイトへの出店は、各サイトの運営・出店方法に準じて行う必要がある。c. マレーシアのサーバーに商品情報を掲載し、商品発送拠点をマレーシアに設置し、マレーシア国内向けに販売する場合

    日本法人(非居住者)がマレーシアの物流会社等に貨物の保管及び発送を依頼する場合、所得税の課税対象として登録が必要と    なる可能性がある。

主要ECサイト

a.Qoo10b.11streetc.Lazada d.eBaye.Lelongf.TESCO 

https://www.qoo10.myhttp://www.11street.my/http://www.lazada.com.my/http://www.ebay.com.my/http://www.lelong.com.my/http://eshop.tesco.com.my/

日本産コメ・コメ加工品のECサイトでの販売は少ない 食品を取り扱っている主要なECサイトは以下の6つのサイトです。日本産米を取り扱っていたのはQoo10のみで、7品種13種類の商品を販売。米菓はQoo10で5種類、11streetで11種類を販売していることが確認できました。

 マレーシアにおけるEC規制は、2006年に制定された電子商取引法を基本とし、一連の法整備が行われています。マレーシアに向けての越境ECの展開パターンは以下のとおりです。

電子商取引法によりEC規制

ASEAN諸国の中ではEコマース先進国 マレーシアのインターネット人口比率は67%で、ASEAN10か国中、シンガポールの73%に次ぐ比率です。ネット人口に占めるネットショッパー(インターネットを通じて商品を購入する者)の比率は、シンガポールと同率の80%となっています(2016年)。ASEAN諸国の中ではEコマース(EC)先進国と言えます。 また、EC市場規模でみると、上位からインドネシア22億米ドル、シンガポール19億米ドル、マレーシア15億米ドルとなっています(2014年)。

 日本産米の輸入はBERNAS社が独占しており、同社を経由しての正規輸入は2013年に解禁され、それ以後、輸入量は伸びています。同社への卸売資格を持っている日系企業は、年間300トンを輸入目標としています。(2015年実績は124トン) 包装米飯は、イベント等での和食に合わせたメニュー紹介、現地食材と組合わせた新しい提案などで商品の認知度向上や興味喚起が必要です。日本産米菓の輸入量は横ばいですが、購入層の性別、年齢に加えて、ボルネオ島へも販売網が拡大し、地域的にも広がりがみられます。 マレーシアのECを取り巻く環境の変化は激しく、越境ECによる進出には、規制情報や業界事情に通じたパートナーとの連携が重要です。

インターネット販売の実態

輸出拡大に向けて

56

各国・地域への輸出に向けて3 章

(6)タイThailand

平成26年 平成28年

生産量(千トン)消費量(千トン)輸出量(トン)輸入量(トン)

18,75010,500

9,697,9066,861

平成27年

15,8009,800

8,758,93122,526

市場の特性

世界有数のコメ輸出大国であり、日本食人気も定着

オーストラリア、インド、日本、パキスタン、ノルウェー、中国、ベトナム、イタリア、ロシア、トルコ

 タイは世界有数のコメの輸出大国で、2015年には玄米と精米の合計約876万トンを輸出しています。一方、輸入量は約2万トンで、そのほとんどを精米が占めています。輸入先の首位はラオス(7,718トン)、日本は第7位(221トン)でした(2015年調べ)。 日本からタイへの精米の輸出量を財務省貿易統計で見ると、2013年までは数トンから20トン程度で推移していましたが、2014年に43トン、2015年には208トンと急激に増加しています。 米菓の輸出は、東日本大震災の影響もあり2011年に落ち込みましたが、翌年には倍増。2015年は輸出量約45.3トン、輸出金額約6,837万円で、近年最大となりました。

 タイ中部と南部はコメ、北部と東北部はもち米が主食であり、麺類はコメの粉を使ったものが主流です。一般に消費するコメは長粒米(インディカ)で、特にジャスミンライス(香米)のホームマリ種が高級品種と位置づけられ、国内外で高い人気です。 食の多様化が進み、特に大都市では日本料理をはじめとする様々な国の料理が楽しめます。日本食は健康食として人気が集まっており、和食レストランや寿司屋などが幅広く好まれています。日本食人気が定着し、日本産米の消費は今後も増加すると推測されますが、品質に顕著な違いのないタイ産の日本品種米とは価格差が3~5倍以上あり、その消費はプレミア市場の一部にとどまっています。日本産のブランド力や品質の差や調理方法等のさらなる周知が必要と考えられます。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

43348105

3951801527

****

平成27年

2081781118

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

35  51

3753

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

45  68

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:6,884万人● 名目GDP:3,953億米ドル● 1人当たり名目GDP:5,742米ドル● 名目GDP成長率:-2.23%

● 日系企業数:1,725社● 在留邦人数:67,424人● 日本食レストラン等の状況:日本食レストランが 地方も含め毎年10%以上増加し、現在約2,100店舗。                   (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2016年)

57

各国・地域への輸出に向けて3 章

 日本産米の販売小売店は、日本系デパートやタイ資本高級デパートなど、まだごくわずかです。最近では、日本人駐在員を対象に日本産日本米のみを宅配する日本人経営業者の参入も見られます。 タイ系の大手小売は、確実に売れる商品以外は棚代を徴収します。この場合、サプライヤーが棚代の20~30%を負担しなければなりません。

 日本産の輸入米は、関税割当を持つ輸入業者が直接小売業者や日本食レストランなどの外食産業へ販売しています。また、タイ国内で生産された日本品種米は、業者が農家と契約取引し、卸売業者または直接バンコクを中心とした小売業者、日本料理や韓国料理のレストランなどに販売されます。

 輸入業者から小売業者への流通が最も一般的ですが、卸売業者を介するケースや、小売業者が日本から直接買い付けるケースも見られます。

(6) タイ Thailand

日本米(輸入、国内生産)の流通経路

民間による直接取引が主体

流通チャネルと取引慣行 

A 日本産包装米飯・米菓の流通経路B

取引慣行C

(出典)農林水産省「平成19年度 海外貿易制度等調査報告書(タイ編)」

日本産包装米飯・米菓の流通経路図-2

輸出業者(日本国内)

輸入業者

小売業者

消費者

卸売業者

(出典)農林水産省「平成19年度 海外貿易制度等調査報告書(タイ編)」

消費者

日本食レストラン

生産農家

中間商人

小売業者

卸売業者

輸入業者

日本米(輸入、国内生産)の流通経路図-1

日本米奨励業者

58

各国・地域への輸出に向けて3 章

(6) タイ Thailand

関税割当枠

関税

精米の関税割当数量は年間24万9,757トンです。包装米飯と米菓には関税割当枠の設定はありません。「基本税率(MFN)」のほか、「WTO税率」、「日タイ経済連携協定(JTEPA)税率」、「日アセアン包括的経済連携協定(AJCEP)税率」のいずれかの適用を受けられます。JTEPA税率、AJCEP税率の権利を得るには、日本からの原産地証明書が輸入時に必要です。精米:基本税率(MFN)=従量税 2.75バーツ/kg  WTO税率=割当内 30% 割当外52%       JTEPA税率=割当内 2.73%(2017年4月1日より無税)  AJCEP税率=除外品目包装米飯:基本税率(MFN)=60%  WTO税率=40%  JTEPA税率=無税    AJCEP税率=無税(2017年1月1日時点)米菓:基本税率(MFN)=60%  WTO税率=20%  JTEPA税率=無税   AJCEP税率=無税(2017年1月1日時点)

主な関連法規

●食品関連法規 ●食品添加物関連法規●食品表示規格

)品食済装包(   

●食品包装に関する規制

保健省「食品法」、商務省「輸出入管理法」、農業協同組合省「植物検疫法」食品医薬品局「特定管理食品」規制特定管理食品」「品質規格管理食品」「表示管理食品」の3分類に属する食品はラベル貼付を義務付け、使用許可の事前取得が必要保健省「第295号告示:プラスチック製容器の品質及び規定」

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 2015年4月28日付けで、タイ向けに輸出されるコメ・コメ加工品に関する輸入規制はすべて解除されました。

関税割当枠と関税

精米には関税割当枠が設定されています

事前の食品登録と食品輸入業務許可証が必要

 農業協同組合省「残留農薬:最大残留基準値(PESTICIDE RESIDUES: MAXIMUM RESIDUE LIMITS)」により規定されています。

精米の製品表示(タイ語ラベル)の内容

a. 食品名b. 輸入者の名前及び住所並びに製造国名c. メトリック法による食品の重量または体積d. 製造年月日又は製造年月、賞味期限の年月日又は食品  の品質を維持できる期限の年月日 消費者保護法に基づく表示義務e. 包装精米の種別又は種類の名称f. 使用方法又は炊飯方法g. 種別又は種類の名称以外の精米を混合している場合は、  その混合した精米の種類とその量

検疫制度A

食品規制B

検疫制度と食品規則 

残留農薬基準

 タイに輸入される食品は、タイ保健省食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)への食品登録などの事前手続きと食品輸入業務許可書が必要です。 精米の輸出には、日本の植物検疫証明書とタイ商務省外国貿易局の輸入承認を要します。籾米及び玄米の輸出はできません。 包装米飯は食品の輸入業務許可証のみで輸出できますが、赤飯など他の原材料とともに調理した米飯は、その含有量によって食品登録番号の事前取得が必要です。米菓も食品登録番号を事前に取得します。

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

59

各国・地域への輸出に向けて3 章

(6) タイ Thailand

*2016年9月末為替レート:1バーツ=2.95円

❺日本産のコメ、米菓価格はタイ産商品の約3倍

 全5店舗(日系スーパー3、輸入系スーパー2)で調査。日本産米の取扱いは日系スーパーがメインですが、日本品種のタイ産米と一緒に販売されています。日本産米は2kg400~600バーツの商品が多く、タイ産米は2kg約120~200バーツ程度で、日本産米は約3倍の価格です。

コメ研ぎの必要がない無洗米の需要があると思われる。

 包装米飯は、調査した全5店舗で日本産商品のみが確認されました。日本産は1食入りが65~122バーツ程度で販売。6食入りの価格は265バーツで1食当たりにすると44バーツとなります。

新しく、清潔で、よく保存でき、よいパッケージであることが商品仕入れの選考基準。日系スーパーでは商品の品揃えも多く、安定した売り上げである。

 日本産米菓の販売は日系スーパーが中心でした。日本産米菓はタイ産米菓の約3倍の価格で、タイ産と同価格帯の中国産米菓も確認されました。

ブランドや生産国で商品を選ぶ。大抵は日本の工場に直接注文する。

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C

小売店の店頭価格

商品名 原産国(産地)

原産国

販売単位 価格(バーツ) 円換算*

日本(新潟)新潟県産こしひかり登米産ひとめぼれ北海道米きらら397新潟産コシヒカリさぬきの米「おいでまい」もち米あきたこまち秋田県産KING ELEPHANTみのり

2kg 550 1,623日本(宮城) 2kg 480 1,416

日本(北海道) 2kg 425 1,254日本(新潟) 2kg 500 1,475日本(香川) 2kg 590 1,741

日本(秋田)

タイタイ

日本(国内産) 1kg 366 1,080

5kg 301 8882.27kg 155 4572kg 571 1,684

コメの販売価格(調査月:2016年8月~9月)表-4

包装米飯の販売価格(調査月:2016年8月~9月)表-5

商品名 販売単位 価格(バーツ) 円換算*

赤飯たきたてご飯ふっくらつや炊き大盛たきたてご飯国産こしひかりサトウのごはん新潟県産コシヒカリ新潟県産コシヒカリごはん食物繊維入り麦ごはん山形県産はえぬき新潟県産コシヒカリ

160g

250g×3

200g

150g×6

200g180g×3170g

200g

752492659515965103122

221735782280469192

304360

米菓の販売価格(調査月:2016年8月~9月)表-6

日本日本日本日本日本日本日本日本

日本

日本

日本

日本

日本

日本

タイ

タイ

タイ

中国

111g

85g

70g

75g

140g

144g

20g

115g

150g

56g

108

90

180

75

119

87

29

55

42

24

319

266

531

221

351

257

86

162

124

71

商品名 原産国 販売単位 価格(バーツ) 円換算*

越後樽焼ごまえびうす焼おむすび名人柿の種ぼんち揚 ぽたぽた焼PRIZE : Cheddar Cheese Flavor

Rice Cracker with Pork Floss

Bin Bin : Snow Rice Crackers

DOZO : Japanese Seweed

60

各国・地域への輸出に向けて3 章

(6) タイ Thailand

主要ECサイト

a.Taradb.WeloveShoppingc.Lazadad.Zalorae.Cmart(Cdiscount)f.Centralg.Ensogoh.WeMalli.Munkong Gadget 

http://www.tarad.com/https://portal.weloveshopping.com/http://www.lazada.co.th/https://en.zalora.co.th/http://www.cmart.co.th/http://www.central.co.th/http://ensogo.com/http://www.wemall.com/https://www.munkonggadget.com/

食品カテゴリーのネット販売はごく少数  インターネット販売が普及段階にあるタイでは、食品カテゴリーがあまり目立った取扱いをされていません。大手のECサイトでの日本産商品の取扱いも一部の米菓に限られており、極めて限定的な状況です。

 日本の事業者がタイへの越境ECを行う場合は、タイ国内にウェブサイトを開設する方法と、日本でタイ人向けのショッピングサイトを開設する方法が考えられます。 しかし、小口貨物としての日本からのコメの輸送が原則的に禁止されているため、日本産米のインターネット販売による輸出については、「現地の代理店を通じて行う」、「現地で法人を設立する」など、タイ国内に拠点を設ける必要があります。現地に拠点を設置することで、大手ショッピングモールサイトでの出店が可能になります。

越境ECにはタイ国内の拠点設置が必須

インターネットの普及は発展段階 2013年のタイのインターネット利用率(6歳以上)は28.9%で、9割近い先進国の水準と比べると発展段階にあります(タイ国家統計局調べ)。一方で、携帯電話の利用率は73.3%と高く、今後スマートフォンからのインターネット利用が増加していくと予想されます。Eコマース(EC)市場規模は、推定で約7,444億バーツ。B to Bが38.0%、B to Cが16.3%を占めます(2012年時点)。

 日本からタイへの日本産米の輸出量は直近3年間で急速な拡大を遂げています。日本食の定着や経済成長による富裕層の増加などが輸出拡大に向けた追い風になっていますが、タイ産の日本品種米に対する評価も低くはなく、日本産米の更なる品質の優位性の追求が求められます。 包装米飯の消費は一定数で安定していますが、インターネット販売においてはタイ産や韓国産の商品も確認されており、今後の競合が激しくなる可能性があります。米菓は現地の一般的な層にも購買されており、調査した小売店舗ではギフト商品としての品揃えにも注力したいという声もありました。

インターネット販売の実態

輸出拡大に向けて

61

各国・地域への輸出に向けて3 章

(7)ベトナム Vietnam

平成26年 平成28年

生産量(百万トン)消費量(百万トン)輸出量(トン)輸入量(トン)

28,166 22,000

6,150,8066,065

****

平成27年

27,458 22,000

6,075,201 18,075

市場の特性

日本産品の市場は都市部に集中

タイ、ラオス、中国、インド、日本、シンガポール、米国、イタリア、韓国、カナダ

 ベトナムはコメの輸出大国であり、2015年においては玄米と精米の合計約608万トンを国外に輸出しています。一方で、輸入量は約2万トンにとどまり、そのほとんどを精米が占めています。2015年の精米輸入先の首位はタイで、その量は9,895トンで、続く第2位はラオスの4,941トンとなっています。 日本からの精米輸出量を財務省貿易統計で見ると、2009年から2014年までは数トンから16トンで推移していましたが、2015年には142トンと急激に増加しました。

 ベトナムはインディカ米ともち米を主食としています。これらコメの使われ方は多様で、白米を炊いて食べるほか、フォーやブンなどの米麺やライスペーパーも頻繁に利用されています。 ベトナムの個人消費者が利用するのは、個人商店や公設市場といったトラディショナルトレード(伝統的流通形態)が7割、スーパーマーケットやコンビニエンスストアのようなモダントレード(近代的流通形態)が3割とされています(2007年ニールセン社公表)。現地ではAngimex-Kitoku社が日本品種米の栽培、販売を行っており、現地生産の日本品種米がスーパーなどで見受けられます。 現地での日本製品は全体的に高品質のイメージが強く、日本食は「安心・信頼できる」、「質が良い」、「健康的」と認識されており、都市部が主要市場となっています。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

  4500112

74216194

平成27年

1421061114

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

16  19

5051

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

25  33

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:9,168万人● 名目GDP:1,915億米ドル● 1人当たり名目GDP:2,088米ドル● 名目GDP成長率:2.99%

● 日系企業数:1,578社● 在留邦人数:14,695人● 日本食レストラン等の状況:ホーチミン市内400店舗、 ハノイ市内200店舗程度。ベトナム人客も増加傾向。                   (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2015年)

62

各国・地域への輸出に向けて3 章

(7)ベトナム Vietnam

食品の流通経路

流通チャネルと取引慣行 

A

取引慣行B

 トラディショナルトレード(個人商店や公設市場)において、小売業者はおおむね専門の卸売業者を通じて仕入れを行っており、農家や生産メーカーなどが直接販売するケースは多くありません。 一方、モダントレード(スーパーマーケットやコンビニエンスストア)では、メーカーや輸入業者と小売業者が直接取引を行い、価格は小売業者が決めて販売しています。

 消費者は、価格を重視する場合はトラディショナルトレードを、品質やブランドを重視する場合はモダントレードを、必要に応じて選択し、使い分けています。モダントレードでは、品質の良い商品が求められるため、少し高めの価格に設定されており、日本の輸入食品はモダントレードを中心に取引されています。 南北に長い国土等の影響により商圏が分断されており、全国的な販売網を持つ地場企業が少なく、南北で各パートナーを探す必要があります。

日本からの商品はモダントレードを中心に取引

(出典)大和総研「平成24年度 東アジア食品産業海外展開支援事業 タイ・ベトナム・ミャンマーにおける食品市場環境調査」

食品の流通経路図-1

国内食品メーカー 海外食品メーカー

輸入代理店

ホールセラー(卸売)公設市場

食品小売トラディショナルトレード

外食

ディストリビューター(販売代理店)

食品小売モダントレード

63

3 章

(7)ベトナム Vietnam

 日本から精米を輸出する場合は、日本の植物検疫証明書が必要です。精米の輸入検疫は、ベトナムの農業農村開発省(Ministry of Agriculture and Rural Development:MARD)が行います。なお、ベトナムへの玄米の輸出はできません。 包装米飯は、ベトナム保健省(Ministry of Health:MOH)による輸入検疫又は検査が必要な品目に含まれます。米菓も同様で、更に輸入食品の食品安全調査の対象です。

関税割当枠と関税

特別優遇関税率が適用できます

日本産精米の輸出には植物検疫証明書が必要

関税

関税割当枠  精米、包装米飯、米菓のいずれも関税割当枠は確認できませんでした。

製品表示(ベトナム語ラベル)の内容

a. 商品名 b. 商品に対して責任を  有する組織または個  人の名称と住所c, 原産地 

d. 内容量 e. 製造年月日 f. 賞味期限 g. 原料品名 h. 食品添加物及び成分量 i. 衛生安全性に関する情報  または警告 j. 使用方法や保管方法

主な関連法規

検疫制度A

食品規制B

検疫制度と食品規則 

 保健省「食品中に含まれるワクチンや化学物質の最大許容量に関する決定(No.46/2007/QD-BYT)」により規定されています。

 平成25年9月1日付けで、ベトナム向けに輸出される食品に関する輸入規制はすべて解除されました。

残留農薬基準

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

●食品関連法規

●全商品共通で必要な項目 ●食品の場合必要な項目

●食品添加物関連法規

●食品表示規定 (包装済食品)

●食品包装に関する規制

食品安全法、製品・商品品質法、規格及び技術規定法農産物:農業農村開発省管轄・農林水産物品品質管理局規制加工食品:保健省管轄・食品局規制

商品表示に関する政令(No.89/2006/ND-CP)、商品表示に関する施行細則通達(No.9/2007/TT-BKHCN)及び政令 No.38/2012/ND-CP(6章)食品中に含まれるワクチンや化学物質の最大許容量に関する決定(No.46/2007/QD-BYT)4章、プラスチックの食品包装に関する決定(No.3339/2001/QD-BYT)

 「最恵国(Most Favoured Nation Treatment : MFN)税率」、「日本・ベトナム経済連携協定(JVEPA/VJEPA)」、「日本・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)」のいずれかの特別優遇関税率が適用できます。精米:基本税率(MFN)=40% JVEPA税率=20%(毎年4月1日に2.5%ずつ減税し、2024年度より無税)                AJCEP税率=18%(毎年4月1日に2~3%ずつ減税し、2023年度より無税)包装米飯:基本税率(MFN)=35% JVEPA税率=12%(毎年4月1日に4%ずつ減税し、2019年度より無税)              AJCEP税率=20%(毎年4月1日に2~3%ずつ減税し、2023年度より無税)米菓:基本税率(MFN)=20% JVEPA税率=11%(毎年4月1日に3~4%ずつ減税し、2019年度より無税)             AJCEP税率=18%(毎年4月1日に2~3%ずつ減税し、2023年度より無税)

*2016年9月末為替レート:1ドン=0.005円

64

各国・地域への輸出に向けて3 章

(7)ベトナム Vietnam

商品名 原産国(産地) 販売単位 価格(ドン) 円換算*

商品名 原産国 販売単位 価格(ドン) 円換算*

Cooked rice 日本 180g×3 171,000 855

コメの販売価格(調査月:2016年8月~9月)表-4

Tottori Hikari SinseikiAkitakomachiNiigata KoshihikariNiigata KoshihikariJaponica riceSushi ricePathumthani Nasiam

日本(鳥取)日本(秋田)日本(新潟)日本(新潟)ベトナムベトナムタイ

2kg5kg2kg5kg2kg1kg2kg

391,0001,025,000335,000809,00095,00029,000102,700

1,9555,1251,6754,045475145514

商品名 原産国(産地) 販売単位 価格(ドン) 円換算*

Bonchi Age

Potapota

Nori maki senbei

Yuki no yado salad

Mixed snack with peanut

Matcha rice cracker

Cheese rice cracker

Sweet rice cracker

Binbin rice cracker original

Senbei rice cracker

日本日本日本日本日本日本日本

ベトナムタイ台湾

80g22 pack

55g12 pack210g60g100g140g75g112g

56,000101,00059,00079,00058,00038,00050,00019,80020,00045,000

28050529539529019025099100225

❺ 小売店の店頭価格

日本産米の価格は競合品の約4~5倍

米菓の販売価格(調査月:2016年8月~9月)表-6

日本米は消化がよく、健康面の理由から購入されている。ベトナム人の高齢者の朝食用、乳児用、日本人用など。

 日本産食品を取り扱うスーパー5店舗で調査。日本産米のみ、またはベトナム産米のみを販売する店舗が見られました。競合品には、日本産品種のベトナム産米、タイ産米が挙げられますが、日本産米の価格はそれらの約4~5倍です。

 包装米飯は、調査した5店舗のうち1店舗で日本産のものが1商品のみ確認されました。他国産のものは、確認できませんでした。

 米菓は、調査した全5店舗で取り扱われており、うち4店は日本産のみの販売でした。他国の商品はベトナム産、タイ産、台湾産が見られました。 

日本人とベトナム人の両方に買われている。調理済みのため便利。

米菓は日本産のみを扱っており、本社が日本で人気がある商品を仕入れている。日本人とベトナム人の両方が買う。日本のパートナーが提案してくる日本産米菓を仕入れる。子供から大人まで幅広く購入されており、需要が伸びている。

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C

包装米飯の販売価格(調査月:2016年8月~9月)表-5

65

各国・地域への輸出に向けて3 章

(7)ベトナム Vietnam

ECサイトでの取扱いは米菓のみ 主要なECサイトでは、日本産の米菓のみが取り扱われており、日本産のコメ及び包装米飯の販売はありません。ベトナムのECサイトは、食品の取扱い自体が充実していないことも背景にあります。

 日本の事業者がベトナムへの越境ECを行う場合のポイントは、ウェブサイトをベトナムと日本のどちらに開設するかにあります。相違点は以下のとおりです。

現地でサイト開設する場合はライセンスが必要

インターネット、Eコマース利用は発展途上 2013年のベトナムにおけるインターネット利用者率は37%であり、発展段階にあると言えます(ベトナム情報通信省調べ)。B to CのEコマース(EC)市場規模は約41億米ドルで、これはベトナムの小売売上の約2.8%に相当します。よく購入される商品は、衣料、靴、化粧品で、商品配達時の代金引換支払いが好まれています(ベトナム商工省電子商取引情報技術局調べ)。

 現在、ベトナムへのコメの輸出は精米のみ可能です。規制面でも大きなハードルは見当たらず、日本産の商品を扱う一部のスーパーでは日本産米が定番商品になっています。需要からみると輸出の拡大が見込める状況がうかがえます。 包装米飯については、日本産、外国産を問わずベトナムでの流通はほとんどありません。電子レンジの普及率が低いこともあり、市場環境が整うまではターゲット層を絞ったアプローチが有効です。日本産の米菓は比較的手軽に購入ができ、現地の人々にも幅広く受け入れられています。今後は、日本産であることをより明確に伝えること、消費期限への配慮などが課題とされています。

主要ECサイト

a.Hot Dealb.Tikic.Lazada d.Zalorae.The Gioi Di Dongf.Mua Chungg.Sendoh.Nhom Mua 

https://www.hotdeal.vn/https://tiki.vn/http://www.lazada.vn/https://www.zalora.vn/https://www.thegioididong.com/https://muachung.vn/https://www.sendo.vn/http://www.nhommua.com/

a.ベトナム国内でウェブサイトを開設する場合   通常のビジネスライセンス取得に加え、ベトナム商工省電子商取引情報技術局への登録が必要。外資企業も電子取引法や   商業法、消費者権利保護法などによる規制が適用される。b.日本でベトナム人向けのショッピングサイトを開設する場合   ベトナムにおける外資規制は適用されないが、所得税の課税対象として登録が必要になる可能性などがあるため留意する。   輸入制限・禁止商品規制、消費者権利保護法などは日本からの販売においても適用される。

インターネット販売の実態

輸出拡大に向けて

66

各国・地域への輸出に向けて3 章

(8)フィリピン Pilippines

平成26年 平成28年

生産量(万トン)消費量(万トン)輸出量(万トン)輸入量(万トン)

1,1921,3201,119

1,079,470

1,2001,330* *

平成27年

1,135 1,320 223

1,100,067

市場の特性

コメの輸入は、国家食糧庁(NFA)が管理

ベトナム、タイ、インド、中国、台湾、シンガポール、スペイン、アラブ首長国連邦、インドネシア

 フィリピンへのコメの輸入は大半が精米で占められ、2008年と2010年は200万トン以上を記録しましたが、直近の2014年、2015年は約100万トンにとどまっています。なお、2007年~2010年は4年連続して世界最大のコメの輸入国でした。 フィリピンでは、コメととうもろこしの生産、加工、流通販売は、国家食糧庁(NFA)によって管理されています。NFAは政府からコメの唯一の輸入機関となる権限を付与されている機関です。輸入米は、NFAの販売業者として農民団体協会/協同組合が販売を行う権限を持っています。

 フィリピンでは、国民の8割がコメ(インディカ米が一般的)を主食にしています。コメは家庭の朝食、昼食、夕食には他の料理とともに必ずと言っていいほど供され、コメ抜きで食事が終わることはありません。 フィリピンのコメの総消費量は、1990年代前半の500万トン台から2005年には1,000万トン台に達し、ここ数年は1,100万トン台で推移しています。1人当たりの年間消費量も上昇傾向が続いていましたが、2008年の年間128.1kgをピークにその後はやや減少傾向にあります。2015年の1人当たり年間消費量112.3kgは、日本人の54.6kg(2015年)の2倍以上となっています。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

560072

3737869

平成27年

1428654

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

1823

2124

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

911

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:1億215万人● 名目GDP:2,925億米ドル● 1人当たり名目GDP:2,863米ドル● 名目GDP成長率:2.68%

● 日系企業数:1,448社● 在留邦人数:17,021人● 日本食レストラン等の状況:日本食本来の味よりも ローカライズされたものが好まれる。                   (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2015年)

67

各国・地域への輸出に向けて3 章

(8)フィリピン Pilippines

農協

流通チャネルと取引慣行 

 コメは、国家食糧庁(NFA)を通じて直接小売店又は消費者に届けられる経路と、民間の仲買人を経て、精米業者、卸売業者、さらに小売店から消費者へ向かう経路があります。

 フィリピンには、全国をカバーする大規模な食品卸売企業がないため、モダントレードの場合、ディストリビューターを介すかメーカーから小売へ直接配送されます。

 適正な中間流通構造と物流機能が存在しないために、小売事業者は各メーカーとの交渉や仕入れ業務、物流の手配までをすべて自社で行う必要があります。 スーパーマーケットでは、加工食品のサプライヤー(食品製造業を含む)がテナント方式で販売する方法が多く見られます。売れ残りのリスクは小売店ではなくサプライヤーが負います。

中間流通構造と物流機能は遅れている

(出典)大和総研「アジア小売市場の実態調査」

取引慣行C

精米業者

ホールセラー(卸売)(市場)

卸売業者

小売業 消費者

大規模消費者

日本産米の流通経路

(出典)日本貿易振興機構「食品産業進出可能性調査(フィリピン共和国)」

フィリピン国内の米の流通経路図-1

A

加工食品の流通経路B

フィリピン国内の加工食品の流通経路図-2

NFA

仲買人

【食品加工】 【小売】

ディストリビューター販売代理店国内食品

メーカー

食品小売

モダントレード

食品小売トラディショナル

トレード

生産者

海外食品メーカー

輸入商社輸入販売代理店

68

各国・地域への輸出に向けて3 章

(8)フィリピン Pilippines

 フィリピンへのコメの輸出に際しては、国家食糧庁(NFA)による輸入許可証と、日本の植物検疫証明書が必要です。 加工食品の輸入には、保健省(DOH)傘下の食品医薬品局(FDA)から営業許可(License to Operate、LTO)の取得が義務づけられています。この営業許可を取得後に、同局から製品登録証明(Cert ificate o f Product Registration、CPR)の発行を受ける必要があります。

関税割当枠と関税

コメの関税率はアップ方向、コメ加工品は撤廃方向へ

コメの輸出には、フィリピンの輸入許可証と日本の植物検疫証明書が必要

関税

関税割当枠 「ミニマム・アクセス・ボリューム(MAV)」と呼ばれる関税割当制度が適用されます。

コメ加工品:関税割当枠はありません。

製品表示(包装済み食品)の内容

主な関連法規

検疫制度A

食品規制B

検疫制度と食品規則 

 加工食品の残留農薬を定めた規制制度はありません。食品に残存することが認められる残留農薬の基準値や食品に残存することが認められない農薬リストなども保健省食品医薬品局(FDA)では定めていません。

 コメについては、福島県産、茨城県産には指定検査機関作成の放射性物質検査報告書、2県以外は産地証明書が、それぞれ要求されます。               (平成29年1月6日)

残留農薬基準

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 イスラム教徒が人口の約1割を占めるフィリピンでは、フィリピン・イスラーム宣教会議と政府系のフィリピノ・ムスリム国家会議がハラール認証を行っています。

ハラール(Halal)認証について

●食品関連法規●食品添加物関連法規

●食品表示規定

●食品包装に関する規制

食品医薬品管理法 など

食品、医薬品及び医療機器、化粧品法(共和国法第372号)

共和国法第3,720号(のち1987年大統領令第175号で改正)(包装済み食品)1984年保健省食品薬品局(BFAD)行政命令第88-Bなど特になし

コメの輸入関税率=35%(枠内関税率)……2017年6月30日まで         40%(枠内関税率)……2017年7月1日以降         50%(枠外関税率)包装米飯の輸入関税率=1%……2018年3月31日まで          =0%……2018年4月1日以降米菓の輸入関税率=2%……2017年3月31日まで        =1%……2018年3月31日まで        =0%……2018年4月1日以降

a. 食品の名称b. 食品添加物やビタミン、ミネラルを含む原料(成分)リストc. 純内容量か乾燥容量d. 製造業者、包装業者、流通業者の名前と住所e. ロット識別番号f. 食品登録番号g. 消費期限(Consume Before)か賞味期限(Best Before)  のいずれか

*2016年8月末為替レート:1PHP=2.21円

各国・地域への輸出に向けて3 章

(8)フィリピン Pilippines

商品名 価格(PHP) 円換算*原産国(産地)

原産国

販売 単位

商品名 価格(PHP) 円換算*販売 単位

日本

日本

日本

日本

日本

日本

❺ 小売店の店頭価格

日本品種のフィリピン栽培米のキロ単価は、日本産の約半額表-4

 調査した5店舗(日系食材店3、現地スーパー2)で、日本産米の取扱いがあったのは1店舗のみで、日本語の表示シールを貼り付けただけの簡易な包装の商品でした。 ヒアリングを行った日本食レストラン(ホテル内和食店、うなぎ専門店)では、ともにMt. Fujiブランドの日本品種のフィリピン栽培米を使用していました。

 日系食材店2店舗で3銘柄を販売。両店とも、同銘柄の1食パックと3食パックを取り扱っていました。1食パックは60~98PHP、3食パックは170~290PHPで販売。

 日系食材店1店舗と現地系スーパー2店舗で、日本産、中国産、フィリピン産の商品が販売されていました。日本産は高めですが、価格差は大きくありません。

賞味期限に敏感な国民性なので賞味期限が長い点はよい。品質が高い限り価格が高くても購買層は存在。

包装米飯に比べ、手に届く価格なので、ユーザーの幅が広い。日本産は多少価格が高くても、健康志向の人には受け入れられている。

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C

こしひかり(玄米)こしひかり(精米)Koshihikari Japanese RiceKoshihikari Japanese RiceSasanishiki Japanese RiceSasanishiki Japanese Rice

Japanese Sushi Rice

Genuine Thai Hommali Rice

越光Thai Jasmine RiceRiso Superfino Carnaroli

Riso Superfino Arborio

Premium Basmati Rice

Premium Basmati Rice

日本(滋賀)

日本(滋賀)

フィリピン

フィリピン

フィリピン

フィリピン

フィリピン

フィリピン

フィリピン

台湾

タイ

イタリア

イタリア

インド

インド

2kg

2kg

2kg

5kg

2kg

5kg

5kg

2kg

10kg

3.3lbs

5kg

1kg

1kg

2kg

5kg

575

675

288

715

255

630

650

327

1,555

375

418

259

118

447

1,115

1,271

1,492

636

1,580

564

1,392

1,437

723

3,437

829

924

572

261

987

2,463

コメの販売価格(調査月:2016年8月)

包装米飯の販売価格(調査月:2016年8月)表-5

たきたてご飯たきたてご飯まるちゃん あったかごはんまるちゃん あったかごはんサトウのごはんサトウのごはん

180g180g×3200g

200g×3200g

200g×3

601707020898290

133376155460217641

原産国商品名 価格(PHP) 円換算*販売 単位

日本日本日本日本

フィリピンフィリピンフィリピン中国中国中国

えびうす焼サラダうす焼カレーせんぽたぽた焼One One Rice Snack Original

One One Rice Snack Sweet Corn

One One Rice Snack Corn Cheese

旺旺厚焼海苔旺旺雪餅旺旺仙貝(Senbei)

85g93g62g22枚56g56g56g56g72g92g

787812883

44.9546.546.576.547.579.5

17217228318399103103169105176

米菓の販売価格(調査月:2016年8月)表-6

69

Tohoku Koshihikari Premium Japanese Rice

70

各国・地域への輸出に向けて3 章

(8)フィリピン Pilippines

Eコマース市場での取扱いは、これからに期待 日本企業による既存の大手Eコマース(EC)サイトの買収や新規の開設など、ASEAN主要国の中で遅れを取っていたフィリピンのEC市場での新しい動きが見られるようになり、今後の成長が期待されています。ただし、現状では主要ECサイトでの日本産食品の取扱いは少なく、コメ・コメ加工品の取扱いが確認できたのは、eBay.phのみでした。

 海外企業の電子商取引に特化した税制はありませんが、日本企業が電子商取引によってフィリピンへ輸出する場合にかかる法人税は以下のとおりです。

電子商取引による海外企業の法人税

インターネット人口比率は40% フィリピンのインターネット人口比率は40%。ネットショッパー(インターネットを通じて商品を購入する者)の数は約180万人で、インターネット人口の7%にとどまっており、これはASEANの中ではタイとほぼ同程度です。 物流の配送網もまだ整っておらず、商品は実店舗に取りに行くスタイルが多く、銀行口座やクレジットカードの保有率も低いレベルにとどまっています。

 日本からフィリピンへのコメの輸出は、日本に関税枠内の割当が与えられていないため、厳しい状況にあります。 一方、米菓は日系食材店だけでなく現地スーパーでも販売されており、価格も手ごろなため売上は伸びています。日本産米菓は、多少価格が高めでも、健康志向の人には受け入れられています。包装米飯は、輸入食品への関心が高まっている富裕層への認知度及び品質の信頼度を高めることができれば、販売拡大も期待できます。 フィリピンの経済成長率は、他のASEAN各国との比較においても高い伸び率を記録しており、経済は好調が続いています。近年、フィリピンのECサイトに進出する日本企業の動きもあり、EC市場の今後の成長が期待されています。

主要ECサイト

a.OLXb.Lazadac.MetroDeal d.Zalorae.eBayf.Hallo2 Mall(ハロハロモール)

https://www.olx.ph/http://www.lazada.com.ph/https://www.zalora.com.ph/https://www.zalora.vn/http://www.ebay.ph/http://mall.hallohallo.com/

a.日本企業がフィリピン国内に自社倉庫や配送センターなど物理的な拠点を持っている場合   物理的な拠点は「居住外国企業」とみなされ、フィリピン税制が適用されるため、内国歳入庁(Bureau of Internal  Revenue)に30%の法人税を納める必要がある。b.aにあてはまらない場合   日本企業は「非居住者外国企業」であり、フィリピン国に対して法人税を支払う必要はない。

インターネット販売の実態

輸出拡大に向けて

71

各国・地域への輸出に向けて3 章

(9)アラブ首長国連邦 UAE 

平成26年 平成28年

生産量(百万トン)消費量(万トン)輸出量(トン)輸入量(トン)

* 58

130,444888,931

*       61

* *

平成27年

* 60 * *

市場の特性

1人当たり年間70~80kgを食するコメの大量消費国

インド、タイ、米国、エジプト、イタリア、英国、ブラジル、スペイン、韓国、フィリピン

 UAEの2014年の精米の輸入量は約88万トンで、輸出・再輸出は合わせて約26万トンでした。精米の最大の輸入国は56%を占めるインドで、次いでパキスタンの23%となっています。UAEはコメの国内生産がほとんどないため、ほぼすべてを輸入に頼っており、輸入業者が6か月分を貯蔵するなど、官民一体となって食用安全保障を担っています。 日本からの精米の輸出量は、年間5トン未満が続いていましたが、2014年に8トン、2015年には18トンと急増しました。しかし、UAEの輸入量全体から見ると占める割合は非常に低くなっています。 日本食の認知は進んでいると考えられ、パリやロンドン、ニューヨークなどから発信されるグローバルな情報(「お弁当は日本米でないとだめ」等)がUAEの日本食マーケットへの好影響をもたらすと輸入業者からの期待が寄せられています。

 UAEのコメの消費量は人口にほぼ比例して増加傾向です。2015年には60万トンに達し、2000年の8倍にもなっています。1人当たりのコメの年間消費量は70~80kg程度と見られ、世界の平均64kg、日本人平均54.6kg(2015年)を上回っています。 ラムや羊、鶏肉、コメ、ナッツ類などを使ったアラビア料理が主な食事スタイルですが、各国からの滞在者が多いため、レストラン街ではインド料理、フレンチ、イタリアン、中華、和食等、世界各国の料理が楽しめます。また、宗教上のラマダン(イスラム歴9月の1か月に渡る断食期間)には伝統食の需要が増える一方、外食需要が減る傾向があります。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

  850052

2240993

平成27年

1838954

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

16 26

2132

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

2133

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:958万人● 名目GDP:3,703億米ドル● 1人当たり名目GDP:38,650米ドル● 名目GDP成長率:-7.88%

● 日系企業数:304社● 在留邦人数:3,708人● 日本食レストラン等の状況:UAEに約120店舗。 欧米人駐在員やアラブ人などを中心に関心が高まる。                    (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2015年)

72

各国・地域への輸出に向けて3 章

(9)アラブ首長国連邦 UAE

 UAEへの輸出業務には、輸入ライセンスが必要ですが、その取得は外国資本や現地法人も困難とされています。また、連邦国家のため、首長国ごとに輸出手続が異なる場合もあります。そのため、取り引きする首長国ごとに手続内容の確認が必要です。こうした理由から、UAEへの輸出は現地事情に詳しい商社と組むことが望ましいとされます。

(出典)日本貿易振興機構「ドバイの食品市場の概要」

主な食品販売ルート図-1

食品の流通経路

首長国ごとに輸出手続が異なる場合がある

流通チャネルと取引慣行 

A

取引慣行B

 日本からUAEに食品を輸出する際は、UAE国内の商業代理店に直接輸出するケースと、フリーゾーン(経済特区)を経由してUAE国内の代理店に輸送するケースに分けられます。大手小売業者は商業代理店として輸入を行い、他の小売店へも販売しています。

UAE国内小売店ホテル

レストラン等

UAE国内企業

日本企業等が出資する

UAE国内企業(現地法人)

輸出業者

UAEフリーゾーン企業

食品製造業者生産団体

日本 海外(第三国)

商業代理店

UAE

(9)アラブ首長国連邦 UAE

73

各国・地域への輸出に向けて3 章

関税割当枠

関税

 コメ、包装米飯、米菓いずれも関税割当枠の設定はありません。

 コメは日本での輸出検査を受けて、植物検疫証明書を添付する必要があります。 包装米飯と米菓は、輸入通関手続地の食品管理局で検査を受けなければなりません。

 日本からの輸入品に対する税率は一般税率が適用されます。各品目に対し一律 5%の関税が適用され、包装米飯と米菓はこの対象です。 多くの農産物や食肉、魚介類、野菜、果物等は免税となるため、コメに関税はかかりません。

コメには関税割当枠、関税ともになし

コメの輸出には植物検疫証明書が必要

検疫制度A

食品規制B

関税割当枠と関税

検疫制度と食品規則 

主な関連法規

●食品関連法規●食品添加物関連法規

●食品表示規格 (包装済食品)●食品包装に関する規制

GCC規格GSO規格 2500:2015(湾岸標準化機構:GCC Standardisation Organization)GSO規格 9:2013

食品輸入者は食品包装には食品にふさわしい材質と容器を使用しなくてはならない等

 「農産物及び食物製品への残留農薬の最大許容量(Maximum Limit of Pesticides in Agricultural and Food Products)」により規制されています。

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 岩手、宮城、福島、栃木、群馬のすべての食品・飼料には政府作成の放射性物質検査証明書が必要です。この5県以外のすべての食品・飼料には政府作成の産地証明書が必要です。 (2017年1月6日現在)

製品表示(アラビア語ラベル)の内容

a. 食品の名称b. 材料リストc. 正味含有量d. 製造者の名称及び所在地e. 原産国f. ロット又はバッチ識別g. 日付(製造日と賞味期限。コメは賞味期限記載が免除される)h. 照射食品

残留農薬基準

ハラール(Halal)認証について

 イスラム教を国教とするUAEでは湾岸標準化機構(GSO)の定める規準に基づき、輸出入規制を行っています。輸入手続の際に成分資料等をすべて提出、ハラールかどうかが確認されます。非ハラール食品を販売する場合は、販売場所等を限定して管理しています。

*2016年8月末為替レート:1AED(ディルハム)=28.09円

74

各国・地域への輸出に向けて3 章

(9)アラブ首長国連邦 UAE

価格(AED)

新潟こしひかり魚沼産秋田県産あきたこまち(味好こまち)あかふじ あきたこまちかがやき田牧米Basmati Rice ClassicTanjore Ponni RiceCalrose RiceSilver Awan

12041.25160385366

22.9532.519.25

3,3711,1594,4941,0671,4891,854645913541

日本(新潟)日本(秋田)日本(秋田)アメリカアメリカインドインド

オーストラリアタイ

5kg

2kg

10kg

2kg

2.26kg

5kg

5kg

5kg

2kg

原産国商品名 販売単位 価格(AED) 円換算*

北海道産ゆめぴりかごはんたきたてご飯 国産こしひかり味の一品 ごはんシャリ持慢Shirakiku Cooked Rice

日本

日本

日本

日本

アメリカ

150g x 3

180g

170g

200g

200g

30

13

11

8

9

843

365

309

225

253

原産国商品名 販売単位 価格(AED) 円換算*

ばかうけ ごま揚ハッピーターンソフトサラダ柿の種Fantastic OriginalMitsuba Wasabi Crackers

14181295.956.75

393506337253167190

日本日本日本日本タイ

オランダ

180g120g149g120g100g100g

❺ 小売店の店頭価格

日本産米の平均キロ単価651円は最高値表-4

米菓の販売価格(調査月:2016年8月)表-6

 調査した全5店舗のうち、日本産米の取扱いがあったのは日本食材店の2店で、両店とも日本産品種のアメリカ栽培米も販売していました。その他の原産国ではインド産、アメリカ産、タイ産が多く見られました。平均キロ単価は日本産651円が最も高く、次いでアメリカ産431円、タイ産は100円台でした。

 日本産の包装米飯は、日本食材店1店舗で3品目の取扱いがありました。別の日本食材店では、米国産品が販売されており、現地系スーパーでは日本産の寿司用酢飯の包装米飯が販売されていました。日本産と他国産との商品価格に大きな差は見られませんでした。

 米菓は調査した全5店舗で販売されていました。日本食材店は日本産品のみの取扱いで、英国系、現地系スーパーは、すべてタイの同一銘柄の取扱いでした。英国系スーパーでは、日本名をブランド名にしたオランダ産米菓が確認できました。日本産米菓は他国産商品の約2~3倍の価格で販売されていました。

買うのは日本人のみ。正直、あまり売れない。フィリピン人がよく買っていく。

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C

商品名 原産国(産地) 販売単位 円換算*

コメの販売価格(調査月:2016年8月)

表-5 包装米飯の販売価格(調査月:2016年8月)

(9)アラブ首長国連邦 UAE

75

各国・地域への輸出に向けて3 章

a.Souqb.Namshic.JadoPado d.Naturesouq 

中東諸国内でも高いインターネット普及率 

http://www.souq.comhttp://www.namshi.comhttp://JadoPado.comhttps://www.naturesouq.com

インターネット販売の実態

Eコマース市場は発展途上 小売総額に占めるEコマース(EC)比率は、2014年実績で0.56%に過ぎず、2020年までは1%未満と予想されています。支払いの不正、商品が届かない、個人情報の漏洩など、安心と信頼に関わる事柄がUAEでのEC普及の障害となっています。 ECサイトでの日本産のコメ・コメ加工品の取扱いは確認できませんでしたが、コメの競合品は多くのサイトで取り扱われていました。EC市場での食品の取扱い比重はまだ低い状況ですが、都市型ライフスタイルにシフトしつつある現在、中小のスーパーマーケットでもネットスーパー事業に取り組む店舗が徐々に増えています。

 UAEへのインターネット販売で特に留意するべき点は、消費者保護に関する法律です。この法律で、EC業者は商品に不具合があった場合、製品の交換、修理(費用負担)又は返金が求められ、いずれの救済手段を採用するかは消費者が決定すると定められています。UAEの消費者向けにEC販売を行う際は、UAE国内への商品輸入は購買者の個人責任とする販売条件を設ける、返品に関する明確なポリシーを設ける、できるだけ透明性のある取引を行うほか、消費者からの苦情に対応する心構えが必要です。

UAEでの消費者保護法に留意する

 2016年のUAEのインターネット普及率は91.9%で、中東諸国内で普及率が最も高い国の1つです。2000年の普及率19.5%から急速に拡大し、現在のインターネットユーザーは850万人を超えています。

 UAEでは、コメの輸入に対して輸入割当枠や関税を設けておらず、制度的には大きな障害は見当たりません。ただ、日本産米は価格の高さがネックとなり、ごく一部の高級ホテルや高級レストランでの使用にとどまっています。一方で、日本食レストランは人気が高く、ドバイではオープンが続き、人気メニューのトップは寿司です。今後は「寿司(日本食)にはやはり日本産米」という意識を浸透させることが重要です。 日本産米菓の取扱いは、日本食材店や非ハラール売り場での販売にほぼ限定されています。アルコールが検出されない醤油の開発など、ハラール認証への対応がさらなるマーケットの拡大につながります。

主要ECサイト

輸出拡大に向けて❼

平成26年 平成28年

生産量(百万トン)消費量(百万トン)輸出量(万トン)輸入量(万トン)

7.14.3

342.074.1

7.84.4

415.175.3

平成27年

6.13.9

399.974.4

タイ、インド、パキスタン、ベトナム、ブラジル、イタリア、カナダ、アルゼンチン、中国、英国

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

81462334

8122914218

平成27年

3223203911

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

727657

897878

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

797794

表-3 日本からの米菓の輸出状況

コメの主な輸入先国(2016年)

76

各国・地域への輸出に向けて3 章

(10)米 国(L.A./N.Y.) USA

市場の特性

日本産米の競合は、カリフォルニア州で生産される短粒米

 米国での精米の生産量は610万トンです(2015年。日本は765万トン)。生産量、消費量ともに多少の増減を繰り返してはいますが、大きな流れとしては増加傾向にあり、日本とは対照的です。コメの種類別の消費量は、長粒米が全体の約7割強、中粒米と短粒米で3割弱ですが、短粒米だけでは全体の1%程度と考えられます。 日本産米と競合する短粒米は、2015年に米国では約12万トン生産され、その98%はカリフォルニア州で生産されています。 米国は約70万トンのコメを輸入し、約400万トンを輸出しており、コメの輸出国と言えます(2015年)。輸入先の第1位は7割程度を占めるタイです。 日本から米国への商業用のコメ輸出量は、2015年は322トン。これは前年の約4倍で、日本からの輸出先国の中では第5位となりました。

 日本貿易振興機構の調査では、米国では白人の27%、アフリカ系の59%、中南米系の47%、アジア系の71%がコメを食べるという報告があります。しかし、食べる頻度では、米国人全体で平均すると味付けされていないコメを食べるのは月に1.5回、味付けされたコメは2か月に1回。これはジャポニカ米だけでなく、タイ米等インディカ米も含めた回数です。米国全体で見れば、日常的にコメが食べられているわけではないと言えます。 日本食レストランで日本産米を使用しているのは一部の高級レストランなどで、それ以外では大半がカリフォルニア産米を使用しています。日本産米に比べて低価格で、味にも遜色がないというのが理由です。外食の新しい動きと注目したいのは、2013年に登場した日本産ブレンド米を使用したおにぎり専門店です。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

● 人口:3億2,276万人● 名目GDP:18兆367億米ドル● 1人当たり名目GDP:56,084米ドル● 名目GDP成長率:3.70%

● 日系企業数:7,849社● 在留邦人数:419,610人● 日本食レストラン等の状況:約2万2,500店。幅広いジャ ンルの店が展開。アジア系含む日本人の経営が増加。                     (2015年)

基礎データ 日本との関係

77

各国・地域への輸出に向けて3 章

(10) 米国(L.A./N.Y.) USA

 日本産米が、日本の生産者/卸売業者から輸出され、米国(ニューヨーク)の小売店舗に並ぶまでに最短でも2か月半かかります。東西海岸では、日系商社により流通網が整備されており、日系マーケット(日系小売店や日本食レストラン)への物流上の大きな障壁はないと言えます。

(出典)農林水産省「平成19年度農林水産物貿易円滑化推進事業 ―米国編―」

米国の食品流通システム図-1

ホールセラーと小売りチェーン倉庫食品小売店への流通は、主にマーチャント・ホールセラーか自社で配送機能を持つ小売業者が担っています。ブローカー(販売代理業者)ブローカーは、複数のメーカー(あるいは輸入業者等)の販売代理店を務める独立した組織です。商品を直接扱うことはなく、通常、売上高の一定割合を手数料として受け取ります。ディストリビューター倉庫での製品保管、受注、注文品包装、小売業者などへの配送を行います。日本産食品のほとんどは、大規模な日本の商社数社が輸入し販売しています。〔主な企業名〕 JFCインターナショナル Wismettac Asian Foods(西本Wismettacグループ) 共同貿易(Mutual Trading)Daiei Trading セントラル貿易グループフードサービスディストリビューターレストラン向けに商品を配送しています。

米国の食品流通システム

日本から米国の店頭に並ぶまでに約2か月半

流通チャネルと取引慣行 

A

取引慣行B

 米国では、食品が消費者の元に届くまでに様々な仲介業者が存在します。複雑な流通システムを簡略化したのが(図-1)です。

● 食品スーパー● 食品小売店● コンビニエンスストア 等

● レストラン● ファーストフード 等

● 会員制大型店● スーパーセンター● 1ドルショップ● ネット通販 等

フードサービス従来型小売業者非従来型小売業者

最初の供給業者・生産者

最終消費者

輸出業者・輸入業者

小売りチェーン倉庫 ディストリピューターマーチャントホールセラー

フードサービスディストリピューター

メーカー パッカー・マーケター

ブローカー(販売代理業者)

78

各国・地域への輸出に向けて3 章

(10) 米国(L.A./N.Y.) USA

輸入数量割当制

関税

 米国において輸入数量制限品目に該当する品目はありません。また、コメ、包装米飯、米菓のいずれも関税割当品目には含まれていません。(2016年9月末現在)

 米国農務省・動植物検疫局(APHIS)が、植物や野菜・果実の検疫を担当しています。

 輸入者は食品の輸入にあたって、関税および商業貨物使用料を納付しなければなりません。今回の調査対象品の関税は以下のとおりです。 玄米:0.021米ドル/kg 精米:0.014米ドル/kg 包装米飯:14% 米菓:無税又は4.5%

輸入時に関税及び商業貨物使用料を納付

玄米及び精米は、輸入許可、植物検疫証明書が不要

 環境保護庁(EPA)が食品の残留農薬の許容量(又は最大残留基準)を設定しています(ポジティブリスト制)。残留農薬許容量は、各物質について食品ごとに規定されており、検索して確認することができます。

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 米国から日本産米の輸入停止措置の対象となっている都県は、以下のとおりです。福島          (2017年1月6日現在)

基本的な表示事項

①主要表示パネル(包装の正面中央)記載事項a. 食品の名称あるいは識別事項 b. 正味内容量②情報パネル(裏面や側面)記載事項c. 製造者、流通業者又は梱包業者の名称と住所d. 原材料リスト e. アレルゲン(アレルギー原因物質)f. 栄養表示 g. 輸入品の原産国名

主な関連法規

●食品関連法規

●食品添加物関連法規●食品表示規格●食品包装に関する規制

バイオテロ法(2003年12月施行)

食品安全強化法(2011年1月施行)

食品医療薬品化粧品法 第409条食品医療薬品化粧品法 第403条食品医療薬品化粧品法

検疫制度A

食品規制B

残留農薬基準

輸入数量割当制と関税

検疫制度と食品規則 

※留意点上記以外にも、食品衛生基準であるHACCP、ユダヤ教の食品規定であるコーシャ等の食品に関する基準があります。(輸出する際の必須事項ではありません。)

79

各国・地域への輸出に向けて3 章

(10) 米国(L.A./N.Y.) USA

日本産米の取扱量は、為替変動やカリフォルニア産米の出荷量などの影響を受ける。

 ロサンゼルス5店舗(日系スーパー3、韓国系スーパー1、米国系スーパー1)、ニューヨーク4店舗(日系スーパー2、韓国系スーパー1、米国系スーパー1)で調査。日本産米の取扱いは、L.A.、N.Y.ともに日系スーパーのみでした。日本産米の平均価格は10.5ドルで、米国産米(4.8ドル)の約2倍でした。

 日系スーパー全店舗とN.Y.の韓国系スーパーで日本産を販売。日本産以外では、米国産、韓国産、タイ産、台湾産の商品がありました。いずれも2ドル前後の商品が多く、日本産と他国産での大きな差は見られませんでした。

 日本産は、日系と韓国系スーパーの全店舗で販売。米国系では、N.Y.の店舗で日本産の取扱いがあり、日本産以外では米国産、タイ産、台湾産、中国産が確認できました。日本産の価格は全体的に若干高めでした。

購入者は米国人、若者、独身男性が多い。複数パック売りにはお得感がある。米国でレトルトパックを常温で販売するには、FDA(米国保健福祉省・食品医薬品局)の認可が必要。メーカーにとっては対応が大変だと思う。

日本産米菓の売上は年々伸びている。おせんべいは人気がありよく売れる商品だ。店頭に並ぶ時点で賞味期限が残り30日間程度になることもあるのが問題だ。

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C

コメの販売価格(調査月:2016年7月~9月)表-4

包装米飯の販売価格(調査月:2016年7月~9月)表-5

米菓の販売価格(調査月:2016年7月~9月)表-6

日本産米は米国産米の約2倍、包装米飯は大差なし

小売店の店頭価格

都市 商品名 原産国(産地) 販売単位 価格(米ドル) 円換算*新潟こしひかり魚沼産あきたこまちひとめぼれこしひかり金芽米青天の霹靂超高級短粒種こしひかり祭Tamaki Goldあきたこまちオーガニック米すき家米コシヒカリ改良品種ミルキークイーン オーガニックあかふじ あきたこまち岩手ふるさと ひとめぼれ新潟魚沼産コシヒカリプレミアム加州米 ばっちゃま米Tamaki Haiga

日本(新潟)日本(秋田)日本(岩手)日本(長野)日本(青森)米国米国米国

ウルグアイ日本(茨城)日本(秋田)日本(岩手)日本(新潟)米国米国

2kg5kg2kg4.5kg2kg2kg6.8kg5.45kg5kg2kg5kg5kg2kg6.8kg6.8kg

27.9829.9812.9932.9924.999.9822.9828.9919.9929.9924.9921.9917.9927.9947.99

2,8873,0941,3403,4042,5791,0302,3712,9912,0633.0952.5792.2691.8562,8884,952

都市 商品名 原産国(産地) 販売単位 価格(米ドル) 円換算*

低温製法米のおいしいごはん宮城県産ひとめぼれアツアツごはん 山形県産はえぬきブレンド石川県産ゆめみずほ・ こしひかり使用ごはんサトウのごはん新潟県産コシヒカリタニタ食堂の金芽米ごはんTamaki Gold(玄米)飯 Brown RiceShirakikuごはん全農ごはんおいしい大盛りごはんJasmine riceorganic short grain brownriceはるはる Cooked White RiceShirakikuごはん

日本(宮城)

日本(山形)

日本(石川)

日本(新潟)

日本(ブレンド)米国米国日本日本日本米国米国韓国台湾

160g×3210g298g

200g×3180g×3250g×3210g210g

210g×12200g

180g×3

180g×3

200g×3

200g×5

5.98

4.98

4.79

13.99

8.492.491.695.996.496.991.993.3918.991.49

617

514

494

1,444

8762571746186707212053501960154

商品名 原産国(産地) 販売単位 価格(米ドル) 円換算*143g200g170g175g120g164g454g100g227g112g120g

6.983.993.983.292.992.996.492.093.492.491.18

720412411339309309670216360257122

あぶり餅柿の種歌舞伎揚ファミリー黒豆せんべいハッピーターン雪の宿WASABI MATEKAMEDA KAKINOTANE 100% ORIGINALHB Honey Norimaki Rice CrackerHello Kitty Rice Crackerあられミックス

日本日本日本日本日本日本米国米国タイ台湾中国

*2016年8月末為替レート:1米ドル=103.19円

ロサンゼルス

ロサンゼルス

ニューヨーク

ニューヨーク

80

各国・地域への輸出に向けて3 章

(10) 米国(L.A./N.Y.) USA

a.日本国内にサーバーを設置し米国向けにインターネット販売を行う場合(日本国内のECプラットフォームに出店し インターネット販売を行う場合を含む)    米国の法律に基づく手続きの必要はなし。b.米国内にサーバーと商品発送拠点を設置し、米国向けに販売する場合(米国内に現地法人がない場合)    米国国内での営業許可証や商標登録証が必要。    連邦取引委員会が定めるガイダンス「Online Advertising and Marketing」に留意することが必要。

a.amazon.comb.ebay.comc.Walmart.com d.Target.com e.Shop Iris USA 

食品のEコマース売上高は伸長、全体に占める割合は横ばい

http://www.amazon.com/http://www.ebay.com/http://www.walmart.comhttp://intl.target.comhttp://www.shopirisusa.com/

インターネット販売の実態

インターネットでの販売価格は高めの設定 食品を取り扱っている主要なECサイトは以下のとおりです。 amazonは日本産米の品揃えが豊富なのに対して、包装米飯と米菓の取扱い品数は少ない状況です。インターネット販売の価格は、全般的に実店舗での販売価格よりも高めの設定となっています。

 日本の事業者が米国への越境ECを行う場合のポイントは、販売活動の拠点を日本と米国のどちらに置くかにあります。相違点は以下のとおりです。

電子取引の国際ルールにも留意が必要

 米国のインターネット浸透率は、88.5%です(2016年)。食品・飲料業界のEコマース(EC)による売上高は、リーマンショック後の2010年以降着実に伸びており、2014年度の売上高は約10.8億米ドルと10億米ドルの大台を超えました(対前年比15.6%の伸び)。食品・飲料業界のECの売上に占める割合としては、0.4%台にとどまっている状況です(2010~2014年)。

 日本産米の輸入拡大の決め手となるのは、味と品質です。在留邦人以外は家庭でコメを炊飯することはほとんどないと考えられるため、外食・中食向けをターゲットの中心に据える必要があります。そのためには、業務用のニーズに合った商品の提供や外食・中食業務者と連携したPR・キャンペーン等を進めていくことが必要だと考えられます。 包装米飯と米菓は、米国の規制への対応をしっかり行うことで輸出拡大の可能性のある商品アイテムと言えます。 コメ・コメ加工品は規格化されて販売されることが多いので、インターネット販売に向いていると考えられます。日本の企業が現地法人を設置し、ECサイトを運営する事例も出てきています。

主要ECサイト

輸出拡大に向けて❼

81

各国・地域への輸出に向けて3 章

(11)カナダ Canada

平成26年 平成28年

生産量消費量(千トン)輸出量(トン)輸入量(トン)

* 251.06,169

401,982

平成27年

* 245.95,917

394,313

市場の特性

コメ輸入国カナダの輸入先は、米国がトップ

米国、タイ、インド、パキスタン、ベトナム、イタリア、アルゼンチン、中国、英国、オーストラリア

 カナダのコメの輸入量は、2013年以降は約40万トン前後を推移しています。一方、輸出量は輸入量に比べて圧倒的に少なく、2013年以降は5,000トンから6,000トン台を推移しています。カナダはコメの輸入国である一面がうかがえます。この10年間は、コメの輸入量の6割前後を米国が占めています。 日本からの商業用のコメの輸出実績は、2015年度で85トンです。東京電力福島第一原発事故の影響もあり、2011年から2013年の輸出量は減少しましたが、2014年以降は増加しており、2015年度の輸出量は2010年度の輸出量16トンの5倍強となっています。 米菓の日本からの輸出実績は、カナダは第13位の27.5トンでした(2015年度貿易統計)。

 カナダは多文化主義を採っており、食も多様です。主食、副菜の概念はありません。一般消費者は、ある程度ボリュームのある料理、はっきりした味付けを好む傾向があります。富裕層を中心とした健康志向の高まりによるオーガニック食品の需要があり、アレルゲンを使用しない食品(グルテン・フリー、ピーナッツ・フリーなど)も一般的です。 日本食レストランの人気が高く、カナダ全体で2,635店。バンクーバー(約850店)やトロント(約1,070店)周辺に多くありますが、最近の記事では、メトロバンクーバーには600軒ほどの寿司店があるとされます(スーパーマーケット、テイクアウト店を除く)。人気の理由は寿司の健康的イメージ、さらにメトロバンクーバーの人口の43%がアジア系住民(大半は中国系)であることも理由の一つと考えられます。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

  2240964

96302109

* * 7,052

465,026

平成27年

85271106

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

2326

2528

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

2732

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:3,616万人● 名目GDP:1兆5,505億米ドル● 1人当たり名目GDP:43,280米ドル● 名目GDP成長率:-13.08%

● 日系企業数:800社● 在留邦人数:66,245人● 日本食レストラン等の状況:全国で2,635店。バンクー バーとトロントで約2,000店、モントリオールでも増加。                     (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2016年)

82

各国・地域への輸出に向けて3 章

 日本との航空便は週約34便あり、航空輸送時間は約9時間。日本とのコンテナ航路は週約7便あり、海上輸送日数は最短で10日程度。コールドチェーンの整備は進んでおり、品質劣化の心配はほぼありません。 カナダでは、大規模店での日本産食品の需要がまだ確立しておらず、そのために大規模店を利用する消費者に日本産食品が普及していない状況があります。

食品の流通経路

日本食材は日系、アジア系流通網で取引

流通チャネルと取引慣行 

A

取引慣行B

(出典)農林水産業の輸出力強化ワーキンググループ「国・地域別の農林水産物・食品の輸出拡大戦略(カナダ)」調査研究事業 報告書」

食品の流通経路図-1

 カナダでは、日本食材は主に日系、アジア系の流通網で取引されています。北米に進出する日系大手は、地域ごとにエージェント(担当)を配置し、現地ディストリビューターと取引しています。日本企業との直接取引を模索している現地大手スーパーもあります。

消費者

ファーマーズ・マーケット、ネット販売等

生産者、共同組合、食品メーカー、輸入業者等

食品卸売業者

大手スーパー食品小売店

フードサービス業界レストラン、テイクアウト店等

直販

(11) カナダ Canada

直販

83

各国・地域への輸出に向けて3 章

(11) カナダ Canada

主な関連法規

●食品関連法規

●食品添加物関連法規●食品表示規格 (包装済食品)●食品包装に関する規制

食品医薬品法(Food and Drugs Act)及び、その付属規定で食品ごとの詳細な規定を定めた食品医薬品規則(Food and Drug Regulations)食食品医薬品規則のDivision16消費者包装表示法及び規則、食品医薬品法及び規則食品医薬品規則 Division 23 B.23.001

輸入数量割当制

関税

 カナダでは、貿易管理品目として輸入禁止品目と輸入許可品目が指定されていますが、コメ及びコメ加工品はその中には含まれていません。また、輸入数量割当制及び関税割当品目の制度もありません。

 輸入検疫の実施は、カナダ食品検査局(CFIA:Canadian Food Inspection Agency)が担っています。 精米及び玄米については、日本での輸出検査を受けずに輸出できます。

 カナダ国境サービス庁(CBSA:Canada Border Services Agency)が関税制度の施行、徴収を管轄。コメ・コメ加工品の関税は以下のとおりです。玄米・精米:無税包装米飯:4.5%の従価税 米菓:11%の従価税

コメは関税なし、コメ加工品には従価税がかかります

製品ラベル表示は、すべて英語とフランス語を併記

 害虫駆除製品に関する法律(PCPA:Pest Control Products Act)で規制されています。ポジティブリスト制度を適用。農薬ごとに対象となる食品と、その最大許容量はカナダ保健省のMRL Databaseで検索できます。

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 調査時点(平成29年1月6日)において、カナダでは、当該事故に関連したすべての規制を解除しています。

製品表示の内容(英語及びフランス語併記)

検疫制度A

食品規制B

残留農薬基準

輸入数量割当制と関税

検疫制度と食品規則 

a. 品名b. 容量c. 販売業者の名前及び住所d. 成分表記e. 栄養表記f. 賞味期限g. アレルギー警告(アレルギー症状を起こす可能性のあ  る成分を使用している場合)h. 原産国

各国・地域への輸出に向けて3 章

(11) カナダ Canada

 調査した6店舗(日系スーパー3、中国系・米国系・カナダ系スーパー各1)で、日本産米は日系・中国系スーパーで販売。日本産米以外のコメは全店舗で取扱いがありました。日本産米の平均価格は7.3加ドルで、米国産米の平均5.9加ドルの1.2倍でした。

カリフォルニア産米と同様に、高級、中級、普及品クラスと分けて展開してはどうか。パッケージデザイン、店頭の陳列に適したサイズ、素材をこちら向けにしてはどうか。

 日本産は、調査した日系スーパー3店舗中2店舗で販売。その他の店舗では、米国産、台湾産、スペイン産の取扱いがありました。商品価格は、日本産が米国産や台湾産よりも100g当たりで2~3割程度高めの設定でした。

白米だけではなく、味付けの商品を展開してはどうか。バリエーションが増えれば、売り場面積も広がる。

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

コメの販売価格(調査月:2016年8月)表-4

包装米飯の販売価格(調査月:2016年8月)表-5

パッケージデザイン、形状など現地向けにする工夫を

小売店の店頭価格

原産国商品名 販売単位 価格(加ドル) 円換算*

お寿司のお米 笑みの絆出羽 DEWA 一等級山形米おきたま盆地のはえぬきあかふじ秋田県産あきたこまちあかふじ新潟産こしひかり富山県産こしひかり北海道米Koshihikari Sushi RiceTamaki Haiga 健康胚芽米 田牧米Calrose Premium For Sushi(中粒米)國寳ローズ(中粒米)Rice Carnaroli Organic

45.2316.920.9933.5935.5944.9933.9929.9919.997.3827.997.99

3,5611,3311,6532,6542,8023,5432,6762,3611,5745812,204629

円換算*

645

1,070

192

591

196

235

235

日本(茨城)

日本(山形)

日本(山形)

日本(秋田)

日本(新潟)

日本(富山)

日本(北海道)

米国米国米国米国

イタリア

5kg2kg5kg5kg5kg5kg5kg6.8kg2kg

2.26kg19kg426g

原産国商品名 販売単位 価格(加ドル)

たきたてご飯 3食入

たきたてご飯 3食入

錦 NISHIKI Steamed Rice

Shirakiku CookedRiceごはん3パック

Shirakiku CookedRice ごはん

MinuteRice LongGrain&Wild(2cups)

MinuteRice WholeGrainBrown(2cups)

8.19

13.59

2.44

7.5

2.49

2.99

2.99

日本

日本

米国

台湾

台湾

スペイン

スペイン

180g×3

300g×3

210g

200g×3

200g

125g×2

125g×2

84

 日本産は、日系スーパー3店舗すべてと、中国系、米国系店舗で販売。カナダ系店舗では日本産以外の米菓を販売。調査した商品全体では、日本産が約58%、日本産以外が約42%でした。商品価格は総じて日本産が高く、他国産の約1.6倍の価格で販売されていました。

ヘルシー志向やグルテンフリーなど、健康やアレルギー対応は無視できない。北米のメーカーは、四角い状態を保てる陳列しやすい形状のパッケージを採用するなど、小売店頭の陳列を考えたデザインとパッケージが多い。

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

米菓の販売価格C

*2016年8月末為替レート:1加ドル=78.74円

米菓の販売価格(調査月:2016年8月)表-6商品名 価格(PHP) 円換算*販売 単位原産国

日本日本日本日本日本日本日本日本中国中国タイタイ米国

イタリア

179g149g145g152g76g155g182g80g142g120g300g454g101g125g

4.263.664.494.992.493.494.994.993.693.994.135.993.994.99

335288354393196275393393291314325472314393

黒豆せんべいぱりんこ歌舞伎揚ぽたぽた焼揚一番ソフトサラダ柿の種SAN-J TAMARI Brown Rice Crackers海苔巻 Norimaki ArareSiper Slim Rice CrispsDan-D Pak OKAKI8 MATE365 Rice Crackers Sesami glutino Original

85

各国・地域への輸出に向けて3 章

(11) カナダ Canada

a.日本にサーバーと商品発送拠点を設置し、カナダ向けに販売   日本からの輸出者はカナダでの法人登録や販売許認可取得などの義務はない。b.カナダ国内のサーバーに情報を登録し、発送はカナダ外から行う   サイトによって運営・出店方法が異なる点を留意する必要がある。c.カナダのサーバーに商品情報を掲載し、商品発送拠点をカナダに設置し、カナダ国内向けに販売   倉庫と物流をカナダ内に置く場合は、自社が輸入者となり、関税と付加価値税(GST)の納税義務者となる。現地オンライン   サイトのガイドラインなどを確認する必要がある。

a.ebay Canadab.Amazon Canadac.Walmart Canada 

インターネット浸透率増加に比例してEコマース売上も伸展

http://www.ebay.ca/https://www.amazon.com.au/http://www.walmart.ca/en

インターネット販売の実態

日本産の取扱いがまったくないECサイトもある 食品の取扱いのある3つの主要ECサイトでコメ・コメ加工品の取扱い状況を調査した結果、ebay CanadaとAmazon Canadaでは日本産のコメ、包装米飯、米菓の取扱いがあり、Walmart Canadaでは日本産の取扱いはありませんでした。 また、ネットスーパーサービスは、非日系の大手スーパーでは行っていますが、日系スーパーでは行っていませんでした。過去にネットスーパーを行っていた日系の店舗では、中止した理由として、賞味期限の課題、写真と届いた品物のイメージに差があるとクレームにつながることを挙げています。

 日本の事業者がカナダへの越境ECを行う場合のポイントは、販売活動の拠点を日本とカナダのどちらに置くかにあります。相違点は以下のとおりです。

越境ECを行う場合は、販売拠点をどこに置くかがポイント 

 2014年度のカナダにおけるEコマース(EC)の売上は約121億加ドルで、2012年度から約1.5倍の伸びとなっています(カナダ統計局発表)。 カナダでのインターネット浸透率は、2009年に80%を超え、2016年の段階では88.5%です(Internet Live Statsデータより)。

 カナダで日本産米のシェアを伸ばし、輸出を拡大するには、カナダで大きな存在感を誇る大手流通チェーンにアプローチする必要があります。また、中国系移民の富裕層など、日本産米を好む消費者の需要を掘り起こし、市場を広げる可能性もまだ残っています。 包装米飯は、現地の人にも使い方や商品特性がわかるような工夫が求められます。白米をそのまま食べる習慣がない消費者には、味付け商品の開発なども必要と思われます。 米菓は、パッケージを陳列しやすい形状にするなど、現地の小売店に合わせる工夫や、日本産の取扱いが少ない非日系スーパーなどに販売網を広げることが輸出拡大につながると考えられます。

主要ECサイト

輸出拡大に向けて❼

86

各国・地域への輸出に向けて3 章

(12)ブラジル Brasil

平成26年 平成28年

生産量(万トン)消費量(万トン)輸出量(万トン)輸入量(万トン)

84779393.062.4

850795* 76.5

平成27年

72178096.237.7

市場の特性

コメは日本産品種の海外生産米が優勢

パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチン、ガイアナ、イタリア、チリ、ベトナム、米国、タイ、パキスタン

ブラジルのコメの輸入量はおおむね60万~70万トン台で推移していましたが、2015年は30万トン台にとどまっています。 精米の消費量は、2010年までは800万トン以上、2011年以後は790万トン前後で推移し、ほとんど変化はみられない状況です。 ブラジルでは、現在日本産米はほとんど輸入されておらず、2015年は3トンとわずかな量にとどまっています。市場に流通している日本品種米は、ブラジル産、ウルグアイ産、アメリカ産などが中心となっています。 米菓の輸出は、東日本大震災前の2010年に85トンとピークを迎え、震災直後は大きく落ち込みましたが、その後はやや持ち直し、2015年は39.9トンの輸出量でした。ただし、この間に、価格が安い台湾産、タイ産の存在感が増しています。

 1人当たりの年間のコメ消費量は、ここ10年ほどはわずかずつ減少し、2015年は年間47.1kgです。これは、世界平均の61.4kg、日本人の54.6kg(2015年)より少ない数字です。 外食産業をみると、近年、ブラジルでは特に日本食レストランが増加しており、ブラジル全土で1,000件以上の日本食レストランが存在すると言われています。 店舗増加の要因の1つは「テマケリア」と呼ばれる手巻き寿司店の増加です。若者を中心に人気があり、ファストフードの感覚で利用されています。サンパウロで30店舗を展開するテマケリア店では、日本産品種の弥勒米(ウルグアイ産)を使用。全店舗での1か月の消費量は1万2,000kg(1店舗当たり400kg)です。 また、2010年よりチェーン展開している牛丼店は、ウルグアイで契約生産しているこしひかりの改良品種を「すき家米」として販売。店舗でのコメの消費量は、1店当たり1か月1トン、13店舗あるので計13トンを消費しています。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

2*31

**10

平成27年

3*22

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

5853

4035

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

4036

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:2億446万人● 名目GDP:1兆7,726億米ドル● 1人当たり名目GDP:8,670米ドル● 名目GDP成長率:-26.67%

● 日系企業数:1,383社● 在留邦人数:54,014人● 日本食レストラン等の状況:全国で約1,100店。 手巻き寿司専門チェーンが全土でブーム。                  (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2016年)

87

各国・地域への輸出に向けて3 章

日本食品の流通経路

(出典)日本貿易振興機構「ブラジル日本食品消費動向調査」

ブラジルでのビジネスでは「ブラジル・コスト」に留意

日本食品の流通概略図図-1

流通チャネルと取引慣行 

A

取引慣行

(出典)日本貿易振興機構「日本産農林水産物・食品のモニタリング調査(ブラジル・サンパウロ)」

B

一般食品の流通経路図-2

日本 ブラジル

 輸入食品では、輸入卸と小売店を兼ねるケースがあります。中国系の大手日本食材店は輸入業者でもあり、自社店舗での販売だけでなく、小売店にも卸しています。日系の輸入卸売業者にとっては、レストランが重要な販売先となっています。 一般食品の小売店への供給では、卸売業者が大きな位置を占めていますが、ブラジル産の日本食品の多くは、メーカーから小売店に直販されています。

 ブラジルのビジネス環境については、特に「ブラジル・コスト」と呼ばれる問題点がしばしば指摘されます。税金の種類の多さと税率の高さ、労働者寄りの労働法制、著しく高い金利、インフラのサービス水準の低さとコストの高さなどを指します。これらに加えて、通関の非効率性や治安に対応するセキュリティーコストの高さも含められることが多い状況です。

メーカー 卸売業者 小売業者

メーカー 小売業者 消費者

消費者

食品メーカー・輸出業者・卸売業者

輸入業者

卸売業者

小売業者

レストラン

(12)ブラジル Brasil

88

各国・地域への輸出に向けて3 章

(12)ブラジル Brasil

 精米は、日本の検査を受けずに輸出できます。玄米は、ブラジルが検疫条件を設定していないため、輸出はできません。

関税割当枠と関税

コメの関税は3つの分類

食品添加物規制は、南米5か国の政治・経済協定による

 国家衛生監督庁(ANVISA)データベースに、農薬の通称及び化学名、使用クラス、毒性学的分類、有効成分が許容される栽培、それぞれの最大残留限界などが示されています。

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 福島県産の食品・食品原料に対しては、日本で発行された放射性物質検査証明書と日付証明書の添付が義務づけられています。            (平成29年1月6日現在)

 *メルコスール:南米南部共同市場。アルゼンチン、ブラジル、   パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラ間の政治・経済協定。

関税

関税割当枠 ブラジルでは、コメ・コメ加工品に対する関税割当枠の設定はありません。

玄米:10%精米(研磨、つや出し):12%精米(その他):10%包装米飯:16%米菓:18%

製品表示(包装済み食品)の内容(ポルトガル語)

a. 食品名b. 原料リストc. 食品添加物の記載d. 正味量及び固形重量e. 名称及び所在地f. 原産国

g. ロット番号h. 日付i. 保管方法j. 使用方法k. 原料の量的記載l. 照射食品

主な関連法規

●食品添加物関連法規●食品表示規格●食品包装に関する規制

メルコスール規格*G消費者保護法材質などによりさまざまな規制がある

検疫制度A

食品規制B

検疫制度と食品規則 

残留農薬基準

各国・地域への輸出に向けて3 章

(12)ブラジル Brasil

❺ 小売店の店頭価格

米菓は台湾産、タイ産、ブラジル産など競合多数

包装米飯の販売価格(調査月:2016年8月)表-5

パラパラしたお米が一般的なため、日本米はブラジルでは万人受けしない。消費拡大には、例えばテレビの料理コーナーで紹介するなど、メディアを使うのが有効。

輸入米菓は日本産よりも台湾産の方が価格が安く、よく売れる。 米菓の仕入れは 2 社から。カタログを見て、価格、パッケージなどの見た目で選ぶ。米菓の消費拡大には試食が一番。

ホテルなどに短期滞在する日本人に喜ばれる。

 調査した4店舗(日本食材店3、高級食材店1)では、日本産米の取扱いはありませんでした。日本品種米は、ブラジル産、ウルグアイ産、アメリカ産などが販売されていました。原産国別の平均キロ単価は、米国産が739円で最も高く、ウルグアイ産280円、ブラジル産231円を大きく上回りました。

 調査した4店舗中、日系人経営の日本食材店でのみ取り扱われており、他国産はありませんでした。

 日本食材店では、日本産米菓を中心にブラジル産、台湾産、タイ産も販売。東日本大震災後に輸入が中断した際、日本産に比べて安価な台湾産やタイ産が多く流通し、その後も存在感を示しています。

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C 商品名 原産国 販売単位 価格(BRL)円換算*

商品名 原産国 販売単位 価格(BRL)

*2016年9月末為替レート:1BRL(レアル)=31.07円

商品名 原産国 販売単位 円換算*

JA 松任 石川県産ゆめみづほ・こしひかり使用ごはん 日本 200g×3

価格(BRL)

21.98 683

表-4 コメの販売価格(調査月:2016年8~9月)

Camil GUINKROLOW YANAGI KOSHIHIKARI黄金米 Curto KROLOW YANAGI Grao Curto ISETAN Moti Gome AGRIDIAMOND MIROKUMAIすき家米 NISHIKI HAITAI Daipong GoldPHU HAO TAILANDES JASMINE RICEBasmati RiceRiso Toro Sushi Rice Panella Novo Arroz

おつまみ歌舞伎揚柿の種サラダうす焼きソフトサラダ20枚 ぽたぽた焼き22枚まがりソフトせんべい梅の香巻Hikage OKAKI ゴマCamil OKAKI 海苔SANKIO OkoshiSANKIO OKAKI NaturalWant Want SenbeiWant Want Rice Cracker Green Peasのり巻きあられ

ブラジルブラジルブラジルブラジルブラジルウルグアイ ウルグアイ 米国米国タイインドイタリアポルトガル

日本日本日本日本日本日本日本

ブラジルブラジルブラジルブラジル台湾台湾タイ

198g130g93g143g143g150g76g100g100g200g200g92g108g100g

25.988.987.9811.9814.89.8

11.998.6810.488.9812.814.9814

14.98

807297248372460304373270326279398465435465

5kg5kg5kg5kg1kg5kg5kg

4.54kg6.8kg5kg5kg1kg1kg

31.9836.9830.526.616.747.684872

159.65310611.516.2

円換算*

9941.1499488265191,4811,4912,2374,9591,6473,293357503

米菓の販売価格(調査月:2016年8月)表-6

89

90

各国・地域への輸出に向けて3 章

(12)ブラジル Brasil

ECサイトでの日本産米の取扱いはなし コメ・コメ加工品のECサイトでの販売状況は、調査時点でコメを取り扱うサイトは多いが、日本産の取扱いは発見できませんでした。 包装米飯は原産地に関係なく、取扱いはありませんでした。米菓は、日本産の取扱いもみられましたが、タイ産、台湾産にやや押され気味の印象でした。

 ブラジルでは、2015年5月15日にEC(電子商取引)に関する新規制が導入されました。EC サイトを通じて商品を販売する企業は、消費者に対して正確な情報を提供する必要があるとし、特に以下の4点についての情報をウェブサイトに明記しなければなりません。

正確な情報提供に関する新規制が導入

a.販売主体(社名、ブラジルの納税者番号、連絡先情報)b.商品情報と販売条件c.共同購入型のウェブサイト(販売条件など)d.購入のキャンセル(問い合わせ窓口)

Eコマースの市場規模は世界10位  ブラジルの15歳以上人口1億5,940万人のうちインターネットを利用しているのは、約 64%の1億150万人です。更にオンラインショッピングの経験があるのは3,810万人で、インターネット人口の38%を占めています。  BtoCのEコマース(EC)総売上高は、2012年の79億米ドルから2015年は159億米ドルと拡大し、この間の年平均成長率は26%です。市場規模は世界10位とEC大国の一角を占めています。

 日本産米の輸入が許可されること、アメリカやウルグアイなど日本産品種を生産する国との競合など課題は多いが、日本産米の美味しさを知るブラジル人から日本産米を求める声が大きくなれば、消費拡大の期待がもてるかもしれません。 日本産米菓のライバルはタイ産や台湾産ですが、ブラジル人富裕層や中間層の健康志向の高まりにこたえる形で、日本産米菓のマーケットを拡大する可能性は考えられます。具体的な方法としては、ECを牽引する富裕層、中間層に、すでに EC サイトで取扱いのある米菓の品質を訴求することなどが考えられます。

主要ECサイトa. Mercado Livre b. Americanas.comc. Submarino.com

http://www.mercadolivre.com.br/http://www.americanas.com.br/http://www.submarino.com.br/

インターネット販売の実態

輸出拡大に向けて

91

各国・地域への輸出に向けて3 章

(13)オーストラリア Australia

平成26年 平成28年

生産量(千トン)

消費量(千トン)

輸出量(トン)

輸入量(トン)

497

362.0

409,826

160,260

450

350.0

162,759

平成27年

180

350.0

327,870

157,608

市場の特性

日本産米、米菓のオーストラリアへの輸出実績は第6位

タイ、インド、パキスタン、米国、ベトナム、イタリア、スペイン、カンボジア、日本、韓国

 オーストラリアでは、2008年から2010年にかけて20万トン前後のコメを輸入。同時期の輸出量は大きく減少し、2006年には約32万トンあった輸出量が2009年には2万トンを切りました。このように輸入超過に陥った原因は、2006年から2008年にかけて発生した大干ばつの影響です。2015年の輸入量は約16万トン、輸出量は約32万トンです。 日本からの商業用のコメの輸出実績(2015年)は、オーストラリアは第6位で輸出量は273トン。これは2010年度の輸出量125トンの2倍強となっています。干ばつとリーマンショック前の世界的な穀物高騰を背景に、価格が高い日本産米にもチャンスが生まれたのがきっかけで、日本産米の対オーストラリア輸出はほぼ右肩上がりに伸びています。 米菓の輸出実績(2015年)は、オーストラリアは第6位で輸出量は158.6トン。これは2009年の77.9トンの約2倍です。

 精米の消費量は、この10年間では2006年の43.5万トンがピークで、2013年以降は35万から36万トンで安定しています。オーストラリアの市場におけるジャポニカ米の主流は、オーストラリアの国産または米カリフォルニア州産です。日本産米の小売価格はこれらのおおむね2~3倍と高く、需要は味にこだわる日本人在住者や中国人の富裕層にほぼ限られているのが現状です。 オーストラリア国内の日本食店の事業者数や店舗数、売上規模等に関する正確な数字は分かっていません。理由は、零細事業者が多く、国籍や事業形態が様々で、業界団体もないためです。 日本食店で圧倒的に店舗数が多いのはスシロールのテイクアウト店や回転寿司店。学校の売店やスーパーでも販売され、サンドイッチ感覚のファストフードとして年齢や人種を問わず幅広い層のオーストラリア人に浸透しています。その多くは、中国・韓国系の経営です。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

1853191511

3573051920

平成27年

2733082115

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

139118

160139

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

159143

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:2,402万人● 名目GDP:1兆2,253億米ドル● 1人当たり名目GDP:51,181米ドル● 名目GDP成長率:-15.17%

● 日系企業数:725社● 在留邦人数:89,133人● 日本食レストラン等の状況:全国で約1,600店。 ジャンルは幅広い。寿司(手巻き寿司)の認知度が高い。                   (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2016年)

(メルボルン/シドニー)

92

各国・地域への輸出に向けて3 章

食品流通システム

(出典)日本貿易振興機構「日本食品消費動向調査(2016年3月)」

輸出にかかる期間は2か月弱

オーストラリアの食品流通システム図-1

流通チャネルと取引慣行 

A

取引慣行B

 市場に出回る食品には、生産者、共同組合、農業法人、食品メーカーが生産・製造したものと、輸入業者が輸入したものがあります。それらは、食品卸売業者がスーパーなどの小売店や外食店、テイクアウト店、ケータリング会社などに卸し、消費者に販売されます。また、生産者が直接、小売店や外食店に販売したり、ファーマーズ・マーケットやネット販売等で直接消費者に販売するケースもあります。

 日本産米が、日本の生産者/卸売業者から輸出され、オーストラリアの小売店舗に並ぶまでに最短でも2か月弱はかかります。赤道を通るため、虫対策など品質管理への対策が課題です。

生産者・共同組合・食品メーカー・輸入業者等

食品加工業者Metcash, Bidvest, PFD Food Service等

大手スーパー、食品小売店Woolworths, Coles, IGA, Aldi等

フードサービス業界レストラン、テイクアウト店等

消費者

直売

ファーマーズ・マーケット、ネット販売等

直売

(13)オーストラリア Australia(メルボルン/シドニー)

93

各国・地域への輸出に向けて3 章

 精米は、日本での輸出検査を受けずに輸出できます。玄米は、2016年5月に日豪間の植物検疫協議の結果、輸出が可能となり、豪州政府が承認した豪州内の玄米処理施設の情報が入力された輸入許可証と、日本の植物検疫証明書などが必要です。

輸入数量割当制と関税

コメ、包装米飯、米菓についての関税は0%

精米は日本での輸出検査は不要

 食品安全基準の第1章4節「汚染物質と残留物に関する規定」に記載されています。ポジティブリストが採用され、食品に残留する農薬の種類と、それぞれの農薬ごとに対象となる食品と最大許容量が明記されています。

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 オーストラリアでは、平成26年1月23日にすべての規制を解除しました。

関税

輸入数量割当制  オーストラリアでは、貿易管理品目(輸入禁止3品目、輸入制限47品目)が指定されていますが、コメ・コメ加工品はその中には含まれていません。

 コメ、包装米飯、米菓についての関税は0%です。 日豪経済連携協定(EPA)が2015年1月15日に発効し、日本の農林水産物に対するオーストラリア側の関税は全廃されました。

製品表示の内容(英語)

a. 食品名・食品類型b. ロット識別情報c. 供給業者名と所在地d. 特定材料に関する  義務的な警告・説明文e. 原材料

f. 製造年月日、消費期限、 賞味期限 g. 保管に関する指示h. 栄養情報、熱量i. 原産国j. 遺伝子組み換え食品の表示

主な関連法規

●食品関連法規

●食品添加物関連法規●食品表示規格

●食品包装に関する規制

オーストラリア・ニュージーランド食品安全基準同上オーストラリア・ニュージーランド食品安全基準の第1章2節1~12項特になし

検疫制度A

食品規制B

検疫制度と食品規則 

残留農薬基準

(13)オーストラリア Australia(メルボルン/シドニー)

メルボルン

シドニー

商品名 原産国 販売単位 円換算*都市

あったかごはんサトウのごはん2 QUICK CUPS SUPER BROWN RICE

CJ Cooked Brown RiceQuick Cup Long Grain魚沼コシヒカリふんわりごはん特盛ごはんBasmati 2CupsCooked Black Pearl Rice

日本日本

オーストラリア韓国タイ

日本(新潟)日本

オーストラリア韓国

価格(豪ドル)

200g×3200g

125g×2210g125g200g300g

125g×2210g

7.93.52.82.51.32.82.92.51.4

613271217194101217225194109

94

各国・地域への輸出に向けて3 章

メルボルン

シドニー

メルボルン

シドニー

❺ 小売店の店頭価格

*2016年8月末為替レート:1豪ドル=77.56円

日本産米は外国産米の約2倍、米菓は約3倍

価格をふまえつつ日本での流行や、お店の客層をイメージしながら仕入れを行う。店頭での試食販売は有効。

 メルボルン5店舗(日系スーパー3、韓国系1、オーストラリア系1)、シドニー4店舗(日系スーパー2、中国系1、オーストラリア系1)を調査。日本産米は、日系スーパーの全店舗及び韓国系と中国系のスーパーで販売。日本産米以外のコメは、日系の1店舗を除いて取り扱われていました。商品1kg当たりの平均価格は、日本産米が8.5豪ドルでオーストラリア産(3.8豪ドル)の2.3倍、米国産(4.5豪ドル)の1.9倍でした。

 日本産は、調査した日系スーパー3店舗と中国系1店舗で販売。日系スーパー1店舗では包装米飯の取扱いがありませんでした。韓国系では韓国産のみ、オーストラリア系ではオーストラリア産とタイ産のみを販売していました。商品価格は、他国産に比べて日本産が100g当たり約1.4倍の設定でした。

 日本産は、日系5店舗すべてと、韓国系、中国系の店舗で販売。オーストラリア系の2店舗はオーストラリア産と中国産のみ。調査した商品のうち日本産は約70%、日本産以外が約30%でした。総じて日本産商品が高価格で、多くが他国産の3倍弱で販売されていました。

男性客、駐在の方が多い。コメと同じようにコンスタントに売れる。

現地の人にはわかりやすい味が好まれている。ディップをつける食べ方が好まれている商品がある。

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C 商品名 原産国 販売単位 円換算*都市

包装米飯の販売価格(調査月:2016年8月)表-5

新潟県魚沼産こしひかり北海道産ゆめぴりか富山県産コシヒカリ洗わずに炊けるお米あきたこまち

有機玄米寿司米SHORT GRAIN SUSHI RICE

sushi RICE DEN 田山形つや姫長野こしひかり 幻の米青森県産まっしぐらORGANIC BROWN RICESUSHI RICE望こしひかり USA Short

ばかうけ チーズ味将角サラダ歌舞伎揚ぷちバター醤油味柿の種Seaweed Flavour RICE CRACKER可可 賓賓米菓 海苔口味雪舞 SHELLY SENBEI RICE CRACKER

BBQ Flavoured Rice Crackers梅の香巻揚一番カレーせん雪の宿Rice Crackers Cheese厚焼塩味

日本(新潟)日本(北海道)日本(富山)日本(秋田)オーストラリアオーストラリア

米国韓国

日本(山形)日本(長野)日本(青森)オーストラリアオーストラリア

米国

日本日本日本日本

オーストラリア

タイ台湾中国日本日本日本日本

オーストラリア

台湾

商品名 原産国(産地) 販売単位 価格(豪ドル)

価格(豪ドル)

円換算*都市

米菓の販売価格(調査月:2016年8月)表-6

表-4 コメの販売価格(調査月:2016年8月)

5kg5kg5kg10kg2kg10kg1kg10kg5kg2kg5kg1kg10kg6.8kg

104g180g65g86g100g150g112g100g58g155g147g173g100g150g

49.1556.4544.9959

14.2520.44.4939.949.9539337.218.539.98

4.986.985.482.350.973.493.190.97.375.834.984.50.93.15

386541425182752712477057245238634970244

3,8124,3783,4894,5761,1051,5823483,0953,8743,0252,5595581,4353,101

(13)オーストラリア Australia(メルボルン/シドニー)

95

各国・地域への輸出に向けて3 章

ECサイトでの日本産コメ・コメ加工品の取扱いはなし オーストラリアにおいて来訪者の多かったECサイトの第1位は、eBay Australiaで、その数は2,310万人でした(統計ポータルサイトStatista 2014年10月発表)。 食品を取り扱っている主なサイトは以下のとおりです。コメ、包装米飯、米菓を販売しているのはeBay Australiaのみでした。

 日本の事業者が越境ECとしてオーストラリアに輸出する場合、販売活動の拠点をどちらに置くかがポイントとなります。展開パターンは以下のとおりです。

電子商取引による海外企業の法人税

a.日本にサーバーと商品発送拠点を設置し、オーストラリア向けに販売する場合  日本にサーバーと発送拠点があるので、日本からの輸出者はオーストラリアでの法人登録や販売許認可取得などの義務はない。b.オーストラリア国内のサーバーに情報を登録し、発送はオーストラリア外から行う場合  サイトによって運営・出店方法が異なる点を留意する必要がある。c.オーストラリアのサーバーに商品情報を掲載し、商品発送拠点をオーストラリアに設置し、オーストラリア国内向けに販売  する場合  発送拠点(倉庫と物流)をオーストラリア内に置く場合は、自社が輸入者となり、関税と付加価値税(GST)の納税義務者   となる。現地オンラインサイトのガイドライン等を確認する必要がある。

Eコマースの売上は年々伸展中 オーストラリアのインターネット浸透率は、2006年の66%から2016年には85.1%となっています(Internet Live Stats調べ)。 Eコマース(EC)の売上は、統計ポータルサイトStatistaの発表では、2015年度が約190億米ドル、2016年には200億米ドルを超え、今後も2018年まで着実に伸びて行くと予測されています。

 日本からの商業用米の輸出量は伸びており、近年、精米、玄米ともに関税撤廃になるなど輸出環境の改善が見られ、日本産米の輸出拡大の追い風となっています。 包装米飯は、使い方や商品の特性が伝わるようにパッケージを工夫したり、味付けされたアイテムを開発するなど、現地消費者の視点に立った商品開発が有効と考えられます。 米菓は、まだ取扱いのないオーストラリア系小売店への売り込みに、輸出拡大の可能性があります。

主要ECサイト

a. eBay Australia b. amazon.com.auc. Woolworths Onlined. Coles Online

http://www.ebay.com.au/https://www.amazon.com.au/https://www.woolworths.com.au/https://shop.coles.com.au/

インターネット販売の実態

輸出拡大に向けて

(13)オーストラリア Australia(メルボルン/シドニー)

96

各国・地域への輸出に向けて3 章

(14)ドイツ  Germany

平成26年

生産量(千トン)消費量(千トン)輸出量(トン)輸入量(トン)

* *

100,415345,491

平成27年

* *

126,359389,590

市場の特性

コメの輸入量、消費量は増加の傾向

イタリア、オランダ、ベルギー、カンボジア、インド、タイ、ミャンマー、パキスタン、フランス、スペイン

 ドイツでは基本的にはコメは生産されていません。コメの輸入量

は、近年増加傾向にあります。2015年の輸入量は40万トン近く、傾

向としては玄米の輸入量が減少し、精米の比率が高まっています。精

米の輸入先の1位はイタリアです。

 日本からドイツへの精米の輸出量は、2010年までは10トン以下

でしたが、2010年には50トンに増加。2011年から2014年までは

50トン前後で推移し、2015年は91トンと倍近くに伸びています。

 日本からドイツへの米菓の輸出量は、近年のピークが2008年の

39.9トンです。2011年は東日本大震災の影響もあり6.6トンと大

きく落ち込みました。2015年は10トンを上回る水準に回復してい

ますが、ピーク時の規模には戻っていません。

 ドイツでのコメの1人当たりの年間消費量は、1980年2kg、2000

年4kg、2013年は5.7kgと拡大しています。しかし、欧州の平均は約

10kg で、特にポルトガルでは年間15 kgを超えており、それに比べ

ればまだ少ないと言えます。

 コメの消費が増えている背景には、コメに対する女性の関心の高ま

りがあると思われます。女性誌では頻繁にコメを使った各国の料理の

レシピが紹介されています。ドイツ人にとってコメは主食というより

も野菜のようなカテゴリーで考えられています。小麦のようにグルテ

ンアレルギーを起こさない、健康に良いというポジティブなイメージ

で捉えているので、今後もさらに消費は拡大すると思われます。

 しかし、日本産のコメを取扱う小売店は非常に限られており、現地

在住の日本人でも日本産米を日常的に購入、消費している層は少な

いようです。また、日本食を提供する外食店で使われているのは、ほ

とんどがイタリア産のジャポニカ米です。 

 

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年

60326512

平成27年

91314714

平成26年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

1114

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

1015

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:8,218万人● 名目GDP:3兆3,653億米ドル● 1人当たり名目GDP:40,952米ドル● 名目GDP成長率:-13.39%

● 日系企業数:1,777社● 在留邦人数:42,205人● 日本食レストラン等の状況:全国で約500店。 日本食はヘルシーなイメージと共に普及。                  (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2015年)

****

平成28年

平成28年

90356520

平成28年

1217

表-2 日本からのコメの輸出状況

97

各国・地域への輸出に向けて3 章

日本産米の流通経路

日系市場へは、日系の食品輸入卸業者を通して流通

流通チャネルと取引慣行 

A

加工食品の流通経路B 大手小売業者に新規取扱いを依頼する場合、リスティング・フィー(棚代)を請求される可能性があります。

ドイツの食品流通経路図-1

 日本産食品の流通経路は、市場がメインストリームの場合、日本のメーカーから輸出商社経由でドイツの輸入卸へ、そして小売業者へという流れが一般的です。ドイツに現地法人がある場合は小売業者と直接取引するか、問屋を通しての取引となります。 日系及びアジア系市場の場合、日系の食品輸入卸業者と取引するのが一般的です。日本のメーカーから輸出商社経由、あるいは直接ドイツの日系食品輸入卸に商品を輸出し、ドイツ国内の日系市場に商品を流通させます。

輸入卸業者

食品卸問屋

食費加工業者

(出典)日本貿易振興機構(JETRO)「ドイツ日本食品消費動向調査」(2015年3月)

(14)ドイツ Germany

農業・畜産・水産業者

輸入食品

小売業者

消費者

98

各国・地域への輸出に向けて3 章

(14)ドイツ Germany

 コメは植物検疫の対象となっておらず、日本側で植物検疫証明書を取得する必要はありません。

関税割当枠と関税

EUの関税体系を適用

欧州委員会実施規則に基づき規制

 食品と飼料における農薬の残留許容量に関する欧州議会・理事会規則(EC)No.396/2005で規定されています。すべての穀物に対する最大残留基準については、「EU農薬データベース」で検索可能です。

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 福島県産のコメは放射性物質検査証明、それ以外の都道府県産のコメには産地証明を添付する必要があります。コメ加工品については、福島県産のコメの使用割合が50%を超える食品は、47都道府県すべてで放射性物質検査証明が必要。福島県産以外のコメで生産・加工されたもの、又はそれらの使用割合が50%を超える食品は産地証明が必要です。 コメ・コメ加工品ともに輸入国ではサンプル検査が実施されています。             (2017年1月6日現在)

※b,d,lは精米については表示義務対象外。jは指示がないと使用が困難 と思われる食品の場合に表示

関税

関税割当枠  EU全体でコメの輸入量をコントロールする観点から、輸入関税がゼロ若しくは減額される輸入割当枠があります。この割当枠を利用するためには別途、輸入割当ライセンスが必要です。ライセンス取得には、直近2年間のコメの輸入実績があることと、通常の輸入ライセンスの取得が前提となります。 2016年現在、準精白米及び精白米で輸入関税がゼロとなる割当枠は、EU全体で年間63,000トン。これがEU加盟国に申請した輸入業者へ割り当てられます。また、玄米は従価税が15%に固定される割当枠が年間1,634トンです。

 ドイツは欧州共同体統合関税率(TARIC)を採用しています。玄米:30ユーロ/1,000kg……輸入ライセンス使用時   15%(従価税)……輸入割当ライセンス使用時精米:175ユーロ/1,000kg……輸入ライセンス使用時 0%……輸入割当ライセンス使用時包装米飯:8.30%+46.00ユーロ/100kg米菓:9.70%+商品の組成による追加課税

製品表示の内容

a. 食品名b. 原材料名c. アレルゲンd. 特定の原材料又は 原材料カテゴリーの量e. 正味量f. 賞味期限/消費期限g. 特別な貯蔵条件/ 使用条件(ある場合)

主な関連法規

●食品関連法規

●食品添加物関連法規

●食品表示規格●食品包装に関する規制

検疫制度A

食品規制B

検疫制度と食品規則 

残留農薬基準

EUの食品に関する一般原則と要件は、欧州議会・理事会規則(EC)No178/2002など欧州議会・理事会規則(EC)No1333/2008による認可リストに準じる欧州議会・理事会規則(EU)No1169/2011

欧州議会・理事会規則(EC)No1935/2004「食品に接触する素材及び製品に関する規則」

h. (当該商品について責任を  負う)事業者(あるいは輸  入業者)の名称と住所i. 原産国/原産地j. 使用方法k. アルコール度数l. 栄養表示 (2016年12月13日より新たに  義務化)

柿の種ハッピーターン歌舞伎揚げぷち醤油おかきてりやきせんべい歌舞伎揚けおせんべい あられWANT WANT Shelly Senbei 雪餅WANT WANT Rice Cracker 豆の餅

Reiswaffeln gesalzenReiswaffeln mit meersalzReiswaffel mit QuinoaReis VK Pops

日本日本日本日本日本日本タイ中国台湾Non-EUEU/Non-EU

EUEU

商品名 原産国 販売 単位 円換算*

6袋入り120g

6袋入り78.8g120g120g70g72g108g100g100g130g125g

4.753.33.953.84.993.992.591.391.990.691.291.792.79

54638045443757445929816022979148206321

99

各国・地域への輸出に向けて3 章

(14)ドイツ Germany

価格(ユーロ)

Uncle Ben's express Basmati 非表示 250g 1.75 201

❺ 小売店の店頭価格

*2016年8月末為替レート:1ユーロ=115円

日本産米の価格は競合商品の1.5~2倍

米菓の販売価格(調査月:2016年8月~9月)表-6

仕入れは主にお客様のリクエストと、正確な表示ラベルで決める。 日本で生産されたことが外国人でも明確にわかるようにしなければ、違いがまったくわからない。 無農薬の玄米や発芽玄米でとても良い商品があったらいいと思う。

 日本産米は、調査した5店舗(日系小売店2、アジア系スーパー1、現地系スーパー2)のうち日本食レストランに併設の小売店2店と、アジア系1店で販売。いずれも日本産米以外に日本品種のイタリア産米や米国産米も取り扱っていました。 日 本 産 米は競合商品に比べて、1.5~2倍程度の価格でした。

 調査した5店舗では、日本産包装米飯の販売は確認できませんでした。現地系スーパーでは、電子レンジで調理可能なバスマティ米(長粒種)の白飯の他、パエリアの様なコメ料理の多様な商品が確認されました。

 日本産米菓は、日系小売店の他、アジア系スーパーでも取り扱われていました。日本産は競合となるタイ産や台湾産の2倍程度の価格でした。

税関などで遅くなり、小売店に届いた時は賞味期限1週間前だったりするため困る。 米菓の購入者はドイツ人の若者。日本のものは包装が美しい。

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C

包装米飯の販売価格(調査月:2016年7月~8月)表-5

Koshihikari UonumasanKoshihikari UonumasanあきたこまちあきたこまちコシヒカリYumenishiki RiceはるかShinode ReisSushi ReisMilch ReisMinori RiceKoshihikari錦かがやき

日本(新潟)日本(新潟)日本(秋田)日本(秋田)日本(新潟)イタリアイタリアイタリアイタリアイタリアスペイン米国米国米国

商品名 原産国(産地) 販売 単位 円換算*

価格(ユーロ)

価格(ユーロ)

商品名 原産国(産地) 販売 単位 円換算*

2kg5kg2kg5kg2kg5kg1kg1kg500g1kg1kg2kg1kg

4.54kg

18.542

13.9928.991517.84.52.992.493.494.511.54.517

2,1284,8301,6093,3341,7252,0475183442864015181,3235181,955

表-4 コメの販売価格(調査月:2016年7月~8月)

100

各国・地域への輸出に向けて3 章

(14)ドイツ Germany

コメ、コメ加工品ともに日本産以外の商品が目立つ 主要なECサイトでは、日本産のコメや包装米飯、米菓が販売されています。ジャポニカ米では、イタリア産、米国産のものが多く取り扱われていました。包装米飯は、「Tilda」や「Uncle Ben's」の商品が一般的なようで、それぞれ白飯以外の多彩なラインナップがありました。米菓は、日本産以外ではタイや中国の商品が目立ちました。

 越境ECにおいて発送拠点(倉庫と物流)をEU内に置く場合は、自社が輸入者となり、関税と付加価値税(VAT)の納税義務者となります。EU加盟国ごとにVAT登録を行い、申告義務が発生します。EU加盟国のVAT税率は国により異なります。VAT登録以外にも事業者・識別登録、銀行口座開設なども要するため、現地オンラインサイトのガイドラインなどの確認が必要です。 また、日本の植物防疫所によれば、精米及び玄米について郵便で輸出する際、植物検疫証明書は必要ないとされています(平成29年2月6日現在)。

 日本産米の輸出拡大には、輸入割当ライセンスを持っている輸入業者と取引を行い、少しでも実売価格を下げるなどの対策が求められます。一部の外食店が日本産米の使用を強く打ち出し始めているなど、「日本食を日本産米で食べる」価値を改めて訴求することも有効であると考えられます。 包装米飯は、原材料に雑穀や有機栽培米を用いるなど、健康面で訴求できる商品の導入なども一つの方法です。米菓では、賞味期限が長い商品を求める声が多く、これに応える商品が求められていると言えます。また、ドイツでは「Bio(ビオ)」と呼ばれるオーガニック食品が人気で、有機栽培のコメを加工した米菓などにも需要があると考えられます。

EU内に発送拠点を置く場合はVAT登録などが必要

インターネット利用率は高いが、食品購入利用率は低い  2016年のデータでは、個人の過去12か月におけるインターネット利用率は91%、インターネット販売の利用率は74%、食品やグロサリーのインターネット販売利用率は19%です(欧州連合(EU)統計局(Eurostat)調べ)。欧州ではクレジットカード決済に抵抗感があるケースがみられ、ドイツでは通信販売と同様に請求書による後払いが3分の1を占めているとされています。 2015年時点でのドイツのEコマース(EC)市場規模は598億ユーロと推定されています(ドイツのE-コマース協会のレポート)。 

主要ECサイトa. Amazon de b. eBay de c. DAEYANG

https://www.amazon.de/http://www.ebay.de/http://www.dae-yang.de/

インターネット販売の実態

輸出拡大に向けて

101

各国・地域への輸出に向けて3 章

(15)英国 UK

平成26年 平成28年

生産量(百万トン)消費量(百万トン)輸出量(トン)輸入量(トン)

* *

48,045 692,834

平成27年

* *

51,869 725,766

市場の特性

一般の炊飯より寿司米の需要が多い側面も

インド、イタリア、スペイン、タイ、パキスタン、オランダ、ベルギー、米国、フランス、カンボジア

 英国のコメの輸入量は、ここ10年間で見ると70万トン前後で推

移しています。一方、輸出量は2006年以降3万~4万トン台を保っ

ていましたが、2013年以降は増加傾向にあり、2015年には5万ト

ンを超えました。コメの輸入量が多いのはインドで、この10年間は

20~30%のシェアを占めています。

 日本からの商業用のコメの2015年度輸出実績は189トンで第8

位。2010年度の輸出量36トンに比べると約5.3倍に伸びています。

 英国における年間精米供給量を国民1人当たりに換算すると、

1997年までは2kg台前後でしたが、1998年以降から急激に増加

し、2011年には約7kgに増加しています(国際連合食糧農業機関

調べ)。同時期に英国への移民数も増加しており、その中にはインド

やパキスタン、中国など長粒米を主食とする人も多く、これらの層

の増加がコメの供給量の変化の一つの要因となっていると考えら

れます。

 英国において小売店等で販売されたコメの総額は2013年に4億

3,700万ポンド(約808億円)となり、2011年と比べて6.3%伸び

ています。ただ、その大半は長粒米(インディカ米)であり、短粒米と

言われる日本品種米は少数派と推察されます。

 また、コメを炊飯して白米のまま食べる習慣が英国にないことか

ら、英国人にとって日本品種米を消費する主たる場は、日本食レス

トランやアジア系のレストラン、テイクアウトショップ等の中食・

外食で、日本品種米は「Sushi Rice」という認識が一般的です。テイ

クアウェイの寿司等を販売する日本食材店では、一般の炊飯より寿

司米の需要がはるかに多いという声もあります。英国の消費者は外

食を好む傾向にあり、外食にかける費用は2011年には700億ポン

ドに相当するほど大きく、現在も伸び続けています。

市場の特性と消費の傾向

A

消費の傾向B

表-1 コメの生産・消費・輸出入の状況

平成26年 平成28年

1123651014

3263011415

* *

64,099650,240

平成27年

1893171117

表-2 日本からのコメの輸出状況

平成26年 平成28年

輸出量(トン)輸出額(百万円)

2225

2329

輸出量(トン)輸出単価(円/kg)輸出事業者数1者当たり輸出量(トン)推計

平成27年

2428

表-3 日本からの米菓の輸出状況

● 人口:6,510万人● 名目GDP:2兆8,585億米ドル● 1人当たり名目GDP:43,902米ドル● 名目GDP成長率:-4.79%

● 日系企業数:1,021社● 在留邦人数:67,997人● 日本食レストラン等の状況:英国の日本食レスト ランは約810店舗。ヘルシーなイメージが定着。                  (2015年)

基礎データ 日本との関係

コメの主な輸入先国(2016年)

3 章 各国・地域への輸出に向けて

102

食品の流通経路

(出典)日本貿易振興機構「英国の日本食品市場の現状について(2016年7月)」

輸送費用はドル建て。変動も大きい

英国の食品の流通システム図-1

流通チャネルと取引慣行 

A

取引慣行B

 英国内の日系輸入業者は、通常日本国内にパートナーとなる専門商社を有しており、日本の輸出業者は当該指定商社への納品が一般的です。現地系輸入業者と取引する場合は、現地での商品引渡しが求められます。

 日本産米は船便の常温コンテナ輸送で運ばれることが一般的です。英国に到着するまでに最短でも2か月を要しますが、英国は日本に比べて冷涼・乾燥しているため、長期間精米状態で保存しても日本ほど品質劣化は発生しません。 海上輸送の費用はドル建てで、需給や原油価格の動向等による変動が大きく、月に20%程度上下することもあります。 日系輸入業者の主たる販売先は、日本食レストランや日系小売店で、市場の広がりは小さくとも安定的な取引が可能です。年に数回は日本から現地へ行き、営業や試食販売等の活動を行う輸出業者が売り上げを伸ばしています。現地系の輸入業者を通じた取引は、ラベル対応や荷姿、原材料、認証取得など輸出業者側に求められる条件が格段に厳しくなります。ただ、これらをクリアできれば現地での宣伝効果は高く、市場も大きく広がります。

メーカー・生産者

国内卸

輸出商社 海

運業者(乙仲)

輸入業者

現地系

日系

現地卸

小売店・外食産業・ホテル等

輸入通関

(15)英国 UK

103

3 章

(15)英国 UK

 コメは植物検疫の対象となっておらず、日本側で植物検疫証明書を取得する必要はありません。

輸入数量割当と関税

事前の輸入ライセンス取得が必要になる場合がある

欧州委員会実施規則に基づき規制

 食品と飼料における農薬の残留許容量に関する欧州議会・理事会規則(EC)No396/2005で規定されています。

東京電力福島第一原発事故に関連した輸入規制

 福島県産のコメは放射性物質検査証明、それ以外の都道府県産のコメには産地証明を添付する必要があります。コメ加工品については、福島県産のコメの使用割合が50%を超える食品は、47都道府県すべてで放射性物質検査証明が必要。福島県産以外のコメで生産・加工されたもの、又はそれらの使用割合が50%を超える食品は産地証明が必要です。 コメ・コメ加工品ともに輸入国ではサンプル検査が実施されています。 (2017年1月6日現在)

関税

輸入数量割当  EUの共通農業政策(CAP:Common Agricultural Policy)による保護対象農産物の輸入規制があり、輸入業者がEU以外の国から年間1トン超のコメを輸入する際には、事前の輸入ライセンス取得が必要です(Full Duty Licences)。また、輸入関税がゼロまたは減税される輸入割当枠(Import Tariff Quotas)があり、これを利用するためには輸入割当ライセンスが必要となります。 2016年現在、EU全体で準精米及び精白米の輸入割当枠は年間63,000トン。玄米は従価税が15%に固定される割当枠が年間1,634トンです。

 英国は欧州共同体統合関税率(TARIC)を採用しています。玄米:30ユーロ/1000kg…輸入ライセンス使用時 15%(従価税)…輸入割当ライセンス使用時精米:175ユーロ/1000kg…輸入ライセンス使用時 0%…輸入割当ライセンス使用時包装米飯:8.30%+46.00ユーロ/100kg米菓:9%+商品の組成による追加課税

製品表示の内容(英語)

a. 食品名b. 原材料名  (精米については表示義務対象外)c. アレルゲンd, 特定の原材料又は原材料カテゴリーの量 (精米については表示義務対象外)e. 正味量

f. 賞味期限/消費期限g. 事業者(あるいは輸入 業者)の名称と住所h. 原産国/原産地i. 栄養表示j. ロット番号

主な関連法規

●食品関連法規

●食品添加物関連法規

●食品表示規定(包装済食品)●食品包装に関する規制

EUの食品に関する一般的原則と要件は、EU「欧州議会・理事会規則(EC)No178/2002」及び英国「改正1990年食品安全法〔The Food Safety Act 1990(as amended)〕」

欧州議会・理事会規則(EC)No1333/2008による認可リストに準じる欧州議会・理事会規則(EC)No1169/2011欧州議会・理事会規則(EC)No1935/2004「食品に接触する素材及び製品に関する規則」

検疫制度A

食品規制B

検疫制度と食品規則 

残留農薬基準

各国・地域への輸出に向けて

3 章 各国・地域への輸出に向けて

104

(15)英国 UK

❺ 小売店の店頭価格

競合商品に比べると総じて高価格

 日本産米は、調査全5店舗(日系スーパー3、英国系スーパー1、英国系百貨店1)のうち日系スーパーのみでの取扱いでした。1kg当たりの平均単価は日本産米(13品目)5.2ポンド、米国産米(20品目)3.3ポンド、イタリア産(18品目)1.7倍でした。

 EU産は炊き方などの説明が英語で書かれているの で、イギリス人やEU圏の人には受けがいい。日本産 米は日本語のみのパッケージで、違いや炊き方を聞 かれる。 日本産米の競合品はイタリア産。

 包装米飯は調査した日系店舗よりも英国系店舗のほうが積極的な品揃えでした。日本産商品が200gで1パックが多かったのに対して、外国産商品は250gで1パックが多く見られました。商品価格は、インド産やタイ産が低めに設定されていました。

 今後、おこわや赤飯など取扱いにバラエティをつけ るかもしれない。 英語表記のパッケージ商品もあるといい。

 日系3店舗は日本産のみ、英国系店舗は外国産のみの取扱いでした。延べ97品目が確認できましたが、日本産が約85%、これ以外が約15%という内訳でした。総じて日本産商品が高価格で、他国産の2倍以上で販売されていました。

 EU圏、アジア系を含め、基本的にお菓子が好きなの で日常的に購入する人が多い。

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

〈調査対象店舗担当者などの声(抜粋)〉

コメの販売価格A

包装米飯の販売価格B

米菓の販売価格C

*2016年8月末為替レート:1英国ポンド=135.29円

コメの販売価格(調査月:2016年8月)表-4

米菓の販売価格(調査月:2016年8月)表-6

商品名 原産国(産地) 販売 単位 円換算

こしひかりななつぼしあきたこまち富山県入善町こしひかりゆめにしきみのりこしひかり

日本(新潟)日本(北海道)日本(秋田)日本(富山)イタリアスペイン米国

2kg5kg5kg1kg5kg1kg6.8kg

1031.4224.995.4916.673.5324.99

1,3534,2513,3817432,2554783,381

価格(英ポンド)

商品名 原産国(産地) 販売 単位 円換算

こつぶっこ黒豆せんべいばかうけ青のりしょうゆ味カレーせん JOYPACK梅の香巻Chilli Rice crackersRice cakes

日本日本日本日本日本EU

オランダ

124g170g78g62g

19pcs200g110g

2.723.652.71.593.992

1.45

368494365215540271196

価格(英ポンド)

商品名 原産国(産地) 販売 単位 円換算

あったかごはんこしひかり北アルプスの天然水仕立てふんわりごはん富山県産こしひかりふんわりごはんTilda Pure BasmatiUncle Ben's Basmati riceAromatic and fluffyMicrowavable basmati riceVeetee Thai Jasmin rice

日本日本

日本(富山)

日本不明EU

インド

タイ

200g×3200g

200g

200g250g250g

250g

300g

6.481.67

1.39

1.291.671.87

0.67

1.29

877226

188

175226253

91

175

価格(英ポンド)

包装米飯の販売価格(調査月:2016年8月)表-5

105

(15)英国 UK

包装米飯の取扱いサイトは限定的 日本産米の取扱いがないサイトがある一方で、競合品のコメはすべてのサイトで取り扱われていました。包装米飯の取扱いはT.K.Online Shopingのみで、コメや米菓と比べて取扱いは少ないのが現状です。T.K.Onl ine Shopingは、英国内を中心に輸入卸、小売り、出張販売、メールオーダー等で日本食品を販売しており、「英国最大の日本食オンラインショッピング」とうたわれています。

 日本の事業者が英国への越境ECを行う場合のポイントは、販売活動の拠点を日本と英国のどちらに置くかにあります。相違点は以下のとおりです。

英国国内サーバーでの運営には留意が必要

a.日本国内にサーバーと商品発送拠点を設置し、販売する場合 → 英国の法律に基づく手続きの必要はなし。b.英国国内のサーバーに情報登録し、英国外から発送する場合 → サイトにより運営・出店方法が異なる点に留意する。c.英国のサーバーに商品情報を掲載し、商品発送拠点を英国に設置、英国内向けに販売する場合   自社が輸入者となり、関税と付加価値税(VAT)の納税義務者となる。英国でVAT登録を必要があり、申告義務が発生する。

小売全体のEコマース売上高が急増 英国でのインターネット浸透率は、2009年に80%を超え、2014年時点で90%台に達しました(Internet Live Stats調べ)。英国の小売業界全体のEコマース(EC)売上高も、2008年から2011年にかけて大きな伸びを見せ、2013年には5,447億ポンドに達しました。その後も5,000億ポンド台前半を維持しています(英国国家統計局発表)。

 英国へのコメ輸出量上位を占めるスペインとイタリアでは、日本品種米も生産されています。見方を変えれば、それだけ日本品種米の需要があり、日本産のコメの輸出拡大の余地が残っていると言えます。 価格差については関税も関係しており、スペイン産やイタリア産はEU圏内のため関税がかかりません。日本の輸出業者は、関税がゼロになる輸入割当ライセンスを持つ輸入業者と取引を行うことで、実売価格を少しでも下げる対策が考えられます。 なお、英国は2016年6月に行われた国民投票の結果を受け、今後EUから離脱する方向となりました。EUへ離脱通告後2年間はEU法が適用されますが、2017年2月現在、まだ通告はされていません。英国への食品の輸出に対しては今後少なくとも2、3年はEU法での対応となります。

主要ECサイト

a. amazon.com b. ebay.comc. tesco.comd. Asda.come. T.K.Online Shopping

http://www.amazon.com/http://www.ebay.com/http://www.tesco.com/http://www.asda.com/https://www.japan-foods.co.uk/

インターネット販売の実態

輸出拡大に向けて

3 章 各国・地域への輸出に向けて