沖縄北部テーマパーク事業 計画段階環境配慮書 要約書...2019/09/05  · 1-1...

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沖縄北部テーマパーク事業 計画段階環境配慮書 要約書 令和元年 7 株式会社ジャパンエンターテイメント

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  • 沖縄北部テーマパーク事業

    計画段階環境配慮書

    要約書

    令和元年 7月

    株式会社ジャパンエンターテイメント

  • -目 次-

    第 1章 対象事業における配慮書事業者の氏名および住所 ...................... 1-1 1.1 事業者の氏名 ................................................... 1-1 1.2 事業者の住所 ................................................... 1-1

    第 2章 配慮書対象事業の目的及び内容 ...................................... 2-1 2.1 対象事業の名称及び種類 ......................................... 2-1 2.2 配慮書対象事業の背景及び目的 ................................... 2-1 2.3 配慮書対象事業の必要性 ......................................... 2-1 2.4 配慮書対象事業の経緯 ........................................... 2-2 2.5 配慮書対象事業の内容 ........................................... 2-3 2.6 複数案の検討 .................................................. 2-13 2.7 工事計画の概要 ................................................ 2-15

    第 3章 事業実施想定区域及びその周辺の概況 ................................ 3-1 3.1 社会的状況 ...................................................... 3-2 3.2 自然的状況 ...................................................... 3-5 3.3 関係法令等の指定、規制等 ....................................... 3-11

    第 4章 計画段階配慮事項の選定並びに調査、予測及び評価の手法 .............. 4-1 4.1 計画段階配慮事項の選定 .......................................... 4-1 4.2 調査、予測及び評価の手法 ....................................... 4-11

    第 5章 調査・予測及び評価の結果 .......................................... 5-1 5.1 地下水の水質 .................................................... 5-1 5.2 水象 ........................................................... 5-12 5.3 陸域植物 ....................................................... 5-19 5.4 陸域動物 ....................................................... 5-39 5.5 生態系 ......................................................... 5-63 5.6 景観 ........................................................... 5-73

    第 6章 総合評価 .......................................................... 6-1 6.1 影響の比較検討 .................................................. 6-1 6.2 環境配慮の方向性 ................................................ 6-3 6.3 目標等との整合性 ................................................ 6-4

  • 1-1

    第1章 対象事業における配慮書事業者の氏名および住所

    1.1 事業者の氏名

    事業者の氏名:株式会社ジャパンエンターテイメント

    代表者の氏名:代表取締役 加藤健史

    1.2 事業者の住所

    沖縄県那覇市壷屋 2-24-12

  • 2-1

    第2章 配慮書対象事業の目的及び内容

    2.1 対象事業の名称及び種類 事業の名称:沖縄北部テーマパーク事業

    事業の種類:沖縄県環境影響評価条例の別表 (第 2条関係) 12

    スポーツ若しくはレクリエーション施設の建設又は変更の事業

    2.2 配慮書対象事業の背景及び目的 沖縄県の観光産業は、近年のクルーズ船の寄港回数の増加等による外国人観光客の

    大幅な増加もあり、2018年の入域観光客数は 984 万人と前年を 44 万人も上回るなど

    好調に推移している。本県は、成長著しい東アジアに位置し、近傍に上海・香港・ソ

    ウル・台北等を始めとする大都市が存在する地理的優位性を有し、また、国内・海外

    航空路線の拡充の動きや那覇空港滑走路増設工事の着工を背景に、入域観光客の増加

    の勢いは続くと見込まれている。それらを踏まえ、「沖縄観光推進ロードマップ (沖

    縄県文化観光スポーツ部 2018)」では、2021 年度に観光客数 1,200 万人、観光収入

    1.1 兆円の目標を掲げている。また、政府においても、観光は我が国の力強い経済を

    取り戻すための極めて重要な成長分野と定め、2020 年の訪日外国人観光客の目標を

    新たに 4000 万人とする、「明日の日本を支える観光ビジョン」を 2016 年 3月に策定

    し、観光立国推進に向けて各種施策に取り組んでいるところである。

    その一方、先述したロードマップでは、本県の観光受入体制については、対応の遅

    れを懸念する声が関係者等から寄せられていると報告されている。そのため、受け入

    れ体制の構築戦略の 1 つとして、「観光体験等の拡充に関する施策展開」の「新規施

    設整備に向けた取組」の中で、『テーマパーク等娯楽施設の誘致・整備』を行うこと

    としている。また、ロードマップの「国内市場における誘客戦略及び施策展開」の「既

    存需要の拡大及び確保」においては、『滞在日数の延伸、消費額の増加等の促進』を

    図っていくこととしており、それを実現する方策の 1つとして新たな観光スポットの

    整備が求められているところである。

    これらの背景を踏まえ、本事業は、沖縄県今帰仁村に位置する既存のゴルフ場を活

    用して、亜熱帯沖縄の魅力ある自然環境を活かしたテーマパークへと再整備すること

    で、沖縄経済の活性化及び観光立県・沖縄を推進し、ひいては、観光立国・日本の観

    光戦略の要となり、日本の観光および経済に貢献することを目的とした。

    2.3 配慮書対象事業の必要性 沖縄 21世紀ビジョン基本計画 【改訂計画】(沖縄県 2017) においては、観光

    産業を本県のリーディング産業の 1 つと位置づけ、「複数のリーディング産業と

    地場産業が好循環構造をもつ経済の構築」により、本県の自立型経済の構築を目

    指している。また、本県の主要産業である観光産業は、世界的な評価を得るため

    にも、通年・滞在型の質の高い観光・リゾート地として、より一層の発展を求め

    られているところである。

  • 2-2

    更に第 5 次沖縄県観光振興基本計画改訂版 (沖縄県 2017) によれば、本県の

    観光を他の観光地と差別化する「魅力の核」となるのは、「①自然の魅力」、「②

    文化の魅力」、「③安全・安心」の 3要素とされている。そのため、本県の観光産

    業は、これらの核を基礎とした取組みを進め、沖縄の豊かな自然環境・風土・文

    化等を活用した発展が求められているところである。

    これらのことから、本事業は沖縄特有の豊かな自然環境を活用した観光産業の

    具体化であり、沖縄経済の持続的な発展と観光立県・沖縄を達成するため、必要

    性が高いと判断した。

    2.4 配慮書対象事業の経緯 沖縄県は、亜熱帯海洋性気候に育まれた豊かな自然環境を有し、観光地としての魅

    力が高い地域である。また、近傍には上海・香港・ソウル・台北等を始めとする大都

    市が存在する地理的優位性を持っており、潜在的な集客力の高い場所となっている。

    また、本事業は、観光をリーディング産業の 1つと定め、観光立県・沖縄を推進する

    地域戦略とも合致している。これらのことから、新たなテーマパーク事業は、沖縄県

    において推進することとした。

    本事業は、2018 年 6 月に同事業の実現を目的に株式会社ジャパンエンターテイメ

    ントが準備会社として設立され、本事業の実施者となった。準備会社には、現在、株

    式会社刀、オリオンビール株式会社、株式会社リウボウ、株式会社ゆがふホールディ

    ングス、近鉄グループホールディングス株式会社等が出資している。

    事業実施想定区域は、周辺の観光地の状況や交通の利便性等を考慮し、オリオンビ

    ール株式会社の子会社であるオリオン嵐山ゴルフ倶楽部株式会社が保有する沖縄島

    北部のオリオン嵐山ゴルフ倶楽部とした。

  • 2-3

    2.5 配慮書対象事業の内容 2.5.1 対象事業の規模

    本事業は既存のゴルフ場を改修して自然を活用したテーマパークを再整備す

    るものであり、その規模は約 64haを予定している。

    2.5.2 対象事業の位置 対象事業の位置図を図 2.5-1、図 2.5-2 に示した。所在地は、沖縄県今帰仁

    村呉我山にあるオリオン嵐山ゴルフ倶楽部の敷地内である。

    :事業実施想定区域(A案)

    :事業実施想定区域(B案)

    :市町村界

    資料:国土地理院.地理院地図

    図 2.5-1 対象事業の実施想定区域 (広域)

    今帰仁村

    本部町

    名護市

    古宇利島

    屋我地島

    羽地内海

  • 2-4

    :事業実施想定区域(A案)

    :事業実施想定区域(B案)

    :市町村界

    資料:国土地理院.地理院地図

    図 2.5-2 対象事業の実施想定区域 (拡大)

    今帰仁村

    本部町

    名護市

  • 2-5

    2.5.3 既存施設及び予定施設の内容 (1) 既存ゴルフ場施設

    事業実施想定区域は、オリオンビール株式会社の子会社であるオリオン嵐山ゴ

    ルフ倶楽部株式会社が保有するオリオン嵐山ゴルフ倶楽部 (以下、既存ゴルフ場

    と称する) が存在する。既存ゴルフ場は、1991 年 (平成 3 年) に開場し、2002

    年にプレミアゴルフ株式会社よりオリオンビール株式会社へと経営譲渡されて

    いる。既存ゴルフ場は、ゴルフコース (芝地)、練習場、カート通路、修景池、

    管理棟 (クラブハウス等)、駐車場等の施設を有している。

    本事業は、この既存ゴルフ場敷地内に計画しており、その事業実施想定区域 (A

    案・B 案) との重ね合わせを図 2.5-3、図 2.5-4 に示した。

    資料) オリオン嵐山ゴルフ倶楽部ホームページ (https://www.orion-agc.co.jp/cource/). 一部改変 (加筆)

    図 2.5-3 既存ゴルフ場コースと事業実施想定区域の重ね合わせ

    事業実施想定区域 (A案)

    事業実施想定区域 (B案)

    https://www.orion-agc.co.jp/cource/

  • 2-6

    株式会社 刀

    髙嶋 亜也 様(CC:関係者の皆様)

    資料:国土地理院. 空中写真 ※複数の写真を合成

    図 2.5-4 既存ゴルフ場 (空中写真) と事業実施想定区域の重ね合わせ

    250m

    事業実施想定区域 (A案)

    事業実施想定区域 (B案)

  • 2-7

    (2) 予定施設の概要 本事業により整備を検討している施設について、表 2.5-1に概要を示した。

    現段階における整備予定の施設は、主に森林を活かした体験施設を整備し、そ

    の他として、その管理施設、駐車場等を整備する予定である。なお、施設の配置

    等は、「2.6 複数案の検討」の項に示す。

    表 2.5-1 予定施設 (案)

    No. 施設 施設の建物等の内容 延べ床面積 高さ

    1 体験施設1 飲食、物販、事務所など 3,930 m2 12 m

    2 体験施設2 乗り場、ロッカー、事務所など 2,150 m2 12 m

    3 体験施設3 ロッカー、など 520 m2 12 m

    4 体験施設4 インフォーメーション、ロッカー、事務所 など 380 m2 5 m

    5 体験施設5 インフォーメーション、ロッカー、事務所 など 290 m2 5 m

    6 体験施設6 倉庫、事務所など 120 m2 5 m

    7 体験施設7 軽食 465 m2 5 m

    8 体験施設8 軽食 300 m2 15 m

    9 体験施設9 イベントスペース、事務所など 1,200 m2 5 m

    10 体験施設 10 浴室、脱衣場、ドリンクバー、倉庫、事務所など 4,760 m2 18 m

    11 駐車場 トイレなど 50 m2 -

    12 管理施設1 事務所(既存クラブハウスを流用) 4,200 m2 11.5 m

    13 管理施設2 事務所 2,000 m2 5 m

    14 管理施設3 キッチン 1,800 m2 10 m

    15 管理施設4 ごみ収集所 400 m2 5 m

    建物延べ床面積合計 22,565 m2 -

    2.5.4 給水計画 給水計画の概要については、以下のとおりであり、上水道、井戸、中水利用に

    より給水する計画である。

    ① 計画日給水量は、上水約325m3/日、雑用水約420m3/日、浴用水約50m3/日を見込む。 ② 管理棟、飲食施設等の飲料水や雑用水の一部については、今帰仁村より上水道の供給を

    受ける計画である。

    ③ 雑用水の一部は井戸から給水する。なお、既存ゴルフ場の井戸では最大約 640 ㎥/日の取水が可能である。なお、井戸水については、地元へ農業用水としており、通常時約110

    ㎥/日 (干ばつ時250㎥/日) を配水している。

    ④ 中水利用設備を計画し、浄化槽処理水あるいは雨水について最大約200m3/日を雑用水として再利用する。

    ⑤ 浴室については、井戸を水源として給水する計画である。

  • 2-8

    2.5.5 排水計画 (1) 汚水処理計画 1) 雑排水、し尿処理

    事業実施想定区域では下水道の整備が行われていないため、各施設において発生

    する汚水については、合併浄化槽で処理後に公共用水域へ放流する。計画汚水量に

    ついては、表 2.5-2に示した。

    事業実施想定区域では、汚水排水のエリアは 2 系統 (北東側・北西側) に分け、

    それぞれの流末に浄化槽を設置して処理を行う。北東側流末の処理汚水量は、約

    500m3/日を計画しており、北西側流末の処理汚水量は約 150m3/日を計画している。

    なお、浄化槽処理水を用いて中水利用設備を計画する場合は、北東側エリアに施設

    を設置し、約 200m3/日を雑用水として再利用する計画である。

    浄化した水の放流先については、北東及び北西排水エリアのどちらも、現況と同

    じく大井川水系へと放流する計画である。

    表 2.5-2 計画汚水量(概算)

    No. 施設 計画汚水量 (概算) 排出先

    1 体験施設 (北東側) 500m3/日

    北東排水エリア

    2 体験施設 (北西側) 125m3/日 北西排水エリア

    3 駐車場 15m3/日 北東排水エリア

    4 管理施設他 100m3/日 北東排水エリア

    2) 浴用水の処理 北西側の体験施設では浴室を整備する計画であり、その浴用水は循環ろ過によ

    る再利用を行い、オーバーフロー分及び浴室の排水については、全て浄化槽にて

    処理を行い、調整池へ放流する。その後、調整池からは、現況と同じく大井川水

    系へと流下する。なお、浄化槽は、バクテリアによる生物処理のための適正温度

    があるため、浴用水は適温まで下げる施設 (池等) を設置し、その後に浄化処理

    を行う計画とする。

  • 2-9

    注) 浄化槽処理水を中水利用する場合の施設位置 (浄化槽処理水あるいは雨水を中水利用するかは検討中)

    図 2.5-5 排水系統図

    北東排水エリア

    北西排水エリア

    浄化槽①

    処理汚水量 : 約 500m3/日

    浄化槽②

    処理汚水量 : 約 150m3/日

    調整池 (既存)

    調整池 (既存)

    中水利用設備注

    供給量 : 約 200m3/日

    大井川水系へ

    大井川

    水系へ

    舗装道路

  • 2-10

    (2) 雨水処理計画 雨水は、敷地内を分断する舗装道路を上流として排水勾配を設定し、排水施設

    で集水して既設の調整池へ放流する。流域については、原則として流域面積を変

    更しない計画とする。

    なお、調整池については、流域内に現在の修景池と同様の調整機能を有する池

    を配置し、許容放流量以下で流末水路へ放流する計画とする。

    敷地内の計画雨水量と調整池容量の概算は以下の通りである。

    【計画雨水量】

    計画雨水量は、次の式により算出した。

    計画雨水量 Q=1/360・C・I・A

    C:流出係数・・・造成完了後とし、0.60注)と想定した。

    注)造成後の土地利用計画は現段階で未定であるが、事業実施想定区域は

    丘陵地であり、造成後に植栽を行うことから、流出係数は「起伏の

    ある山地、樹林 :0.50~0.75 (都市計画法に基づく開発許可制度に

    関する運用基準. 沖縄県 2017)」を参考に、ここでは 0.60 とした。

    I:降雨強度・・・降雨強度公式はタルボット型とする。

    8,700/(t+48)到達時間 tを 10 分とすると 150mm/h となる。

    A:流域面積・・・北東流域 51.6 ha注)

    北西流域 12.8 ha

    注) 北東流域の南側 (施設内を分断する舗装道路の南側) 流域は、現状

    の雨水排水管等により別流域に流下するため、北東流域の計算に加

    えない。

    上記により、各流域の計画雨水量は、以下のとおりとなる。

    北東流域 Q=12.9m3/sec

    北西流域 Q= 3.2m3/sec

    【調整池の容量】

    流域面積あたりの調整池の容量は、安全をみて以下の容量とする。

    調整池容量 V=1,500m3/ha

    これにより、必要調整池容量は以下のとおりとなる。

    ・北東流域 V=77,400m3

    ・北西流域 V=19,200m3

  • 2-11

    2.5.6 緑化計画 緑化計画の概要については、以下のとおりであり、土地本来の緑に配慮しつつ、

    観光等の地域振興と緑地機能を考慮して樹種等を選定する。なお、参考までに緑

    化イメージについて図 2.5-6に示す。

    ① 本事業では、緑豊かな空間の創出を図ると共に、周辺緑地では事業実施想定区域の現況植生を極力活かすことに務める。

    ② 事業実施想定区域内の自然度の高い樹林地は可能な限り保全する。

    ③ 外来生物法等を遵守して植栽を行う。

    注)下図:B案 (緑化イメージは A案も大きな違いはない)

    図 2.5-6 緑化イメージ図

  • 2-12

    2.5.7 施肥施薬計画 施肥計画については、既存ゴルフ場においても芝地や植栽等の管理で使用して

    おり、施設整備後も管理者に大きな変更を予定していない。ここでは参考までに

    現況の施肥状況の概要を表 2.5-3 に示した。ただし、現況では既存ゴルフ場の

    芝地 (グリーン、フェアウェイ等) が多い環境であるが、本事業の供用後は樹木

    等の植栽割合が増加する計画であり、一般的には使用される肥料や農薬量は減少

    すると予想される。これは、ゴルフ場においては、広範囲に面的な広がりを持つ

    芝地を良好な状態に育成するために、施肥施薬を適宜必要とするためであるが、

    生育の比較的緩やかな樹木等の植栽では、頻繁な施肥施薬等の管理が多くの場合

    必要ないためである。

    施薬については、現況では主に既存ゴルフ場の芝地管理のため、「殺虫剤」、「殺

    菌剤」、「除草剤」等を用いている。供用後の使用量については、病害虫の種類や

    発生頻度等が不明なため具体的な計画策定はできないが、ほぼ単一な種類から成

    る芝地から複数の樹種を主体とした植栽へと変更するため、特定の害虫の大発生

    が抑えられると考えられることから、使用量は現況より減少するものと考えられ

    る。

    表 2.5-3 既存施設における肥料 (種類・量)

    No. 品名 主な使用時期 年計画量 備考

    1 尿素 通年 3,220 kg 芝地

    2 A-リン酸 秋季 80 L 芝地 (グリーン)のみ使用

    3 ルーツターフフード 12-2-12 冬季 440 kg 芝地 (グリーン)のみ使用

    4 カントリークラブ MD 春季~秋季 1,089.6 kg 芝地 (グリーン)のみ使用

    5 ラスティターフ 12-3-6 MG2 春季~秋季 1,500 kg 芝地

    6 ゴールドスター 春季、秋季 15,400 kg 芝地等

    7 有機酸酵素 EX 秋季~冬季 240 L 芝地 (グリーン)のみ使用

    8 ビネガーエコノ 936 春季~夏季 170.28 L 芝地 (グリーン)のみ使用

    9 ビネガースペシャル 春季~夏季 208.12 L 芝地 (グリーン)のみ使用

    10 アミノ有機液肥 夏季~冬季 320 kg 芝地 (グリーン)のみ使用

  • 2-13

    2.6 複数案の検討 本事業については、基本案として A案と B案について計画した。

    A案の施設配置図を図 2.6-1に示した。本案の計画面積は後述する B案よりも

    広く、既存ゴルフ場の敷地を広く利用する計画である。この案では、敷地南側に

    駐車場を配置し、敷地中央から北側にかけて施設を配置する計画としている。な

    お、駐車場とエントランスの間に既存道路があるが、道路下のトンネルを通じて、

    駐車場からエントランスへと誘導する計画である。環境上の問題点としては、当

    該地域は既に人為的改変が生じた場所であるが、敷地内に 2箇所の樹林地が残存

    しており(図 2.6-3)、A案はこの樹林部分も改変する計画である。

    B案は、各施設の体験内容や配置を再検討することにより、計画地内での移動

    距離や体験価値を最適化し、かつ面積を縮小した案である(図 2.6-2)。駐車場は、

    敷地東側及び南西側に配置し、東側駐車場付近にエントランスを計画している。

    各施設は、敷地中央付近を中心に配置したものである。

    なお、本事業の目的は、「2.2 配慮書対象事業の背景及び目的」で示したとお

    り、新たな観光施設を設置する以外の事業ではこの目的を達成しえないため、検

    討に代替案の事業及び当該事業を実施しない案は設定しないこととした。

    図 2.6-1 施設配置 (A案)

    駐車場

    300m

    体験施設 2

    体験施設 5 体験施設 6

    管理施設

    体験施設 7 体験施設 1

    体験施設 10

    体験施設 3

    体験施設 4

  • 2-14

    図 2.6-2 施設配置 (B案)

    資料:国土地理院の空中写真

    図 2.6-3 事業実施想定区域の状況 (樹林等)

    体験施設 1

    体験施設 2

    体験施設 3

    体験施設 4

    体験施設 5

    体験施設 6

    体験施設 7

    体験施設 8

    体験施設 9

    体験施設 10

    管理施設

    駐車場

    駐車場

    樹林 1

    樹林 2

  • 2-15

    2.7 工事計画の概要 現時点における概略工事の工程を表 2.7-1 に、各工事計画の概要を表 2.7-2

    に示した。テーマパーク建設及び管理施設等の付帯施設の工期は、約 4年を予定

    しており、基礎工事 (約 2年間) が終了後に建物工事 (約 2年間) を行う予定で

    ある。

    造成工事における赤土等流出対策として、工事中に発生する濁水は、濁水処理

    後に公共用水域に放流する。

    切土量と盛土量は、現段階では事業実施想定区域内で発生土を調整することで、

    外部への搬入及び搬出については行わない計画である。今後、環境影響評価の手

    続きを進めていく中で、事業計画の進捗を踏まえ、発生土を区域外へと搬出する

    等の事態が生じる場合は、法令に基づき適正に処理を行う計画とする。

    表 2.7-1 工事施工計画

    工種 1年次 2年次 3年次 4年次

    基礎工事

    準備工事

    仮設・防災工事

    土工事

    調整池・排水工事

    舗装工事

    建物工事

    表 2.7-2 工事計画の概要

    工種 種類 概要 工程

    基礎

    工事

    準備工事 工事に先立つ現場事務所等の手続き、工事案内等

    の安全施設の設置

    1年次前半

    仮設・防災工事 土木工事に先立ち行う仮設工事、赤土等流出を防

    止するための防災工事(沈砂池や仮排水路等の工

    事)等

    1年次前半

    土工事 樹木の伐採・除根や切土・盛土等の造成工事 1年次前半~2年次前半

    調整池・排水工事 雨水の流出調整や敷地内の排水のための調整池

    等の設置

    2年次

    舗装工事 管理用道路等の整備 2年次後半~4年次

    建物

    工事

    建築工事 管理施設やレクリエーション施設等の建物に係

    る工事。また、内装・外装等の付帯設備に係る工事

    3年次~4年次

  • 3-1

    第3章 事業実施想定区域及びその周辺の概況

    事業実施想定区域及びその周辺(今帰仁村、名護市及び本部町に係る区域)の概況に

    ついて、図 3.1に示す範囲を対象とし、既存資料を基に把握する。

    :事業実施想定区域(A案)

    :事業実施想定区域(B案)

    :市町村界

    資料:国土地理院.地理院地図

    図 3.1 事業実施想定区域及びその周辺の市町村

    今帰仁村

    本部町

    名護市

  • 3-2

    3.1 社会的状況 事業実施想定区域及び周辺地域の社会的状況について、既存文献の資料を基に

    取りまとめた。その概要は表 3.1(1)~(3)に示すとおりである。

    表 3.1 (1) 社会的状況の概況

    項目 事業実施想定区域及びその周辺の状況

    社会的状況

    人口 人口及び

    世帯数

    2017 年の人口及び世帯数は、今帰仁村では人口 9,421 人世帯数 3,570 世帯、名

    護市では人口 62,137人 27,222世帯、本部町では人口 13,316人 6,539世帯である。

    2000 年以降の人口の推移をみると、名護市では概ね増加の傾向、今帰仁村は横ば

    い、本部町は減少傾向である。また、世帯数でみると、どの市町村も世帯数は増加

    傾向にあるが、人口が横ばいあるいは減少傾向にあることを踏まえると、世帯規模

    は縮小傾向にあると考えられる。

    人口密度 2017年の人口密度は、今帰仁村では 236人/km2、名護市では 295人/km2、本部

    町では 245人/km2となっている。なお、沖縄県の人口密度は、633人/km2であり、

    3市町村はいずれもこれを下回っている。

    産業 産業構造 産業別就業者数は 3市町村ともに第三次産業の占める割合が最も多く、今帰仁村

    60.7%、名護市 71.2%、本部町 71.9%となっている。

    農業 農家戸数は、今帰仁村で専業農家が 48.6%、名護市で専業農家が 39.7%と最も多

    く占めているが、本部町では自給的農家が 37.8%と高い割合になっている。2013~

    2017年にかけての耕地面積は、今帰仁村では 2.9%の増加傾向、名護市では 4.6%の

    減少傾向、本部町では 11.6%の減少傾向となっている。農業経営組織は、3市町村

    ともに約 8割が単一経営となっており、今帰仁村では「花き・花、木」「工芸農作

    物」等、名護市及び本部町は「果樹類」「工芸農作物」等が多い。

    林業 2014~2017 年にかけての沖縄島北部地域林業労働力の年齢階層別作業員数は、

    24.3%の増加傾向にある。

    水産業 漁業経営体数に占める専業経営の割合は、今帰仁村で 63.2%、名護市で 58.4%と

    兼業経営に比べて多く、本部町では 51.4%とほぼ同程度の割合となっている。漁

    業種別漁獲量は、今帰仁村では「その他の漁業」、名護市では「沿岸いか釣」、本

    部町では「沿岸かつお一本釣」が多い。

    工業 工業の事業所数及び従業者数は、今帰仁村では「食料品製造業」が 5 事業所 62

    人。名護市では「食料品製造業」が 16 事業所 413 人と最も多い。、本部町では事

    業所数でみると「食料品製造業」が 10事業所 68人、従業員数でみると「窯業・土

    石製品製造業」が 5事業所 86人と最も多い。

    商業 商業の事業所数及び従業者数は、今帰仁村では「その他の小売業」が 39 事業所

    98 人と最も多い。名護市では「その他の小売業」が 217 事業所 1,243 人と最も多

    い。本部町では「飲食料品小売業」が 87事業所 272人と最も多い。

  • 3-3

    表 3.1 (2) 社会的状況の概況

    項目 事業実施想定区域及びその周辺の状況

    社会的状況

    土地利用 土地利用

    の状況

    2017 年の地目別民有地面積は、今帰仁村では畑が総地積の約 43%を占め、名

    護市では山林が総地積の約 33%を占め、本部町では原野が総地積の約 56%を占め

    ている。森林率は、今帰仁村が 34%、名護市が 65%、本部町が 38.5%となってお

    り、どの市町村も国有林がなく、私有林が総面積の多くを占めているほか、名

    護市では市町村有林も多く占めている。

    米軍施設は、事業実施想定区域である今帰仁村には存在せず、本部町では町

    村面積に占める割合は 0.0%と僅かであり、名護市では、市面積に対して約 10.8%

    を米軍施設が占めている。なお、事業実施想定区域では近傍に米軍施設は存在

    しない。

    土地利用区分は、事業実施想定区域内については、現況では運動競技施設と

    して区分され、ゴルフ場が経営されている。周辺には農地や林地等が広がるほ

    か、事業実施想定区域の西側に南北に走る主要地方道周辺に住宅地域や商業業

    務地域が分布している。

    土地利用

    規制

    事業実施想定区域内は、広い範囲で農業振興地域に指定されているほか、一

    部で森林地域がみられる。周辺は、広い範囲で農用地区域、農業振興地域に指

    定されているほか、森林地域がみられる。また、東側には沖縄海岸国定公園が

    あり、森林部分は第 2種特別地域に、その他農地等は普通地域に指定されてい

    水利用 河川の利

    事業実施想定区域周辺には、主要二級河川として大井川と我部祖河川が存在

    する。主要二級河川の 2 水系・2 河川における取水口は、主に農業用水、生活

    用水、工業用水として利用されている。なお、事業実施想定区域周辺にダム施

    設は存在しない。

    海域の利

    事業実施想定区域周辺においては、港湾区域として運天港が重要港湾に指定

    されている。また、漁港区域としては、第一種漁港として、運天漁港、屋我地

    漁港、仲尾次漁港などがある。

    漁業権設定区域については、事業実施想定区域の北東側には羽地内海が存在

    し、その海域は共同3号の漁業権が設定され、同漁業権内ではヒトエグサ漁業、

    モズク漁業等が行われている。また、特定区画・定置漁業権として、魚類小割

    式養殖業等が行われている

    地下水の

    利用

    井戸の利用状況について、今帰仁村では 19 箇所中、農業用井戸が 17 箇所と

    最も多く、名護市でも 40 箇所中、農業用井戸が 23 箇所と最も多い。本部町で

    は農業用井戸はなく、水道用井戸が 7箇所中 6か所と最も多い。

    湧水について、事業実施想定区域周辺では、今帰仁村湧川にある湧水が水道

    水源として利用されている。なお、今帰仁村のその他の湧水の水道水源として

    は、吉事水源 (今帰仁村勢理客) がある。

  • 3-4

    表 3.1 (3) 社会的状況の概況

    項目 事業実施想定区域及びその周辺の状況

    社会的状況

    交通 陸上交通 道路の整備状況について、主要道路は、本部半島の周辺に国道 505 号、国道 449 号

    が整備され、それらに本島西海岸を縦断する国道 58号及び今帰仁村、本部町、名護市

    を縦横断する主要地方道や一般県道が接続し、幹線道路網を形成している。事業実施

    想定区域では、西側に主要地方道である県道 72号線と県道 84号線が縦断している。

    交通量について、一般国道 58号世冨慶交差点の平日交通量が最も多く、28,242台

    /12時間、37,280台/24時間となっており、事業実施想定区域の近傍の主要道路では、

    名護運天港線(今帰仁村字玉城)で 4,193 台/12 時間、5,241 台/24 時間、名護本部

    線(名護市大中)で 6,351台/12時間、9,370台/24時間となっている。

    自動車保有台数について、今帰仁村が 9,575 台、名護市が 49,250 台、本部町が

    11,519台であり、分類群別では軽自動車が最も多い。

    海上交通 事業実施想定区域周辺においては、名護市と今帰仁村に運天港があり、入港船舶隻

    数は 1,526隻、港湾取り扱い貨物量は 587,924トンである。

    定期旅客航路として、伊平屋島(前泊港)、伊是名島(仲田港)への 2航路があり、

    いずれの航路ともフェリーが就航している。

    航空交通 事業実施想定区域のある北部地域に空港は存在しない。

    環境保全

    について

    の配慮が

    特に必要

    な施設の

    状況

    教育施設 今帰仁村に 8施設、名護市に 44施設、本部町に 17施設存在する。事業実施想定区

    域において、近傍に教育施設はみられない

    医療・社会

    福祉施設

    今帰仁村に 34施設、名護市に 257施設、本部町に 45施設存在する。事業実施想定

    区域において、近傍に医療・社会福祉施設は分布していない。

    文化施設 今帰仁村で 2施設、名護市で 3施設存在する。事業実施想定区域周辺において、文

    化施設はみられない。

    主要な集

    事業実施想定区域は、今帰仁村呉我山であるが、呉我山集落の中心とは隣接してい

    ない。周辺集落のうち、最も事業実施想定区域に近い集落は、名護市中山区となって

    いる。なお、本部町伊豆味集落は、主要地方道県道 72 号線より西側に位置している

    ほか、湧川集落は国道 550号線沿いの海岸付近に位置しており、事業実施想定区域か

    ら離れている。

    環境整備 下水道の

    整備状況

    今帰仁村では公共下水道は整備されておらず、今後も下水道事業の計画はない。今

    帰仁村での合併浄化槽の処理人口普及率は、28.6%となっている。一方、名護市及び

    本部町においては、単独公共下水道整備が進められ、さらに 2025 年までに名護市の

    一部区域で整備を拡大することとなっている。また、名護市の我部祖河川下流域一帯

    では、農業集落排水事業が進められている。

    廃棄物処

    理施設の

    状況

    ごみ処理施設について、今帰仁村と本部町は共同構成で、1日に処理可能なごみの

    量は 40tである。また、名護市は単独構成で、1日に処理可能な量は 40tである。

    し尿処理施設について、本部町と今帰仁村は共同構成で、し尿処理方法は嫌気性消

    化法となっており、1 日に処理可能なし尿の量は 35kL である。名護市では、二段活

    性汚泥処理方式となっており、1日に処理可能なし尿の量は 40kLである。

    埋立処理施設について、今帰仁村・本部町の対象廃棄物は、不燃・粗大・焼却残渣、

    その他で、埋立容積は 67,000m3で残余容量は 61,136m3である。名護市の対象廃棄物

    は、不燃・直搬・粗大・焼却残渣で、埋立容積は 185,000m3で残余容量は 6,890m3で

    ある

  • 3-5

    3.2 自然的状況 事業実施想定区域及び周辺地域の自然的状況について、既存文献の資料を基に

    取りまとめた。その概要は表 3.2(1)~(6)に示すとおりである。

    表 3.2 (1) 自然的状況の概況

    項目 事業実施想定区域及びその周辺の状況

    自然的状況

    大気環境 気象 月別降水量は 96.2~248.2mm/月であり、梅雨の時期である 5 月、6 月及び台

    風の時期である 8、9 月に 200mm/月を超え、降水量が多くなっている。降水量

    は年間を通してみられ、月平均降水量も 100mm以下になることはほとんどない。

    月別平均気温は、16.3~28.8℃であり、1 月に最も低く、7 月に最も高くなっ

    ている。年間を通して日最高気温は 19℃以上、日最低気温は 13℃以上となって

    いる。月別平均風速は 3.3~4.1m/sで、最多風向は北北東となっている。

    大気質 事業実施想定区域周辺では、名護市の沖縄県北部保健所に一般環境大気測定

    局が設置されており、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質、光化学オキ

    シダント、微小粒子状物質の測定が行われている。また、沖縄県北部合同庁舎

    ではダイオキシン類の測定が行われている。

    2017年度の二酸化硫黄は、環境基準(長期的評価:日平均値が 0.04ppmを超

    えた日が 2日以上連続せず、かつ日平均値の 2%除外値が 0.004ppm以下)を達

    成している。二酸化窒素は、環境基準(長期的評価:日平均値の年間 98%値が

    0.04~0.06ppmのゾーン内又はそれ以下)を達成している。浮遊粒子状物質は、

    環境基準(長期的評価:日平均値が 0.10mg/㎥を超えた日が 2日以上連続せず、

    かつ日平均値の 2%除外値が 0.10mg/㎥以下)を達成している。光化学オキシダ

    ントは、環境基準(1時間値が 0.06ppm以下)を超過した日が年間 33日、195

    時間あるが、大気汚染防止法に基づく緊急時の措置が必要となる 0.12ppmを超

    えることは無かった。微小粒子状物質は、環境基準(1年平均値が 15μg/㎥以

    下であり、かつ 1日平均値が 35μg/㎥以下)を達成している。ダイオキシン類

    は、環境基準(年間平均値が 0.6pg-TEQ/㎥以下)を達成している。

    騒音 今帰仁村では、環境基本法に基づく騒音に係る環境基準の地域類型の指定は

    なく、騒音規制法に基づく規制地域にも指定されていない。なお、名護市及び

    本部町は、環境基本法に基づく騒音に係る環境基準の地域類型の指定があり、

    騒音規制法に基づく規制地域に指定されている。

    2017年度の騒音規制法に基づく特定施設及び特定建設作業の届出状況は、特

    定施設については、名護市では 6特定施設 5特定工場があり、本部町では無い。

    特定建設作業については、名護市で 1件、本部町で 1件あった。なお、今帰仁

    村では規制地域が無いため、届出の情報は無い。

    自動車交通騒音について、名護市は環境基準を達成している。本部町は概ね

    環境基準を達成しているが、「本部町浜元 234」において 7.2%の割合で夜間の

    み基準値を超過している。

  • 3-6

    表 3.2 (2) 自然的状況の概況

    項目 事業実施想定区域及びその周辺の状況

    自然的状況

    大気環境 振動 今帰仁村は、振動規制法に基づく規制地域の指定はされていない。名護市及び本

    部町は、振動規制法に基づく規制地域に指定されている。

    2017 年度の振動規制法に基づく特定施設及び特定建設作業の届出状況は、特定

    施設については、名護市では 4 特定施設 2 特定工場があり、本部町では無い。特定

    建設作業については、名護市では 1 件あり、本部町では無い。なお、今帰仁村では

    規制地域が無いため、届出の情報は無い。

    悪臭 今帰仁村は、悪臭防止法に基づく規制地域の指定はされていない。名護市及び本

    部町は、悪臭防止法に基づく規制地域に指定されている。

    水環境 水象 事業実施想定区域は、二級河川大井川水系に属し、本部山地を浸蝕し蛇行した自

    然河道となっており、河床は全般に岩盤が多く、干ばつが続くと表流水が干上がる。

    また、事業実施想定区域外となる既存ゴルフ場の南側は、二級河川我部祖河川水系

    に属しており、奈佐田川を経て我部祖河川本川へと注いでいる。

    水質

    及び

    底質

    大井川は環境基準の類型指定はなく、水質の汚濁状況の測定水域ではないが、沖

    縄県赤土等流出防止条例、沖縄県赤土等流出防止対策基本計画及び沖縄県赤土等流

    出防止対策行動計画に基づく重点監視区分とされており、これまでに濁度や SPRS

    等が測定されている。SPRS ランク評価において、事業実施想定区域から最も近い

    NAK-2 地点はランクⅡであり、5 つの測定地点の中で、最も低い値を示した。大井

    川における最近の魚類へい死事故は 2011 年度に起こっているが、今帰仁村渡喜仁

    ~天底の区間の支流であり、事業実施想定区域付近の支流とは異なる。

    我部祖河川は、環境基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準の A 類型に指定され

    ており、水質汚濁防止法に基づく公共用水域の水質の汚濁状況の測定水域となって

    いる。我部祖河川における測定地点のうち、事業実施想定区域に最も近い奈佐田川

    では、生活環境項目の pH、BOD、SS は環境基準を達成しているが、DO は 12 検体中

    1 検体、大腸菌群数は全検体が未達成である。また、健康項目は全て環境基準を達

    成している。また、我部祖河川はダイオキシン類対策特別措置法に基づく常時監視

    地点となっており、水質・底質ともに環境基準を満足している。

    今帰仁村北部の東シナ海へ注ぐ、大井川の河口付近では、公共用水域測定地点の

    設定はないが、沖縄県赤土等流出防止条例、沖縄県赤土等流出防止対策基本計画及

    び沖縄県赤土等流出防止対策行動計画に基づく重点監視海域とされており、濁度や

    SPSS 等が測定されている。その SPSS 測定結果をみると、3地点では 4~7 の範囲に

    あり、河口に設定された 018-2地点では 5a~7と陸域からの赤土等流出がみられる。

    2016 年度時点における大井川河口の環境保全目標の達成状況は、2009-2011 年度か

    ら改善していないという評価結果となっている

    事業実施想定区域及びその周辺において、水質汚濁防止法に基づく地下水の常時

    監視対象はないが、水道・簡易水道事業者における水質監視地点(原水採水地点)

    として、湧川浄水場着水井がある。2018 年度の水道法に基づく水質基準の達成状

    況は、複数回分析している「一般細菌」及び「大腸菌」では基準値を一部超過して

    いる。年 1 回の分析項目においては、「カルシウム、マグネシウム等(硬度)」、「遊

    離炭酸」及び「蒸発残留物」が基準値を超過している。その他の項目については、

    基準値を満足している。また、事業実施想定区域にあるオリオン嵐山ゴルフ倶楽部

    株式会社では、ゴルフ場内にて井戸を利用している。井戸水の水質については、定

    期的に検査をしており、2018 年度の水質基準 (農業 (水稲) 用水基準)の達成状況

    は、「EC(電気伝導度)」及び「Cu(銅)」が、基準値を超過している。

  • 3-7

    表 3.2 (3) 自然的状況の概況

    項目 事業実施想定区域及びその周辺の状況

    自然的状況

    土壌及び

    地盤環境

    土壌 事業実施想定区域の土壌は、「乾性黄色土 久志岳」及び「細粒赤色土 具

    志堅」が分布している。

    地盤環境 事業実施想定区域の一部の地盤環境は、「崩壊土砂流出危険地区 (危険度 C)」

    に指定されている。なお、「地すべり防止区域」に該当する地域は無い。

    地形及び

    地質

    地形 本部半島は、嘉津宇岳、八重岳などの本部山地及びカルスト地形を中心に丘

    陵地の広がる地帯である。また、国頭脊梁山地と本部山地の両者にはさまれた

    ところに台地や沖積地が広がっている。今帰仁村では、200m以上の山地、その

    周辺の丘陵・段地 (段丘)、標高 20m以下の低地に大分され、事業実施想定区域

    は、標高約 100~160mの丘陵地に位置している。

    事業実施想定区域の地形は、「丘陵地 一般斜面(15~30°) 15°以上 30°

    未満」、「丘陵地 丘頂緩斜面(15°未満) 3°以上 8°未満」及び「台地・段

    丘 高位段丘Ⅰ面 3°以上 8°未満」が分布している。

    地質 事業実施想定区域の位置する本部半島の付け根には新第三紀から第四紀にか

    けての呉我礫層や仲尾次砂層が分布している。また、半島の北部から西北にか

    けては第四紀更新世の琉球層群の石灰岩及び砂礫層が平坦面を作っている。

    今帰仁村の地層は、中生代の地層(今帰仁層・与那嶺層・湧川層)と新生代の

    地層 (新生代第四紀の琉球層群・礫層) が分布しており、中生代の地層は海洋

    プレートが運んできたチャート・石灰岩・緑色岩と、大陸から運び込まれた砂

    岩・泥岩などが混在して出来た地層となっている。この中世代の地層は、主に

    山地や丘陵部に、新生代第四紀層は台地や低地部を構成している。事業実施想

    定区域は、主に中生代の与那嶺層が分布している。この地層は、多種多様な岩

    石が混在する地層であり、事業実施想定区域の表層地質をみると、「琉球層群

    国頭礫層」、「チャート」、「砂岩・頁岩互層、砂岩・粘板岩互層、砂岩、頁

    岩、粘板岩からなり礫岩や石灰岩のレンズ・薄層をはさむ」及び「国頭層群名

    護層粘板岩・千枚岩泥質片岩」となっている。

    特異な地

    形・地質

    今帰仁村、名護市、本部町では合計 25箇所の特異な地形・地質が知られてい

    る。今帰仁村では、大井川河口に三角州が発達しているが、これは亜熱帯の沖

    縄では土砂流入が少なく、堆積が進まず、三角州が維持されている点が特徴で

    ある。また、今帰仁村与那嶺の海岸の砂丘は、前面のサンゴ礁や砂浜と一体と

    なる見事な海岸景観を形成している。また、その他として古宇利島には河岸段

    丘やカルスト地形がみられる。

  • 3-8

    表 3.2 (4) 自然的状況の概況

    項目 事業実施想定区域及びその周辺の状況

    自然的状況

    植物、動

    物及び生

    態系

    陸域生物

    (陸域植物)

    植生について、今帰仁村では、戦後の物資の乏しい時代まで、山地山林は

    薪や建築材の供給源として、丘陵から低地にかけては畑地や水田として利用

    されてきており、昔ながらの自然林は僅かに御嶽林として残っているのみで

    ある。しかしながら、森林の回復により、現在では今帰仁村城跡周辺から東

    の乙羽岳にいたる山地では、まとまった面積の森林がみられている。事業実

    施想定区域の植生は、「ゴルフ場・芝地」が広範囲に広がり、その一部で「ギ

    ョクシンカ-スダジイ群集」や「ハドノキ-ウラジロエノキ群団(二次林)」

    のような樹林地がみられる。事業実施想定区域の北約 2kmに位置するシイナ

    グスクでは、高木層は、ハマイヌビワ、ソウシジュ、オオバギ、シバヤブニ

    ッケイなどの海岸や林縁などの比較的乾燥する地域の樹木が出現している。

    亜高木層はゲッキツ、シロダモが優占し、低木層はオオバルリミノキ、草本

    層は、クワズイモ、ホウビカンジュ、リュウキュウトリノスシダ等が出現し

    ている。また、すべての階層にはアマミアラカシが出現している。

    植物相について、事業実施想定区域周辺のシイナグスクでは、シダ植物 13

    種、種子植物 121種が確認されており、石灰岩地にみられるオオバギやヤブ

    ニッケイ等の植物がみられる。名護市全域では、シダ植物 116種、種子植物

    659種が確認されており、事業実施想定区域より南側にある我部祖河川流域

    では、シダ植物 11種、種子植物 98種が確認されている。

    重要な植物種については、シイナグスク周辺において、シダ植物のカワリ

    バアマクサシダ、被子植物のヤエヤマネコノチチ、クスノハカエデの合計 3

    種が確認されている。

    特定植物群落及び巨樹・巨木について、事業実施想定区域内及び周辺には

    分布していない。なお、シイナグスク周辺では本部半島内で乙羽岳以外にま

    とまった群落が知られていないアマミアラカシの大きな群落が確認されて

    いる。

    陸域生物

    (陸域動物)

    動物相について、事業実施想定区域の北約 2km位置するシイナグスク周辺

    の動物相は、外来種を含めて哺乳類 6種、鳥類 23種、両生類 3種、爬虫類 4

    種、昆虫類 178 種、水生生物 36種、陸産貝類 24種が確認されている。最も

    多い分類群は昆虫類であり、今帰仁村では特にチョウ類の種数が多く、これ

    までに 50種類を超えるチョウが存在で確認されている。名護市全域では、

    哺乳類 11種、鳥類 226種、両生・爬虫類 40種、昆虫類 3,597種、陸産貝類

    69種が確認されており、我部祖河川では鳥類 23種、水生生物 103種が確認

    されている。

    重要な動物種については、シイナグスク周辺において、哺乳類 4種、鳥類

    3種、爬虫類 1種、昆虫類 2種、水生生物 1種、陸産貝類 10種が確認されて

    いる。

  • 3-9

    表 3.2 (5) 自然的状況の概況

    項目 事業実施想定区域及びその周辺の状況

    自然的状況

    植物、動物

    及び生態系

    生態系 【森林】

    事業実施想定区域及び周辺には「ギョクシンカ-スダジイ群集」、「ハ

    ドノキ-ウラジロエノキ群団(二次林)」が主に分布しており、森林性

    の哺乳類や鳥類、両生・爬虫類、陸産貝類を中心に、多様性に富んだ生

    態系が維持されていると考えられる。重要な動物種では、樹林地を主な

    生息場・繁殖場・餌場として利用する種として、オリイオオコウモリ、

    カラスバト、サシバ、オキナワキノボリトカゲ、クロイワゼミ、フタオ

    チョウ、クニガミゴマガイ等が、生息していると考えられる。

    【河川】

    事業実施想定区域内は、ゴルフ場の修景池があり、止水域を好むトン

    ボ類やゲンゴロウ類等の昆虫類、ヌマガエル類等の両生類により利用さ

    れていると考えられる。また、修景池の下流にある調整池は、樹林に囲

    まれていることから、トンボ類等の水生昆虫類やシリケンイモリ等の両

    生類の生息が考えられる。

    事業実施想定区域外では、下流の大井川支川では自然河岸がみられ、

    周辺が樹林で囲まれていることから、カワセミやサカモトサワガニ、水

    生昆虫類等をはじめとした渓流に生息・生育する多様な動植物が生息し

    ていると考えられる。ただし、大井川中流付近が度々涸れ沢になること

    や、河川横断構造物等による遡上阻害が存在することから、一生の間に

    川と海を行き来する回遊性の生物は少ないと考えられる。

    【草地・耕地】

    事業実施想定区域周辺には、畑・果樹園等の耕地が分布し、貴重な動

    物種では、ジャコウネズミが生息していると考えられる。また、コウモ

    リ類や鳥類の餌場にもなっていると考えられる。なお、事業実施想定区

    域はゴルフ場として草地が分布しているが、管理された単調で人工的な

    草地環境であるため生物の生息環境に乏しいことから、一生を通して当

    該環境を利用する種は直翅目 (バッタ類等) 等の一部の種のみと考え

    られる。

    景観 景観資源及び

    眺望点の状況

    事業実施想定区域の最も近傍にある眺望点は、当該区域より東約

    1.4kmにある嵐山展望台となっている。

    人と自然と

    のふれあい

    の活動の場

    人と自然との

    ふれあいの活

    動の場の状況

    事業実施想定区域及びその周辺における人と自然とのふれあいの活

    動の場について、乙羽岳森林公園は、当該区域より北約 2.4kmにあり、

    八重岳桜の森公園は、西約 4.8kmに位置している。

    歴史的・

    文化的環境

    文化財 事業実施想定区域周辺では、北約 2.0kmに国指定の史跡として今帰仁

    城跡附シイナ城跡がある。

  • 3-10

    表 3.2 (6) 自然的状況の概況

    項目 事業実施想定区域及びその周辺の状況

    自然的状況

    歴史的・

    文化的環境

    埋蔵文化財包

    蔵地

    事業実施想定区域内には、埋蔵文化財包蔵地は存在しない。最も近傍

    の埋蔵文化財包蔵地は、事業実施想定区域より北約 2.0kmのシイナグス

    クである。

    御嶽・拝所 事業実施想定区域には、御嶽・拝所は存在しない。

    一般環境中

    の放射性物

    質の状況

    放射線の量 事業実施想定区域に最寄りの名護市における 2017年度の空間放射線

    量率の範囲は、0.024~0.062μSv/h であり、今回の調査結果は、過去の

    調査結果(過去 3カ年度の同地点及び東日本大震災以前の別地点におけ

    る測定データ等)と比べて特段の変化は見られない。

  • 3-11

    3.3 関係法令等の指定、規制等 事業実施想定区域及び周辺地域の関係法令等の指定、規制等について、既存文

    献の資料を基に取りまとめた。その概要は表 3.3(1)~(3)に示すとおりである。

    表 3.3 (1) 関係法令等の指定、規制等の概況

    項目 指定内容

    関係法令等の指定、規制等

    関係法令による指定地域及び地区並びに規制内容

    都市計画区域 都市計画区域は、名護市で 21,038ha、本部町で 5,434ha が指定されており、

    今帰仁村では指定はなされていない。

    事業実施想定区域においては、南側の一部において、名護市の都市計画区

    域が含まれる。

    用途地域 用途地域としては、名護市で 797.8ha が指定されている。また、風致地区

    においては、名護市で 45.4ha が指定されている。

    農業振興地域・

    農用地区域

    今帰仁村では農業振興地域として、3,401ha が指定されており、そのうち

    1,182ha が農用地区域に指定されており、名護市及び本部町においても農業

    振興地域及び農用地区域が指定されている。

    事業実施想定区域は、全域で農業振興地域に指定されている。

    森林地域・国有

    林・民有林・保

    安林

    森林地域は、今帰仁村で 1,359ha、名護市で 13,713ha、本部町で 2,091ha

    であり、県有林、市町村有林、私有林に指定されている。

    事業実施想定区域周辺は南東側を除き森林地域となっている。事業実施想

    定区域内では、一部に森林地域が存在する。

    自然公園地域 今帰仁村、名護市、本部町では、それぞれ自然公園法に基づく公園区域が

    指定されている。事業実施想定区域では、その東側に自然公園地域 (沖縄海

    岸国定公園) が存在し、特別地域 (第 2 種) と普通地域に指定されている。

    また、本部町では、本部半島のカルスト地域が特別地域、特別保護地区に指

    定されている

    自然環境保全地

    自然環境保全法では、今帰仁村、名護市、本部町の中では名護市の嘉津宇

    岳・安和岳・八重岳が自然環境保全地域に指定されており、今帰仁村及び本

    部町においては、区域指定はされていない。

    鳥獣保護区 鳥獣保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律のよる指定状況は、名

    護市の名護岳が森林鳥獣生息地として指定され、今帰仁村及び名護市の屋我

    地が集団渡来地として指定されている。事業実施想定区域周辺では、名護市

    の羽地内海が鳥獣特別保護地区 (1,001 ha) に指定されている。

    急傾斜地崩壊危

    険区域

    今帰仁村において、急傾斜地崩壊危険区域の指定はなされておらず、名護

    市、本部町では一部の地域において指定がなされているが、事業実施想定区

    域周辺で区域指定はなされていない。

    砂防指定地 今帰仁村、名護市、本部町において河川や周辺等に砂防指定地が指定され

    ており、事業実施想定区域周辺においては、今帰仁村の大井川(二級河川)

    の下流域の一部や港川(普通河川)沿川が指定されている。

  • 3-12

    表 3.3 (2) 関係法令等の指定、規制等の概況

    項目 指定内容

    関係法令等の指定、規制等

    関係法令による指定地域及び地区並びに規制内容

    地すべり

    防止区域

    地すべり等防止法に基づく地すべり防止区域については、今帰仁村、名護市、本

    部町で区域指定はされていない。

    河川区域 事業実施想定区域周辺において、河川法による河川区域の指定状況は、県管理の 2

    級河川として大井川、我部祖河川、満名川が分布し、市町村管理の準用河川として、

    東屋部川、為又川などが分布している。

    海岸保全

    海岸法では、海岸保全区域が、港湾局所管、河川局所管、農村振興局所管、水産

    庁所管でそれぞれ指定されており、事業実施想定区域周辺では、運天港、湧川や運

    天の海岸等が指定されている。

    港湾区域 港湾法による港湾区域として、今帰仁村と名護市が運天港、今帰仁村の古宇利港

    が指定され、本部町では本部港が指定されている。

    港湾隣接

    地域

    港湾隣接地域は港湾法に基づき、港湾区域外 100m以内の区域について、港湾区域

    及び港湾区域に隣接する地域を保全するために必要な最小限度の範囲が指定されて

    いる。また、港湾区域を地先水面とする地域において、港湾の管理運営に必要な最

    小限度の地区として臨港地区が指定されている。

    漁港区域 漁港漁場整備法による漁港区域の指定状況として、事業実施想定区域周辺では今

    帰仁村の運天漁港、名護市の古宇利漁港、屋我地漁港が指定されている。

    騒音に係

    る規制

    事業実施想定区域及びその周辺は、環境基本法及び騒音規制法に基づく規制地域

    ではない。

    振動に係

    る規制

    事業実施想定区域及びその周辺は、振動規制法に基づく規制地域ではない。

    悪臭に係

    る規制

    事業実施想定区域及びその周辺は、悪臭防止法に基づく規制地域ではない。

    水質及び

    底質に係

    る規制

    事業実施想定区域を含む流域界を流れる大井川においては、指定は無いが、我部祖

    河川が環境基本法に基づく「水質汚濁に係る環境基準」の A 類型に指定されており、

    ダイオキシン類対策特別措置法に基づくダイオキシン常時監視地点となっている。

    事業実施想定区域周辺において、水質汚濁防止法に基づく特定施設は疎らに分布して

    いる。また、我部祖河川水域が「水質汚濁防止法第 3 条第 3 項の規定に基づく排水基準

    を定める条例」に基づく指定区域となっており、上乗せ排水基準が定められている。

    景観形成

    区域

    今帰仁村景観計画では、事業実施想定区域及びその周辺は、景観形成一般地区に

    位置づけられ、景観条例に基づき、届出の対象となる行為、規模が定められている。

    名護市景観まちづくり計画では、事業実施想定区域は、やんばるの森に区分され、

    名護市景観まちづくり条例に基づき、届出の対象となる行為、規模が定められている。

    文化財保

    護法

    事業実施想定区域及びその周辺には、文化財保護法や県・市町村の文化財保護条

    例 に基づく文化財のうち、場所にかかわらない無形民俗文化財、工芸品、古文書、

    歴史資料等を除いた文化財として、国指定が 16件、県指定が 15件、市町村指定が 5

    件ある。

  • 3-13

    表 3.3 (3) 関係法令等の指定、規制等の概況

    項目 指定内容

    関係法令等の指定、規制等

    自然環境の保全に関する指針等、環境保全に関する施策

    沖縄県の自然環境

    の保全に関する指

    針(沖縄島編)

    陸域に関する指針において、事業実施想定区域は、評価ランクⅢ:自然

    環境の保全を図る区域となっている。

    各種事業の実施に

    おける環境配慮指

    第 2次沖縄県環境基本計画 (沖縄県 2018)」におけるゴルフ場、スポー

    ツ・レクリエーション施設、海浜リゾート施設等の建設又は変更の事業に

    係る環境配慮方針は次のとおり。

    ○ 事業計画の選定あたっては、事業地の環境特性を十分に把握し、周辺

    の土地利用の状況との整合を図る。

    ○ 野生生物の生息・生育環境の確保など、地域の健全な生態系の保全や

    景観に配慮する。

    ○ 良好な樹林地を可能な限り保全するとともに、造成緑地や親水施設の

    整備に努める。

    ○ 農薬や肥料の使用に際しては極力使用を低減するように努めるととも

    に、水質汚濁の要因とならないよう配慮する。

    ○ 夜間照明による野生生物への影響の低減に努める。

    ○ 利用客による周辺交通量の増加や周辺環境への影響に配慮する。

    ○ 公園・緑地の緑が持つ環境保全機能に留意し、大気浄化、ヒートアイ

    ランドなどの都市気象や騒音の緩和に努める。

    ○ 雨水の利用や中水道の導入等により、水の循環利用に努める。

    ○ 緑地や親水施設の整備に努める。

    ○ 自然環境や歴史的遺産を活用した景観など、施設の整備にあたっては、

    本来有している環境に配慮する。

    ○ オープンスペースの確保や良好な都市景観の形成に努める。

    ○ 自然との触れ合いや環境教育に資するような施設とするよう配慮す

    る。

    ○ 地域の生産活動や地域住民の自然との触れ合いに支障をきたさないよ

    うにするとともに、地域の人々に開かれた空間として利用できるよう

    配慮する。

    ○ その他、当該事業の実施にあたり、周辺環境への影響について把握し、

    環境への影響を最小限にとどめるよう十分配慮する。

    今帰仁村第四次総

    合計画後期基本計

    今帰仁村第四次総合計画基本構想で設定した将来像『ムラ・人・農が織

    りなすゆがふむら・今帰仁』を具体化するため、自然環境保全構想に係る

    基本目標を「人が輝き、自然があふれる癒しのむら」としている。

    第4次名護市総合計

    画後期基本計画

    本計画は、「ともに生きる」、「自らはばたく」、「響きあう」を基本

    理念に、自然環境については、「自然の力を生かし創るエコな自立型産業

    のまち」を目標としており、土地利用構想では、「豊かな自然環境に配慮

    した土地利用を基本原則」としている。

  • 4-1

    第4章 計画段階配慮事項の選定並びに調査、予測及び評価の手法

    4.1 計画段階配慮事項の選定 沖縄県環境影響評価技術指針(平成 13 年 10 月 2 日 沖縄県告示第 678 号、

    最終改正 平成 30 年 9 月 21 日沖縄県告示第 368 号)に準拠し、以下の通り計

    画段階配慮事項の選定を行った。

    4.1.1 事業特性及び地域特性

    第 2章及び第 3章で把握した事業特性と地域特性の概要は以下のとおりであ

    る。

    (1) 事業特性の概要 ① 事業の内容は、自然環境を活用したテーマパークの建設である。 ② 開発想定規模は、約 64haである。 ③ 工事の実施に伴い、造成等の施工による一時的な影響がある。 ④ 工事の実施に伴い、建設機械の稼働がある。 ⑤ 工事の実施に伴い、資材及び機械の運搬に用いる車両の走行がある。 ⑥ 施設等の存在及び供用に伴い、地下水 (井戸) を利用する。 ⑦ 施設等の存在及び供用に伴い、排水は浄化槽設備を設置して処理を行い、事業

    実施想定区域の北側の大井川 (二級河川) の支川へと放流する。

    ⑧ 施設等の存在及び供用に伴い、利用者による車両の走行がある。

    (2) 地域特性の概要 ① 事業実施想定区域は、今帰仁村呉我山の既存のゴルフ場敷地内にある。 ② 事業実施想定区域は、標高 150m 前後の丘陵地にある。また、事業実施想定区域

    内の土壌は乾性黄色土であり、土壌侵食を受けやすい性質がある。

    ③ 事業実施想定区域内には、文化財保護法による国指定の史跡や名勝はなく、事業実施想定区域に最も近い史跡は、北側約 2km にある今帰仁城跡附シイナ城跡

    である。また、地域を定めていない動植物等の天然記念物としては、フタオチ

    ョウやイボイモリ等が生息する可能性がある。

    ④ 沖縄県の自然環境の保全に関する指針では、対象事業実施想定区域は、評価ランクⅢ (自然環境の保全を図る区域) に指定されている。

    ⑤ 事業実施想定区域の周辺では、自然公園法に基づき北東側に沖縄海岸国定公園があり、指定区域である北東側の一部は樹林地がある。また、事業実施想定区

    域内にも樹林が存在する。

    ⑥ 事業実施想定区域及び周辺では地下水の利用がみられ、特に水道事業者による原水採水地点 (湧水) が北東側約 1.2km にみられる。なお、既存のゴルフ場に

    おいては、過年度から井戸水の利用がみられる。

  • 4-2

    ⑦ 事業実施想定区域周辺では、自然環境保全法、鳥獣保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律に基づく区域として、羽地内海、屋我地島と周辺海域及び

    我部祖河川中流域の陸域一帯が鳥獣保護区に指定され、そのうち羽地内海の一

    部が鳥獣保護区特別保護地区(集団渡来地)に指定されている。

    ⑧ 事業実施想定区域北側の大井川水系では、水質汚濁に係る環境基本法に基づく類型指定はない。南側の我部祖河川水系では、環境基本法に基づく水質汚濁に

    係る環境基準の指定があるほか、水質汚濁防止法に基づく排水基準及び上乗せ

    排水基準が設定されている。

    ⑨ 事業実施想定区域には、文化財、埋蔵文化財包蔵地、御嶽・拝所は存在しない。 ⑩ 事業実施想定区域は、環境基本法に基づく騒音に係る環境基準の地域類型に指

    定されておらず、騒音規制法に基づく規制地域にも指定されていない。

    ⑪ 事業実施想定区域は、振動規制法及び悪臭防止法に基づく規制地域の指定はない。

    ⑫ 事業実施想定区域周辺では、急傾斜の崩壊による災害の防止に関する法律に基づく急傾斜地崩壊危険区域、砂防法に基づく砂防指定地、地すべり等防止法に

    基づく指定区域はない。

    ⑬ 事業実施想定区域は、景観法に基づく今帰仁村景観計画により景観形成一般地

    区に位置づけられており、届出の対象となる行為、規模が定められている。ま

    た、名護市においても名護市景観まちづくり条例に基づき、届出の対象となる

    行為、規模が定められている。

  • 4-3

    4.1.2 影響要因及び環境要素の抽出

    配慮書対象事業の実施が、重大な環境に及ぼす影響を明らかにするために、

    配慮書対象事業の実施に伴う影響要因について、「工事の実施」、「施設等の存在

    及び供用」に区分し、事業特性を踏まえて、配慮書対象事業に伴う影響要因の

    抽出を表 4.1-1に整理した。

    表 4.1-1 配慮書対象事業の実施に伴う影響要因の抽出

    影響要因の区分 影響要因 環境要素の抽出・非抽出の理由

    工事の実施 造成等の施工に

    よる一時的な影

    造成工事に伴う一時的な赤土等による水の濁りの影響が考えられる

    が、赤土等流出防止条例に基づく赤土等流出防止対策を講じることで、

    水の濁りは基準値内の処理が可能と考えられる。生息・生育する動植物

    や生態系への影響が考えられるが、事業実施想定区域は既存のゴルフ場

    であること、区域内の自然度の高い樹林については可能な限り開発しな

    いよう計画することで、影響の回避・低減が可能と考えられる。工事に

    より発生する廃棄物については、適切に処理することで、影響の回避・

    低減が可能と考えられる。これらのことから、方法書以降の手続きにお

    いて、具体的な環境保全措置の検討により、影響の回避・低減が可能で

    あると考えられることから抽出しない。

    建設機械の稼働 造成及び施設の設置工事が想定されているが、事業予定地は住居地域

    に隣接していなこと、方法書以降の手続きにおいて、工程計画の作成に

    あたり重機等の建設機械の稼働が特定の場所で集中しないような保全

    対策を講ずることで、影響の回避・低減が可能であると考えられること

    から抽出しない。

    資材等の運搬車

    両の走行

    造成及び施設の設置工事が想定されているが、方法書以降の手続きに

    おいて、工程計画の作成にあたり、資機材の運搬車両の走行が集中しな

    いような保全対策を講ずることで、影響の回避・低減が可能であると考

    えられることから抽出しない。

    施設の存在及び

    供用

    敷地の存在

    (土地の改変)

    施設等の整備に伴う敷地の存在があり、事業実施想定区域及び周辺へ

    の影響が考えられるため抽出する。

    構造物の存在 管理棟などの構造物が存在することで、景観等の周辺環境への影響が考

    えられるため抽出する。

    施設等の管理及

    び利用

    施設の管理や利用に伴い、地下水利用や排水等による事業実施想定区

    域の周辺環境への影響が考えられるため抽出する。

    利用車両の走行 公園施設の利用者による利用車両の走行に伴う大気質、騒音及び振動

    の影響が考えられるが、事業実施想定区域付近には、学校、病院、福祉

    施設は存在しないため、重大な環境影響のおそれがないと考えられるこ

    とから抽出しない。

    上記のことから、配慮書対象事業の実施に伴う影響要因を表 4.1-2に示した。

    表 4.1-2 配慮書対象事業の実施に伴う影響要因

    影響要因の区分 影響要因

    施設等の存在及び供用 敷地の存在 (土地の改変)

    構造物の存在

    施設の管理及び利用

  • 4-4

    配慮書対象事業に伴う影響要因により影響を受ける可能性のある環境要素と

    して、表 4.1-3に示す沖縄県環境影響評価技術指針第 1章の第 3の 4表 2に掲

    げられている項目について、事業特性及び地域特性を踏まえ、以下のように影

    響を受けるおそれがある環境要素を抽出した。なお、工事の実施については、

    環境要因として抽出していないことから、これに係る環境要素の抽出について

    は表に示していない。

    表 4.1-3 (1) 配慮書対象事業の実施に伴う影響を受けるおそれがある環境要素の抽出

    環境要素の区分 環境要素 環境要素の抽出・非抽出の理由

    環境の自然環境的構成要素

    の良好な状態の保持を旨と

    して調査、予測及び評価さ

    れるべき環境要素

    大気質 事業計画は、自然環境を利用したテーマパークの整備であ

    り、大気汚染となる大気物質による影響が著しいものとなる

    おそれがない。

    また、事業実施想定区域は、大気汚染防止法の総量規制の

    指定地域ではないこと、近傍には、学校、病院、福祉施設は

    存在しないことから、重大な環境影響のおそれはないと考え

    られ、環境要素として抽出しない。

    騒音 事業計画は、自然環境を利用したテーマパークの整備であ

    り、大きな騒音を発生させ、その影響が著しいものとなるお

    それがない。

    また、事業実施想定区域は騒音規制地域でないこと、住居

    地域から離れていること、近傍には、学校、病院、福祉施設

    は存在しないことから、重大な環境影響のおそれはないと考

    えられ、環境要素として抽出しない。

    振動 事業計画は、自然環境を利用したテーマパークの整備であ

    り、大きな振動を発生させ、その影響が著しいものとなるお

    それがない。

    また、事業実施想定区域は、振動規制地域ではないこと、

    近傍には学校、病院、福祉施設は存在しないことから、重大

    な環境影響のおそれはないと考えられ、環境要素として抽出

    しない。

    低周波音 事業計画は、自然環境を利用したテーマパークの整備であ

    り、大きな低周波を発生させ、その影響が著しいものとなる

    おそれがない。

    また、事業実施想定区域近傍には、学校、病院、福祉施設

    は存在しないことから、重大な環境影響のおそれはないと考

    えられ、環境要素として抽出しない。

    悪臭 事業計画は、自然環境を利用したテーマパークの整備であ

    り、悪臭を発生させ、その影響が著しいものとなるおそれが

    ない。

    また、事業実施想定区域は、悪臭規制地域ではなく、近傍

    には、学校、病院、福祉施設は存在しないことから、重大な

    環境影響のおそれはないと考えられ、環境要素として抽出し

    ない。

  • 4-5

    表 4.1-3 (2) 配慮書対象事業の実施に伴う影響を受けるおそれがある環境要素の抽出

    環境要素の区分 環境要素 環境要素の抽出・非抽出の理由

    環境の自然環境的構成要素の

    良好な状態の保持を旨として

    調査、予測及び評価されるべき

    環境要素

    風害 事業計画は、自然環境を利用したテーマパークの整備であ

    り、風害を発生させ、その影響が著しいものとなるおそれが

    ない。

    また、事業実施想定区域の近傍には、学校、病院、福祉施

    設は存在しないことから、重大な環境影響のおそれはないと

    考えられ、環境要素として抽出しない。

    赤土等によ

    る水の濁り

    事業計画は、自然環境を利用したテーマパークの整備であ

    り、赤土等による水の濁りによる影響が著しいものとなるお

    それがない。

    また、事業実施想定区域の近傍には主要水浴場もなく、流

    域となる大井川下流では閉鎖性の高い水域は存在しないこ

    と、環境基準でより高度な類型に指定されている水域がない

    ことなどから、重大な環境影響のおそれはないと考えられ、

    環境要素として抽出しない。

    水の汚れ 施設の利用に伴う水の汚れの発生が考えられるが、その排

    水は敷地内で処理し、基準値を超えて放流されることはな

    い。

    また、事業実施想定区域の下流である大井川において水浴

    場はないこと、水道原水の取水地点や閉鎖性の高い水域は存

    在しないこと、環境基準でより高度な類型に指定されている

    水域がないことから、重大な環境影響のおそれはないと考え

    られ、環境要素として抽出しない。

    地下水の水

    施設の運用に伴い緑化を行うことから、施肥施薬による管

    理を計画している。計画は、既存の周辺地域との取り決めを

    遵守した計画策定を行い、現状の散布量を超えない計画とす

    ることから、重大な環境影響のおそれはないと考えられる。

    しかしながら、事業実施想定区域周辺において湧水による

    水道原水取水地点 (今帰仁村湧川) があり、影響が懸念され

    ることから環境要素として抽出する。

    底質 事業計画は自然環境を利用したテーマパークの整備であ

    り、底質を改変するなど、底質に著しい影響を及ぼすおそれ

    はない。

    また、事業実施想定区域の下流では、閉鎖性の高い水域が

    存在しないことから、底質の堆積等により重大な環境影響の

    おそれはないと考えられ、環境要素として抽出しない。

    水象 事業計画は、自然環境を利用したテーマパークの整備であ

    り、地下を改変する計画はされていない。しかしながら、事

    業計画において井戸水を利用する計画であり、事業実施想定

    区域周辺では湧水の利用がみられる。そのため、揚水に伴う

    地下水位の低下により、周辺の湧水への影響 (湧水の枯渇)

    が懸念されることから、環境要素として抽出する。

  • 4-6

    表 4.1-3 (3) 配慮書対象事業の実施に伴う影響を受けるおそれがある環境要素の抽出

    環境要素の区分 環境要素 環境要素の抽出・非抽出の理由

    環境の自然環境的構成要

    素の良好な状態の保持を

    旨として調査、予測及び

    評価されるべき環境要素

    土壌汚染 事業計画は、自然環境を利用したテーマパークの整備であり、

    土壌汚染を発生させ、その影響が著しいものとなるおそれがない。

    また、事業実施想定区域は土壌汚染対策に法に基づく指定地域

    ではないこと、著しい汚染のおそれがある廃棄物処分場跡地や鉱

    山跡地は存在しないため、重大な環境影響のおそれはないと考え

    られ、環境要素として抽出しない。

    地盤沈下 事業計画は、井戸水を使用する計画となっているが、事業実施

    想定区域は広い範囲で丘陵地となっており軟弱地盤が分布する地

    形 (臨海部低地、埋立地、三角州、後背湿地等) ではないこと、

    これまでの使用で地盤沈下が生じていないこと、沖縄県では揚水

    による地盤沈下は現在まで生じていないことなどから、重大な環

    境影響のおそれはないと考えられ、環境要素として抽出しない。

    地形・地質 事業計画は、自然環境を利用したテーマパークの整備であり、

    地形・地質を大きく改変し、影響が著しいものとなるおそれがな

    い。

    また、事業実施想定区域には名勝や天然記念物に指定される重

    要な地形・地質は存在しないことから、重大な環境影響のおそれ

    はないと考えられ、環境要素として抽出しない。

    電波障害 事業計画では、電波障害を発生させる大規模な仮設構造物及び

    建築物は計画されていないことから、電波障害を及ぼすおそれは

    ない。

    また、事業実施想定区域近傍には、学校、病院、福祉施設は存

    在しないことから、重大な環境影響のおそれはないと考えられ、

    環境要素として抽出しない。

    日照阻害 事業計画では、日照障害を発生させる大規模な仮設構造物及び

    建築物は計画されていないことか�