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2.6.5. 薬物動態試験概要表 スイニー錠 100 mg ベスコア錠 100 mg 第 2 部(モジュール 2)CTD の概要 2.6.5. 薬物動態試験概要表 株式会社三和化学研究所/興和株式会社

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

スイニー錠 100 mg

ベスコア錠 100 mg

第 2部(モジュール 2)CTD の概要

2.6.5. 薬物動態試験概要表

株式会社三和化学研究所/興和株式会社

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

- 2 -

目 次

2.6.5. 薬物動態試験概要表 ························································ 6

2.6.5.1. 薬物動態試験:一覧表 ·················································· 6

2.6.5.2. 分析方法及びバリデーション ············································ 9

2.6.5.3. 薬物動態試験:吸収:単回投与後の血漿中動態···························· 12

2.6.5.4. 薬物動態試験:吸収:反復投与後の血漿中動態···························· 17

2.6.5.5. 薬物動態試験:組織分布 ··············································· 18

2.6.5.6. 薬物動態試験:血清たん白結合及び血球移行性···························· 24

2.6.5.7. 薬物動態試験:妊娠又は授乳動物における試験···························· 27

2.6.5.8. 薬物動態試験:その他分布試験(メラニンとの結合)······················ 30

2.6.5.9. 薬物動態試験:代謝:In vivo ·········································· 31

2.6.5.10. 薬物動態試験:代謝:In vitro ········································ 40

2.6.5.11. 薬物動態試験:代謝:推定代謝経路····································· 42

2.6.5.12. 薬物動態試験:代謝:肝薬物代謝酵素の誘導····························· 43

2.6.5.13. 薬物動態試験:排泄 ·················································· 45

2.6.5.14. 薬物動態試験:排泄:胆汁中排泄及び腸肝循環··························· 48

2.6.5.15. 薬物動態試験:薬物動態学的薬物相互作用······························· 50

2.6.5.16. 薬物動態試験:その他 ················································ 56

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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アナグリプチン及び代謝物の構造一覧表

略称・略号 構造式 由来

アナグリプチン

(未変化体) N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CNH

N

H3C

原薬

SKL-12250

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CONH2H

N

H3C

代謝物

SKL-12277

OH

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

N

H3C

代謝物

SKL-12320

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CO2HH

N

H3C

代謝物

SKL-12339

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CNH

N

HO

代謝物

SKL-13776

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CNH

N

H3C

HO

代謝物

SKL-14687

1)Na 塩(合成標準品) 2)フリー体

代謝物

(合成標準品

はナトリウム

塩,代謝物は

フリー体とし

て表示)

N

NaO

O CNH

O

NHO

O CNH

O

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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略称・略号 構造式 由来

SKL-14695

OH

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

N

HO

代謝物

SKL-15451

NHO

O CNH

代謝物

二水酸化体

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CNH

N

H3C

OH

OH

代謝物

一水酸化体の

グルクロン酸抱合体

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CNH

N

H3C

OGlu

代謝物

一水酸化体の

硫酸抱合体

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CNH

N

H3C

OSul

代謝物

SKL-12320 の

一水酸化体

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CO2HH

N

H3C

OH

代謝物

SKL-13775

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CNH

N

H3C

類縁物質

原薬の光学異

性体

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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略号一覧表

略号 略号内容

AUC0-∞ (0 から無限大時間までの)濃度-時間曲線下面積

AUC0-t (0 から t 時間までの)濃度-時間曲線下面積

AUC0-∞, norm 投与量で補正した AUC0-∞

BA 生物学的利用率

CLp 全身血漿クリアランス

Cmax 最高濃度

Cmax, norm 投与量で補正した Cmax

DPP-4 ジペプチジルペプチダーゼ-4

hBCRP ヒト乳がん耐性たん白

hMDR1 ヒト多剤耐性たん白 1(ヒト P 糖たん白)

hMRP2 ヒト多剤耐性たん白 2

hMRP4 ヒト多剤耐性たん白 4

hOAT1 ヒト有機アニオントランスポーター1

hOAT3 ヒト有機アニオントランスポーター3

hOAT4 ヒト有機アニオントランスポーター4

hOCT2 ヒト有機カチオントランスポーター2

HPLC 高速液体クロマトグラフ

IC50 50%阻害濃度

LC/MS 液体クロマトグラフ/質量分析装置

LC/MS/MS 液体クロマトグラフ/タンデム質量分析装置

LSC 液体シンチレーションカウンター

NADPH 還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸

RI-HPLC 放射能検出器付き高速液体クロマトグラフ

S9 ホモジネート 9000×g 上清画分

t1/2 消失半減期

t1/2α 第一相における消失半減期

t1/2β 第二相における消失半減期

t1/2γ 第三相における消失半減期

TLC 薄層クロマトグラフ

Tmax 最高濃度到達時間

Vdss 定常状態における見かけの分布容積

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.1. 薬物動態試験:一覧表(その1)

被験物質:アナグリプチン,SKL-12320 試験の種類1) 試験系 投与方法 実施施設2) 試験番号 CTD記載箇所3) 分析方法及びバリデーション (2.6.5.2.項) 吸収

4638 4.2.2.2-1 ラット 経口,静脈内

4633 4.2.2.2-2 4641 4.2.2.2-3

イヌ 経口,静脈内 4634 4.2.2.2-4

単回投与後の血漿中動態

サル 経口,静脈内 4095 4.2.2.2-5 参 4681 4.2.2.2-6

反復投与後の血漿中動態 ラット 経口 4728 4.2.2.2-7 4633 4.2.2.2-2

食餌の影響 ラット 経口 4728 4.2.2.2-7

吸収部位 ラット in situ 三和化学研究所 00071 4.2.2.2-8 参 分布

ラット 経口 4680 4.2.2.3-1 単回投与後の組織分布

有色ラット 経口 4959 4.2.2.3-2 反復投与後の組織分布 ラット 経口 4961 4.2.2.3-3 全身オートラジオグラフィー ラット 経口 4679 4.2.2.3-4

4644 4.2.2.3-5 三和化学研究所 00025 4.2.2.3-6 血清たん白結合

(アナグリプチン,SKL-12320) ラット,イヌ,サル,ヒト in vitro 5217 4.2.2.3-7

ラット,イヌ,サル,ヒト in vitro 4645 4.2.2.3-8 ラット 経口 4680 4.2.2.3-1 血球移行性 イヌ 経口 4641 4.2.2.2-3

メラニンとの結合 (アナグリプチン,SKL-12320) 合成メラニン in vitro 三和化学研究所 00021 4.2.2.3-9

胎盤通過性 妊娠ラット 経口 5794 4.2.2.3-10 1)被験物質未記載の試験は全てアナグリプチンが被験物質 2) :現 3)参:参考資料

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.1. 薬物動態試験:一覧表(その2)

被験物質:アナグリプチン,SKL-12320 試験の種類1) 試験系 投与方法 実施施設2) 試験番号 CTD記載箇所3) 代謝

マウス 経口 6133 4.2.2.4-1 4639 4.2.2.4-2 5320 4.2.2.4-3 ラット 経口 4864 4.2.2.4-4 参

ウサギ 経口 5321 4.2.2.4-5 4642 4.2.2.4-6

イヌ 経口 4864 4.2.2.4-4 参

単回投与後の血漿中代謝物

サル 経口 5319 4.2.2.4-7 4639 4.2.2.4-2

ラット 経口 4864 4.2.2.4-4 参

イヌ 経口 4642 4.2.2.4-6 単回投与後の尿及び糞中代謝物

サル 経口 5319 4.2.2.4-7 単回投与後の胆汁中代謝物 ラット 経口 4639 4.2.2.4-2 反復投与後の血漿,肝臓及び腎臓中代謝物 ラット 経口 4962 4.2.2.4-8 in vitro代謝試験:肝S9 ラット,イヌ,サル,ヒト in vitro 三和化学研究所 00065 4.2.2.4-9 in vitro代謝試験:ヒト組換えDPP-4,血液 ヒト in vitro 5489 4.2.2.4-10 酵素誘導(アナグリプチン,SKL-12320) ヒト in vitro 0554 4.2.2.4-11 酵素誘導 ラット 経口 4640 4.2.2.4-12 生体内光学異性化 ラット 経口 6135 4.2.2.4-13

1)被験物質未記載の試験は全てアナグリプチンが被験物質 2) :現 3)参:参考資料

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.1. 薬物動態試験:一覧表(その3)

被験物質:アナグリプチン,SKL-12320 試験の種類1) 試験系 投与方法 実施施設2) 試験番号 CTD記載箇所 排泄

ラット 経口,静脈内 4637 4.2.2.5-1 単回投与後の尿及び糞中排泄

イヌ 経口,静脈内 4641 4.2.2.2-3 反復投与後の尿及び糞中排泄 ラット 経口 4960 4.2.2.5-2 胆汁中排泄 ラット 経口,静脈内 4663 4.2.2.5-3 腸肝循環 ラット 十二指腸内 5796 4.2.2.5-4 乳汁中排泄 授乳ラット 経口 5795 4.2.2.5-5

薬物動態学的薬物相互作用 4646 4.2.2.6-1 チトクロームP450に対する相互作用

(アナグリプチン,SKL-12320) ヒト in vitro 6070 4.2.2.6-2

0243 4.2.2.6-3 0553 4.2.2.6-4 ヒトP糖たん白に対する相互作用

(アナグリプチン,SKL-12320) ヒト in vitro 0572 4.2.2.6-5

腎トランスポーターに対する相互作用 (アナグリプチン,SKL-12320) ヒト in vitro 0640 4.2.2.6-6

1)被験物質未記載の試験は全てアナグリプチンが被験物質 2) :現

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.2. 分析方法及びバリデーション(その1)

(1) 標識化合物のロット番号,比放射能及び放射化学的純度

1) [14C]アナグリプチン

被験物質:アナグリプチン

標識化合物 ロット番号 比放射能 (MBq/mg)

放射化学的純度 (%) 合成又は精製施設1) 試験番号 CTD記載箇所

[14C]アナグリプチン 5.25 ≥ 95.0 2866 4.2.2.1-1 [14C]アナグリプチン 2.62 ≥ 97.1 2866 4.2.2.1-1 [14C]アナグリプチン 3.35 ≥ 96.2 3033, 4635 4.2.2.1-2, 3 [14C]アナグリプチン 4.50 ≥ 96.5 3107 4.2.2.1-4 [14C]アナグリプチン 4.11 ≥ 96.0 3204 4.2.2.1-5 [14C]アナグリプチン 5.16 ≥ 95.8 3267, 5317 4.2.2.1-6, 7 [14C]アナグリプチン 4.77 ≥ 96.2 3444 4.2.2.1-8 [14C]アナグリプチン 4.73 ≥ 96.8 3567 4.2.2.1-9 [14C]アナグリプチン 4.73 ≥ 97.7 3567 02 4.2.2.1-10

1) :現 2) [3H]SKL-12320

被験物質:SKL-12320

標識化合物 ロット番号 比放射能 (TBq/mmol)

放射化学的純度 (%) 合成施設 試験番号 CTD記載箇所

[3H]SKL-12320 2.18 ≥ 97.9 906 4.2.2.1-11

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.2. 分析方法及びバリデーション(その2)

(2) 薬物動態試験及び薬理試験における濃度測定法

被験物質:アナグリプチン 生体試料 ラット血漿3) ラット血漿4) イヌ血漿 測定対象 アナグリプチン アナグリプチン アナグリプチン 測定法 前処理法 固相抽出 固相抽出 固相抽出 分析法 LC/MS/MS LC/MS/MS LC/MS/MS 定量範囲(ng/mL) 0.2~2000 0.2~2000 0.2~2000 直線性1) ≥0.9959 ≥0.996 ≥0.9976 日内再現性 真度(%) -14.0~14.3 -7.0~8.0 -9.3~11.0 精度(%) 0.4~13.3 0.9~10.0 0.7~8.5 日間再現性 真度(%) -10.0~11.3 -0.8~4.5 -1.5~8.0 精度(%) 3.7~8.3 2.9~4.3 1.9~7.4 実施施設2) 試験番号 4611 1674, 1707 -4612 CTD記載箇所 4.2.2.1-12 4.2.2.1-14, 15 4.2.2.1-13 1)直線性,日内再現性及び日間再現性検討時の検量線の相関係数 2) :現 3)薬物動態試験で適用 4)薬理試験で適用

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.2. 分析方法及びバリデーション(その3)

(3) トキシコキネティクスにおける濃度測定法

被験物質:アナグリプチン, SKL-12320 生体試料 マウス血漿 ラット血漿 ラット血漿 ウサギ血漿 イヌ血漿 サル血漿 サル血漿2)

測定対象 アナグリプチン SKL-12320 アナグリプチン アナグリプチン SKL-12320 アナグリプチン アナグリプチン アナグリプチン アナグリプチン SKL-12320 測定法 前処理法 固相抽出(同時定量) 固相抽出 固相抽出(同時定量) 固相抽出 固相抽出 固相抽出 固相抽出(同時定量) 分析法 LC/MS/MS LC/MS/MS LC/MS/MS LC/MS/MS LC/MS/MS LC/MS/MS LC/MS/MS 定量範囲(ng/mL) 5~2000 5~2000 0.2~2000 1~2000 1~2000 0.2~2000 0.2~2000 0.2~2000 1~2000 1~2000 直線性1) 0.999 ≥0.998 ≥0.996 0.999 0.999 ≥0.998 ≥0.997 ≥0.998 0.999 0.999 日内再現性 真度(%) -12.0~-0.3 -5.5~5.0 -7.0~8.0 -13.0~1.0 -4.5~4.5 -10.0~4.0 -7.5~12.0 -6.8~0.5 -9.5~4.0 -9.5~0.5 精度(%) 0.5~3.5 0.5~5.0 0.9~10.0 0.0~2.3 0.4~4.1 0.5~7.0 1.1~6.1 0.5~7.1 1.0~4.3 0.5~8.0 日間再現性 真度(%) -9.5~-2.1 -3.0~3.0 -0.8~4.5 -11.0~-0.6 -3.0~0.0 -7.0~2.0 -3.5~6.0 -4.8~-1.0 -7.0~1.0 -3.5~-1.6 精度(%) 1.0~3.5 2.1~2.9 2.9~4.3 1.0~1.7 0.7~3.0 1.9~2.2 1.8~4.6 1.5~2.1 1.6~2.1 1.1~4.1 −80°C保存安定性期間(箇月) 6 6 6 6 6 3 6 3 6 6

実施施設

試験番号 369, 370 1674, 1675 346, 347 1885 1676,

1677 1698 341, 342

CTD記載箇所 4.2.2.1-17, 18 4.2.2.1-14, 16 4.2.2.1-19, 20 4.2.2.1-21 4.2.2.1-22, 23 4.2.2.1-24 4.2.2.1-25, 26 1)直線性,日内再現性及び日間再現性検討時の検量線の相関係数 2)サル血漿に1/10容量の1 mol/L塩酸を添加

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.3. 薬物動態試験:吸収:単回投与後の血漿中動態(その1)

(1) ラット,イヌ及びサル(経口投与,放射能濃度)

被験物質:アナグリプチン 動物種 Crl:CD(SD)ラット ビーグル犬 カニクイザル 性別(雄/雌)/動物数 雄/3 雄/3 雄/3 雌/3 雄/3 雄/1 給餌 絶食 絶食 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 水/液体 水/液体 投与方法 経口 経口 経口 投与量(mg/kg) 3(4 MBq/kg) 10(4 MBq/kg) 30(4 MBq/kg) 10(4 MBq/kg) 10(2 MBq/kg) 3(15.75 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 14C/3.35 MBq/mg 14C/5.25 MBq/mg 試料 血漿 血漿 血漿 定量(対象)物質 放射能 放射能 放射能 定量法 LSC LSC LSC 薬物動態パラメータ

Cmax(ng eq./mL) 390 ± 159 3560 ± 720 17400 ± 3300 5900 ± 1490 9710 ± 550 338 Cmax,norm(mg/mL) 130 ± 53 356 ± 72 579 ± 109 N.C. N.C. N.C. Tmax(min 又は h) 25 ± 9 min 30 ± 0 min 20 ± 9 min 20 ± 9 min 0.8 ± 0.3 h 2.0 h AUC0-∞(ng eq.·h/mL) 2010 ± 470 10400 ± 1800 45200 ± 2700 6990 ± 460 48800 ± 7300 4430 AUC0-∞,norm(mg·h/mL) 670 ± 155 1040 ± 180 1510 ± 90 N.C. N.C. N.C. t1/2(day 又は h) [t1/2算出時間-h]

18.9 ± 13.1 h [12 - 72]1)

50.3 ± 9.2 h [24 - 72]

40.0 ± 13.4 h [24 - 72]

4.38 ± 5.25 h [6 - 12] 1)

4.90 ± 0.18 day [24 - 168]1)

1.7 day [24 - 96]

F(%) 38.1 ± 8.8 59.3 ± 10.5 85.5 ± 5.1 60.8 ± 4.0 70.4 ± 10.5 62.6 試験番号 4638 4641 4095 CTD記載箇所 4.2.2.2-1 4.2.2.2-3 4.2.2.2-5参

ラット及びイヌの値は3例の平均値±標準偏差,サルの値は1例の値を表示 F :見かけの吸収率;血漿中放射能濃度のAUC0-∞を経口投与時と静脈内投与時で比較し算出(サルは報告書内で未算出のため式を表示;F = 4430/2360 × 1/3 × 100 = 62.6) t1/2算出時間 :1)個体ごとに算出時間が異なるため算出に使用した全ての時間範囲を表示 N.C. :雌性ラット,イヌ及びサルは用量相関性を検討していないため算出せず 参 :参考資料 追記 :雄性ラットの血漿中放射能のCmax及びAUC0-∞において,3~30 mg/kgの用量範囲で投与量の公比を上回る非線形が認められた。この非線形の主な原因は,アナグリプチンは

P糖たん白の基質となることから,投与量の増加に伴いP糖たん白の輸送能が飽和し吸収率が上昇したためと推察された。 10 mg/kgで投与した雌雄のラットにおいて,見かけの吸収率はほぼ同じであった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.3. 薬物動態試験:吸収:単回投与後の血漿中動態(その2)

(2) ラット,イヌ及びサル(経口投与,未変化体濃度)

被験物質:アナグリプチン 動物種 Crl:CD(SD)ラット ビーグル犬 カニクイザル 性別(雄/雌)/動物数 雄/3 雄/3 雄/3 雌/3 雄/3 雄/1 給餌 絶食 絶食 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 水/液体 水/液体 投与方法 経口 経口 経口 投与量(mg/kg) 3(4 MBq/kg) 10(4 MBq/kg) 30(4 MBq/kg) 10(4 MBq/kg) 10(2 MBq/kg) 3(15.75 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 14C/3.35 MBq/mg 14C/5.25 MBq/mg 試料 血漿 血漿 血漿 定量(対象)物質 アナグリプチン アナグリプチン アナグリプチン 定量法 LC/MS/MS LC/MS/MS HPLC, LSC 薬物動態パラメータ

Cmax(ng/mL) 279 ± 77 3260 ± 960 15100 ± 2600 6630 ± 2060 8770 ± 610 168 Cmax,norm(mg/mL) 93.0 ± 25.6 326 ± 96 504 ± 88 N.C. N.C. N.C. Tmax(min 又は h) 20 ± 9 min 30 ± 0 min 20 ± 9 min 20 ± 9 min 0.7 ± 0.3 h 2.0 h AUC0-∞(ng·h/mL) 695 ± 92 3950 ± 860 15100 ± 2400 6540 ± 400 26600 ± 2700 882 AUC0-∞,norm(mg·h/mL) 232 ± 31 395 ± 86 502 ± 79 N.C. N.C. N.C. 未変化体AUC0-∞/放射能AUC0-∞(%) 35 38 33 N.C. N.C. N.C. t1/2(h) [t1/2算出時間-h]

5.15 ± 3.12 [6 - 24]1)

3.16 ± 1.56 [8 - 48]1)

4.06 ± 0.77 [8 - 48]1)

2.98 ± 0.45 [6 - 24]1)

1.70 ± 0.14 [1 - 24]1)

6.6 [8 - 24]

BA(%) 24.9 ± 3.3 42.4 ± 9.2 54.0 ± 8.5 61.2 ± 3.7 77.7 ± 7.9 50.2 試験番号 4633 4634 4095 CTD記載箇所 4.2.2.2-2 4.2.2.2-4 4.2.2.2-5参

ラット及びイヌの値は3例の平均値±標準偏差,サルの値は1例の値を表示,ただし,未変化体AUC0-∞/放射能AUC0-∞(%)は平均値より算出した値を表示 BA :血漿中未変化体濃度のAUC0-∞を経口投与時と静脈内投与時で比較し算出 t1/2算出時間 :1)個体ごとに算出時間が異なるため算出に使用した全ての時間範囲を表示 N.C. :雌性ラット,イヌ及びサルは用量相関性を検討していないため算出せず 参 :参考資料 追記 :雄性ラットの血漿中未変化体のCmax及びAUC0-∞において,3~30 mg/kgの用量範囲で投与量の公比を上回る非線形が認められた。血漿中放射能のAUC0-∞に対する未変化体の

AUC0-∞の割合は33~38%であり,投与量間でほぼ一定であったことから,代謝は飽和していないと推察された。 ラットの雌雄間で見かけの吸収率はほぼ同等であったが,未変化体のCmax及びAUC0-∞は雌性ラットの方が高かった。雌性ラットでは見かけの吸収率とBAが同等であったのに対し,雄性ラットでは見かけの吸収率よりBAが約28%低かった。このことより,雄性ラットでは一部初回通過効果を受けていると推察された。また,この代謝の性差が経口投与後の未変化体濃度の差の原因と推察された。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.3. 薬物動態試験:吸収:単回投与後の血漿中動態(その3)

(3) ラット,イヌ及びサル(静脈内投与)

被験物質: アナグリプチン 動物種 Crl:CD(SD)ラット ビーグル犬 カニクイザル 性別(雄/雌)/動物数 雄/3 雌/3 雄/3 雌/3 雄/3 雄/3 雄/1 雄/1 給餌 絶食 絶食 絶食 絶食 溶媒/投与形態 生理食塩水/液体 生理食塩水/液体 生理食塩水/液体 生理食塩水/液体 投与方法 静脈内 静脈内 静脈内 静脈内 投与量(mg/kg) 10(2 MBq/kg) 10(2 MBq/kg) 10(1 MBq/kg) 1(5.25 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 14C/3.35 MBq/mg 14C/3.35 MBq/mg 14C/5.25 MBq/mg 試料 血漿 血漿 血漿 血漿 定量(対象)物質 放射能 アナグリプチン 放射能 アナグリプチン 放射能 アナグリプチン 定量法 LSC LC/MS/MS LSC LC/MS/MS LSC HPLC, LSC 薬物動態パラメータ

C 5min(ng eq./mL 又は ng/mL) 18600 ± 5500 17400 ± 2400 20900 ± 7100 19800 ± 3000 17500 ± 2300 16500 ± 2500 1090 855 AUC0-∞(ng eq.·h/mL 又は ng·h/mL) 17600 ± 6900 11500 ± 1900 9300 ± 3550 10700 ± 2000 69300 ± 6200 34200 ± 4800 2360 586 t1/2 α(min 又は h) [t1/2算出時間-h]

26.5 ± 1.4 min[0.083 - 2]

20.6 ± 3.3 min[0.083 - 1]

16.5 ± 0.4 min[0.083 - 2]

24.7 ± 5.8 min[0.083 - 4]1)

1.93 ± 0.23 h[0.083 - 12]

1.44 ± 0.11 h[0.083 - 10]

41 min [0.083 - 2]

42 min [0.083 - 6]

t1/2 β(day 又は h) [t1/2算出時間-h]

4.61 ± 0.72 h[4 - 12]

2.45 ± 0.82 h[2- 12]1)

4.30 ± 1.05 h[6 - 24]1)

4.21 ± 2.32 h[8 - 48]1)

8.98 ± 6.98 day[24 - 168]1)

4.90 ± 0.11 h[12 - 48]

4.8 h [4 - 12]

5.5 h [8 - 24]

t1/2 γ(day 又は h) [t1/2算出時間-h]

54.6 ± 26.6 h[12 - 72]1) N.C. N.C. N.C. N.C. N.C. 2.6 day

[24 - 96] N.C.

CLp(mL/h/kg) 622 ± 204 883 ± 157 1190 ± 440 958 ± 190 145 ± 14 296 ± 39 424 1710 Vdss(L/kg) 14.9 ± 4.1 0.992 ± 0.187 0.667 ± 0.251 0.709 ± 0.142 19.2 ± 17.4 0.659 ± 0.130 19.9 1.60

試験番号 4638 4633 4641 4634 4095 CTD記載箇所 4.2.2.2-1 4.2.2.2-2 4.2.2.2-3 4.2.2.2-4 4.2.2.2-5参

ラット及びイヌの値は3例の平均値±標準偏差,サルの値は1例の値を表示 C 5min :投与後5分の血漿中濃度 t1/2算出時間 :1)個体ごとに算出時間が異なるため算出に使用した全ての時間範囲を表示 N.C. :二相性のため算出せず 参 :参考資料 追記 :静脈内投与後の雄性ラット,イヌ及びサルの血漿中放射能に緩慢な消失相が認められたが,未変化体のt1/2は比較的短かった。

雌雄ラットにおいて,血漿中放射能の消失は雌性ラットの方が速やかであったが,未変化体のt1/2に性差は認められなかった。また,未変化体のCLp及びVdssにも明確な性差は認められなかった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.3. 薬物動態試験:吸収:単回投与後の血漿中動態(その4)

(4) ラット食餌の影響(経口投与)

被験物質:アナグリプチン 動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/3 雄/3 給餌 絶食 非絶食 溶媒/投与形態 水/液体 水/液体 投与方法 経口 経口 投与量(mg/kg) 10(4 MBq/kg) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 14C/3.35 MBq/mg 投与回数 1 1 試料 血漿 定量(対象)物質 アナグリプチン 定量法 LC/MS/MS 薬物動態パラメータ

Cmax(ng/mL) 3260 ± 960 398 ± 57 Tmax(min) 30 ± 0 30 ± 26 AUC0-∞(ng·h/mL) 3950 ± 860 2220 ± 710 t1/2(h) [t1/2算出時間-h]

3.16 ± 1.56 [8 - 48]1)

5.00 ± 1.57 [4 - 72]1)

試験番号 4633 4728 CTD記載箇所 4.2.2.2-2 4.2.2.2-7

値は3例の平均値±標準偏差を表示 t1/2算出時間 :1)個体ごとに算出時間が異なるため算出に使用した全ての時間範囲を表示 追記 :飽食ラットにおけるCmax及びAUC0-∞は,絶食ラットと比較してそれぞれ12.2及び56.2%に低下し,食餌の影響が見られた。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.3. 薬物動態試験:吸収:単回投与後の血漿中動態(その5)

(5) ラット吸収部位(in situ)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 00071 CTD記載箇所:4.2.2.2-8参

動物種 Crj:CD(SD)IGSラット1)

性別(雄/雌)/動物数 雄/6 給餌 絶食 溶媒/投与形態 水(0.05%メタノール含有)/液体

投与方法 胃,十二指腸,小腸上部,小腸中部,小腸下部及び結腸を結紮してループを形成後,

ループ内に[14C]アナグリプチン投与液を投与 (腸管1.0 cm につき0.1 mL投与,胃は2 mL 投与)

投与量(mg) 胃,小腸上部,小腸中部,小腸下部:4(24.4 kBq),十二指腸:1.4(8.54 kBq),結腸:2(12.2 kBq) 放射性核種/比放射能 14C/2.62 MBq/mg 投与回数 1 試料 消化管内液 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC 吸収率(%)2)

胃 2.5 十二指腸 49.3 小腸上部 48.6 小腸中部 10.9

小腸下部 30.9 結腸 9.2

値は1例の値を表示 1) :現行系統名はCrl:CD(SD)ラット 2) :吸収率(%)=(1 − 消化管内残存放射能量/投与放射能量)× 100 参 :参考資料 追記 :[14C]アナグリプチンは胃でほとんど吸収されず,十二指腸及び小腸上部で高い吸収率を示した。また,小腸の各部位において,小腸中部は十二指腸,小腸上部及び小腸下部に

比べて吸収率が低く吸収部位特異性が認められた。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.4. 薬物動態試験:吸収:反復投与後の血漿中動態

被験物質:アナグリプチン 動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/3 雄/3 雄/3 雄/3 給餌 非絶食 非絶食 非絶食 非絶食 溶媒/投与形態 水/液体 水/液体 水/液体 水/液体 投与方法 経口 経口 経口 経口 投与量(mg/kg/day) 10(4 MBq/kg) 10(4 MBq/kg) 10(4 MBq/kg) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 14C/3.35 MBq/mg 14C/3.35 MBq/mg 14C/3.35 MBq/mg 投与回数 1 14 1 14 試料 血漿 血漿 定量(対象)物質 放射能 アナグリプチン 定量法 LSC LC/MS/MS 薬物動態パラメータ 単回 14回 単回 14回

Cmax(ng eq./mL 又は ng/mL) 554 ± 83 1010 ± 10 398 ± 57 601 ± 79 Tmax(min) 35 ± 23 30 ± 0 30 ± 26 30 ± 0 AUC0-24h(ng eq.·h/mL 又は ng·h/mL) 4680 ± 1710 7350 ± 2100 2160 ± 700 2380 ± 790 AUC0-∞(ng eq.·h/mL 又は ng·h/mL) 6490 ± 2280 16200 ± 4400 2220 ± 710 2450 ± 790 t1/2(h) [t1/2算出時間-h]

31.3 ± 13.4 [24 - 72]1)

45.8 ± 7.7 [24 - 72]

5.00 ± 1.57 [4 - 72]1)

4.48 ± 0.84 [4 - 48]1)

試験番号 4681 4728 CTD記載箇所 4.2.2.2-6 4.2.2.2-7

値は3例の平均値±標準偏差を表示 t1/2算出時間 :1)個体ごとに算出時間が異なるため算出に使用した全ての時間範囲を表示 追記 :反復投与により血漿中放射能の累積及びt1/2の遅延が認められたが,未変化体の体内動態に変化は認められなかった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.5. 薬物動態試験:組織分布(その1)

(1) 雄性アルビノラット(単回)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 4680 CTD記載箇所:4.2.2.3-1

動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/18 給餌 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 計測時間(各時点例数) 30分,2,6,24,72,120時間(n=3) 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC

濃度(ng eq. /g or mL) t1/2 臓器・組織 30 分 2 時間 6 時間 24 時間 72 時間 120 時間 (day)

血漿 2530 ± 340 916 ± 360 663 ± 208 49.6 ± 18.4 17.8 ± 1.5 9.73 ± 8.48 1.7 血液 1690 ± 260 612 ± 219 509 ± 146 104 ± 44 54.0 ± 3.4 45.3 ± 18.1 3.3 大脳 140 ± 18 105 ± 16 183 ± 44 48.3 ± 19.6 11.4 ± 1.4 11.6 ± 4.0 1.9 脊髄 137 ± 21 84.6 ± 12.9 159 ± 38 40.6 ± 14.9 15.2 ± 3.1 11.7 ± 3.3 2.2 眼球 393 ± 109 206 ± 37 269 ± 66 47.0 ± 18.1 15.1 ± 1.3 12.3 ± 3.6 2.1 顎下腺 2290 ± 370 911 ± 308 1040 ± 390 123 ± 104 25.9 ± 1.6 19.4 ± 5.2 1.5 甲状腺 1990 ± 510 862 ± 296 627 ± 59 115 ± 108 0 ± 0 0 ± 0 N.C. 心臓 1510 ± 210 543 ± 151 489 ± 124 110 ± 36 34.3 ± 4.0 24.0 ± 7.9 1.8 肺 2310 ± 320 1000 ± 180 995 ± 227 129 ± 45 36.4 ± 3.0 26.7 ± 6.6 1.8 肝臓 6890 ± 840 3180 ± 1080 2890 ± 540 247 ± 96 83.5 ± 7.3 59.0 ± 18.4 1.9 腎臓 10200 ± 2100 5000 ± 1250 4450 ± 830 348 ± 149 62.6 ± 5.4 36.4 ± 10.7 1.2 脾臓 2180 ± 400 827 ± 240 758 ± 159 119 ± 38 39.2 ± 3.6 29.1 ± 6.9 2.0 膵臓 1700 ± 400 600 ± 133 537 ± 125 70.6 ± 23.9 27.3 ± 4.3 18.5 ± 4.9 2.1 骨格筋 1070 ± 350 343 ± 90 333 ± 86 59.0 ± 21.0 24.3 ± 3.9 17.3 ± 3.9 2.3 皮膚 1180 ± 310 450 ± 156 731 ± 116 135 ± 91 104 ± 10 35.2 ± 1.0 2.1 精巣 379 ± 69 310 ± 59 481 ± 99 123 ± 47 36.5 ± 2.9 27.1 ± 8.2 1.8 膀胱 11800 ± 7100 5660 ± 2720 2470 ± 2110 117 ± 36 26.9 ± 2.3 28.8 ± 13.9 2.0 小腸 35300 ± 9700 35300 ± 12700 16100 ± 10100 104 ± 9 25.9 ± 5.9 16.3 ± 4.3 1.5

組織内濃度は3例の平均値±標準偏差,t1/2は3例の平均濃度から算出(t1/2算出時間:24~120 h,N.C.:算出せず) 他に小脳,下垂体,ハーダー腺,外涙腺,耳下腺,舌下腺,顎下リンパ節,食道,胸腺,腎皮質,腎髄質,副腎,大動脈,白色脂肪,褐色脂肪,大腿骨,骨髄,精巣上体,精嚢,前立腺,胃,盲腸及び大腸の放射能濃度も測定したが表示していない 追記:小腸,腎臓,肝臓及び膀胱などの組織内放射能濃度が高く,眼球,中枢組織の放射能濃度は低かった。各組織に移行した放射能は経時的に減少し,投与後72時間及び120時間に各組織に残存している放射能は

それぞれ投与量の0.27及び0.10%以下であった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.5. 薬物動態試験:組織分布(その2)

(2) 雌性アルビノラット(単回)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 4680 CTD記載箇所:4.2.2.3-1

動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雌/18 給餌 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 計測時間(各時点例数) 30分,2,6,24,72,120時間(n=3) 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC

濃度(ng eq. /g or mL) t1/2 臓器・組織 30 分 2 時間 6 時間 24 時間 72 時間 120 時間 (day)

血漿 3230 ± 660 481 ± 140 729 ± 625 15.4 ± 2.2 0 ± 0 0 ± 0 N.C. 血液 1990 ± 420 306 ± 90 421 ± 363 23.3 ± 4.2 0 ± 0 13.4 ± 1.9 N.C. 大脳 78.2 ± 12.5 52.8 ± 24.6 37.6 ± 13.2 9.52 ± 1.02 0 ± 0 0 ± 0 N.C. 脊髄 63.3 ± 10.8 42.5 ± 18.3 42.4 ± 17.5 10.3 ± 0.7 0 ± 0 0 ± 0 N.C. 眼球 330 ± 120 131 ± 72 129 ± 74 12.3 ± 2.0 0 ± 0 5.86 ± 0.81 N.C. 顎下腺 2560 ± 920 632 ± 272 936 ± 648 77.0 ± 82.8 8.60 ± 1.71 7.36 ± 1.18 1.2 甲状腺 1810 ± 920 539 ± 301 589 ± 325 0 ± 0 0 ± 0 0 ± 0 N.C. 心臓 1500 ± 450 408 ± 154 507 ± 348 22.6 ± 2.8 7.70 ± 0.66 5.15 ± 4.46 1.9 肺 2300 ± 760 794 ± 137 1030 ± 350 36.3 ± 8.2 11.0 ± 0.8 8.43 ± 1.42 1.9 肝臓 6030 ± 1610 2120 ± 590 3040 ± 1850 114 ± 35 24.2 ± 4.1 16.7 ± 1.0 1.4 腎臓 14100 ± 5300 4320 ± 1310 4900 ± 1830 272 ± 78 25.2 ± 2.9 15.5 ± 2.0 1.0 脾臓 3000 ± 280 572 ± 196 850 ± 478 34.3 ± 7.8 13.7 ± 1.9 11.0 ± 2.8 2.4 膵臓 2460 ± 270 367 ± 85 512 ± 343 18.3 ± 3.3 6.31 ± 5.47 7.03 ± 0.46 2.9 骨格筋 1050 ± 420 226 ± 101 267 ± 169 13.7 ± 1.4 5.18 ± 4.63 8.19 ± 0.74 5.4 皮膚 1190 ± 440 262 ± 119 472 ± 293 73.8 ± 86.0 18.3 ± 4.2 17.1 ± 5.0 1.9 卵巣 1840 ± 700 290 ± 93 420 ± 280 25.7 ± 2.2 0 ± 0 0 ± 0 N.C. 子宮 1600 ± 540 304 ± 145 494 ± 348 29.3 ± 17.1 8.03 ± 7.01 10.6 ± 1.4 2.7 膀胱 1980 ± 700 759 ± 593 1150 ± 780 22.2 ± 7.1 0 ± 0 10.2 ± 9.0 N.C. 小腸 40600 ± 10100 27200 ± 8700 25300 ± 19000 94.4 ± 67.6 7.20 ± 6.24 8.04 ± 1.36 1.1

組織内濃度は3例の平均値±標準偏差,t1/2は3例の平均濃度から算出(t1/2算出時間:24~120 h,N.C.:算出せず) 他に小脳,下垂体,ハーダー腺,外涙腺,耳下腺,舌下腺,顎下リンパ節,食道,胸腺,腎皮質,腎髄質,副腎,大動脈,白色脂肪,褐色脂肪,大腿骨,骨髄,胃,盲腸及び大腸の放射能濃度も測定したが表示していない 追記:雌性ラットは雄性ラットと同様な組織内分布を示したが,各組織からの消失は雄性ラットよりも速やかであった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.5. 薬物動態試験:組織分布(その3)

(3) 雄性有色ラット(単回)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 4959 CTD記載箇所:4.2.2.3-2

動物種 Iar:Long Evansラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/21 給餌 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/4.50 MBq/mg 計測時間(各時点例数) 30分,6,24,72,168,336,672時間(n=3) 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC

濃度(ng eq. /g or mL) t1/2 臓器・組織 30 分 6 時間 24 時間 72 時間 168 時間 336 時間 672 時間 (day)

血漿 3430 ± 220 452 ± 200 31.7 ± 3.3 17.9 ± 4.8 0 ± 0 0 ± 0 0 ± 0 2.4 血液 2210 ± 160 340 ± 156 81.5 ± 13.0 56.1 ± 16.0 28.4 ± 7.5 19.9 ± 7.5 0 ± 0 6.5 大脳 135 ± 16 156 ± 70 36.2 ± 3.4 15.0 ± 5.8 0 ± 0 0 ± 0 0 ± 0 1.6 角膜 350 ± 112 412 ± 226 0 ± 0 0 ± 0 0 ± 0 0 ± 0 0 ± 0 N.C. 虹彩・毛様体 5700 ± 3250 20100 ± 7100 25300 ± 5800 12000 ± 3500 10400 ± 1800 7370 ± 2120 8690 ± 1540 56.1 水晶体 60.4 ± 4.9 156 ± 56 69.0 ± 13.6 45.3 ± 6.4 22.4 ± 20.1 23.1 ± 7.8 6.13 ± 10.62 9.5 硝子体 396 ± 79 667 ± 287 368 ± 108 172 ± 49 148 ± 20 83.4 ± 25.4 46.9 ± 11.3 13.0 網膜・脈絡膜 2280 ± 520 6690 ± 1400 5260 ± 1190 3910 ± 920 3310 ± 590 2550 ± 370 1890 ± 20 24.3 強膜 507 ± 226 1010 ± 280 821 ± 39 534 ± 63 360 ± 21 268 ± 6 197 ± 36 18.9 心臓 1480 ± 210 370 ± 125 84.5 ± 21.9 43.1 ± 11.6 18.8 ± 5.2 10.2 ± 3.3 2.22 ± 3.85 5.5 肺 2550 ± 220 932 ± 228 92.4 ± 12.2 38.5 ± 8.7 17.2 ± 6.6 3.04 ± 5.27 5.35 ± 4.72 6.8 肝臓 8990 ± 230 2270 ± 530 181 ± 19 98.9 ± 23.7 35.1 ± 11.7 8.10 ± 7.05 0 ± 0 2.9 腎臓 13700 ± 1200 4130 ± 890 237 ± 15 72.4 ± 22.5 23.2 ± 4.2 5.85 ± 5.07 0 ± 0 2.6 皮膚(白色部) 1240 ± 380 314 ± 113 127 ± 40 85.9 ± 14.9 21.0 ± 6.8 15.3 ± 5.3 13.1 ± 3.8 8.9 皮膚(有色部) 1320 ± 290 375 ± 98 68.9 ± 17.4 78.5 ± 45.7 34.7 ± 3.0 16.3 ± 3.0 20.8 ± 7.2 13.6 小腸 39400 ± 20200 9270 ± 4170 78.2 ± 31.5 24.0 ± 6.3 0 ± 0 0 ± 0 0 ± 0 1.2

組織内濃度は3例の平均値±標準偏差,t1/2は3例の平均濃度から算出(t1/2算出時間:24又は72~672 h又は濃度が0になる時点の前の時点,N.C.:算出せず) 他に小脳,下垂体,房水,ハーダー腺,顎下腺,甲状腺,顎下リンパ節,胸腺,副腎,脾臓,膵臓,白色脂肪,褐色脂肪,骨格筋,骨髄,精巣,精巣上体,精嚢,前立腺,膀胱,胃,盲腸及び大腸の放射能濃度も測定したが表示していない 追記:メラニン含有組織である虹彩・毛様体,網膜・脈絡膜及び強膜の放射能濃度が高く,各組織からの消失はメラニン非含有組織と比較して遅延していた。なお,皮膚中の放射能においては,白色部と有色部で差

は認められなかった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.5. 薬物動態試験:組織分布(その4)

(4) 雄性アルビノラット(反復)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 4961 CTD記載箇所:4.2.2.3-3

動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/21 給餌 非絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg/day) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/4.11 MBq/mg 投与回数 28 計測時間(各時点例数) 30分,2,6,24,72,120,168時間(n=3) 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC

濃度(ng eq. /g or mL) t1/2 臓器・組織 30 分 2 時間 6 時間 24 時間 72 時間 120 時間 168 時間 (day)

血漿 1180 ± 200 458 ± 67 275 ± 82 105 ± 11 74.4 ± 6.6 36.5 ± 12.6 23.7 ± 5.3 58.2 血液 1060 ± 200 651 ± 86 548 ± 178 512 ± 60 460 ± 71 337 ± 130 292 ± 29 146.4 大脳 116 ± 49 121 ± 15 148 ± 55 92.6 ± 13.0 70.9 ± 7.5 50.9 ± 20.3 40.5 ± 3.4 118.8 脊髄 137 ± 50 130 ± 3 153 ± 77 106 ± 20 89.2 ± 15.0 61.7 ± 18.8 48.6 ± 5.9 109.6 眼球 251 ± 74 229 ± 32 227 ± 94 154 ± 17 132 ± 20 103 ± 37 91.5 ± 3.3 181.6 顎下腺 1970 ± 330 1840 ± 530 1760 ± 600 627 ± 100 224 ± 53 131 ± 44 84.0 ± 10.3 67.8 甲状腺 1330 ± 490 683 ± 168 594 ± 82 392 ± 87 315 ± 32 175 ± 28 164 ± 14 101.9 心臓 870 ± 177 542 ± 67 442 ± 154 303 ± 37 239 ± 45 166 ± 63 131 ± 14 110.7 肺 1560 ± 230 1050 ± 40 891 ± 156 355 ± 56 239 ± 43 170 ± 65 135 ± 9 116.5 肝臓 3740 ± 770 2280 ± 130 1800 ± 410 809 ± 64 498 ± 73 294 ± 116 187 ± 17 67.9 腎臓 8430 ± 610 4840 ± 290 4180 ± 490 1050 ± 60 328 ± 42 228 ± 89 151 ± 20 85.8 脾臓 1320 ± 330 869 ± 65 748 ± 204 370 ± 34 274 ± 35 211 ± 87 158 ± 3 120.9 膵臓 870 ± 225 459 ± 57 409 ± 105 202 ± 18 152 ± 20 104 ± 48 70.4 ± 8.8 86.5 骨格筋 479 ± 91 349 ± 53 307 ± 86 209 ± 26 177 ± 23 133 ± 49 116 ± 11 157.5 皮膚 857 ± 127 708 ± 145 836 ± 148 545 ± 63 479 ± 122 323 ± 3 352 ± 59 195.1 精巣 367 ± 144 387 ± 51 414 ± 141 266 ± 44 184 ± 25 138 ± 59 92.0 ± 10.6 96.0 膀胱 2570 ± 1750 1800 ± 880 4790 ± 3700 346 ± 82 210 ± 41 180 ± 66 130 ± 14 138.8 小腸 27800 ± 13900 26200 ± 10000 8250 ± 4570 368 ± 166 145 ± 35 111 ± 53 81.8 ± 9.5 116.2

組織内濃度は3例の平均値±標準偏差,t1/2は3例の平均濃度から算出(t1/2算出時間:24又は72~168 h) 他に小脳,下垂体,脳脊髄液,ハーダー腺,外涙腺,耳下腺,舌下腺,顎下リンパ節,食道,胸腺,腎皮質,腎髄質,副腎,大動脈,白色脂肪,褐色脂肪,大腿骨,骨髄,精巣上体,精嚢,前立腺,胃,盲腸及び大腸の放射能濃度も測定したが表示していない 追記:単回投与と比較して同様の分布傾向を示したが,ほぼ全ての組織において,投与後24又は72時間以降の最終相における放射能濃度の累積が認められた。しかし,各組織に累積した放射能は,投与後72時間以

降で累積投与量の0.04%以下と僅かであった(投与後72時間での骨格筋及び皮膚中放射能は,累積投与量のそれぞれ0.03及び0.04%,その他の組織は0.01%以下)。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.5. 薬物動態試験:組織分布(その5)

(5) 雌性アルビノラット(反復)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 4961 CTD記載箇所:4.2.2.3-3

動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雌/21 給餌 非絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg/day) 10(4MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/4.11 MBq/mg 投与回数 28 計測時間(各時点例数) 30分,2,6,24,72,120,168時間(n=3) 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC

濃度(ng eq. /g or mL) t1/2 臓器・組織 30 分 2 時間 6 時間 24 時間 72 時間 120 時間 168 時間 (day)

血漿 2390 ± 1100 530 ± 254 128 ± 11 27.2 ± 4.6 19.3 ± 3.5 0 ± 0 0 ± 0 28.6 血液 1400 ± 590 389 ± 149 150 ± 12 88.8 ± 20.2 76.2 ± 2.7 63.3 ± 8.2 40.4 ± 6.5 104.9 大脳 75.3 ± 5.8 54.3 ± 24.3 33.9 ± 4.6 18.8 ± 5.0 15.8 ± 3.6 11.4 ± 2.2 5.90 ± 5.12 67.6 脊髄 80.9 ± 17.7 56.0 ± 17.7 31.2 ± 5.1 23.6 ± 4.2 18.7 ± 5.2 14.6 ± 3.6 11.4 ± 1.2 134.5 眼球 313 ± 45 139 ± 46 74.6 ± 10.0 32.7 ± 7.0 34.1 ± 3.5 24.9 ± 2.2 19.1 ± 2.1 114.8 顎下腺 4090 ± 1190 1640 ± 520 1140 ± 320 275 ± 154 72.2 ± 18.1 36.6 ± 3.5 27.9 ± 9.6 70.0 甲状腺 1980 ± 710 595 ± 180 280 ± 39 133 ± 26 96.7 ± 20.4 0 ± 0 0 ± 0 49.0 心臓 1430 ± 380 426 ± 156 180 ± 14 77.0 ± 16.3 54.8 ± 7.5 42.8 ± 6.5 31.9 ± 3.3 123.0 肺 2440 ± 650 966 ± 216 651 ± 83 148 ± 43 62.3 ± 12.7 44.1 ± 6.7 30.7 ± 1.7 94.0 肝臓 5670 ± 1900 2260 ± 800 1050 ± 100 400 ± 49 112 ± 7 64.3 ± 9.6 42.2 ± 3.7 68.2 腎臓 16200 ± 5400 6200 ± 2120 3230 ± 90 1220 ± 320 154 ± 2 102 ± 33 63.1 ± 8.3 74.6 脾臓 2790 ± 630 889 ± 244 470 ± 39 139 ± 24 90.1 ± 6.7 74.5 ± 8.3 48.9 ± 8.1 108.9 膵臓 2190 ± 590 479 ± 153 222 ± 100 62.9 ± 6.8 43.9 ± 7.3 29.6 ± 1.7 21.7 ± 2.9 94.4 骨格筋 1240 ± 490 285 ± 99 130 ± 12 60.0 ± 15.3 49.0 ± 4.5 40.1 ± 2.9 29.8 ± 2.7 133.8 皮膚 1150 ± 190 684 ± 331 402 ± 6 387 ± 64 408 ± 68 220 ± 123 173 ± 25 77.6 卵巣 1820 ± 570 412 ± 175 170 ± 16 64.8 ± 15.1 45.0 ± 3.6 31.9 ± 7.6 14.4 ± 12.6 58.4 子宮 1820 ± 330 673 ± 349 207 ± 8 89.1 ± 33.7 65.9 ± 18.3 45.7 ± 4.4 29.8 ± 4.5 83.8 膀胱 2340 ± 810 343 ± 149 311 ± 188 73.9 ± 15.3 56.0 ± 16.3 45.8 ± 4.6 33.5 ± 2.6 129.5 小腸 37400 ± 7700 35700 ± 15300 2020 ± 680 250 ± 130 110 ± 12 63.5 ± 10.6 44.0 ± 17.1 72.6

組織内濃度は3例の平均値±標準偏差,t1/2は3例の平均濃度から算出(t1/2算出時間:6~72 h又は72~168 h) 他に小脳,下垂体,脳脊髄液,ハーダー腺,外涙腺,耳下腺,舌下腺,顎下リンパ節,食道,胸腺,腎皮質,腎髄質,副腎,大動脈,白色脂肪,褐色脂肪,大腿骨,骨髄,胃,盲腸及び大腸の放射能濃度も測定したが表示していない 追記:反復投与により累積した放射能は雄性ラットの方が高かったことより,雄性ラットで生成量の多い代謝物が累積に起因しているものと推察された。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.5. 薬物動態試験:組織分布(その6)

(6) 雄性アルビノラット全身オートラジオグラフィー(単回)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 4679 CTD記載箇所:4.2.2.3-4

動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/4 給餌 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 投与回数 1 計測時間(各時点例数) 30分,6,24,120時間(n=1) 定量(対象)物質 放射能 定量法 全身オートラジオグラフィー 結果 大部分の組織が投与後30分に高い放射能を示した。

投与後30分では腸内容物,胃内容物に高い放射能が認められ,次いで膀胱内尿,腎皮質,肝臓,腎髄質,腸,膀胱,顎下腺,下垂体,甲状腺に高い放射能が認められた。 脾臓,膵臓,腸間膜リンパ節,副腎,顎下リンパ節,側脳室(脳脊髄液),胃,心臓,肺,骨髄,褐色脂肪,胸腺の放射能は血液とほぼ同程度であった。 皮膚,ハーダー腺,骨格筋,前立腺,精巣上体,精巣,白色脂肪,脳,眼球,脊髄の放射能は血液より低かった。 以後,全体の放射能は経時的に減少し,投与後120時間では腸内容物に低い放射能が認められたのみであった。

追記:アルビノラットの全身オートラジオグラムは,組織分布試験結果と良く一致していた。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.6. 薬物動態試験:血清たん白結合及び血球移行性(その1)

(1) 血清たん白結合(in vitro)

被験物質:アナグリプチン,SKL-12320 試験系 In vitro 試験方法 限外濾過法 放射性核種/比放射能 [14C]アナグリプチン/3.35 MBq/mg 定量(対象)物質 放射能([14C]アナグリプチン),SKL-12320 定量法 LSC(放射能),LC/MS/MS(SKL-12320) 反応時間 [14C]アナグリプチン:30分,SKL-12320:15分 結果 アナグリプチンの結合率(%) アナグリプチン濃度(ng/mL) ラット血清 イヌ血清 サル血清 ヒト血清 HSA(40 mg/mL) α1-AGP(1 mg/mL)

10 87.6 ± 2.9 62.2 ± 1.6 45.8 ± 7.4 48.2 ± 7.6 15.3 ± 1.1 8.1 ± 4.3 100 88.9 ± 2.3 54.1 ± 3.4 31.8 ± 4.8 43.9 ± 5.6 13.9 ± 2.9 9.2 ± 2.2 1000 88.4 ± 1.5 52.1 ± 4.7 30.4 ± 3.5 42.7 ± 4.3 14.5 ± 0.7 10.0 ± 1.1 10000 87.5 ± 1.8 50.4 ± 4.4 29.8 ± 4.1 42.3 ± 3.3 14.0 ± 0.4 9.5 ± 0.9 100000 73.8 ± 4.2 41.7 ± 4.6 26.9 ± 5.0 37.1 ± 3.2 13.2 ± 0.6 6.9 ± 0.7 試験番号 4644

CTD記載箇所 4.2.2.3-5 SKL-12320の結合率(%)

SKL-12320濃度(ng/mL) ラット血清 イヌ血清 サル血清 ヒト血清 10 49.11) N.C.2) 30.8 ± 5.9 17.8 ± 3.8 100 47.8 ± 1.7 45.5 ± 2.3 34.0 ± 2.5 15.0 ± 2.2 1000 49.1 ± 0.9 43.0 ± 1.8 32.8 ± 0.9 18.1 ± 1.6

試験番号 00025 5217 CTD記載箇所 4.2.2.3-6 4.2.2.3-7

値は3例の平均値±標準偏差を表示[1)1例の濾液が定量下限(5 ng/mL)未満であったため2例の平均値,2)N.C.:3例とも濾液が定量下限(5 ng/mL)未満であったため算出せず] HSA :ヒト血清アルブミン溶液(40 mg/mL) α1-AGP :ヒトα1-酸性糖たん白溶液(1 mg/mL)

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.6. 薬物動態試験:血清たん白結合及び血球移行性(その2)

(2) 血球移行性(in vitro)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 4645 CTD記載箇所:4.2.2.3-8

試験系 In vitro 試験方法 各種動物の血液に[14C]アナグリプチンの10~100000 ng/mL(最終濃度)を添加し,37°Cで5分間インキュベーション後,血液及び血

漿中放射能濃度をLSCにて測定した。得られた血液及び血漿中放射能濃度とヘマトクリット値から血球移行率を算出した。 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 結果 血球移行率(%) アナグリプチン濃度(ng/mL) ラット血液 イヌ血液 サル血液 ヒト血液

10 6.2 ± 2.5 15.9 ± 4.3 21.6 ± 7.7 21.3 ± 4.6 100 4.6 ± 2.0 21.0 ± 1.9 26.8 ± 2.3 24.9 ± 2.0 1000 5.7 ± 1.8 22.8 ± 1.4 27.8 ± 2.0 23.8 ± 3.0 10000 4.7 ± 1.8 23.9 ± 1.9 27.8 ± 1.7 23.1 ± 2.1 100000 16.5 ± 1.2 30.8 ± 1.8 28.8 ± 2.0 24.5 ± 2.2

値は3例の平均値±標準偏差を表示

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.6. 薬物動態試験:血清たん白結合及び血球移行性(その3)

(3) 血球移行性(in vivo)

被験物質:アナグリプチン 動物種 Crl:CD(SD)ラット ビーグル犬 性別(雄/雌)/動物数 雄/12,雌/12 雄/3 給餌 絶食 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 水/液体 投与方法 経口 経口 投与量(mg/kg) 10(4 MBq/kg) 10(2 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 14C/3.35 MBq/mg 投与回数 1 1 計測時間(各時点例数) 30分,2時間,6時間,24時間(n=3) 30分,2時間,6時間,24時間(n=3) 試料 血液,血漿 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC 結果 血球移行率(%) 時間 ラット/雄 ラット/雌 イヌ/雄 30分 12.0 ± 0.8 3.1 ± 0.5 24.4 ± 5.7

2時間 16.2 ± 3.5 9.4 ± 8.4 21.4 ± 0.9 6時間 26.2 ± 6.0 7.1 ± 7.8 27.5 ± 2.2 24時間 71.4 ± 2.7 60.3 ± 3.4 46.8 ± 15.0

試験番号 4680 4641 CTD記載箇所 4.2.2.3-1 4.2.2.2-3

値は3例の平均値±標準偏差を表示 追記:いずれの動物種においても投与後30分~6時間の血球移行率は in vitroにおける血球移行率と同程度もしくは若干高い程度であったが,投与後24時間では大きく上昇した。この血球

移行率の上昇は代謝物によるものと推察された。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.7. 薬物動態試験:妊娠又は授乳動物における試験(その1)

(1) 胎盤通過性(組織分布)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 5794 CTD記載箇所:4.2.2.3-10

動物種 Crl:CD(SD)ラット 妊娠日数/動物数 妊娠18日/12 給餌 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/4.77 MBq/mg 投与回数 1 計測時間(各時点例数) 30分,6,24,48時間(n=3) 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC

濃度(ng eq. /g or mL) AUC0-48 h AUC0-48 h 比 臓器・組織

30 分 6 時間 24 時間 48 時間 (ng eq.·h/g or mL) (組織/母体血漿) 母体血漿 4040 ± 870 1000 ± 450 21.3 ± 3.5 16.0 ± 2.5 24500 1.00

子宮 1990 ± 40 655 ± 38 74.2 ± 23.2 32.4 ± 7.4 15600 0.64 卵巣 1550 ± 90 518 ± 136 35.0 ± 6.4 23.1 ± 3.9 11700 0.48 乳腺 3110 ± 1130 2460 ± 400 1000 ± 560 167 ± 31 61200 2.50 胎盤 1870 ± 220 1010 ± 310 95.0 ± 17.4 27.3 ± 1.7 19800 0.81 胎膜 1310 ± 320 4100 ± 920 1200 ± 620 176 ± 55 79400 3.24 羊水 50.1 ± 46.7 256 ± 33 92.2 ± 36.9 39.1 ± 6.4 5560 0.23

胎児(全身) 356 ± 17 325 ± 82 37.4 ± 11.3 20.7 ± 2.4 5920 0.24 血液 263 ± 19 274 ± 76 45.1 ± 12.5 23.1 ± 2.9 5230 0.21

脳 126 ± 11 187 ± 50 20.4 ± 4.0 10.1 ± 1.5 3120 0.13 心臓 483 ± 48 327 ± 112 27.7 ± 6.7 15.2 ± 0.4 6060 0.25

肺 441 ± 52 289 ± 58 34.8 ± 4.1 21.2 ± 3.1 5700 0.23 肝臓 496 ± 34 389 ± 94 42.2 ± 5.9 21.2 ± 3.1 7200 0.29 腎臓 492 ± 84 593 ± 85 97.0 ± 30.3 22.9 ± 2.3 10800 0.44 骨格筋 274 ± 175 391 ± 100 37.9 ± 5.8 16.4 ± 2.4 6410 0.26 消化管(内容物を含む) 400 ± 152 473 ± 124 140 ± 70 245 ± 85 12600 0.51

組織内濃度は3例の平均値±標準偏差,AUCは3例の平均濃度から算出 他に母体の血液,大脳,小脳,下垂体,脊髄,甲状腺,眼球,ハーダー腺,顎下腺,舌下腺,胸腺,心臓,肺,肝臓,腎臓,腎皮質,腎髄質,脾臓,膵臓,副腎,白色脂肪,褐色脂肪,大動脈,骨格筋,骨髄,皮膚,

膀胱,胃,小腸,盲腸及び大腸の放射能濃度も測定したが表示していない 追記:胎児組織に放射能の移行が認められたが,母体血漿中放射能濃度と比較して低かった。また,移行した放射能は母体血漿と同様に経時的に消失した。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.7. 薬物動態試験:妊娠又は授乳動物における試験(その2)

(2) 胎盤通過性(全身オートラジオグラフィー)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 5794 CTD記載箇所:4.2.2.3-10

動物種 Crl:CD(SD)ラット 妊娠日数/動物数 妊娠12日/4,妊娠18日/4 給餌 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/4.77 MBq/mg 投与回数 1 計測時間(各時点例数) 30分,6,24,48時間(n=1) 定量(対象)物質 放射能 定量法 全身オートラジオグラフィー 結果 妊娠12日 投与後30分では放射能は全身に認められ,腸内容物及び膀胱内尿の放射能レベルが最も高かった。次いで,胃内容物,肝臓,腎臓,顎下

腺,ハーダー腺,肺,下垂体,心臓,甲状腺及び褐色脂肪の放射能レベルが血液よりも高かった。中枢組織や胎児の放射能レベルは低く,その他の組織の放射能レベルは血液と同程度かそれ以下を示した。 投与後6時間では,投与後30分に比べて全身の放射能レベルは下がり,腸内容物,膀胱内尿に高い放射能が認められた。次いで,腎臓,肝臓,顎下腺,胃内容物,皮膚,褐色脂肪,骨髄,肺,乳腺,胎膜,下垂体,脾臓,膵臓,ハーダー腺,骨格筋及び心臓に放射能が認められた。脊髄には放射能は認められなかった。 投与後24時間以降では,さらに全身の放射能レベルは下がり,消化管内容物,顎下腺,皮膚,腎臓に放射能が認められたのみであった。

妊娠18日 投与後30分では放射能は全身に認められ,腸内容物及び膀胱内尿の放射能レベルが最も高かった。次いで,胃内容物,肝臓,腎臓,顎下腺及び下垂体の放射能レベルが血液よりも高かった。眼球,脳,脊髄,白色脂肪及び胎児組織の放射能レベルは低く,その他の組織の放射能レベルは血液と同程度かそれ以下を示した。 投与後6時間では,投与後30分に比べて全身の放射能レベルは下がり,腸内容物に高い放射能が認められた。次いで,腎臓,顎下腺,乳腺,胃内容物,胎膜,皮膚,肝臓,褐色脂肪,骨髄,肺,心臓及び脾臓の放射能レベルが血液よりも高かった。胎児組織,膵臓,骨格筋,甲状腺及びハーダー腺の放射能レベルは血液と同程度かそれ以下を示した。それ以外の組織には放射能は認められなかった。 投与後24時間以降では,さらに全身の放射能レベルは下がり,消化管内容物,乳腺,顎下腺,腎臓,胎膜,胎児膀胱内尿,胎児消化管,皮膚及び肝臓に放射能が認められたのみであった。

追記:[14C]アナグリプチン由来放射能の胎盤通過性は器官形成期ではほとんどなく,周産期では僅かにあるものの,いずれの組織も経時的に消失し残留性はないと推察された。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.7. 薬物動態試験:妊娠又は授乳動物における試験(その3)

(3) 乳汁移行性

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 5795 CTD記載箇所:4.2.2.5-5

動物種 Crl:CD(SD)ラット 授乳期間/動物数 分娩後11日/3 給餌 非絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/4.77 MBq/mg 投与回数 1 計測時間(各時点例数) 30分,1,2,4,8,24,48,72時間(n=3) 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC 濃度(ng eq. /mL) t1/2 30分 1時間 2時間 4時間 8時間 24時間 48時間 72時間 (h) 乳汁 3620 ± 2900 5140 ± 2980 3510 ± 1750 5450 ± 2590 3150 ± 860 375 ± 113 64.1 ± 12.1 15.4 ± 2.5 5.42 ± 1.20 血漿 1080 ± 230 723 ± 196 493 ± 86 674 ± 143 221 ± 40 29.5 ± 8.9 0 ± 0 0 ± 0 4.71 ± 0.59 乳汁/血漿 3.35 7.11 7.12 8.09 14.25 12.71 N.C. N.C. 1.15 乳汁及び血漿中濃度並びに t1/2は3例の平均値±標準偏差,乳汁/血漿比は3例の平均濃度から算出 t1/2算出時間 :4~24 h N.C. :血漿中放射能濃度が検出限界未満であったため算出せず 追記 :[14C]アナグリプチン由来放射能は乳汁中に移行することが確認されたが,その濃度は血漿中濃度の低下に対応して減衰したことから,残留性はないと推察された。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

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2.6.5.8. 薬物動態試験:その他分布試験(メラニンとの結合)

被験物質:アナグリプチン,SKL-12320 試験番号: 00021 CTD記載箇所:4.2.2.3-9

試験系 In vitro 試験方法 合成メラニンにアナグリプチン及びSKL-12320の2及び10 μg/mL(最終濃度)を添加し,37°Cで16時間インキュベーション後,超遠心

を行い,上清の薬物濃度をLC/MS/MSにて測定した。なお,対照物質としてクロロキン及びノルフロキサシンも同時に評価した。 結果 メラニン結合率(%) 薬物濃度(μg/mL) アナグリプチン SKL-12320 クロロキン ノルフロキサシン

2 28.2 ± 3.7 12.3 ± 1.3 >97.5 1) 90.4 ± 0.4 10 14.9 ± 2.1 6.1 ± 0.1 94.3 ± 0.4 70.2 ± 1.6

値は3例の平均値±標準偏差を表示 1) :上清のクロロキン濃度が定量下限(0.05 μg/mL)未満のため,>97.5と表示 追記 :各薬物とメラニンとの結合率は,薬物濃度2及び10 μg/mLでクロロキン>ノルフロキサシン>アナグリプチン>SKL-12320の順であった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.9. 薬物動態試験:代謝:In vivo(その1)

(1) マウス血漿中代謝物(単回)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 6133 CTD記載箇所:4.2.2.4-1

動物種 B6C3F1マウス 性別(雄/雌)/動物数 雄/54,雌/54 給餌 非絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 200(10 MBq/kg),2000(10 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/4.73 MBq/mg 計測時間(各時点例数) 0.25,0.5,1,2,4,6,8,12,24時間(n=3) 試料 血漿 定量法 HPLC及びLSC

200 mg/kg 2000 mg/kg Cmax(ng eq./mL) AUC0-24 h(ng eq.·h/mL) Cmax(ng eq./mL) AUC0-24 h (ng eq.·h/mL) 定量(対象)物質

雄 雌 雄 雌 雄 雌 雄 雌 放射能 81400 78100 155000 116000 324000 387000 1340000 1400000 未変化体 62400 49400 62300 47000 264000 308000 619000 651000 SKL-12277 581 703 1110 726 2570 3190 9680 11500 SKL-12320 349 625 634 737 1940 2550 2920 8170 SKL-12339 326 312 298 247 972 1550 1170 1870 SKL-14687 4010 4690 9580 7220 16500 16300 83200 83200 SKL-15451 1) 5930 7810 13500 10500 15200 21400 103000 97600 二水酸化体2) 570 625 208 367 6800 11200 5590 13400 Glu抱合体3) 1300 1640 1220 1030 4800 3510 12800 11500 Sul抱合体4) 0 937 0 693 2270 6970 1240 15300 未同定代謝物1 523 547 1560 975 1940 2550 9900 11900 未同定代謝物2 488 1480 393 1170 3000 5800 5910 12000 値は3個体の試料を合して測定した結果を表示 1):SKL-15451又は未同定代謝物,2):二水酸化体,3):一水酸化体のグルクロン酸抱合体,4):一水酸化体の硫酸抱合体 追記:雌雄ともに未変化体のAUC0-24 hが最も高く,放射能のAUC 0-24 hに対して雄が40~46%,雌が41~47%であった。主な代謝物としてニトリルが加水分解されたSKL-12320,アミンに隣接

するメチレンが酸化されたSKL-14687及びSKL-15451,一水酸化体(SKL-12339)とその抱合体,二水酸化体などが認められたが,いずれも放射能のAUC 0-24 hの10%未満であった。ま

た,代謝物の種類及び量に顕著な性差は認められなかった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.9. 薬物動態試験:代謝:In vivo(その2)

(2) ラット及びイヌ血漿中代謝物(単回)

被験物質:アナグリプチン 動物種 Crl:CD(SD)ラット ビーグル犬 性別(雄/雌)/動物数 雄/6 雌/6 雄/3 給餌 絶食 絶食 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 水/液体 水/液体 投与方法 経口 経口 経口 投与量(mg/kg) 10(4 MBq/kg) 10(4 MBq/kg) 10(2 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 14C/3.35 MBq/mg 14C/3.35 MBq/mg 計測時間(各時点例数) 2,6時間(n=3) 2,6時間(n=3) 2,6時間(n=3) 試料 血漿 血漿 血漿 定量法 代謝物の定量:RI-HPLC,代謝物の構造推定:LC/MS

血漿中総放射能濃度に対する割合(%)1)定量(対象)物質

2時間 6 2 6時間 2 6時間 時間 時間 時間 未変化体 58.2 ± 6.4 39.2 ± 5.9 61.2 ± 10.1 66.6 ± 18.5 70.6 ± 6.7 38.5 ± 4.0 SKL-12250 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.7 ± 0.2 0.0 ± 0.0 SKL-12277 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.2 ± 0.3 0.0 ± 0.0 SKL-12320 5.2 ± 1.0 5.1 ± 1.1 5.9 ± 3.9 10.2 ± 4.7 4.0 ± 1.1 10.6 ± 1.1 SKL-12339 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 1.4 ± 0.8 0.6 ± 1.0 SKL-14687 7.9 ± 0.2 9.2 ± 2.5 1.9 ± 1.6 2) 0.0 ± 0.0 3.3 ± 1.7 3.1 ± 1.5 SKL-15451 5.7 ± 1.5 13.9 ± 1.3 1.6 ± 2.1 0.7 ± 0.6 1.2 ± 0.3 0.0 ± 0.0 Glu抱合体3) 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.4 ± 0.2 0.0 ± 0.0 Sul抱合体4) 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 1.1 ± 0.4 0.6 ± 1.1 未同定代謝物 2.9 ± 0.7 0.0 ± 0.0 4.0 ± 1.8 0.0 ± 0.0 0.6 ± 0.2 0.0 ± 0.0 アセトニトリル抽出による回収率 95.8 ± 1.4 89.5 ± 2.7 95.3 ± 1.5 94.4 ± 3.6 97.7 ± 0.6 89.6 ± 1.5 試験番号 4639 , 4864 4642 , 4864 CTD記載箇所 4.2.2.4-2,4.2.2.4-4参 4.2.2.4-6,4.2.2.4-4参

値は3例の平均値±標準偏差を表示 1):HPLC分析において計測された全放射能に対する未変化体又は代謝物の計数値の割合を求め,各試料前処理時の放射能回収率で補正し,算出,2):SKL-14687又は未同定代謝物, 3):一水酸化体のグルクロン酸抱合体,4):一水酸化体の硫酸抱合体,参:参考資料 追記:雌雄ラットともに投与後2及び6時間の血漿中には主に未変化体が存在した。雄性ラットの主な代謝物は,SKL-12320,SKL-14687及びSKL-15451であった。一方,雌性ラットの主

な代謝物はSKL-12320であった。雌雄間において,SKL-14687及びSKL-15451の組成比は雄性ラットの方が高かった。 イヌにおいても投与後2及び6時間の血漿中には主に未変化体が存在し,主な代謝物はSKL-12320及びSKL-14687であった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.9. 薬物動態試験:代謝:In vivo(その3)

(3) ラット血漿中代謝物(単回)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 5320 CTD記載箇所:4.2.2.4-3

動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/30,雌/30 給餌 非絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 100(10 MBq/kg),1000(10 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/5.16 MBq/mg 計測時間(各時点例数) 0.25,0.5,1,2,4,6,8,12,24時間(n=3,4時間を除き1個体から2時点採取した1)) 試料 血漿 定量法 RI-HPLC

100 mg/kg 1000 mg/kg Cmax(ng eq./mL) AUC0-24 h(ng eq.·h/mL) Cmax(ng eq./mL) AUC0-24 h(ng eq.·h/mL) 定量(対象)物質

雄 雌 雄 雌 雄 雌 雄 雌 放射能 35700 50500 98200 86400 189000 182000 1390000 1380000 未変化体 23500 46000 56400 65000 147000 169000 762000 1170000 SKL-12250 214 207 185 450 612 1110 3450 5760 SKL-12277 143 152 151 218 1130 592 2100 4620 SKL-12320 1710 1880 5500 6190 3880 4330 41900 38400 SKL-12339 99.0 152 102 182 2080 819 3690 6420 SKL-14687 2) 4610 354 10100 1290 15400 2860 159000 13600 SKL-15451 3) 428 0 711 0 5560 0 29700 0 Glu抱合体4) 101 248 50 119 1890 1070 1620 4090 Sul抱合体5) 107 0 137 0 756 0 884 0 未同定代謝物 357 303 1000 745 1950 1270 9270 4830 値は3個体の試料を合して測定した結果を表示 1):0.25,0.5,1及び2時間に採取したラットからそれぞれ6,8,12及び24時間も採取 2):SKL-14687又は未同定代謝物,3):SKL-15451又は未同定代謝物,4):一水酸化体のグルクロン酸抱合体,5):一水酸化体の硫酸抱合体 追記 :雌雄ともに未変化体のAUC0-24 hが最も高く,放射能のAUC 0-24 hに対して雄が55~57%,雌が75~85%であった。主な代謝物として,SKL-12320,SKL-14687及びSKL-15451が認めら

れた。雌雄間において,未変化体のAUC 0-24 hは雌性ラットの方が高く,一方,SKL-14687及びSKL-15451は雄性ラットの方が高かった。代謝物のAUC 0-24 hは放射能のAUC 0-24 h の11%以下であった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.9. 薬物動態試験:代謝:In vivo(その4)

(4) ウサギ血漿中代謝物(単回)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 5321 CTD記載箇所:4.2.2.4-5

動物種 ニュージーランドホワイトウサギ 性別(雄/雌)/動物数 雌/6 給餌 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 300(10 MBq/kg),600(10 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/5.16 MBq/mg 計測時間(各時点例数) 0.25,0.5,1,2,4,6,8,12,24時間(n=3) 試料 血漿 定量法 RI-HPLC

300 mg/kg 600 mg/kg 定量(対象)物質

Cmax(ng eq./mL) AUC0-24 h(ng eq.·h/mL) Cmax(ng eq./mL) AUC0-24 h(ng eq.·h/mL) 放射能 151000 576000 275000 1340000 未変化体 90400 318000 175000 736000 SKL-12250 114 482 120 360 SKL-12320 8910 33800 13500 64000 SKL-12339 76.0 279 1100 3660 SKL-14687 1) 4830 23500 9080 61400 SKL-15451 2) 1210 5930 2330 17000 二水酸化体3) 15100 44900 21500 84400 Glu抱合体4) 10100 36200 19000 91600 未同定代謝物1 5290 14500 9630 36300 未同定代謝物2 906 1860 2480 6700 値は3個体の試料を合して測定した結果を表示 1):SKL-14687又は未同定代謝物,2):SKL-15451又は未同定代謝物,3):二水酸化体,4):一水酸化体のグルクロン酸抱合体 追記 :未変化体のAUC0-24 hが最も高く,放射能のAUC 0-24 hに対して55%であった。主な代謝物として,SKL-12320,SKL-14687,SKL-15451,二水酸化体及び一水酸化体のグルクロン酸抱合

体が認められたが,いずれも放射能のAUC 0-24 hの10%未満であった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.9. 薬物動態試験:代謝:In vivo(その5)

(5) サル血漿中代謝物(単回)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 5319 CTD記載箇所:4.2.2.4-7

動物種 カニクイザル 性別(雄/雌)/動物数 雄/6,雌/6 給餌 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 50(10 MBq/kg),300(10 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/5.16 MBq/mg 計測時間(各時点例数) 0.25,0.5,1,2,4,6,8,12,24時間(n=3) 試料 血漿 定量法 RI-HPLC

50 mg/kg 300 mg/kg Cmax(ng eq./mL) AUC0-24 h(ng eq.·h/mL) Cmax(ng eq./mL) AUC0-24 h(ng eq.·h/mL) 定量(対象)物質

雄 雌 雄 雌 雄 雌 雄 雌 放射能 30500 30900 88600 84600 206000 121000 897000 878000 未変化体 26900 27900 42900 43500 180000 85500 527000 487000 SKL-12250 0 0 0 0 206 0 436 0 SKL-12277 123 133 237 250 990 960 4430 5970 SKL-12320 210 274 1240 1060 1540 1560 7490 10300 SKL-12339 550 638 2590 2450 2570 3240 12800 20700 SKL-14687 1) 760 1100 3040 5380 6860 5610 40700 48100 SKL-15451 2) 417 106 4240 324 2210 1920 8570 6850 二水酸化体3) 734 694 1400 1190 3560 3120 9670 16200 Glu抱合体4) 368 319 856 581 3170 1330 8690 5630 Slu抱合体5) 1030 1040 2840 1900 5940 6410 17200 29600 未同定代謝物1 221 266 1200 1130 1540 1200 12500 10800 未同定代謝物2 123 110 165 249 475 480 2300 2580 未同定代謝物3 490 479 1280 1260 1190 2420 5080 13900 値は3個体の試料を合して測定した結果を表示 1):SKL-14687又は未同定代謝物,2):SKL-15451又は未同定代謝物,3):二水酸化体,4):一水酸化体のグルクロン酸抱合体,5):一水酸化体の硫酸抱合体 追記 :雌雄ともに未変化体のAUC0-24 hが最も高く,放射能のAUC 0-24 hに対して雄が48~59%,雌が51~55%であった。主な代謝物として,SKL-12320,SKL-14687,SKL-15451,一水酸化体

とその抱合体,二水酸化体などが認められたが,いずれも放射能のAUC 0-24 hの10%未満であった。また,代謝物の種類及び量に顕著な性差は認められなかった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.9. 薬物動態試験:代謝:In vivo(その6)

(6) ラット尿糞及び胆汁中代謝物(単回)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 4639 , 4864 CTD記載箇所:4.2.2.4-2, 4.2.2.4-4参

動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/6,雌/6 給餌 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 計測時間(各時点例数) 尿:0 - 6時間,6 - 24時間,糞:0 - 24時間,胆汁:0 - 6時間(n=3) 試料 尿,糞,胆汁 定量法 代謝物の定量:RI-HPLC,代謝物の構造推定:LC/MS

投与量に対する割合(%)[試料中総放射能濃度に対する割合(%)1)] 雄 雌

尿 糞 胆汁 尿 糞 胆汁 定量(対象)物質

0 - 6時間 6 - 24時間 0 - 24時間 0 - 6時間 0 - 6時間 6 - 24時間 0 - 24時間 0 - 6時間 放射能の排泄率 19.96 16.58 58.54 22.59 17.22 14.57 58.02 25.38 未変化体 13.22 [68.0] 8.04 [48.6] 32.25 [55.0] 6.14 [27.7] 12.70 [73.8] 8.19 [54.8] 35.08 [60.5] 11.21 [44.1] SKL-12250 0.16 [0.8] 0.10 [0.6] 1.05 [1.8] 0.31 [1.4] 0.14 [0.8] 0 .00 [0.0] 1.04 [1.9] 0.42 [1.7] SKL-12277 0.08 [0.4] 0.11 [0.6] 0.35 [0.6] 0.17 [0.8] 0.08 [0.4] 0.07 [0.6] 0.23 [0.4] 0.10 [0.4] SKL-12320 2.72 [12.5] 4.23 [25.8] 8.05 [13.8] 5.91 [26.4] 3.08 [17.8] 4.54 [32.5] 9.26 [15.9] 7.76 [30.6] SKL-12339 0.14 [0.7] 0.07 [0.4] 1.19 [2.1] 1.52 [6.6] 0.07 [0.4] 0 .00 [0.0] 0.82 [1.4] 1.09 [4.3] SKL-13776 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 2.31 [4.0] 0.63 [2.8] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 1.13 [1.9] 0.88 [3.5] SKL-14687 1.80 [8.8] 1.72 [10.1] 1.49 [2.5] 2) 0.14 [0.6] 2) 0.17 [1.0] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] SKL-14695 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0.03 [0.1] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] SKL-15451 0.36 [1.6] 0.84 [5.1] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 二水酸化体3) 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 1.26 [2.2] 1.02 [4.4] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0.33 [1.3] Glu抱合体4) 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 1.05 [4.6] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 1.34 [5.3] Sul抱合体5) 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0.71 [1.3] 2.67 [11.6] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0 .00 [0.0] 0.40 [1.6] 未同定代謝物の合計 0.21 [1.0] 0.06 [0.3] 0.37 [0..6] 0.44 [1.9] 0.23 [1.3] 0 .00 [0.0] 1.59 [2.7] 0.09 [0.4] 値は3例の平均値を表示 1):HPLC分析において計測された全放射能に対する未変化体又は代謝物の計数値の割合を求め,各試料前処理時の放射能回収率で補正し,算出,2):SKL-14687又は未同定代謝物,3):二水酸化体, 4):一水酸化体のグルクロン酸抱合体,5):一水酸化体の硫酸抱合体,参:参考資料 追記 :雌雄のラットともに投与放射能の大部分が24時間までに尿糞中に排泄され,そのうち未変化体の排泄率が最も高く,雄性ラットで投与量の54%,雌性ラットで56%であった。次にSKL-12320の排泄率が高く,

雄性ラットで投与量の15%,雌性ラットで17%であった。血漿と同様にSKL-14687及びSKL-15451は雄性ラットの方が高く,雄性ラットにおいて,それぞれ投与量の5及び1%であった。その他の代謝物は2%以下であった。胆汁中には雌雄のラットともに未変化体及びSKL-12320の排泄率が高く,雄性ラットでそれぞれ投与量の6及び6%,雌性ラットでそれぞれ11及び8%であった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.9. 薬物動態試験:代謝:In vivo(その7)

(7) イヌ及びサル尿糞中代謝物(単回)

被験物質:アナグリプチン 動物種 ビーグル犬 カニクイザル 性別(雄/雌)/動物数 雄/3 雄/3,雌/3 給餌 絶食 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 水/液体 投与方法 経口 経口 投与量(mg/kg) 10(2 MBq/kg) 50(10 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 14C/5.16 MBq/mg 計測時間(各時点例数) 尿:0 - 12時間,12 - 24時間,糞:0 - 24時間,24 - 48時間(n=3) 尿:0 - 72時間,糞:0 - 72時間(n=3) 試料 尿,糞 尿,糞 定量法 代謝物の定量:RI-HPLC,代謝物の構造推定:LC/MS RI-HPLC

投与量に対する割合(%)[試料中総放射能濃度に対する割合(%)1)] 雄 雄 雌

尿 糞 尿 糞 尿 糞 定量(対象)物質

0-12時間 12-24時間 0-24時間 24-48時間 0-72時間 0-72時間 0-72時間 0-72時間 放射能の排泄率 51.99 3.64 34.72 3.75 57.4 26.0 57.9 21.9 未変化体 35.32 [66.9] 1.50 [40.7] 7.58 [21.9] 0.11 [4.3] 38.7 [67.5] 2.4 [9.2] 39.0 [67.4] 3.9 [18.0] SKL-12250 0.47 [0.9] 0.02 [0.4] 0.37 [1.1] 0.00 [0.0] 0.0 [0.0] 0.1 [0.5] 0.0 [0.0] 0.1 [0.5] SKL-12277 0.45 [0.9] 0.05 [1.4] 0.38 [1.1] 0.04 [0.8] 0.2 [0.4] 0.5 [1.9] 0.3 [0.6] 0.3 [1.5] SKL-12320 4.66 [9.1] 0.71 [20.7] 7.66 [22.3] 1.65 [44.5] 1.6 [2.8] 1.5 [5.9] 1.8 [3.1] 1.4 [6.4] SKL-12339 1.09 [2.2] 0.07 [1.8] 2.71 [7.8] 0.02 [0.3] 3.3 [5.7] 1.7 [6.5] 3.5 [6.1] 1.4 [6.4] SKL-13776 0.00 [0.0] 0.00 [0.0] 1.83 [5.2] 0.00 [0.0] 0.0 [0.0] 6.0 [22.9] 0.0 [0.0] 3.6 [16.6] SKL-14687 2.09 [4.2] 0.17 [4.2] 0.00 [0.0] 0.00 [0.0] 1.7 [2.9] 2) 0.1 [0.4] 2) 1.2 [2.1] 2) 0.1 [0.5] 2)

SKL-14695 0.00 [0.0] 0.00 [0.0] 0.00 [0.0] 0.00 [0.0] 0.0 [0.0] 0.1 [0.3] 0.0 [0.0] 0.1 [0.6] SKL-15451 0.00 [0.0] 0.00 [0.0] 0.00 [0.0] 0.00 [0.0] 0.7 [1.3] 3) 0.0 [0.0] 0.9 [1.6] 3) 0.0 [0.0] 二水酸化体4) 0.17 [0.4] 0.00 [0.0] 2.80 [7.9] 0.14 [2.9] 1.7 [2.9] 3.4 [13.0] 1.7 [2.9] 2.6 [11.9] Glu抱合体5) 0.31 [0.6] 0.00 [0.0] 0.00 [0.0] 0.00 [0.0] 0.4 [0.7] 0.0 [0.0] 0.5 [0.9] 0.0 [0.0] Sul抱合体6) 0.62 [1.2] 0.02 [0.5] 2.14 [6.0] 0.00 [0.0] 2.9 [5.1] 0.1 [0.4] 2.6 [4.5] 0.1 [0.5] SKL-12320の一水酸化体 0.00 [0.0] 0.00 [0.0] 0.00 [0.0] 0.26 [5.3] 0.0 [0.0] 0.0 [0.0] 0.0 [0.0] 0.0 [0.0] 未同定代謝物の合計 1.04 [2.1] 0.11 [2.7] 0.68 [2.1] 0.34 [7.3] 1.7 [3.1] 2.9 [10.9] 1.8 [3.2] 1.9 [8.8] 試験番号 4642 5319 CTD記載箇所 4.2.2.4-6 4.2.2.4-7 イヌの値は3例の平均値,サルの値は3個体の試料を合して測定した結果を表示 1):HPLC分析において計測された全放射能に対する未変化体又は代謝物の計数値の割合を求め,各試料前処理時の放射能回収率で補正し,算出,2):SKL-14687又は未同定代謝物,3):SKL-15451又は未同定代謝物,4):二水酸化体,5):一水酸化体のグルクロン酸抱合体,6):一水酸化体の硫酸抱合体 追記:雄性イヌにおいて,投与放射能の大部分が24時間までに尿糞中に排泄され,そのうち未変化体の排泄率が最も高く,投与量の44%であった。次にSKL-12320の排泄率が高く,投与量の13%であった。その他

の代謝物は4%以下であった。 雌雄サルにおいて,未変化体の排泄率が最も高く,雄性サルで投与量の41%,雌性サルで43%であった。投与量の10%以上の代謝物はなく,SKL-12320,一水酸化体(SKL-12339,SKL-13776)とその硫酸抱合体及び二水酸化体がそれぞれ3~6%であった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.9. 薬物動態試験:代謝:In vivo(その8)

(8) ラット血漿,肝臓及び腎臓中代謝物(反復)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 4962 CTD記載箇所:4.2.2.4-8

動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/18 給餌 非絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg/day) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/4.11 MBq/mg 投与回数 1,28回 計測時間(各時点例数) 血漿:30分,2,6時間,肝臓:2,6時間,腎臓:2,6時間(n=3) 試料 血漿,肝臓,腎臓 定量法 RI-HPLC

試料中総放射能濃度に対する割合(%)1)

血漿 肝臓 腎臓 単回 28回反復 単回 28回反復 単回 28回反復

定量(対象)物質

30分 2時間 6時間 30分 2時間 6時間 2時間 6時間 2時間 6時間 2時間 6時間 2時間 6時間 未変化体 71.9 56.0 35.5 74.1 42.9 17.1 20.1 8.4 11.0 2.2 29.3 28.7 25.4 21.6 SKL-12320 3.1 3.2 4.8 1.7 5.1 4.4 40.4 41.0 30.7 27.4 42.6 39.2 41.7 42.1 SKL-12339 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 SKL-14687 3.4 10.5 11.0 1.2 1.5 4.6 0.0 0.0 1.5 0.0 2.3 0.0 2.8 1.4 SKL-15451 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.5 1.3 1.5 0.0 0.0 0.0 未同定代謝物 0.0 0.0 0.0 1.2 1.8 0.0 5.0 6.8 6.9 8.8 0.0 0.0 0.0 0.0 エタノール抽出による回収率 98.8 98.0 94.0 90.2 81.3 63.0 91.2 86.1 73.2 65.8 89.3 88.2 85.6 84.7 値は3個体の試料を合して測定した結果を表示 1):HPLC分析において計測された全放射能に対する未変化体又は代謝物の計数値の割合を求め,各試料前処理時の放射能回収率で補正し,算出 追記:28日間の反復投与において存在割合が顕著に高くなる代謝物は認められなかった。一方,血漿及び肝臓をエタノールで抽出したときの放射能の回収率においては,単回投与より28日

間反復投与の方が低かった。この結果から,反復投与により血漿中及び各組織中に累積する放射能はエタノール抽出後の残留物に属する分画に存在する代謝物と推察された。累積す

る放射能濃度は雄性ラットの方が高かった(2.6.5.5.項,その4, 5)ことから,雄性ラットで生成量の多いSKL-14687及びSKL-15451(2.6.5.9.項,その2, 3)の分解物又は類似化合物など

の極性成分が累積に関与している可能性が推察された。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.9. 薬物動態試験:代謝:In vivo(その9)

(9) ラット生体内光学異性化(単回)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 6135 CTD記載箇所:4.2.2.4-13

動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/3 給餌 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 10(40 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/4.73 MBq/mg 投与回数 1 計測時間 0 - 24時間 試料 尿 定量法 RI-HPLC(光学異性体分離カラム) 定量(対象)物質 SKL-13775(アナグリプチンの光学異性体) 結果 ラット尿中にSKL-13775は認められず,投与されたアナグリプチンは生体内で異性化を起こさないものと考えられた。

- 39 -

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.10. 薬物動態試験:代謝:In vitro(その1)

(1) 肝S9を用いた代謝試験

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 00065 CTD記載箇所:4.2.2.4-9

試験系 in vitro 放射性核種/比放射能 14C/5.25 MBq/mg 対象物 肝S9 試験方法 各種動物の肝S9(最終濃度 1 mg/mL)と[14C]アナグリプチン(最終濃度1000 ng/mL)をNADPH生成系の存在下,37°Cで2時間

までインキュベーションし,アナグリプチンの減少をTLC-ラジオルミノグラフ法により定量した。 動物種(各群例数) 雌雄Crl:CD(SD)ラット,雌雄ビーグル犬,雌雄カニクイザル,男女ヒト(n=1) 雌雄ラット 明確な未変化体の減少は認められなかった。 雌雄ビーグル犬 明確な未変化体の減少は認められなかった。 雄性サル 明確な未変化体の減少は認められなかった。 雌性サル 経時的に未変化体の減少が認められ,2時間で約10%減少した。 男女ヒト 明確な未変化体の減少は認められなかった。 追記:アナグリプチンの代謝にチトクロームP450の関与は小さいと推察された。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.10. 薬物動態試験:代謝:In vitro(その2)

(2) アナグリプチンからSKL-12320への代謝に関与する酵素の推定

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 5489 CTD記載箇所:4.2.2.4-10

試験系 in vitro 放射性核種/比放射能 14C/5.16 MBq/mg 対象物 ヒト組換えDPP-4,ヒト血液 試験方法 ヒト組換えDPP-4又はヒト血液と[14C]アナグリプチン(1 μmol/L, 383 ng/mL)を各種阻害剤存在下で37°Cにて48時間インキュベ

ーションし,アナグリプチンからSKL-12320への代謝(ニトリル基の加水分解)に関与する酵素を検討した。なお,SKL-12320はRI-HPLCにより定量した1)。

結果 ヒト組換えDPP-4 ヒト血液 阻害剤の種類 濃度(μmol/L) SKL-12320濃度(μmol/L) コントロールに対する% SKL-12320濃度(μmol/L) コントロールに対する% コントロール 0 0.0702 100.0 0.134 100.0

10 0.0637 90.7 0.116 86.6 100 0.0115 16.4 0.0882 65.8 DFP 1000 0 0.0 0.0109 8.1 1 0.0253 36.0 0.0881 65.7 10 0 0.0 0.0551 41.1 Vildagliptin 100 0 0.0 0.0274 20.4 10 0.0688 98.0 0.112 83.6 100 0.0745 106.1 0.0906 67.6 Ethopropazine 1000 0.0681 97.0 0.0572 42.7 10 0.0723 103.0 0.128 95.5 100 0.0782 111.4 0.126 94.0 BNPP 1000 0.0734 104.6 0.0849 63.4

値は2例の平均値を表示 Diisopropylfluorophosphate(DFP) :セリンプロテアーゼ阻害剤 Vildagliptin :DPP-4阻害剤 Ethopropazine :コリンエステラーゼ阻害剤 Bis-p-nitrophenyl phosphate(BNPP) :カルボキシルエステラーゼ阻害剤 1):HPLC分析において計測された全放射能に対するSKL-12320の計数値の割合を求め,各試料前処理時の放射能回収率で補正し,初期濃度を乗じて算出 追記:DPP-4と[14C]アナグリプチンのインキュベーションにおいて,SKL-12320が生成したこと,さらに,DFP及びvildagliptinの濃度に依存してSKL-12320の生成が減少したことから,ア

ナグリプチンからSKL-12320への代謝にDPP-4が関与していることが明らかになった。 ヒト血液と[14C]アナグリプチンのインキュベーションにおいて,DFPの濃度に依存してSKL-12320の生成が減少したことから,セリン残基を有する加水分解酵素の関与が示唆された。DPP-4の関与は明らかであったが,ethopropazine添加においても阻害作用が認められ,コリンエステラーゼの関与が示唆された。また,BNPPの添加においても若干の阻害作用が認められたことから,カルボキシルエステラーゼの関与も示唆された。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.11. 薬物動態試験:代謝:推定代謝経路

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 6133 , 4639 , 5320 , 5321 , 4642 , 5319 , 4962 , 4864 CTD記載箇所:4.2.2.4-1~3, 5~8, 4.2.2.4-4参

アナグリプチン (未変化体)

SKL-12320 (マウス,ラット,ウサギ,イヌ,サル)

SKL-12250 (ラット,ウサギ,イヌ,サル)

SKL-12277 (マウス,ラット,

イヌ,サル)

SKL-14687 (マウス,ラット,ウサギ,

イヌ,サル)

SKL-12339 (マウス,ラット,ウサギ,

イヌ,サル)

SKL-13776 (ラット,イヌ,サル)

or

SKL-12320 の水酸化体 (イヌ)

一水酸化体のグルクロン酸抱合体 (マウス,ラット,ウサギ,イヌ,サル)

一水酸化体の硫酸抱合体 (マウス,ラット,イヌ,サル)

二水酸化体 (マウス,ラット,ウサギ,

イヌ,サル)

SKL-15451 (マウス,ラット,ウサギ,

イヌ,サル)SKL-14695 (サル)

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CNH

N

H3C

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CO2HH

N

H3C

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CO2HH

N

H3C

OH

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CONH2H

N

H3C

NHO

O CNH

O

NHO

O CNH

OH

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

N

H3C

OH

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

N

HO

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CNH

N

HO

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CNH

N

H3C

HO

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CNH

N

H3C

OH

OH

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CNH

N

H3C

OGlu

N

HN

NH

O

CH3H3C

O

N

N

CNH

N

H3C

OSul

参 :参考資料 追記:マウス,ラット,ウサギ,イヌ及びサルにおいて,代謝物の種類は同様であり,アナグリプチンは同様な経路により代謝を受けていると推察された。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.12. 薬物動態試験:代謝:肝薬物代謝酵素の誘導(その1)

(1) In vitro 被験物質:アナグリプチン, SKL-12320

試験番号: 0554 CTD記載箇所:4.2.2.4-11 試験系 in vitro 対象物 非凍結ヒト肝細胞(5人のドナー) 試験方法 非凍結ヒト肝細胞にアナグリプチン又はSKL-12320の1~100 μg/mL(最終濃度)を添加し,CO2インキュベーターにて37°Cで所定時間培養し,酵素誘

導処理を行った。その後,各分子種の典型基質を加え,37°Cで所定時間反応し,生成する代謝物量をLC/MS/MSで測定した。 酵素活性(pmol/h/mg たん白)[対照に対する誘導倍率]

アナグリプチン(μg/mL) SKL-12320(μg/mL) P450分子種 測定項目 薬物処理/ 酵素反応 時間(h) 対照1) 1 10 100 陽性

対照2) 対照1) 1 10 100 陽性 対照2)

CYP1A2 フェナセチン O-脱エチル化活性 48/2 33.6

[1.00]36.9

[1.05]37.6

[1.18]42.7

[1.30] 6350*

[221]40.0

[1.00]36.9

[0.952]37.5

[0.906]38.0

[1.09]6460*

[225]

CYP2C8/9 トルブタミド 4-水酸化活性 72/3 1480

[1.00]1630

[1.19]1670

[1.20]1860

[1.37] 2310

[2.01]1550

[1.00]1690

[1.08]1670

[1.10]1780

[1.13]2390

[1.65]

CYP2C19 (S)-メフェニトイン 4’-水酸化活性 72/3 52.4

[1.00]62.0

[1.14]63.6

[1.15]103

[1.83] 189

[3.85]51.1

[1.00]59.9

[1.14]58.0

[1.19]77.4

[1.49]193

[3.95]

CYP3A4 ミダゾラム 1’-水酸化活性 72/1 574

[1.00]580

[1.04]692

[1.19]1700

[2.92] 5860*

[14.4]518

[1.00]548

[1.04]569

[1.08]570

[1.13]5200*

[15.1] 値は5例の平均値を表示 1) :0.1% Dimethyl sulfoxide 2) :CYP1A2 ; 20 μmol/Lβ-ナフトフラボン,CYP2C8/9及びCYP2C19 ; 20 μmol/Lリファンピシン,CYP3A4 ; 10 μmol/Lリファンピシン * :P<0.05(アナグリプチン及びSKL-12320;Dunnett検定,陽性対照;t検定) 追記 :アナグリプチン及びSKL-12320ともに10 μg/mL以下では,ヒト肝薬物代謝酵素の誘導は認められなかった。一方,アナグリプチンの100 μg/mLでは,CYP1A2,CYP2C8/9,CYP2C19

及びCYP3A4に僅かな誘導が認められた。また,SKL-12320の100 μg/mLにおいてCYP2C19に僅かな誘導が認められた。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.12. 薬物動態試験:代謝:肝薬物代謝酵素の誘導(その2)

(2) In vivo 被験物質:アナグリプチン

試験番号: 4640 CTD記載箇所:4.2.2.4-12 動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/30,雌/30 給餌 非絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg/day)[各群例数] アナグリプチン:10,100,500,1000,フェノバルビタールNa(陽性対照):100[n=5] 投与回数 7 計測時間 最終投与後24時間 試料 肝臓

アナグリプチン(mg/kg) フェノバルビタール Na(mg/kg) 測定項目 性 対照(水)

10 100 500 1000 100 雄 307 ± 9 298 ± 25 302 ± 14 306 ± 10 305 ± 10 302 ± 19

体重 (g) 雌 218 ± 11 218 ± 9 212 ± 6 216 ± 8 218 ± 6 218 ± 7 雄 13.2 ± 0.8 12.0 ± 1.9 12.6 ± 0.6 13.0 ± 0.6 13.0 ± 1.0 16.4 ± 1.9*

肝重量 (g) 雌 8.83 ± 1.00 9.24 ± 0.83 8.51 ± 0.52 8.60 ± 0.42 8.99 ± 0.77 10.9 ± 1.0*

雄 25.4 ± 1.0 27.7 ± 1.5 23.7 ± 0.9 26.0 ± 1.3 28.3 ± 2.5* 35.5 ± 1.0*

ミクロソームたん白量1)

雌 28.8 ± 2.1 26.1 ± 2.8 25.6 ± 1.0 26.0 ± 1.8 22.9 ± 3.9* 33.3 ± 1.7*

雄 0.848 ± 0.041 0.736 ± 0.092 0.776 ± 0.080 0.718 ± 0.066* 0.734 ± 0.078 1.65 ± 0.14*

チトクロームP450含量 2)

雌 0.569 ± 0.068 0.510 ± 0.057 0.551 ± 0.039 0.565 ± 0.050 0.580 ± 0.046 1.01 ± 0.32*

雄 0.482 ± 0.055 0.457 ± 0.049 0.464 ± 0.038 0.457 ± 0.068 0.432 ± 0.043 0.586 ± 0.039*

チトクロームb5含量2)

雌 0.404 ± 0.040 0.439 ± 0.032 0.468 ± 0.029* 0.502 ± 0.008* 0.477 ± 0.015* 0.586 ± 0.085*

雄 7.02 ± 1.91 5.45 ± 1.86 6.69 ± 1.42 6.42 ± 1.14 4.79 ± 1.53 16.7 ± 2.1*アミノピリンN-脱メチル化酵素活

性3)雌 1.79 ± 0.84 2.18 ± 0.37 2.51 ± 0.50 2.29 ± 0.39 2.22 ± 0.83 9.72 ± 3.25*

雄 0.772 ± 0.057 0.716 ± 0.049 0.844 ± 0.133 0.703 ± 0.089 0.656 ± 0.054 1.13 ± 0.10*

アニリン水酸化酵素活性3)

雌 0.431 ± 0.072 0.445 ± 0.052 0.537 ± 0.062 0.567 ± 0.059* 0.560 ± 0.098* 0.755 ± 0.097*

雄 1.14 ± 0.14 1.16 ± 0.23 1.15 ± 0.14 1.13 ± 0.16 1.18 ± 0.17 3.92 ± 0.37*7-エトキシクマリンO-脱エチル化

酵素活性3)雌 0.459 ± 0.048 0.449 ± 0.036 0.489 ± 0.037 0.513 ± 0.028 0.537 ± 0.053* 2.16 ± 0.49*

雄 1.05 ± 0.24 0.950 ± 0.074 1.04 ± 0.17 0.933 ± 0.173 1.11 ± 0.17 1.82 ± 0.11*

UDP-グルクロン酸転移酵素活性3)

雌 0.838 ± 0.158 0.832 ± 0.099 0.864 ± 0.118 0.955 ± 0.031 1.01 ± 0.09 1.74 ± 0.36*

値は5例の平均値±標準偏差を表示 単位 :1);mg/g 肝, 2);nmol/mg たん白, 3);nmol/min/mg たん白 * :P<0.05(アナグリプチン;Dunnett検定,フェノバルビタール Na;t検定) 追記 :雄性ラットにおいて肝薬物代謝酵素の誘導は認められなかった。一方,雌性ラットの高用量においてはCYP2E及びCYP1Aを誘導する可能性が示唆されたが,その程度は陽性対照群と比べて軽度であっ

た。

- 44 -

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.13. 薬物動態試験:排泄(その1)

(1) ラット尿糞中排泄(単回)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 4637 CTD記載箇所:4.2.2.5-1

動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/3 雄/3 雄/3 雌/3 給餌 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg) 3(4 MBq/kg) 10(4 MBq/kg) 30(4 MBq/kg) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 試料 168時間までの尿及び糞,168時間後の屍体 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC 累積排泄率 (投与量に対する%) 排泄経路 時間(h)

尿 糞 合計 尿 糞 合計 尿 糞 合計 尿 糞 合計

0 - 12 21.84 ± 0.93 - N.C. 34.20

± 5.34 - N.C. 41.34 ± 1.16 - N.C. 29.38

± 3.04 - N.C.

0 - 24 24.36 ± 0.76

70.92 ± 2.07

95.28 ± 2.17

36.54 ± 4.52

58.54 ± 6.11

95.08 ± 1.60

43.48 ± 1.63

49.37 ± 3.52

92.85 ± 2.38

31.79 ± 3.16

58.02 ± 10.89

89.81 ± 10.70

0 - 48 24.56 ± 0.74

72.63 ± 2.85

97.19 ± 2.91

36.90 ± 4.42

62.14 ± 5.96

99.04 ± 1.55

44.03 ± 1.57

53.53 ± 3.16

97.55 ± 1.68

32.20 ± 3.14

65.24 ± 4.54

97.44 ± 3.15

0 - 72 24.62 ± 0.72

72.81 ± 2.98

97.43 ± 3.02

36.99 ± 4.43

62.35 ± 5.91

99.34 ± 1.50

44.14 ± 1.55

53.74 ± 3.20

97.88 ± 1.73

32.26 ± 3.16

65.67 ± 4.31

97.93 ± 2.77

0 - 168 24.67 ± 0.71

72.88 ± 2.94

97.54 ± 2.96

37.09 ± 4.45

62.43 ± 5.93

99.52 ± 1.51

44.26 ± 1.54

53.82 ± 3.22

98.08 ± 1.77

32.31 ± 3.17

65.83 ± 4.40

98.14 ± 2.86

屍体 0.17 ± 0.02 0.23 ± 0.06 0.13 ± 0.13 0.08 ± 0.14 値は3例の平均値±標準偏差で表示 - :試料を採取しなかったため測定せず N.C. :算出せず 追記 :雄性ラットの尿中累積排泄率は,3~30 mg/kgの用量範囲で投与量の増加に伴う増加が認められた。この増加は吸収の非線形(2.6.5.3.項,その1)に伴う増加と推察された。雌性ラッ

トに10 mg/kgの用量で経口投与したとき,尿及び糞中累積排泄率は同投与量の雄性ラットとほぼ一致した。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.13. 薬物動態試験:排泄(その2)

(2) ラット及びイヌ尿糞中排泄(単回)

被験物質:アナグリプチン 動物種 Crl:CD(SD)ラット ビーグル犬 性別(雄/雌)/動物数 雄/3 雌/3 雄/3 雄/3 給餌 絶食 絶食 溶媒/投与形態 生理食塩水/液体 水/液体 生理食塩水/液体 投与方法 静脈内 経口 静脈内 投与量(mg/kg) 10(2 MBq/kg) 10(2 MBq/kg) 10(2 MBq/kg) 10(1 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 14C/3.35 MBq/mg 試料 168時間までの尿及び糞,168時間後の屍体又はケージ洗浄液 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC 累積排泄率 (投与量に対する%) 排泄経路 時間(h) 尿 糞 合計 尿 糞 合計 尿 糞 合計 尿 糞 合計

0 - 12 62.41 ± 3.64 - N.C. 60.94

± 4.66 - N.C. 51.99 ± 9.15 - N.C. 59.90

± 6.85 - N.C.

0 - 24 63.86 ± 3.68

31.38 ± 3.50

95.24 ± 2.22

62.29 ± 4.32

36.31 ± 3.12

98.60 ± 1.60

55.63 ± 7.81

34.72 ± 6.73

90.35 ± 2.91

64.23 ± 5.41

24.96 ± 7.37

89.19 ± 4.56

0 - 48 64.35 ± 3.91

34.33 ± 3.28

98.68 ± 0.81

62.43 ± 4.30

37.21 ± 3.46

99.63 ± 1.79

56.14 ± 7.73

38.48 ± 8.60

94.62 ± 1.66

65.31 ± 5.58

29.48 ± 7.18

94.79 ± 1.72

0 - 72 64.47 ± 3.90

34.47 ± 3.29

98.94 ± 0.73

62.46 ± 4.28

37.29 ± 3.48

99.75 ± 1.76

56.55 ± 7.46

39.30 ± 8.56

95.85 ± 1.60

65.89 ± 5.90

31.72 ± 6.58

97.60 ± 0.72

0 - 168 64.62 ± 3.89

34.58 ± 3.27

99.20 ± 0.64

62.51 ± 4.26

37.35 ± 3.52

99.85 ± 1.69

57.10 ± 7.17

40.36 ± 8.52

97.46 ± 1.65

66.21 ± 5.94

32.24 ± 6.54

98.45 ± 0.66

屍体 0.21 ± 0.19 0.00 ± 0.00 - - ケージ洗浄液 - - 0.64 ± 0.09 0.35 ± 0.04 試験番号 4637 4641 CTD記載箇所 4.2.2.5-1 4.2.2.2-3

値は3例の平均値±標準偏差で表示 - :試料を採取しなかったため測定せず N.C. :算出せず 追記 :雌雄ラット及び雄性イヌに10 mg/kgで静脈内投与したときの尿及び糞中排泄率はほぼ一致し,主に尿中に排泄された。また,ラット及びイヌともに投与放射能の大部分は静脈内投与

後24時間までに排泄された。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.13. 薬物動態試験:排泄(その3)

(3) ラット尿糞中排泄(反復)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 4960 CTD記載箇所:4.2.2.5-2

動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/3 雌/3 給餌 非絶食 溶媒/投与形態 水/液体 投与方法 経口 投与量(mg/kg/day) 10(4 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/4.11 MBq/mg 投与回数 28 試料 最終投与後168時間までの尿及び糞 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC 累積排泄率 (累積投与量に対する%) 排泄経路 投与回数(回) 時間(h)

尿 糞 合計 尿 糞 合計

1 0 - 24 20.0 ± 0.7 71.3 ± 1.6 91.2 ± 2.3 21.9 ± 3.5 69.5 ± 4.8 91.4 ± 1.5 2 0 - 24 19.7 ± 1.0 72.5 ± 1.6 92.2 ± 1.1 21.9 ± 3.1 73.4 ± 3.9 95.3 ± 0.9 3 0 - 24 20.0 ± 0.6 74.6 ± 1.1 94.7 ± 1.7 21.5 ± 2.0 76.3 ± 3.7 97.9 ± 1.9 5 0 - 24 20.7 ± 0.5 75.6 ± 0.2 96.3 ± 0.7 21.9 ± 2.3 75.8 ± 3.2 97.7 ± 1.2 7 0 - 24 20.8 ± 0.5 74.5 ± 0.8 95.4 ± 0.6 21.6 ± 2.3 76.8 ± 2.1 98.4 ± 1.2 14 0 - 24 21.1 ± 0.9 73.8 ± 0.6 94.9 ± 0.6 21.8 ± 1.9 77.9 ± 2.4 99.7 ± 0.6 21 0 - 24 21.7 ± 0.4 72.7 ± 0.5 94.5 ± 0.4 21.7 ± 2.1 77.2 ± 2.2 98.9 ± 0.4 28 0 - 24 22.0 ± 0.6 72.4 ± 0.5 94.5 ± 0.3 22.2 ± 1.9 77.3 ± 1.2 99.5 ± 0.7 28 0 - 48 22.1 ± 0.6 72.8 ± 0.5 94.9 ± 0.3 22.2 ± 1.9 77.6 ± 1.4 99.9 ± 0.6 28 0 - 72 22.1 ± 0.6 72.8 ± 0.5 94.9 ± 0.4 22.3 ± 1.9 77.7 ± 1.3 99.9 ± 0.6 28 0 - 168 22.1 ± 0.6 72.8 ± 0.6 94.9 ± 0.3 22.3 ± 1.9 77.7 ± 1.3 99.9 ± 0.6 値は3例の平均値±標準偏差で表示 追記:雌雄ラットに反復経口投与したとき,尿及び糞中への排泄は速やかであり,28回投与後24時間までに累積投与量の大部分が排泄された。雌雄ラットにおいて,尿及び糞中への排泄率

及び排泄速度はほぼ一致し,排泄に明確な性差は認められなかった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.14. 薬物動態試験:排泄:胆汁中排泄及び腸肝循環(その1)

(1) ラット胆汁中排泄(単回)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 4663 CTD記載箇所:4.2.2.5-3

動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/3 雌/3 雄/3 雌/3 給餌 絶食 絶食 溶媒/投与形態 水/液体 生理食塩水/液体 投与方法 経口 静脈内 投与量(mg/kg) 10(4 MBq/kg) 10(2 MBq/kg) 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 投与回数 1 試料 48時間までの胆汁,尿及び糞,48時間後の消化管内容物及び屍体 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC 累積排泄率 (投与量に対する%) 排泄経路 時間(h)

胆汁 尿 糞 胆汁 尿 糞 胆汁 尿 糞 胆汁 尿 糞

0 - 6 22.59 ± 3.27

42.86 ± 11.76 - 25.38

± 1.15 17.85

± 21.12 - 24.25 ± 2.38

60.45 ± 0.16 - 30.45

± 1.27 49.19 ± 8.21 -

0 - 12 24.39 ± 2.75

50.72 ± 4.67 - 27.57

± 1.80 40.45 ± 3.33 - 24.89

± 2.35 63.20 ± 1.82 - 31.75

± 1.33 52.94 ± 5.85 -

0 - 24 24.95 ± 2.66

52.01 ± 4.31

16.06 ± 4.47

28.34 ± 1.92

49.21 ± 3.26

10.16 ± 2.25

25.21 ± 2.26

63.83 ± 1.89

6.70 ± 1.84

32.56 ± 1.42

53.74 ± 5.63

4.93 ± 0.50

0 - 48 25.01 ± 2.64

52.30 ± 4.26

17.70 ± 5.11

28.62 ± 2.04

51.27 ± 1.85

12.80 ± 3.67

25.24 ± 2.27

64.05 ± 1.96

8.12 ± 0.18

32.89 ± 1.47

53.98 ± 5.44

6.59 ± 0.92

消化管内容物 0.43 ± 0.58 1.39 ± 0.85 0.08 ± 0.09 1.35 ± 0.20 屍体(消化管内容物を除く) 1.63 ± 0.74 2.51 ± 2.10 0.68 ± 0.05 2.77 ± 3.19

値は3例の平均値±標準偏差で表示 - :試料を採取しなかったため測定せず 追記 :雌雄ラットに10 mg/kgで経口投与したとき,放射能の胆汁中排泄に明確な性差は認められなかった。一方,静脈内投与したとき,放射能の胆汁中排泄は雌の方が高い値を示し

たが,顕著な差ではなかった。以上の結果から,胆汁中排泄に顕著な性差は認められなかった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.14. 薬物動態試験:排泄:胆汁中排泄及び腸肝循環(その2)

(2) ラット腸肝循環(単回)

被験物質:アナグリプチン 試験番号: 5796 CTD記載箇所:4.2.2.5-4

動物種 Crl:CD(SD)ラット 性別(雄/雌)/動物数 雄/3 雌/3 給餌 絶食 溶媒/投与形態 ラットに[14C]アナグリプチンを10 mg/kg(4 MBq/kg)で経口投与後,6時間までに排泄された胆汁/液体 投与方法 十二指腸内にシリンジポンプで1 mL/hで投与 投与量 胆汁2 mL/body 放射性核種/比放射能 14C/4.77 MBq/mg 投与回数 1 試料 48時間までの胆汁,尿及び糞,48時間後の消化管内容物及び屍体 定量(対象)物質 放射能 定量法 LSC 累積排泄率 (投与量に対する%) 排泄経路 時間(h)

胆汁 尿 糞 合計 胆汁 尿 糞 合計

0 - 6 5.4 ± 0.7 3.4 ± 0.7 - N.C. 8.9 ± 0.9 4.1 ± 1.5 - N.C. 0 - 24 8.2 ± 0.2 6.2 ± 1.3 66.7 ± 3.6 81.2 ± 4.0 12.8 ± 0.8 10.0 ± 2.2 28.8 ± 35.6 51.6 ± 37.0 0 - 48 8.4 ± 0.2 6.6 ± 1.3 85.0 ± 3.0 100.0 ± 3.6 12.9 ± 0.9 10.6 ± 1.7 74.0 ± 6.0 97.5 ± 6.1 消化管内容物 2.2 ± 1.5 3.7 ± 4.2 屍体 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0

値は3例の平均値±標準偏差で表示 - :試料を採取しなかったため測定せず N.C. :算出せず 追記 :雄性ラットでは投与した胆汁中放射能の15.0%,雌性ラットでは23.5%の再吸収が認められた。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.15. 薬物動態試験:薬物動態学的薬物相互作用(その1)

(1) チトクロームP450に対する相互作用

被験物質:アナグリプチン, SKL-12320 試験番号: 4646 6070 CTD記載箇所:4.2.2.6-1, 2

試験系 in vitro 対象物 ヒト肝ミクロソーム 試験方法 ヒト肝ミクロソームにアナグリプチン又はSKL-12320の0.1~100 μg/mL(最終濃度)を添加,並びに各分子種の典型基質を添加して,

37°Cで一定時間インキュベーションした。各典型基質の代謝反応に対するアナグリプチン及びSKL-12320の阻害率からIC50値を算出

した。なお,反応はn=2で実施した。 P450分子種 基質 酵素反応 アナグリプチンのIC50値(μg/mL) SKL-12320のIC50値(μg/mL) CYP1A エトキシレゾルフィン O-脱エチル化 >100 - CYP1A2 フェナセチン O-脱エチル化 - >100 CYP2A6 クマリン 7-水酸化 >100 >100 CYP2B6 ブプロピオン 水酸化 >100 >100 CYP2C8 アモジアキン N-脱エチル化 >100 >100 CYP2C9 ジクロフェナック 4’-水酸化 >100 >100 CYP2C19 S-(+)-メフェニトイン 4’-水酸化 >100 >100 CYP2D6 (±)-ブフラロール 水酸化 >100 >100 CYP2E1 クロルゾキサゾン 6-水酸化 >100 >100

テストステロン 6β-水酸化 >100 >100 CYP3A4 ミダゾラム 1’-水酸化 >100 >100

値は2例の阻害率(平均値)から算出 - :未実施 追記 :P450分子種の各典型基質の代謝に対するアナグリプチン及びSKL-12320のIC50値は100 μg/mL以上であり,併用他剤の代謝を阻害する可能性は低いと推察された。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.15. 薬物動態試験:薬物動態学的薬物相互作用(その2)

(2) ヒトP糖たん白に対する相互作用(ヒトP糖たん白の関与)

被験物質:アナグリプチン, SKL-12320 試験番号: 0243 0553 CTD記載箇所:4.2.2.6-3, 4

試験系 in vitro 放射性核種/比放射能 14C/3.35 MBq/mg 対象物 hMDR1(ヒトP糖たん白)発現細胞(hMDR1遺伝子を発現したブタ腎上皮細胞由来LLC-PK1細胞) 試験方法 hMDR1 発現細胞の頂上側(apical)又は基底側(basal)に[14C]アナグリプチン及びSKL-12320 を添加し,37°Cで 4 時間までインキ

ュベーション後,細胞を透過した薬物量をLSC([14C]アナグリプチン)又はLC/MS/MS(SKL-12320)で測定した。また,対照物質としてヒトP糖たん白の基質ではない[14C]マンニトールとヒトP糖たん白の基質である[3H]ジゴキシンについても同時に評価し,薬物透過量をLSCで測定した。

結果 透過係数(×10-6 cm/sec) 透過係数比 薬物

薬物濃度 (μmol/L)

インキュベーション時間(h) apicalからbasal(A to B) basalからapical(B to A) (B to A / A to B)

1 1.6 ± 0.8 18.1 ± 0.6 11.3 ± 5.7 2 2.3 ± 0.4 19.8 ± 0.3 8.6 ± 1.5 [14C]アナグリプチン 1

(383 ng/mL)4 3.1 ± 0.8 26.5 ± 1.6 8.5 ± 2.3 1 1.1 ± 0.2 11.1 ± 0.6 10.1 ± 1.9 2 0.8 ± 0.3 10.1 ± 0.6 12.6 ± 4.8 [3H]ジゴキシン 1 4 0.7 ± 0.2 11.2 ± 0.3 16.0 ± 4.6 1 2.0 ± 0.6 1.3 ± 0.5 0.7 ± 0.3 2 2.5 ± 1.4 1.5 ± 0.6 0.6 ± 0.4 [14C]マンニトール 1 4 2.0 ± 0.8 2.1 ± 0.4 1.1 ± 0.5 1 0.813 ± 0.199 0.598 ± 0.021 0.7 ± 0.2 2 0.913 ± 0.026 1.95 ± 0.05 2.1 ± 0.1 SKL-12320 1

(402 ng/mL)4 1.61 ± 0.22 2.89 ± 0.01 1.8 ± 0.3 1 0.846 ± 0.177 9.66 ± 0.43 11.4 ± 2.4 2 0.747 ± 0.101 10.2 ± 0.5 13.7 ± 2.0 [3H]ジゴキシン 1 4 0.687 ± 0.110 10.8 ± 0.6 15.7 ± 2.7 1 1.24 ± 0.38 1.63 ± 0.16 1.3 ± 0.4 2 1.51 ± 0.34 2.21 ± 0.35 1.5 ± 0.4 [14C]マンニトール 1 4 2.02 ± 0.06 3.58 ± 0.16 1.8 ± 0.1

値は3例の平均値±標準偏差を表示 追記:アナグリプチンはジゴキシンと同様にB to Aの膜透過係数の方が高かった。このことより,アナグリプチンはヒトP糖たん白の基質であることが示唆された。一方, SKL-12320はマ

ンニトールと同様な膜透過性を示したことから,SKL-12320はヒトP糖たん白の基質となる可能性は低いと推察された。

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Page 52: 第2部(モジュール2)CTDの概要 2.6.5. 薬物動態試験概要表...2.6.5. 薬物動態試験概要表 - 3 - アナグリプチン及び代謝物の構造一覧表 略称・略号

2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.15. 薬物動態試験:薬物動態学的薬物相互作用(その3)

(3) ヒトP糖たん白に対する相互作用(ヒトP糖たん白に与える影響)

被験物質:アナグリプチン, SKL-12320 試験番号: 0572 CTD記載箇所:4.2.2.6-5

試験系 in vitro 対象物 hMDR1(ヒトP糖たん白)発現細胞(hMDR1遺伝子を発現したブタ腎上皮細胞由来LLC-PK1細胞)

コントロール細胞(ブタ腎上皮細胞由来LLC-PK1細胞にベクターのみ導入した細胞) 試験方法 hMDR1発現細胞の頂上側(apical)又は基底側(basal)にヒトP糖たん白の基質である[3H]ジゴキシン(1 μmol/L)を添加,及びア

ナグリプチン(0.1~1000 μmol/L,38.3~383000 ng/mL),SKL-12320(0.1~100 μmol/L,40.2~40200 ng/mL)並びにヒトP糖たん白の典型的阻害剤であるベラパミル(30 μmol/L)を添加し,37°Cで2時間インキュベーション後,細胞を透過した[3H]ジゴキシン量をLSCで測定した。[3H]ジゴキシンの細胞透過に対するアナグリプチン及びSKL-12320の阻害率を算出した。

結果 薬物 濃度(μmol/L)

コントロール細胞における 膜透過係数比1)

hMDR1発現細胞における 膜透過係数比1) 真の膜透過係数比2) 薬物未添加に対する

割合(%)

未添加 0 1.3 ± 0.2 16.3 ± 3.3 12.5 100.0

0.1 1.4 ± 0.2 14.6 ± 1.2 10.4 83.2

1 1.2 ± 0.1 15.7 ± 3.0 13.1 104.8

10 1.2 ± 0.1 15.3 ± 2.0 12.8 102.4

100 1.3 ± 0.2 14.6 ± 2.7 11.2 89.6

アナグリプチン

1000 1.3 ± 0.1 11.2 ± 2.2 8.6 68.8

0.1 1.5 ± 0.4 13.8 ± 1.4 9.2 73.6

1 1.6 ± 0.2 14.8 ± 2.2 9.3 74.4

10 1.3 ± 0.2 15.2 ± 0.6 11.7 93.6 SKL-12320

100 1.4 ± 0.1 14.0 ± 2.0 10.0 80.0

ベラパミル 30 1.1 ± 0.1 1.8 ± 0.2 1.6 12.8

1) :膜透過係数比(3例の平均値±標準偏差)= basalからapicalへのジゴキシン輸送における膜透過係数/apicalからbasalへのジゴキシン輸送における膜透過係数 2) :真の膜透過係数比 = hMDR1発現細胞における膜透過係数比(3例の平均値)/コントロール細胞における膜透過係数比(3例の平均値) 追記 :アナグリプチンは極めて高濃度において,僅かにhMDR1によるジゴキシン輸送を阻害する可能性が示唆された。また,SKL-12320はhMDR1によるジゴキシン輸送に対して阻害作

用を示さないものと推察された。

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Page 53: 第2部(モジュール2)CTDの概要 2.6.5. 薬物動態試験概要表...2.6.5. 薬物動態試験概要表 - 3 - アナグリプチン及び代謝物の構造一覧表 略称・略号

2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.15. 薬物動態試験:薬物動態学的薬物相互作用(その4)

(4) 腎トランスポーターに対する相互作用(腎トランスポーターの関与,その1)

被験物質:アナグリプチン, SKL-12320 試験番号: 0640 CTD記載箇所:4.2.2.6-6

試験系 in vitro 放射性核種/ 比放射能 アナグリプチン:14C/4.73 MBq/mg,SKL-12320:3H/2.18 TBq/mmol

対象物 hOAT1,hOAT3,hOAT4及びhOCT2発現oocyte(アフリカツメガエル卵母細胞) コントロールoocyte

試験方法 各種トランスポーター発現oocyteに[14C]アナグリプチン(1 μmol/L,383 ng/mL)及び[3H]SKL-12320(1 μmol/L,402 ng/mL)を添加し,室温で所定時間インキュベーション後,oocyte内に取り込まれた薬物量をLSCで測定した。

結果 Cleared volume(μL/ Oocyte)1)

コントロールoocyte トランスポーター発現oocyte トランスポーター の分子種

薬物 30分 60分 120分 30分 60分 120分

アナグリプチン 0.0296 ± 0.0239 0.0806 ± 0.0539 0.0837 ± 0.0559 0.0702 ± 0.0223* 0.164 ± 0.072* 0.169 ± 0.013*

SKL-12320 0.00358 ± 0.00800 N.D. 0.00378 ± 0.00870 0.0277 ± 0.0309 0.000622 ± 0.001391 0.0192 ± 0.0329 hOAT1 典型基質2) - 0.00461 ± 0.00247 - - 1.56 ± 0.35* -

アナグリプチン 0.0296 ± 0.0239 0.0806 ± 0.0539 0.0837 ± 0.0559 0.0422 ± 0.0161 0.152 ± 0.096 0.246 ± 0.084*

SKL-12320 0.00358 ± 0.00800 N.D. 0.00378 ± 0.00870 N.D. 0.00402 ± 0.00910 0.0726 ± 0.0527*hOAT3 典型基質2) - 0.0609 ± 0.0181 - - 0.538 ± 0.283* -

アナグリプチン 0.0296 ± 0.0239 0.0806 ± 0.0539 0.0837 ± 0.0559 0.0771 ± 0.0303* 0.0431 ± 0.0314 0.201 ± 0.030*

SKL-12320 0.00358 ± 0.00800 N.D. 0.00378 ± 0.00870 0.0374 ± 0.0350 0.00104 ± 0.00161 0.0549 ± 0.0421*hOAT4 典型基質2) - 0.0609 ± 0.0181 - - 0.280 ± 0.165* -

アナグリプチン 0.0471 ± 0.0197 0.0815 ± 0.0479 0.144 ± 0.007 0.0260 ± 0.0229 0.0483 ± 0.0460 0.135 ± 0.048 SKL-12320 0.0435 ± 0.0135 0.0446 ± 0.0301 0.0151 ± 0.0177 N.D. 0.00765 ± 0.01875* 0.0239 ± 0.0381 hOCT2 典型基質2) - 0.00310 ± 0.00452 - - 1.02 ± 0.39* -

値は5~7例の平均値±標準偏差を表示 1) :Cleared volume;Oocyte中への薬物取り込み量/薬物初期濃度 2) :典型基質;hOAT1;[3H] パラアミノ馬尿酸,hOAT3及びhOAT4;[3H] エストロン3-硫酸,hOCT2;[14C]メトホルミン N.D. :Oocyte中の放射能が検出限界(バックグラウンド値)未満 - :未実施(典型基質はインキュベーション時間60分のみで実施したため) * :P<0.05(t検定) 追記 :コントロールと比較して,アナグリプチンはhOAT1,hOAT3及びhOAT4で有意に高い輸送活性が認められた。一方,SKL-12320はhOAT3及びhOAT4で有意に高い輸送活性が認

められた。しかし,いずれの輸送活性においても,典型基質の輸送活性より低い値であった。以上の結果から,アナグリプチンはhOAT1,hOAT3及びhOAT4の基質であることが示唆され,SKL-12320はhOAT3及びhOAT4の基質であることが示唆された。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.15. 薬物動態試験:薬物動態学的薬物相互作用(その5)

(4) 腎トランスポーターに対する相互作用(腎トランスポーターの関与,その2)

被験物質:アナグリプチン, SKL-12320 試験番号: 0640 CTD記載箇所:4.2.2.6-6

試験系 in vitro 放射性核種/ 比放射能 アナグリプチン:14C/4.73 MBq/mg,SKL-12320:3H/2.18 TBq/mmol

対象物 hBCRP,hMRP2,hMRP4発現ベシクル(昆虫由来Sf9細胞膜画分) コントロールベシクル

試験方法 各種トランスポーター発現ベシクルに[14C]アナグリプチン(1 μmol/L,383 ng/mL)及び[3H]SKL-12320(1 μmol/L,402 ng/mL)を添加し,37°Cで所定時間インキュベーション後,ベシクル内に取り込まれた薬物量をLSCで測定した。

結果 Cleared volume(μL/mg たん白)1)

コントロールベシクル トランスポーター発現ベシクル トランスポーター の分子種

薬物 2分 10分 2分 10分

アナグリプチン - 4.56 ± 0.24 - 4.30 ± 1.04 SKL-12320 - 2.48 ± 0.80 - 13.1 ± 0.6*

hBCRP

典型基質2) 1.49 ± 0.07 - 18.2 ± 0.4* - アナグリプチン - 5.51 ± 1.15 - 7.73 ± 0.66*

SKL-12320 - 2.90 ± 0.58 - 4.41 ± 0.17*hMRP2

典型基質2) 4.04 ± 0.26 - 56.4 ± 1.8* - アナグリプチン - 5.02 ± 0.67 - 6.74 ± 2.29

SKL-12320 - 1.99 ± 0.91 - 5.18 ± 0.78*hMRP4

典型基質2) 5.33 ± 0.34 - 64.5 ± 1.9* - 値は3例の平均値±標準偏差を表示 1) :Cleared volume;ベシクル中への薬物取り込み量/反応液中薬物濃度/たん白量 2) :典型基質;hBCRP;[3H] メトトレキセート,hMRP2及びhMRP4;[3H]エストラジオール17β-D-グルクロニド - :未実施(アナグリプチン及びSKL-12320はインキュベーション時間10分,典型基質は2分で実施したため) * :P<0.05(t検定) 追記 :コントロールと比較して,アナグリプチンはhMRP2で有意に高い輸送活性が認められた。一方,SKL-12320は,hBCRP,hMRP2及びhMRP4で有意に高い輸送活性が認められ

た。しかし,いずれの輸送活性においても,典型基質の輸送活性より低い値であった。以上の結果から,アナグリプチンはhMRP2の基質であることが示唆され,SKL-12320はhBCRP,hMRP2及びhMRP4の基質であることが示唆された。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.15. 薬物動態試験:薬物動態学的薬物相互作用(その6)

(5) 腎トランスポーターに対する相互作用(腎トランスポーターに与える影響)

被験物質:アナグリプチン, SKL-12320 試験番号: 0640 CTD記載箇所:4.2.2.6-6

試験系 in vitro 対象物 hOAT1,hOAT3,hOAT4及びhOCT2発現oocyte

コントロールoocyte hBCRP,hMRP2及びhMRP4発現ベシクル コントロールベシクル

試験方法 各種トランスポーター発現oocyte又はベシクルに各典型基質を添加,及びアナグリプチン(1~100 μmol/L,383~38300 ng/mL)並びにSKL-12320(0.1~10 μmol/L,40.2~4020 ng/mL)を添加し,室温又は37°Cで所定時間インキュベーション後,oocyte又はベシクル内に取り込まれた各典型基質量をLSCで測定した。各典型基質の取り込みに対するアナグリプチン及びSKL-12320の阻害率からIC50値を算出した。

結果 トランスポーターの分子種

典型基質 インキュベーション時間(分)

アナグリプチンのIC50値 (μmol/L)

SKL-12320のIC50値 (μmol/L)

hOAT1 [3H]パラアミノ馬尿酸 60 >100 3.51 hOAT3 [3H]エストロン3-硫酸 60 65.9 >10 hOAT4 [3H]エストロン3-硫酸 60 >100 >10 hOCT2 [14C]メトホルミン 60 88.2 >10 hBCRP [3H]メトトレキセート 2 >100 >10 hMRP2 [3H]エストラジオール17β-D-グルクロニド 2 >100 >10 hMRP4 [3H]エストラジオール17β-D-グルクロニド 2 >100 >10 値は5~7例のoocyte 及び3例のベシクルの結果(平均値)より算出 追記:アナグリプチンの最高濃度(100 μmol/L)において,hOAT3及びhOCT2の基質輸送が50%以上阻害され, IC50値はそれぞれ,65.9 μmol/L(25200 ng/mL)及び88.2 μmol/L(33800 ng/mL)

と算出された。その他のトランスポーターに対するアナグリプチンのIC50値は100 μmol/L以上であった。 SKL-12320の最高濃度(10 μmol/L)において,hOAT1の基質輸送が50%以上阻害され,SKL-12320のIC50値は3.51 μmol/L(1410 ng/mL)と算出された。その他のトランスポーターに

対するSKL-12320のIC50値は10 μmol/L以上であった。

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2.6.5. 薬物動態試験概要表

2.6.5.16. 薬物動態試験:その他

該当する試験なし。

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