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STANDING INTERNATIONAL ROAD WEATHER COMMISSION 第 11 回国際道路気象会議 2002 年 札幌大会 発表要旨集 2002 年1月 26~28 日 於 京王プラザホテル札幌

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S T A N D I N G I N T E R N A T I O N A L R O A D W E A T H E R C O M M I S S I O N

第 11 回国際道路気象会議

2002 年 札幌大会

発表要旨集

2002 年1月 26~28 日

於 京王プラザホテル札幌

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- 目 次 -

気象と道路管理方針・施策/費用便益 ノルウェイ・ウィンター・インデックス(冬期指数)(NORIKS)について -4-

Anette Heiberg Mahle(ノルウェイ)/ Gry Rogstad 冬期管理に関する効果計測手法 -4-

John E.Thornes(イギリス) 欧州における冬期道路管理-その現状と調査研究 -5-

Stefan Bald(ドイツ)/ Didier Giloppe/ Marilyn Burtwell/ Valérie Muzet 道路気象に関する将来の研究トピック -6-

Risto Kulmala(フィンランド)

センサ技術と機器/道路気象情報システム/ITS 技術 道路気象移動観測車 -7-

Jaakko Myllylä(フィンランド)/ Yrjö Pilli-Sihvola 音響と画像による冬期路面状況センサーのプロトタイプ -7- Kevin McFall(スウェーデン)/ Tommy Niittula 道路気象と滑り摩擦の関係に関するフィールド実験 -8-

Ville Haavisto(フィンランド)/ Taisto Haavasoja/ Markus J.Turunen/ Pauli Nylander/ Yrjö Pilli-Sihvola

インテリジェント視程計による路面温度と降雪短時間予測に関する研究 -8- 沼田実(東邦技術)/ 岡本純/ 田代亨/ 伊藤驍 音響信号を用いた吹雪強度の推定 -9- 小杉健二(防災科学技術研究所)/ 佐藤威/ 佐藤篤司/ 阿部修 中央ヨーロッパにおけるRWISの統合化 -10-

Ing.Jan Svarc(チェコ)/ RNDr.Miroslav Skuthan/ Daniel Glanc 道路気象数値観測について -10-

Torbjörn Gustavsson(スウェーデン)/ Jörgen Bogren ITS における道路気象情報システム -11- Hans Van Saan(オランダ) 道路気象センシング:米国の社会インフラにおける位置づけ -11-

Gary G.Nelson(米国)/ Paul Pisano 交通管理における道路気象と交通データ -12-

Petteri Portaankorva(フィンランド) 予測情報を利用した道路管理支援システム -12- 山田高史(北陸建設弘済会)/ 丸山暉彦 Web と E メールを用いた冬期道路管理支援システムの開発 -13-

滝谷克幸(日本気象協会)/ 加賀谷英和/ 山際祐司/ 加治屋安彦 多数の業者がいる環境下での冬期道路管理請負業者に対する Web ベースの道路 気象情報の提供 -13-

Kimmo Toivonen(フィンランド)/ Jouko Kantonen

気象予測 熱収支理論に基づく韓国での路面予測 -14-

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Chang-Keun Song(韓国)/ Boram Lee 熱放射計測による局地路面温度予測の改善について -14- Jörgen Bogren(スウェーデン)/ Torbjörn Gustavsson 凍結路面に影響を与える因子の重要度評価(数値実験による評価) -15-

Tatiana V. Samodurova(ロシア) インターネット技術を活用した路面凍結の自動短時間予測 -15-

Jianmin Shao(イギリス)/ Jonathan Lister 21世紀の路面凍結予測に関する構想 -15-

Lee Chapman(イギリス)/ John E. Thornes 新しい気象予測の方式 -16-

Claes Brundin(スウェーデン) 変分法による気象場の縮小 -16-

Reinhold Steinacker(オーストリア) 高精度な自動道路気象予測システムの開発 -17-

Bent H. Sass/ Claus Petersen/ Torben S. Pedersen(デンマーク) 冬期道路管理情報センター道路気象予測 -17-

Wolfgang E.Raatz(ドイツ)/ Ludwig Niebrügge

厳しい気象条件 広域降雪水量予測モデルについて -18-

水津重雄(ジオシステムズ)/ 山田穣 山地積雪荷重推定のための積雪平均密度について -18-

阿部修(防災科学技術研究所)/ 清水増治郎 日本の高速道路における濃霧時交通事故の気象状況と事例研究 -19-

山本哲(気象研究所) 吹雪による視程障害時の運転挙動に関する研究 -19-

金子学(開発土木研究所)/ 加治屋安彦/ 福沢義文/ 松沢勝 吹雪時における視程の推定手法 -20-

松沢勝(開発土木研究所)/ 竹内政夫 硬度の異なる雪面上の吹雪フラックス及び視程の推定について -20-

佐藤威(防災科学技術研究所)/ 小杉健二/ 佐藤篤司 降雪時における電子画像を用いた視程評価手法の開発 -21-

萩原亨(北海道大学)/ 藤田諭/ 木坂聖 高地における吹雪及び積雪状態予測モデルの統合化の試み -22-

Gerald Spreitzhofer(スイス)/ Michael Lehning/ Judith Doorschot/ Charles Fierz/ Norbert Raderschall

大雪による乾雪表層雪崩の危険度評価モデル -22- 水津重雄(ジオシステムズ)

GIS を用いた雪崩発生ハザードマップ作成手法 -23- 山田穣(防災科学技術研究所)/ 阿部修/ 小杉健二/ 渡辺伸一

スイスの雪崩と道路の地方管理者を支援する SLF によるコンピュータツール -23- Michael Lehning(スイス)/ Walter Ammann/ Perry Bartelt/ Marc Christen/ Martin Gassner

一般道路気象 凍結路上の降雨時路面スベリに関する地域特性の影響 -24-

Marie Eriksson/ Sven Lindqvist(スウェーデン)

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冬期道路:地盤工学と温度特性の応用 -24- Patrick Lerat(フランス)/ Anne-Mari Cames-Pintaux/ Tchao-Jules Assih 路側と道路上での微気象の詳細測定 -25-

Esben Almkvist(スウェーデン) 降水と路面情報 RWIS データで道路気候学を構築することは可能か?将来的研究 -25- Valérie Muzet(フランス)/ Gérard Queyrel/ Jean Livet 北日本における道路気象に関連する凍結指数の分散傾向 -26- 伊藤驍(秋田高専) トンネル湧水によるパイプヒーティングの基礎的実験 -26-

永井泉治(エイトコンサルタント)/ 吉武勇/ 浜田純夫 地下水温度の推定と融雪過程 -27-

吉武勇(山口大学)/永井泉治/ 谷本俊夫/ 浜田純夫

利用者への道路気象情報提供 アイスランドにおける利用者に対する道路気象情報の提供 -28-

Björn Ólafsson(アイスランド) 道路気象とドライバーへの情報提供が交通事故に与える影響 -29- Marilyn Burtwell(イギリス)/ Adrian Runacres 道路情報・気象情報の利用者への提供(オーロラプロジェクトの結果) -30- S.Edward Bosely III/ Daniel S.Roosevelt(米国) 道路 Web 記述言語 RWML-インターネット上の道路情報流通のための XML- -30- 加治屋安彦(開発土木研究所)/ 山際祐司/ 工藤康博/ 加賀谷英和/ 嶋野崇文

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ノルウェイ・ウィンター・インデックス(冬期指数)(NORIKS)について

Anette Heiberg Mahle

Norwegian Public Roads Administrations, Transport Informatics Division P.O.Box 8142 Dep., N-0033 Oslo, Norway

Tel: +47 22 07 35 00 / Fax: +47 22 07 33 11 E-mail: [email protected]/ [email protected]

冬期指数は、凍結防止剤や砂の散布、除雪などの冬期道路維持管理を必要とする状況を識別するた

めに作成されたものである。この指数は一定時間内の実際の気象状況を表し、請負業者が実際に行っ

た作業に対する支払い金額の調整可能になる。 作業の質を確保するため、冬期維持管理担当者との間で緊密な協力が行われた。担当者へのアンケ

ート、一定期間に行われたあらゆる維持管理作業の登録、そして指数の開発者と維持管理担当者との

話し合いなどの方法が採られた。研究の結果、我が国の冬期指数、式により表す NORIKS を作成した。 NORIKS = Σ(気温上昇+気温低下+降氷+地吹雪) ここで、一定期間(週毎、月毎など)の事例数を合計する。

式を構成するパラメータの中には、道路の冬期維持管理という形で対処することが必要な天候条件

が含まれている。 指数の計算に利用できる入力データには、ノルウェイ気象協会(DNMI)とノルウェイ公道管理局

の両方が提供するデータがある。このプロジェクトの重要な目標は、様々な情報源から提供されるデ

ータをまとめて、特定の地理的地域に利用できる指数を作成する方法を開発することである。

冬期管理に関する効果計測手法

John E. Thornes

School of Geography and Environmental Sciences University of Birmingham

United Kingdom [email protected]

(要旨未受領)

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欧州における冬期道路管理-その現状と調査研究

Giloppe Didier1, Burtwell Marilyn2, Bald Stefan3, Muzet Valérie4 Ministère de l'Equipement et des Transports, CETE de Normandie Centre,1

10 chemin de la poudrière, BP 254, 76121 Le Grand Quevilly, France, [email protected]

TRL Ltd. Old Workingham Road, Crowthorne Berkshire, RG45 6AU, UK,2 [email protected]

Technical University Petersenstrasse 30, 64287 Darmstadt, Demmark, 3 [email protected]

Ministère de l'Equipement et des Transports, CETE de l'Est, 71, rue de la Grande Haie, 4 54510 TOMBLAINE,

[email protected] 寒く厳しい気候条件において、可能な限り道路利用者の安全を確保し、障害を除くために、効果的

な雪対策は各国政府にとって重要な事業である。各国内及びヨーロッパの道路網はこの数十年の間に

大きく発達したが、革新的な雪対策技術や方法の必要性も同時に高まっている。 COST アクション 344:“ヨーロッパの道路及び橋梁の雪対策の向上”の名称をもつ欧州委員会の

プロジェクトは、ヨーロッパ 19 カ国の学術情報交換の場である。このプロジェクトにおける調査の重

要点についてこの論文で紹介する。 タスクグループ 1 の目的は、ヨーロッパの冬期維持管理に関する情報の収集であった。冬期維持管

理専用の用語集(現在では 8 ヶ国語で 180 項目の用語と説明)、および最新の様々な出版物や資料の

文献目録が作成された。 タスクグループ 2 は、安全の問題、環境及び情報に関わる基準、雪対策の管理と実践、さらにより

費用対効果が大きく効率のよいサービスを提供するため改善すべき点の特定を担当している。 タスクグループ 3 は必要条件を定義し、EU や他の COST 加盟国にとって最善の方法を特定して、

雪対策の手法と作業内容や効果の確立と改善を行う。このグループは、ある解決策が他のものより優

れていると指摘するのが目的ではない。なぜなら政策や気候の面で地域の状況には大きな違いがあり、

必要とされる解決策も異なるためである。ヨーロッパ全体にあてはまる“最善の方法”などはあり得

ない。しかし、特定の状況のための“より良い方法”を示すことは可能である。

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道路気象に関する将来の研究トピック

Risto Kulmala VTT Building and Transport, P.O. Box 1800, FIN-02044 VTT, Finland

E-mail [email protected] この論文は、COST アクション 344:“ヨーロッパの道路及び橋梁の雪対策の向上”による“今後

の研究”に関する事業について解説する。この事業は、今後の研究テーマの特定、今後の研究テーマ

の優先順位付け、そして今後の研究として最重要テーマの選択と作業の内容説明の 3 段階で行われた。

今後の研究テーマは各国の専門家を対象とした E メールによる調査で集められた。16 カ国約 90 名の

回答者から研究テーマについての提案が寄せられた。プロジェクトチームは受け取った 200 の異なる

テーマを分析し、優先順位を付ける研究テーマを 93 にまとめて、テーマの最終的なリストを作成し

た。このテーマのリストはインターネット調査の基礎として使用され、各国の専門家や異なる組織形

態(道路行政、産業、大学/研究機関)を代表する専門家は研究テーマに優先順位をつけるよう求め

られた。全部で 17 カ国、57 名の専門家が調査に回答した。多くのテーマが非常に重要または重要であ

るとされた。今後、短期的に最も重要な研究テーマは次の 6 つである。1)路面状態の予測、測定とモ

デリング、2)冬期道路維持管理の政策と戦略(サービス性能、調和の取れたサービスの質など)、3)地方及び都市部における運用実践の費用と便益、4)道路気象条件と冬期道路維持管理が交通流、安

全、交通容量及び道路利用者の挙動に及ぼす影響、5)より費用効率が良く、効果的で環境に優しい

滑り止め製品、6)交通安全と効率の面で最適な、気象関連の交通管理システムと情報システム。

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道路気象移動観測車

Jaakko MYLLYLÄ, M.Sc., Yrjö PILLI-SIHVOLA, M.Sc.

Finnish Road Administration Kauppamiehenkatu 4, FIN-45100 KOUVOLA, FINLAND

Fax: +358 20 422 6215 E-mail:[email protected], E-mail:[email protected]

道路網における天候と運転条件のモニタリングを改善し、より正確な情報を提供するために道路気

象観測車を開発した。観測機器は気温、湿度及び路面の温度と摩擦を測定する。これらの情報は、衛

星通信による全地球測位システム(GPS)を利用して、その位置が機器内に特定される。通常に走行

しながら測定を行う。システムは交通流のスピードについての情報も提供する。これらすべての情報

は GSM 携帯 Tel.ネットワークを通じてフィンランド道路管理局の道路気象システムにリアルタイム

で送信される。 測定システムの機能試験は 1998 年から 2000 年に行われた。総合的なシステムの機能については比

較的良好であった。移動モニタリングステーションの測定による気象のパラメータは固定ステーショ

ンのものと一致している。測定の再現性も良好である。摩擦測定精度も運転条件を明らかにするとい

う点では十分であるが、専用の摩擦計測器ほどの精度はなかった。摩擦計測器は冬期維持管理の品質

監視用には推奨できない。 2000 年には観測システムが自動化された。自動システムは観測車が走行を始めたときに自動的に

運転を開始し、自動的に気象の運転条件を測定する。この装置の最初の商業化は 2002 年に完了する

予定である。商業化された機器はほぼ全種のバスや大型車両に搭載することができる。

音響と画像による冬期路面状況センサーのプロトタイプ

Kevin McFall1 and Tommy Niittula2

Delarna University1 Aerotech Telub2 Rödavägen 3 Box 760 78188 Borlänge, Sweden 78127 Borlänge, Sweden E-mail: [email protected] E-mail: [email protected]

冬期道路状況の分類に関する数年の研究を経て、自動化されたプロトタイプのテストを行った。道

路の画像またはセンサーを通過する車の音響信号、あるいはその両方を組み合わせたデータに基づき、

ニューラル・ネットワーク網を用いて分類することが可能となった。画像に基づくシステムでもまた、

信号に基づくシステムでも、道路状況の分類については良好な結果が得られたが、最も信頼できる結

果は両方を用いたシステムである。複合システムによる分類を行った結果は凍結・積雪・湿潤路面に関

しては信頼性が高いが、乾燥路面に関しては低い。乾燥路面については、より多くの典型的なデータ、

あるいは他の RWIS センサーのデータをとり入れることで改善することができる。凍結・積雪・湿潤路

面に関しては、この判定システムは冬期間の 3 ヶ月間において 3 日間を除いて、ほぼ 100%正しく判

別した。

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道路気象と滑り摩擦の関係に関するフィールド実験

Taisto Haavasoja, Ville Haavisto, Markus J. Turunen, and Pauli Nylander

Vaisala LTD. P.O. Box 26, FIN-00421 Helsinki, Finland E-mail: [email protected]

Yrjö Pilli-Sihvola

Finnish Road Administration Kauppamiehhenkatu 4, FIN-45100 Kouvola, Finland

E-mail: [email protected] Vaisala 社製 ROSA 道路気象ステーション(RWS)による測定結果と現地試験による車両のグリッ

プ観察結果との比較を試みた。実験はフィンランド南東部に位置する Utti の 2 車線主要道路にて、

1999-2000 年と 2000-2001 年の冬期に行った。目的は、どの測定方法による結果が最も適正に車両

のグリップを示すかを明らかにすることである。 結果から、概して氷層の厚さが車両のグリップとよく相関している。より詳細に言えば、氷層が

0.05 ミリメートル以上であれば実質的に 97.4%の確率でグリップが低下する、または不足することが

確認できた。反対に氷層が 0.05 ミリメートル以下であればまだグリップの評価が可能と言えるが、

氷厚のみでは十分な情報を得られないケースもあった。 著者等はニューラル・ネットワークを適用することにより、氷層の厚さ及び路面温度と凍結温度と

の差が、一連のデータ及び観測結果において、最も適切に車両のグリップを示すことがわかった。

インテリジェント視程計による路面温度と降雪短時間予測に関する研究

沼田実1、岡本純2、田代亨2、伊藤驍3 東邦技術株式会社 1

横河電子機器株式会社 2 秋田工業高等専門学校 3

降雪予報と路面温度の予測は、冬期の安全で快適な道路交通状況の確保と路面管理を確実に行うた

めに重要な課題である。本研究において、著者等は降水状況と強度を計算する機能をもつインテリジ

ェント視程計による観察データを用いることにより、極めて短時間(3 時間以内)の降雪及び路面温

度予測の可能性調査を試みた。ある観測点でインテリジェント視程計が測定した降水状況コードと、

15km 離れた地点における 2~3 時間後の降雪の関係について調査した。分析の結果、インテリジェン

ト視程計の降水状況コードを利用することにより、約 74%の降雪予報精度が得られた。インテリジ

ェント視程計は降水状況コードを用いた新しい予報の方法として降雪予報に大きな可能性をもたら

す。また、3 時間後の路面温度をオブジェクト変数とした重回帰分析も行った。著者等が新たに開発

した降水状況コードを利用した方法は、分析の結果が示すように、路面温度予測分析の大きな可能性

を示唆している。

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音響信号を用いた吹雪強度の推定

小杉健二、佐藤威、佐藤篤司、阿部修

防災科学技術研究所新庄支所 雪氷防災研究部門 〒996-0091 新庄市十日町高壇 1400

E-mail: [email protected] 道路交通にとって吹雪は最も重大な問題の一つである。安全で効果的な交通管理のためには吹雪の

時間的、空間的変化を明らかにする必要がある。しかしながら吹雪の変化についてはほとんど知られ

ていない。それは既存の飛雪捕そく器がこうした研究には適切でないからである。音響信号を利用し

て吹雪の強度を測定するマイクロフォンとスチール缶を組み合わせた簡単な装置を考案し、吹雪強度

と音響信号の関連を調べるために風洞試験を行った。FFT 法による音響信号のスペクトル分析を行っ

た結果、ある特定の周波数のスペクトル密度が、飛雪輸送率に対してほぼ直線的に増加することがわ

かった。この装置を吹雪強度の評価に適用することができる。

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中央ヨーロッパにおけるRWISの統合化

Ing. Jan Svarc (Road and Motorway Directorate of the Czech Republic ) RNDr. Miroslav Skuthan ( Czech Hydrometeorological Institute )

Dr. Daniel Glanc ( DELTA Consult )

-要旨未受領-

道路気象数値観測について

T. Gustavsson & J. Bogren

Road Climate Centre, Physical Geography Department of Earth Sciences, University of Göteborg

Box 460, 405 30 Göteborg, Sweden [email protected]

道路気候学は、気温や路面温度、湿度などのパラメータの空間、時間的変動に関する知識が大きな

重要性を持つ応用気候学の一分野である。このような変数は局地的に滑りやすい路面発生という危険

性を左右する。したがって、維持管理職員など道路安全確保の責任者に的確な情報を提供するため、

これらのパラメータの正しい測定方法の認識が重要である。 RWIS の極めて重要な点は、気象観測機器から届いたデータの質がどのようなものか、また、道路

沿いのステーションや微気候学的に見た現象が存在する地表面―つまり路面―から離れた場所のセ

ンサーの利用により、道路気象条件がどの程度把握されているかということである。スウェーデン国

家道路局の資金提供により進められている研究プロジェクトは、こうした問題に取り組んでいる。本

論文では、採用した方法と予備研究の結果について紹介する。

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ITS における道路気象情報システム

Hans van Saan Ministry of Transport, Public Works and Water Management,

Road and Hydraulic Engineering Division P.O. Box 5044, 2600 GA Delft, The Netherlands

Tel: +31 15 2518 345, Fax: +31 15 2518 555, E-mail: [email protected] ITS の充実を図るため、オランダの RWIS ネットワークから得られるデータの活用やさらに活用す

るための方法についての研究について提言することを目的するプロジェクトについて報告する。ITSは常に発展し続けており、時折、一般から RWIS データの ITS 内での活用を求める要請がある。この

ような路側システムは、道路上、及び路側にセンサーを設置しており、路面状況に関する補足的な情

報提供が可能である。本研究は、ITS に関連した RWIS データまたは RWIS 技術の世界的な利用に関

する広範な調査に基づくものである。 ITS における RWIS の利用法として以下のものが考えられる。

RWIS 技術により、濡れた路面を検知する。このパラメーターはオンライン交通モデル、交通容

量推定装置、幅員可変レーンなど新しい用途のための測定、濡れた路面による単独事故の多発地

点の安全確保に利用することが可能である。 RWIS の測定ステーションにセンサーを設置し、排気ガス濃度を測定する。 分類方式に従って、RWIS で路面状況を自動的に記録する。これには RWIS 内部にエキスパート

システムが必要となる。このデータは ITS において、とりわけ高度運転支援システムに利用する

ことができる。さらに、既存の、及び今後運用開始となる情報システムにより、ユーザーは路面

状況に関する情報の提供を受けることができる。

道路気象センシング:米国の社会インフラにおける位置づけ

Gary G. Nelson1, Paul Pisano2

Mitretek Systems, Inc., 600 Maryland Ave. SW, Suite 755, Washington, DC 20024 1 Tel: 202 488 5718, Fax: 202 863 2988, E-mail: [email protected]

Federal Highway Administration, HOTO-1, 400 Seventh St. SW, Washington, DC 20590 2 Tel: 202 366 1301, Fax: 202 366 3255, E-mail [email protected]

ITS による支援のように、交通ネットワークを環境やその他の視点からモニターすることは、効果

的な道路運用にかかわる意思決定を行い、道路機能を管理する上で欠かすことができない。全国的に

統合化され開かれたモニタリングシステムの構築は、米国に全国的に統合化され開かれた幹線道路シ

ステムを誕生させた取り組みの延長上にあることは道理である。道路基盤は情報基盤、すなわち“イ

ンフォストラクチャ”のモデルである。道路とその周辺付近の環境の観察はその情報基盤のごく一部

に過ぎないが、既存の気象観測システムと重要な関係にある。米国の気象観測システムにも不統一な

部分があるが、地域当局や企業が展開している交通モニタリングシステムはよりさらに深刻な問題を

抱えている。この論文は、全国的な道路気象センシングの基盤設備に関する構想とその実現に向けた

初期段階の取り組みについて述べるものである。

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交通管理における道路気象と交通データ

Petteri Portaankorva

Research and Development Manager Finnish Road Administration, Kaakkois-Suomi Region

Kauppamiehenkatu 4 FIN-45100 Kouvola, Finland Telephone +358 204 22 6222

Telefax +358 204 22 6256 Email [email protected]

道路管理と交通管理に使用可能なデータを得るには、道路気象と交通のモニタリングが必要である。

しかしながら、モニタリングのみでは不十分である。モニタリングにはデータを扱うためにデータを

保管し、処理するデータベースまたはデータウェアハウスが必要である。多くの場合、この自動デー

タ処理は、道路管理センターや交通管理センターの職員の専門知識や技能により改良されている。こ

のように改良された情報は道路管理や交通管理に広く利用されている。情報はさらに、近い将来、交

通管理において重要性が高まる分野である事故管理に利用される。広く ITS の分野を見てみると、収

集データや技術的装置を様々な用途に利用することは技術面からも効果的であり、経済的でもあると

考えられる。道路気象情報システムは、道路管理のみならず、交通情報や交通制御にも利用可能であ

る。同様に、統計データに加えて、質の高い交通測定装置を利用してリアルタイムの交通制御と交通

情報、及び道路管理に役立てることも可能である。また、可変情報板のような路側の設備を設置する

際には、気象データと交通データのように相互補完する情報による標識の操作が有益であり、費用対

効果も大きい。

予測情報を利用した道路管理支援システム

山田高史 1、丸山暉彦 2 北陸建設弘済会 1

〒950-0197 新潟県中蒲原郡亀田町亀田工業団地 2 丁目‐3‐4 E-mail: [email protected]

長岡科学技術大学 2 〒940-2188 新潟県長岡市上富岡町 1603‐1

日本の冬期道路交通管理において除雪作業の果たす役割は大きい。系統だった切り替えと行動に関

する最終判断は経験に基づき下される。それでもなお、非効率的で信頼性に乏しい。このような問題の

解決には道路管理のシステム化が有効である。このため、移動速度の変化を予測し、視覚化したグラ

フの使用により時間を管理して除雪作業の効率化を図るため、道路管理支援システムによって道路利

用者に様々な情報をまとめて提供するよう提案する。旅行速度の予測は雪道の交通流を計算するシミ

ュレーションプログラムで行う。計算結果は、測定値は時速 46.6km、予測値は 45.2kmであった。

この結果は実際のレベルで実用可能なものである。

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Web と E メールを用いた冬期道路管理支援システムの開発

滝谷克幸 1、加賀谷英和 1、山際祐司 2、加治屋安彦 2 日本気象協会北海道支社 1

〒064‐8555 札幌市中央区北 4 条西 23 丁目 Tel.:011-622-2244 Fax: 011-622-8398

E-mail: taki@sapporo.jwa.or.jp 北海道開発土木研究所 2

日本の北海道札幌地区を対象とした「道路気象情報システム」を構築し、運営している。札幌は寒

さが厳しく降雪量が多い都市として知られている。このシステムは、インターネット技術を利用して

道路管理者と気象情報機関を結び、情報を共有することを可能にしている。 まず、道路管理情報、道路テレメーター情報、気象情報を基に道路管理に直接関わる情報を作成し、

提供することによって冬期の道路管理の効率化を図る「冬期道路管理支援システム」について更なる

考察を加える。 その結果、インターネットを通して情報入手を可能にするシステムを試作した。このプロトタイプ

システムには道路凍結防止支援システムと除雪作業支援システムが含まれる。 1)道路凍結防止支援システムの中に含まれている凍結防止作業支援ガイダンスは、気象・路面予測

情報に基づいて路面凍結指標と凍結防止作業に関する基準を提供する。 2)除雪作業支援システムの中に含まれている除雪作業支援ガイダンスは、実際の降雪量及び潜在的

降雪量の予測から判断してどの程度の量をいつ除雪する必要があるかを決定する。 さらに、道路管理者や除雪作業員に緊急情報を E メールで送るための緊急報告システムが構築さ

れた。今年の冬には実際にシステム全体の試験と評価を実施し、実用性と適用性について各視点から

試験し評価する予定である。 多数の業者がいる環境下での冬期道路管理請負業者に対する Web ベースの道路気象情報

の提供

Kimmo Toivonen1, Jouko Kantonen2 Finnish Road Administration 1

Kauppamiehenkatu 4, FIN-45100 Kouvola, FINLAND [email protected] Finnish Road Administration 2

P.O. Box 33, FIN-00521 Helsinki, FINLAND [email protected]

フィンランド道路気象情報システムは、1970 年代以降、冬期維持管理の支援のために徐々に整備

されてきた。最近、道路網の冬期維持管理において、特に維持管理の委託方法に関し大きな変化があ

った。フィンランド国家道路管理局が、管理業務を担当するフィンランド道路管理局と委託を行うフ

ィンランド道路公社に分割されたのである。冬期維持管理に競争原理が導入され始めており、2004 年

末までに国内のすべての公道の冬期維持管理は入札で選ばれた請負業者により行われることが目標

とされている。この新しい事業方法はフィンランド道路気象情報システム(RWIS)に大きな課題をも

たらした。冬期維持管理の請負業者すべてができる限り簡単かつ確実に RWIS とその情報にアクセス

できるようにすることが必要となったのである。こうした要望に応えるため、2000 年の初めより Web道路気象プロジェクトが開始され、道路気象情報の利用者のために Web を基盤とした新しい利用法

が開発された。

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熱収支理論に基づく韓国での路面予測

Chang-Keun Song1,2, Boram Lee,1,3

ABL Lab., Dept. of Atmospheric Science, Seoul National University(SNU) 1 Sinlim-dong, Kwanak-gu, Seoul 151-742, Korea

Humanopia Corporation2 #606 Daeyon B/D., 869-12 Pongchon-dong, Kwanak-gu, Seoul 151-54 Korea

Applied Meteorology Division, Korea Meteorological Administration (KMA) 3 460-18 Sindaebang-dong, Dongjak-gu, Seoul 156-720, Korea

路面温度の予測モデルは、詳細な微気象物理的過程を含む、表面エネルギー収支理論を利用して開

発したものである。このモデルは韓国の微気象に的確に合わせたもので、各表面のエネルギー収支を

詳細に亘って可能な限り正確に表すことができる。この性能を証明するために、2000/2001 年の冬期に

ドイツの道路気象モニタリング地点 1 ヶ所の測定値を使用してモデルを適用し、その結果を DWD(ド

イツ気象サービス)が現在運用している EBM(エネルギー収支モデル)と比較した。両モデルの結果

はよく一致し、また観測値とも一致した。

熱放射計測による局地路面温度予測の改善について

Jörgen Bogren and Torbjörn Gustavsson

Road Climate Centre, Physical Geography, Department of Earth Sciences, Göteborg University,

Box 460, SE 405 30 Göteborg, Sweden e-mail: [email protected]

スウェーデンの RWIS で現在使用されている路面温度(RST)予測モデルは、各気象観測機器で現

地の条件を考慮に入れ、個別に RST を計算するものである。このモデルから1時間刻みの 4 時間予報

が 30 分毎に得られる。このモデルのアルゴリズムは、1.エネルギー収支数値計算、2.各地点の定数を

使用した統計的モジュールによる RST 計算、3.線型トレンドモデルを使用した RST 演算という 3 つ

の異なった原理を中心として組み合わせたものである。 本研究では、スウェーデン南西部、イェーテボリ郊外の 2 ヶ所の気象観測機器(ステーション 1520及び 1417)の RST 予測計算について、モデルへの入力データとしての放射測定の有用性について分

析を行った。 研究結果の分析によれば、入力パラメータの選択が出力に大きく影響することが判明した。放射デ

ータの重要性が極めて高いことは明らかである。測定された放射データと計算データを観測された

RST 及び雲量と比較すると、現在利用されている計算データは粗すぎると結論づけられる。 本研究の結果から、放射測定の利用により、スウェーデンの RWIS で現在使用されている RST 予

測モデルの性能を向上させることが可能である。実現可能な方法の一つとして考えられるのは、ある

種の気象観測基地局構想を導入し、厳選した数ヶ所の気象観測機器に放射センサーを設置することで

ある。このようなマスターステーションから複数の気象観測機器にデータを提供することが可能であ

る。

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路面凍結に影響を与える因子の重要度評価

(数値実験による評価)

Tatiana V. Samodurova

Voronezh State University of Architecture and Civil Engineering, Kosmonavtov Str., 22-a, 44, Voronezh, 394038, Russia

Tel: +7 (0732) 788091, E-mail: [email protected] 道路凍結の短期予測に関して物理統計的な依存性(線形判別関数)を得た。予測モデルには最も重

要なパラメータが含まれている。この問題を解決するため、数学的モデリングと計算方法を採用した。

氷板、氷晶雨と路面凍結が発生する条件を示す。計算により、凍結の可能性に関する事例の 20 年間に

わたる統計情報が得られた。気象と道路のパラメータの重要性を判断するため、“スクリーニング”を

行った。氷板の予測において最も重要なパラメータは、気温(Ta)、路面温度(Ts)と空気の相対湿度

(W)である。氷晶雨と路面凍結の発生予測では、降水(OS)、空気の相対湿度(W)、気温(Ta)、

路面温度(Ts)が最も重要なパラメータである。信頼性の推定結果を示す。気温をパラメータとした線

形判別モデルと路面温度をパラメータとしたモデルは、分析を行った道路の滑りやすさの形態に関し

てほぼ同程度の信頼性をもっていると言える。路面状況(氷板の発生について)や降水(氷晶雨と路

面凍結の発生について)に関する詳細な情報は予測の信頼性を高める。この路面凍結の短期予測モデ

ルをモスクワ地域の凍結警告システムで二冬にわたり試験した。モデルを実際に使用した実験により、

予測が十分信頼できるものであることが確認できた(約 85%)。

インターネット技術を活用した路面凍結の自動短時間予測

J. Shao, P. J. Lister

Vaisala Ltd., 349 Bristol Road, Birmingham B5 7SW, UK E-mail: [email protected], [email protected]

路側の気象観測機器における道路の温度と路面状態の数値予測には、予測地点付近の物理的環境に

関するかなり正確な情報が必要である。残念ながら、このような個別地点の環境を表す物理的パラメ

ータ(路面放射率、粗度長など)は、入手困難で、入手可能であるとしても非常に大まかな近似値し

かない。予測地点の数が増えると問題が悪化することは明らかである。この問題の解決策として、開

発の進んだ道路凍結短時間予測モデルを試験し、地点個有の物理的パラメータの中で最も重要な放射

率と粗度長の自動調整によりモデルの性能強化を図った。調整は 24 時間の履歴データに基づき、自動

的に行われる。試験結果は偏りの減少、標準偏差、短時間予報の絶対誤差を示している。この論文は、

インターネット/イントラネット技術を凍結予測技術に組み込む方法についても説明している。

21世紀の路面凍結予測に関する構想

Lee Chapman, John E. Thornes

Climate and Atmospheric Research Group School of Geography, University of Birmingham, Birmingham, UK.

[email protected] / [email protected]

本論文は、道路凍結予測分野の研究上の主な格差について、その概要を示そうとするものである。

主として、サーマルマッピングを不用にするため、空間モデル要素を組み込む方法により、道路気象

数値モデルの改良について提案している。GPS 及び GIS 技術の可能性を最大限に活用する、既存技術

に代わる効率的な観測技術の開発を提唱する。論文の結論として 1 つのシステム例について説明し、

世界中の研究機関がより一層協力を深めることを求めている。

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新しい気象予測の方式

Claes Brundin

Swedish Meteorological and Hydrological Institute, SMHI 60176 Norrköping, Sweden

Tel. +46 11 495 84 26, Fax. +46 11 495 85 08 E-mail: [email protected]

気象情報は長年にわたり冬期道路整備活動の計画、遂行に重要な役割をになってきた。しかし、効

率的な経済基盤に対する社会的要求の高まりとともに、正確で、より詳細な気象情報の必要性が高ま

っている。それと同時に、公共事業機関には、経費削減が求められている。その結果、品質、価格、

交通安全に研究が集中している。 気象学に係る研究所や企業はこの状況に対処するための 2 つの選択肢がある。 ・ 1 つの思い切った方法として気象情報を自動的に提供する。 ・ もう 1 つは、より合理的に予測を行う新しい方法を創出する。この方法では予報官がかなりの程

度予報結果に関わる事が可能である。これは予測モデルによる結果に誤りがあったり、気象状況

の変化を見逃したときに重要となる。 予報モデルは改良されてきていることから、モデルの出力を直接、より高度に利用することが可能

である。しかし、すべての予報モデルには欠陥があり、多くの危険を抱える可能性がある。ある程度

の修正は統計解釈とカルマンフィルターを利用することで可能となるが、それだけでは全ての問題解

決にはならない。 本論文に示された「スウェーデンの新予報システム」では、気象学者は“最良”の入手可能なモデ

ルを複数使用することができる。予報官はさらに訂正するため、必要に応じてグラフィックツールを

利用できる。こうした調整作業は予報が作成される中央のデータベースに戻される。この方法により

予報の全行程をより効率的にし、全ての予報結果の質を高めることが可能となる。

変分法による気象場の縮小

Reinhold Steinacker

Department of Meteorology and Geophysics, University of Vienna Althanstrasse 14; UZAII, A-1090 Vienna, Austria

Tel: +43 1 4277 51930; Fax: +43 1 4277 51902; e-mail: [email protected] 先進国の現場気象観測システムの多くは、大気場の総観規模の分析と検知を目的としたものである。

このようなシステムでは偏西風の主な気象パターンを説明する。しかし、局地規模に関する知識は、

道路気象の判断や短時間予報など様々な目的のために必要である。この問題に対処するためには基本

的に 2 つの方法がある。道路気象観測機器を密な列に設置すると、ある区間の道路沿いのメソスケー

ルの場を分析できるであろう。これは多くの国で実施されているが、かなりの費用がかかり、それで

いて路面温度や道路の滑りやすさなど重要な微小規模の構造が分析できない。もう 1 つの方法は高度

縮小技術を利用することである。つまり、下位の規模のパターンに関する推測的ないし理論的知識を

加えて目的とする規模を分析する、空間及び/または時間内挿技術の適用である。この問題に対処す

る方法は数多くある。経験に基づくもの、統計学や物理学的なものなどである。このような方法は、

レーダーや衛星情報を組み入れたり地形気象モデルを利用して、降水場を縮小し、小規模を対象とし

て表面温度や循環パターンを分析するなどの点で、すでに実用化されている。この論文では、変分法

を利用する方法の概念を紹介し、その例を数件紹介する。

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高精度な自動道路気象予測システムの開発

Bent H. Sass, Claus Petersen Danish Meteorological Institute

Lyngbyvej 100, DK2100 Copenhagen, DENMARK E-mail: [email protected]

滑りやすい道路状況を予測する自動数値予測システムが数年前からデンマーク気象協会(DMI)で

運用されている。毎時、5 時間先の関連する気象パラメータの確定予測が出されている。路面温度、露

点温度、降水の形態と強度、雲量は予測パラメータの中で最も重要なものである。最近になって、DMIが運用する大気数値予測モデル、DMI‐HIRLAM に道路エネルギー収支モデルが組み込まれた。これ

により、大気モデルから路面状況モデルにデータを供給する枠組が改善された。この構成は、近い将

来に 2 つのシステム構成要素の双方向交流を可能にするものである。その結果、この統合システムは

道路気象予測にとって重要な新しい観測データの恩恵を利用可能となった。雲に関する大気データを

大気モデルに組み込むことは、雲量の予測を向上させる戦略の中で重要な要素である。雲量の分析と

予測が向上すると、路面気温の予測の質も高まることが明らかになっている。極めて高い精度の、地

点別の道路状況予測を行う試みについて 2 つの例を挙げて説明する。最初の例は、ある道路観測点で

高精度の路面温度予測を行う際に重要なものは総雲量のみではないことを示している。雲量の垂直分

布も、路面温度の推移のシミュレーションや予測を行う上で極めて重要なものとなり得る。2 つ目の

例では、日中の路面温度上昇を正確に予測する方法について検討している。実際のケースでは、遮光

状態や巻雲の発生のみならず、予測に先立って道路観測点の測定データの供給を安定して受けること

が重要である。

冬期道路管理情報センター道路気象予測

Wolfgang E. Raatz 1 and Ludwig Niebrügge 2

Deutscher Wetterdienst, Entwicklung von Anwendungen 1 Frankfurter Str. 135, D-63067 Offenbach, Germany

[email protected] Landesbetrieb Straßenbau Nordrhein-Westfalen 2

PO Box 4669, D-48026 Münster, Germany [email protected]

ノルトライン-ヴェストファレン州道路局(Landesbetrieb Staraßenbau Nordrhein-Westfalen, Sitz Münster)は冬期道路維持管理情報センターを設置した。ドイツ国内で初めてのことである。 冬期道路維持管理情報センターの主な仕事は以下の通りである。 a) 道路気象データのモニタリングとデータの整備 b) 補足情報(レーダー等)を使用し、気象の推移を監視 c) 実際の天候と予測された天候の比較 d) 地方の冬期道路維持管理センターにサービスの開始を指示 e) 地方のセンターが個別に行う冬期道路維持管理の調整 冬期道路維持管理情報センターは運営を開始して 4 年目となる。この間、同センターは冬期道路維

持管理組織の効率を高め、その品質を改善してきた。またドイツ気象局(DWD)の予報官と同センタ

ーの職員が意見交換することで気象状況評価を改善してきた。現在、ドイツ気象局は、インターネッ

ト技術を利用した衛星気象情報システム(SWIS)機構内での予報精度の向上を計画している。

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広域降雪水量予測モデルについて

水津重雄 1、山田穣 2

(株)ジオシステムズ 1 〒113-0033 東京都文京区本郷 1-14-4 南陽堂ビル 2F

Tel.: 03-3813-4860, Fax: 03-3813-4890, E-mail: [email protected] 防災科学技術研究所 長岡雪氷防災研究所 2 〒940-0821 新潟県長岡市栖吉町前山 187-16

Tel.: 0258-35-7522, Fax: 0258-35-0020, E-mail: [email protected]

豪雪地帯における道路の路線選定と設計には、積雪量の予測が不可欠であることから、任意の地点

での積雪深および積雪相当水量を気象条件の関数として求める積雪モデルを開発した。このモデルは

降水量と気温から降雪量を予測し、また降水量、気温、および日照時間から雪の熱収支成分を計算し

て融雪量を推定することができる。任意の地点での気象条件は、気象観測機器のデータに加え、デジ

タル標高モデルを用いて求めた標高、海までの距離等の地理的因子の値から推定する。日降水量およ

び日融雪量の推定により、積雪相当水量の計算が可能となり、雪の粘性圧縮理論と積雪量から積雪深

が推定できることから、このモデルを日本国内の広域に応用することができた。なお、公共のデータ

のみを入力データとして用いているため、実用的なモデルである。

山地積雪荷重推定のための積雪平均密度について

阿部修 1、清水増治郎 2 防災科学技術研究所新庄支所 雪氷防災研究部門 1

〒996-0091 新庄市十日町高壇 1400 Tel.:0233-23-8006/Fax:0233-23-3353 [email protected]

防災科学技術研究所 雪氷防災研究部門 2 〒940-0821 長岡市栖吉町

Tel.:0258-35-8932/Fax:0258-35-0020 [email protected] 最近、山間部の建物や橋が豪雪による積雪荷重で倒壊したという報告がされている。雪の多い地方

において建物、橋、その他の建造物を新たに建造する場合には、事前にその場所の地上雪荷重を把握

しておく必要がある。日本では通常、地上積雪荷重を最大積雪深と平均積雪密度の積から求めている。

平均積雪密度を得るためのガイドラインとして、平野部で観測された降雪データに基づく定量的な定

義が作成されている。これらのガイドラインでは平均積雪密度は積雪深の増加に伴って増加するとさ

れている。しかしながら、このガイドラインの定量的定義を山間部の豪雪地帯にあてはめる試みはま

だない。 平均積雪密度は地表の積雪深と積雪荷重の両方を直接かつ連続的に観測する山間部の降雪観測ネ

ットワークから得られる。本研究では降雪観測ネットワークで測定された平均積雪密度と三つのガイ

ドラインからの推定値との比較を行う。測定された密度は、特に最大積雪深が 4 メートルを超える場

合に推定値より大きくなる。日本の山間豪雪地帯に向けた新しいガイドラインを現在作成している。

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日本の高速道路における濃霧時交通事故の気象状況と事例研究

山本哲 国土交通省気象庁気象研究所 〒305-0052 つくば市長峰 1-1

E-mail:[email protected] 日本の高速道路において、濃霧時の交通事故に対する気候学的な特徴を調査し、一件のケースにつ

いて詳細な気象学的分析を行った。濃霧による重大事故はさまざまな地点でしばしば発生しており、

1990 年代に入っても減少する兆候はない。交通事故が発生する時期は冬期に集中している。この気

候学的な特徴は日本における一般的な霧の特徴とは必ずしも一致していない。事故が発生しやすい霧

の性格があると考えられる。 一件の事故に対する詳細な気象学的分析を行った。それは 1998 年 12 月 1 日に福島県の磐越自動車

道で発生した事故である。2 キロメートル四方の狭い領域で霧が発生し、視程距離は最少で 10 メー

トル以下であったということが確認されている。事故の発生地点から約 1.5 キロメートルのところに

視程計が備え付けられていたが、観測された視程距離は 100 メートル以上というかなり大きいもので

あった。視距は事故の約 20 分前に突然減少した。事故の原因になりうるような霧の特徴は、10 メー

トル以下と視距が極めて限られ、しかも時間的、空間的に突然に変化するというものである。既存の

モニタリングシステムで観測するのはおそらく困難と考えられる。

吹雪による視程障害時の運転挙動に関する研究

金子学、加治屋安彦、福沢義文、松沢勝 北海道開発土木研究所

〒062-8602 札幌市豊平区平岸 1 条 3 丁目 Tel.:011-841-1746 Fax:011-841-9747 E-mail:[email protected]

積雪寒冷地のドライバーは冬期には雪による視程障害や道路凍結といった厳しい運転条件に直面

する。これらのドライバーは前を走る車がスピードを落としたり停止したりする際に迅速かつ適切な

危険回避を強いられ、こうした運転操作が交通事故発生の大きな要因となるものと考えられる。 著者等は冬期の交通事故を防止する方法を確立するため、安全運転支援ステムの開発を行っている。

システムを効果的に運用するためにはドライバーの反応、車両の挙動等の様々な要因について、広範

囲な検討が必要である。そこで著者等はテストドライバーの吹雪の道路上での運転操作について、実

際の道路での実験を行った。以下がその結果である。 1) 視程距離の減少に伴い、運転速度は減少する傾向にあり、一方、加速・減速、ハンドル操作角度

等の運転操作の変化は増加する傾向にある。さらに、ブレーキ操作は、視界が極めて不良である

ときの視距の変化などの状況変化に左右される。 2) 高齢者ドライバーの運転操作に関する過去のテスト結果と今回のテスト結果との比較により、視

程が極めて不良の時には、高年齢ドライバーのほうが今回の実験における若年ドライバーよりも

ハンドル操作の変化が大きくなるということがわかった。ただし、実験条件は同一ではない。

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吹雪時における視程の推定手法

松沢勝 1、竹内政夫 2

北海道開発土木研究所 1 〒062‐8602 北海道札幌市豊平区平岸 1‐3

E-mail: [email protected] 日本気象協会北海道支社 2

〒064-8555 北海道札幌市中央区北 4 条西 23 丁目 吹雪の発生に関する情報は役立つものであり、これによってドライバーはより安全で適切なルート

の選択が可能となる。道路上における吹雪の強度の測定には視程計が利用されている。しかし、現在設

置されている視程計でカバーできる地域は限られており、吹雪に関する地域全体の情報は得られない。

このため著者等は、風速や降雪強度など、いずれも比較的簡単に入手できるパラメータを使用して吹

雪の強度を推定する方法を模索した。まず雪のマスフラックス(Mf)と視程(Vis)に関する過去の

研究から、3000 メートルまでの視程に関しては log(Vis) = -0.773 log(Mf) + 2.845 と設定した。雪のマス

フラックスは雪の密度を風速で乗じたものと考え、次に雪の密度を推定する方法を確立しようと試み

た。これについては 2 つの状況を検討して、風速と降雪強度を用いて雪の密度を推定した。1 つの状況

では地上 10 メートルの風速が 8.5 メートル/秒以上で気温が-2℃未満、もう 1 つの状況は地上 10メートルの風速が 8.5 メートル/秒を下回り、気温が-2℃以上である。数式を用いて推定した視程

は、測定された視程とほぼ合致したので、著者等の視程算定方法は地域全体の道路上の吹雪のモニタ

リングに利用可能であることが示された。

硬度の異なる雪面上の吹雪フラックス及び視程の推定について

佐藤威、小杉健二、佐藤篤司

防災科学技術研究所新庄支所 雪氷防災研究部門 〒996-0091 山形県新庄市十日町高壇 1400

Tel.: 0233-22-7550 Fax: 0233-23-3353 E-mail: [email protected] 硬度の異なる積雪上の吹雪に伴うマスフラックスとそれに関連した視程の分布を、吹雪の実験結果

と観測結果に基づき推定する。雪面がやわらかい場合とやや硬い場合の分布の差は、風が弱いまたは

穏やかな時には大きく、風速が増すにつれて小さくなる。z=2.4m での視程は、雪の硬度に関わらず z=1.2m の場合の約 2~3 倍である。やや固い雪面の場合については次の結果が得られた。風速が 12~14m/秒の場合、z=1.2m での視程は 300 メート未満で、z=2.4m では 300 メートルを越える。つまり、

小型自動車の運転手だけが視界不良になる危険性がある。風速が 14m/秒を超える場合、z=2.4m で

の視程は z=1.2m と同様に 300 メートルを下回り、小型及び大型自動車共に視界不良となる。

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降雪時における電子画像を用いた視程評価手法の開発

萩原亨 1、藤田諭 2、木坂聖 2 北海道大学交通工学研究室 1

〒060-0813 札幌市北区北 13 条西 8 丁目 Tel.:011-706-6214 Fax:011-706-6214 E-mail: [email protected]

積水樹脂雪国製品研究所 2 〒068-2165 三笠市岡山 440‐15

Tel.:01267-3-2671 Fax:01267-3-2666 E-mail: [email protected] 激しい吹雪の際には道路における視距を的確に評価し、その情報を運転手や道路管理者に提供でき

るようにすることが重要である。この研究は、道路監視カメラの映像を使用して視距障害の基本的な

評価方法を検討するものである。2001 年に 30 日間にわたり、北海道札幌市の郊外で実験を行った。吹

雪時の映像、照度、及び視距を 2 分間隔で記録した。視界不良のケースでは、監視カメラから送られ

る各映像にはほとんどコントラストがなく、映像の中の線形要素も見えないことが多かった。視界が

良い場合と悪い場合の両方のケースで映像からグレーの色調を抽出した。まず、路上で選択した対象

物の映像中のピクセルコントラストを調べた。次に、二次元フーリエ変換を行って抽出したグレー色

調の周波数(パワースペクトル)の特徴を調べた。はっきりと見える状態の映像には低い周波数から

高い周波数までが含まれていた。ピクセルコントラストとパワースペクトルの平均値を計算し、視程

計で記録された視距と比較した。振動スペクトルの平均値と視距幅の間、さらにピクセルコントラス

トとパワースペクトルの間に密接な相関関係が見られた。吹雪の時には、視距が低下するにつれてピ

クセルコントラストとパワースペクトルの平均値が減少した。この結果は、道路監視カメラの映像か

ら識別されるピクセルコントラストとパワースペクトルの特徴を利用するアルゴリズムの開発によ

って、吹雪による視距障害の評価が可能であることを示している。

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高地における吹雪及び積雪状態予測モデルの統合化の試み

Gerald Spreizhofer, Michael Lehning, Judith Doorschot, Charles Fierz, Norbert Raderschall

WSL, Swiss Federal Institute for Snow and Avalanche Research SLF, Flüelastrasse 11, CH-7260 Davos Dorf, Switzerland

スイス連邦雪・雪崩研究所は、風場のシミュレーションと、吹き溜まりの分析及び積雪分布のシミ

ュレーションを組み合わせたモデリングシステムを開発した。モデル運用に関する予備段階の結果に

ついて何例かを紹介する。このシステムにエネルギー収支モデル及び気象予測モデルを組み込み、複

雑な地形における雪の分布と積雪の推移を予測するため、更なる研究を行っている。また、視覚化の

ための適切なツールの開発も進めている。この研究の第一目標は雪崩警報システムの向上を図ること

であるが、このシステムは道路上の雪の状態や舗装面の温度の予測にも応用が可能である。

大雪による乾雪表層雪崩の危険度評価モデル

水津重雄

株式会社ジオシステムズ 〒113-0033 東京都文京区本郷 1‐14‐4 南陽堂ビル 2F

Tel.:03-3813-4860 Fax:03-3813-4890 E-mail: [email protected] 乾雪表層雪崩は主に大雪や積雪内部の脆弱層の破壊により起こる。雪の安定指数(SI = せん断強

度/せん断応力)は乾雪表層雪崩が発生する可能性を表す。任意の地点で、気象条件と傾斜角度の関

数として SI をシミュレートするモデルを開発した。 自重で定着する新雪のせん断強度は、降雪と雪温のデータを雪の粘性圧縮理論を適用して推定する

ことが可能である。せん断応力は、傾斜角度と降雪量から計算できる。任意の地点の降雪量と温度の推

定には、気象観測機器のデータと高度や海からの距離など、その場所の地理的要因を利用する。傾斜

角度と地理的要因に関する数値はデジタル高度モデルを使用して求められる。このモデルを広範な地

域に適用したところ、雪崩の発生とよく一致していることが示された。このモデルは大雪による雪崩

の危険度評価を示す上で役立つ。入力データは一般に公開されているデータのみなので、実用的なモ

デルである。

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GIS を用いた雪崩発生ハザードマップ作成手法

山田穣、阿部修、小杉健二(防災科学技術研究所 長岡雪氷防災研究所)

渡辺伸一(アルゴス社 上越市) 雪崩の危険度の評価に欠かすことのできないツール、雪崩ハザードマップを開発した。開発におい

ては、パーソナルコンピュータで雪崩の危険度を評価できる実用的な雪崩ハザードマップを目指し、

地理情報システム技術を使い、デジタル高度モデルや植生分布などの入手し易い可能なデータを利用

した。この新しく開発した雪崩ハザードマップを使用し、岩木山で発生した大規模な雪崩の発生域に

おける雪崩危険度のアセスメントに成功した。

スイスの雪崩と道路の地方管理者を支援する SLF によるコンピュータツール

Michael Lehning, Walter Ammann, Perry Bartelt, Marc Christen, Martin Gassner

WSL, Swiss Federal Institute for Snow and Avalanche Research SLF, Flüelastrasse 11, CH – 7260 Davos, Switzerland

この論文は、スイス連邦雪・雪崩研究所(SLF)が開発を行い、国内の雪崩対策担当機関で使用さ

れているコンピュータツールとモデルを紹介するものである。それらのツールとは、a) 過去のデータ

ベースから同様の状況を検索し、関連性のある雪崩活動を提示する、局地的な雪崩危険度統計モデル

NXD‐Lawinen、b) 積雪の細部にわたる構造をシミュレートする積雪モデル SNOWPACK、c) 煙型

雪崩と流れ型雪崩に関連した流出距離と衝撃圧力を計算する雪崩動的モデル AVAL‐1D、d) スイス

国内の専門家を結び、様々な情報源から気象や雪に関するデータを収集する情報システム InfoBOXである。

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凍結路上の降雨時路面スベリに関する地域特性の影響

Marie Eriksson and Sven Lindqvist Physical Geography, Department of Earth Sciences, Göteborg University

Box 460, SE-405 30 Göteborg, Sweden. [email protected], [email protected] 凍結路面に降る雨やみぞれは、路面に氷膜を形成したり滑りやすくなるという重大な危険をもたら

す。例えば事故の多発など交通に大きな影響を与える。こうした状況は、通常、温暖前線の通過に伴

い発生し、寒気が暖かい空気に入れ替わり、低い路面温度のところに雨やみぞれが降る。スウェーデ

ン南部における凍結路面の雨やみぞれの時間的、空間的分布に関する二つのケーススタディを示し、

地域規模で特有の影響を論証する。滑りやすさの変化は、それ以前の天候も非常に重要な要因となる。

この論文に提示した方法論は、ある地域における路面の滑りやすさの時間的空間的なパターンをより

深く理解するために使用可能であると考えられる。その結果、予報や維持管理作業が改善され、総観

現象と路面の滑りやすさとの結び付きへの理解が深まる。表示と分析には、地理情報システム (GIS)を使用した。

冬期道路:地盤工学と温度特性の応用

Anne Marie Cames1, Patrick Lerat2, Tchao-Jules Assih1 GMMS, Université de Champagne-Ardenne1

Rue des Crayères BP 1039 51 687 Reims Cedex 2, FRANCE LAMI, Laboratoire Central des Ponts et Chaussées, Ecole Nationale des Ponts et Chaussées2

Cité Descartes, 77 420 Champs sur Marne, France E-mail: [email protected]

道路利用者にとって路面状況は、どのように運転するかを考える上で重要な要素となる。冬期の路

面状況は、天候だけでなく道路の特徴にも依存する。道路の各層に対する温度-水分の影響について

は多くの研究がされてきた。しかしながらこれらの研究は主に凍結深に関係するものであり、路面温

度の変化は考慮されていない。路面の温度変化の情報は、短期間の路面状況の予測に欠かせないもの

である。 本研究において我々は道路における種々の地質工学的、物理学的パラメータの重要度の定量化につ

いて研究を行った。凍結期における、路面温度の変化を異なる大気-舗装道路インターフェースにつ

いて観測した。これらのパラメータを理解する上で必要となる精度を評価するために数値モデルを用

いた。舗装の温度-水分のすべての路面特性を体系的に変化させるため、GellD-LCPC 及び

CESAR-LCPC のソフトウェアを使用した。熱伝導率の変化、表層の含水率、及び気象学的パラメー

タの変化に対して得られた結果を示す。気象学的パラメータには交換係数、大気と構造物の初期温度

などがある。数値シミュレーションの結果として、舗装の熱的変化、特に路面温度の変化に関して最

も重要性をもつパラメータが明らかになった。これらのパラメータの理解は路面の凍結を予測し、対

処するために極めて重要である。

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路側と道路上での微気象の詳細測定

Esben Almkvist

Physical Geography, Department of Earth Sciences, Göteborg University Box 460, SE-405 30 Göteborg, Sweden. [email protected]

気象観測機器の構築を開始して以来、ステーションの構成とセンサーの形式にはほとんど変化がな

い。機器が通常設置されている路上 2 メートルの地点から路面までの温度変化についてはほとんど知

られていない。このため、道路上空と路側で詳細な測定を実施し、風、雲量、湿度や地上流動などの

気象に関連づけた。その結果、地上 2 メートルにある気温センサーは道路上の気柱の温度をかなり反

映していることが明らかになった。地面に最も近い地点の空気の冷却は、道路上よりも緑地のほうが

はるかに強い。温度差は 8℃にも開くことがある。この温度差は、風と雲量により統計に基づき、かな

り正確に説明することが可能である。これらの結果は、日射が道路に大きな影響を及ぼす冬の終り頃

の状況にも当てはまる。晴れた日には路体内の蓄熱が非常に大きいので、道路の温度は一晩中高く保

たれる。地形や周辺の環境が道路の気象システムに与える影響がより大きい場所に機器を設置したと

ころ、風と温度差にはそれほど関連性がなかった。他のプロセスの影響が強かった。

降水と路面情報

RWISデータで道路気候学を構築することは可能か?将来的研究

Muzet Valerie 1, Queyrel Gerard 2, LivetJean 1

Ministère de l'Equipement et des Transports, Center d'Etudes Techniques de l'Equipment de l'Est 1 71, rue de la Grande Haie, F 54510 TOMBLAINE

Tel.: 33 383 18 41 41 Fax: 33 383 18 41 00 E-mail: [email protected] Société des Autoroutes du Sud de la France, ZI de Felet, F 63307 THIERS Cedex 2

冬期道路管理のため道路網に多くの道路気象情報システム(RWIS)が設置されていることから、

温度、降水量や路面状態に関して多くの情報が入手可能である。これらのデータを一元化して利用す

れば、道路に関する情報の入手が可能となり、さらに道路気候学の構築も可能となるだろう。有望な

研究課題として、1 年間に渡りおよそ 12 の RWIS のデータを調査した。しかし、統計的分析の結果を

見ると、こうしたアプローチの限界が明らかになった。始めに RWIS 情報の信頼性(データ保管、ソ

フトウェアの重要性、センサー性能に関する)について論じ、次にセンサー測定値による路面状態の

推定について検討する。大量のデータをまとめる前に、RWIS データの信頼性を高め、標準化するこ

とが必要である。

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北日本における道路気象に関連する凍結指数の分散傾向

伊藤驍

〒011-851 秋田工業専門学校 秋田市飯島文京町 凍結指数(Zc)は道路建設工事において非常に重要な要素である。しかし従来の Zc では短期デー

タを使用しているため不十分である。この論文では、より正確な、半世紀にわたる Zc の長期データ

を収集し、統計的手法を用いて分析した。まず様々な地点における冬期気温の時系列的特徴について

論じた後、Zc の地域的な分布の特徴を地形パラメータを使用して考察した。次に、パラメータ間の数

式を提案した。その結果、Zc は近年の暖冬により低下傾向にあることが明らかになった。一方で、積

雪深が 1.5 メートルを越える地域では Zc にさほど変化がない。これらの結果は、新規の道路建設工事

に Zc を使用する場合における最近の傾向を示している。

トンネル湧水によるパイプヒーティングの基礎的実験

永井泉治 1、吉武勇 2、浜田純夫 2

株式会社エイトコンサルタント 技術本部 1 〒700-0087 岡山県岡山市津島京町 3‐1‐21

E-mail: [email protected]

山口大学 工学部 2 〒755‐8611 山口県宇部市常盤台 2‐16‐1

トンネル湧水を使用したパイプヒーティングシステムは効果の高い融雪方法である。しかしこのシ

ステムは、融雪面積が広い場合には水の供給量により制限される。本研究の目的は、トンネル湧水や

トンネル内の地熱などの自然エネルギーを使用したパイプヒーティングシステムの拡張にある。基礎

的データを入手するため、トンネル湧水を使用してパイプヒーティングによる融雪実験を行った。実

験パラメータはパイプの土被り厚、コンクリートの熱伝導率と連続または断続運転法であった。これ

らの実験から、連続運転法では約 10℃のトンネル湧水に融雪効果があることが明らかになった。融雪

面積に見合う十分なトンネル湧水がない場合の手段として、トンネル内での水加熱試験も行った。 この実験では、トンネルの下の中央排水管に低温の河川水を供給し、山間のトンネルから地熱を得

ようと試みた。実験の結果、中央排水管内の水温が熱交換によりほぼ直線的に上昇し、基岩盤の温度

変化はほとんどないことが示された。

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地下水温度の推定と融雪過程

吉武勇 1、永井泉治 2、谷本俊夫 2、浜田純夫 1

山口大学土木学部 1 〒755‐8611 山口県宇部市常盤台 2‐16‐1 E-mail: [email protected] 株式会社エイトコンサルタント 技術本部 2

〒700-0087 岡山県岡山市津島 3-1-21 積雪時期の交通事故は凍結した橋梁、山間の日陰やトンネルの出口付近で発生することが多い。こ

のような場所で事故が発生するのは、通常の道路と異なる道路条件のためである。特に橋梁の場合は、

橋梁の条件と通常の道路条件との違いは地熱の伝導率の差異によって生じる。本研究の目的は、地下

水を使用した橋梁のパイプヒーティングシステムに関する基礎的データを得ることにある。 この研究にあたって、研究は設計のため地下水の温度を推定することから始められた。おおよその

温度は、日本各地で 10 年間に渡り観測された年間平均気温から推定可能である。年平均気温、つまり

地下水の温度は、緯度、月と海抜の 3 つのパラメータで表示される。 冷凍室と現場でパイプヒーティングの基礎的実験を行い、融雪能力を示した。実験の主要なパラメ

ータはパイプの位置と水温であった。この融雪システムに関する実験では、スラブ供試体に積もった

雪の内部温度と厚みを測定した。 実験の結果、パイプを橋面から離して設置した場合には、地下の水温は融雪に効果があるほど高く

はない。パイプの位置は融雪能力に大きく作用するので、適切な位置に敷設した場合、地下水の温度

は橋梁上の雪を溶かす能力が十分にあり、道路の状態を安全に保つことができる。

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アイスランドにおける利用者に対する道路気象情報の提供

Björn Ólafsson

Service Division, Public Roads Administration, Borgartun 7, 105 Reykjavik, Iceland

E-mail: [email protected] ドライバーへの情報供給は必要不可欠である。旅行する道路利用者はその行程の道路がどのような

状況なのか注意を払う必要があり、悪条件の場合にどのような危険があるのかを知る必要があるから

である。 公共道路管理局の情報システムは、情報が中央のデータベースに集められる共通ベースを採用して

いる。このシステムは、路側の監視装置、気象予報士、警察、道路利用者、公共道路管理局の職員か

ら情報を受け取る。 システムに入力される情報は、気象状況、天気予報、運転状況、交通事故、道路の許容車両荷重、

車両の重量制限、道路工事などである。 このシステムは情報発信が完全に自動化されている。天候、運転状況、道路状況に関する情報は、

道路利用者、警察、交通管理者に配布される。また、公共道路管理局自身の活動のためにも配布され

るが、それは維持管理・サービスの計画及び実施をこれらの情報がサポートすることを意図している

からである。 システムセンターにあるコンピューターはカメラ、気象観測機器、その他道路システムの監視装置

に系統立てて連結されており、多様な利用者のニーズに応えるため日々更新される。このようにして

収集されたデータは、様々な情報媒体に向けて自動的に送信される。

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道路気象とドライバーへの情報提供が交通事故に与える影響

Marilyn Burtwell and Adrian Runacres

TRL Ltd., Old Workingham Road, Crowthorne, Berks RG45 6AU, UK Tel.: +44 1344 770214, Fax: +44 1344 770748 E-mail: [email protected]

効果的な雪氷対策はヨーロッパの道路管理当局が提供する極めて重要なサービスであり、寒く厳し

い気候条件の中で道路利用者の可能な限り安全かつ障害のない移動を確保するものである。しかし、

冬期維持管理サービスを無理のない費用で実施し、環境への影響と交通障害を最低限に抑えつつ、高

い安全基準を保つという「ベストバリュー」を達成することが重要である。 道路に影響を及ぼす環境政策などと共に、ますます高まる国内外の人と物資の安全かつ効率的な輸

送へのニーズから雪氷対策の向上が絶えず求められる。 欧州委員会は COST アクション 344「ヨーロッパの道路及び橋梁の雪氷対策の向上」プロジェクト

を 1999 年 4 月に開始した。これは 3 年間にわたるプロジェクトで、ヨーロッパの 18 ヶ国が参加して

いる。TRL 社は英国幹線道路の運営と維持管理を担当する英国高速道路庁を代表している。 ドライバーの道路や交通状況の変化に対する反応速度や運転への集中度は一定していない。道路標

識、パンフレットやマスコミの報道などで運転者に警告する方法と高度道路交通システム(ITS)を

併用すれば、特に視程が悪い時などに運転者の安全確保に役立つ可能性が高い。このように、ITS 技

術は冬期維持管理作業を向上し、気象条件の悪い中での事故を防止する大きな可能性を秘めている。

既存及び現在開発中の ITS 応用例を一体化して、効率よい冬期維持管理システムを構築することを目

的として、この可能性に関する研究が行われている。 英国は事故の原因とその分析に特に関心を持っている。英国政府は断固たる決意を持って交通事故

の削減に努力しており、この目標達成のために大胆な政策を実施している。事故の原因が正しく理解

されて初めて効率の良い対処法に的を絞ることができる。一方、事故分析は英国道路維持管理機関・

請負業者の業務を監査する方法にも役立つものとなり得る。これを実現する最善の方法を決定するた

め、最近の研究プロジェクトでは英国の高速道路及び一般国道網における冬期気象条件に関わる事故

の差異が調査された。英国では地域により気候や交通流に大きな違いが見られるため、どのような監

査方法を採るにせよこれらの相違を考慮に入れて、各々の機関や請負業者が公平かつ正当な評価を受

けるようにすることが重要である。 道路利用者にとっては、冬期の道路維持管理作業が一層効果的に行われると、交通の遅れや事故の

削減につながる。最高の業務を含む「ベストバリュー」の実現により、様々な道路管理機構内の冬期

維持管理サービス業績を評価する手段が得られるであろう。

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道路情報・気象情報の利用者への提供

(オーロラプロジェクトの結果)

S. Edward Bosely III1, Daniel S. Roosevelt2

Weather Solutions Group 1 167 Lamp and Lantern Village, Chesterfield MO 63017, USA

E-mail: [email protected] Virginia DOT 2

530 Edgemont Road, Charlottesville VA 22903, USA E-mail: [email protected]

オーロラは、共同研究、評価、及び細目にわたる道路気象のモニタリングと予測に高度技術を利用

することに的を絞った、複数機関による共同事業体である。オーロラの目標の 1 つは、道路情報と気

象情報の提供方法を標準化し、提供メディアに関わらず情報利用者が直ちに理解し、判断できるよう

にすることである。オーロラが最近完了した研究では、道路情報と気象情報を提供する既存のシステ

ム、ならびに計画中のシステムを明らかにした。本プロジェクトの最終的な目標は、高度道路交通情

報の標準作成機関に標準を広め、推進する上での一連の最良の手段を規定することにあるが、プロジ

ェクトでは旅行者に情報を提供する様々な現行手段を統合した。この論文は、情報提供方式の例を挙

げ、道路情報と気象情報の標準化のためにとるべき手段の概要を述べながら研究結果を紹介するもの

である。

道路 Web 記述言語 RWML

-インターネット上の道路情報流通のための XML-

加治屋安彦 1、山際祐司 1、工藤康博 2、

加賀谷英和 3、嶋野崇文 4 北海道開発土木研究所 1

〒062-8602 札幌市豊平区平岸 1‐3 Tel.:011-841-5553 Fax: 011-841-9747 E-mail: [email protected]

名古屋電機工業株式会社 2 日本気象協会北海道支社 3 道路新産業開発機構 4 北海道開発土木研究所(CERI)は、北海道の積雪寒冷気候に適した ITS 技術の研究開発のために

ITS/Win 研究プログラムを進めている。当研究所はこのプログラムの中で XML を基盤とした道路

Web 記述言語(RWML)の開発にあたっている。XML(拡張可能な記述言語)は次世代のインターネ

ット言語である。 この研究開発の中に含まれているオンデマンドのサーバー技術は、道路利用者が車内に設置した自

動車ナビゲーションシステムの端末やインターネットにアクセスできる携帯 Tel.を使用して、道路、

観光、行事、さらに施設、気象情報、防災などの市町村のサービスに関する様々な情報の入手を可能

にする。 この論文は、XML 及び HTML と比較した RWML の特徴、開発の経緯と現場における実験結果の

概要を報告するものである。