From Uganda to Africa ·...

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1 実践場所 茨城県 茨城県立竜ヶ崎南高等学校 実践者 野口 孝之 対 象 1 学年,2 学年 時間数 6 時間 担当教科 英語 実践教科 コミュニケーション英語基礎,英語表現 Ⅰ,道徳 ねらい ・ウガンダを身近に感じ,茨城以外の世界へと生徒の視野を広げる。 ・ウガンダの様々な面を知ることで,アフリカへの固定的なイメージから抜け出す。 ・アフリカの国について発表することで,自分の考えを深め,発信することを学ぶ。 実践内容 プログラム 備 考 1 2 3 4-5 6 【ウガンダって何?】 ・ウガンダの動画を実際に見て,ウガンダについての想像をふくらませる。 ・ウガンダの基本情報を日本と比較しながら学び,興味・関心をもつきっかけ を作る。 (日本からウガンダへの行き方,国旗,面積,通貨,言語などについて) 【ウガンダに触れ,味わおう】 ・ウガンダで購入した衣服,サッカーボール,太鼓などに実際に触れてみる。 ・ウガンダの食べ物を紹介した後,現地で購入したドライフルーツ,コーヒー, お茶を試食する。その際に,ウガンダ以外の原産地のものと食べ比べてみ る。 【国際協力推進員による国際理解教育】 ・国際協力推進員である星野優輝氏に,ラオスでの協力隊経験について講 演していただき,外国の生活習慣,文化,伝統に関わる体験を伝え,海外へ 関心をもつきっかけとする。 ・発展途上国の実態を聞き,日本に住む自分自身を見つめ直す契機とする。 【アフリカの国を調べよう】 ・ウガンダをヒントに,関心をもったアフリカの国について調べ,個々のアフリ カの国の特徴を学ぶ。 ・調べた情報を模造紙にまとめ,発表の準備をする。 【アフリカの国について伝えよう】 ・調べた情報を発表し,クラス内で情報を共有する。 ウガンダの動 画,パワーポ イント,ハンド アウトなどを使 ウガンダで購 入した物品を 使用 成 果 昨年度、マラウィの授業が行われていたこともあり,生徒のアフリカへの関心は高く,ウガンダについて興 味を示す姿がみられた。また,ウガンダの授業をきっかけに外の世界に目を向け自発的に調べる生徒が みられるようになり,研修参加の一番の目的は達成できた。 課 題 アフリカに関心を示す生徒がいる一方で,自分とは無関係のことと授業への参加が消極的な生徒がみら れた。生徒の意欲・関心を高める工夫を考える必要性を感じた。また,今回はアフリカについて知る段階 までしかいけなかったので,今後は国際協力にまで広げていきたい。 備 考 From Uganda to Africa

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実践場所 茨城県 茨城県立竜ヶ崎南高等学校 実践者 野口 孝之

対 象 1学年,2学年 時間数 6時間

担当教科 英語 実践教科 コミュニケーション英語基礎,英語表現

Ⅰ,道徳

ねらい

・ウガンダを身近に感じ,茨城以外の世界へと生徒の視野を広げる。

・ウガンダの様々な面を知ることで,アフリカへの固定的なイメージから抜け出す。

・アフリカの国について発表することで,自分の考えを深め,発信することを学ぶ。

実践内容

回 プログラム 備 考

1

2

3

4-5

6

【ウガンダって何?】

・ウガンダの動画を実際に見て,ウガンダについての想像をふくらませる。

・ウガンダの基本情報を日本と比較しながら学び,興味・関心をもつきっかけ

を作る。

(日本からウガンダへの行き方,国旗,面積,通貨,言語などについて)

【ウガンダに触れ,味わおう】

・ウガンダで購入した衣服,サッカーボール,太鼓などに実際に触れてみる。

・ウガンダの食べ物を紹介した後,現地で購入したドライフルーツ,コーヒー,

お茶を試食する。その際に,ウガンダ以外の原産地のものと食べ比べてみ

る。

【国際協力推進員による国際理解教育】

・国際協力推進員である星野優輝氏に,ラオスでの協力隊経験について講

演していただき,外国の生活習慣,文化,伝統に関わる体験を伝え,海外へ

関心をもつきっかけとする。

・発展途上国の実態を聞き,日本に住む自分自身を見つめ直す契機とする。

【アフリカの国を調べよう】

・ウガンダをヒントに,関心をもったアフリカの国について調べ,個々のアフリ

カの国の特徴を学ぶ。

・調べた情報を模造紙にまとめ,発表の準備をする。

【アフリカの国について伝えよう】

・調べた情報を発表し,クラス内で情報を共有する。

ウガンダの動

画,パワーポ

イント,ハンド

アウトなどを使

ウガンダで購

入した物品を

使用

成 果

昨年度、マラウィの授業が行われていたこともあり,生徒のアフリカへの関心は高く,ウガンダについて興

味を示す姿がみられた。また,ウガンダの授業をきっかけに外の世界に目を向け自発的に調べる生徒が

みられるようになり,研修参加の一番の目的は達成できた。

課 題

アフリカに関心を示す生徒がいる一方で,自分とは無関係のことと授業への参加が消極的な生徒がみら

れた。生徒の意欲・関心を高める工夫を考える必要性を感じた。また,今回はアフリカについて知る段階

までしかいけなかったので,今後は国際協力にまで広げていきたい。

備 考

From Uganda to Africa

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[授業実践の詳細]

時限目 「ウガンダって何?」

1 子どもの活動の流れ

① アフリカについて,知っている事を書く。

② ウガンダの基本情報を日本と比較しながら理解する。

③ 動画や写真を見て,現地の様子と自分の想像の違いを考え

る。

④ 自分が感じたことをまとめる。

2 子どもの活動の成果・反応

◇生徒の反応

・自分が思ったよりも国が盛んで車とかも通っていてすごいと思った。

・とうもろこしの粉で作ったごはんをそのままだと味がなさそうなのでミートソースなど味が強い物などをつけ

て食べてみたいと思った。 ・食べ物はとうもろこしの粉で作ったものしか食べていないのか?

・日本円一万円で何が買えるのか?

・宗教はイスラム教が多いと思ったら,キリスト教の方が多かったのにびっくりした。

・キリスト教,イスラム教の違いで差別とかあるのかな…?

・伝統宗教はいくつあるのだろう?

・女の人は白い布をかぶっていた。

・子どもたちが無邪気で何をしても楽しそうだった。見てるこっちも嬉しくなった。

・ウガンダで食べる日本料理の味が気になった。

・ごはんを外で作ってたのがびっくりした。

・バイクタクシーに乗ってみたい。・バイクの運転が,ウガンダの人はうまいんだなと思った。

・人が一杯いて圧倒された。

・水を使う料理があって,水を普通に使うんだな~と思いました。

・なぜ信号機の数をふやさないのだろう?つけた方が安全なのに。・信号がないと事故が起きそうで怖い。

・信号機のことは,意味をわかってもらいたいと思います。

・都市はちゃんと道が整備されていてびっくりした。・道路が普通にきれいでびっくりした。

・予想以上に建物や道路などもしっかりしていた。食べ物も普通だった。

・ウガンダの道路はごちゃごちゃしていたので,住むとしたら不便だと思った。

・町はあまり整備されてなかったりしたけど,子どもたちは元気にやっているのがすごいと思った。

・アフリカは結構物や建物が沢山あり,日本と似ているところが沢山あったから,もっと似ているものがあるか

知りたいと思った。日本もアフリカに負けずに色々なものを研究してつくっていきたい。

・ウガンダの星空はきれいなのだろうか?

・黒人がイケメンでかっこいい。

・中学校などの女子はみんな髪の毛が短い。 ・女の子でも髪が短い。

・何でみんな毛がないのか?女も坊主? ・男と女の見分けつかなそう。

1

・ウガンダの基本情報について,

日本と比較しながら理解する。

・現地の写真や動画を見なが

ら,ウガンダへの興味・関心を

高める。

この時限のねらい

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・みんな同じような顔をしている。

・半日以上かかるのは遠そう。時差6時間はマジ…?

・日本の車が多い。 ・車は古いのが多かった。

・ショッピングモールには何があるのだろうか。

・自然が多くみられるので,やはり日本と生態系が違うと思います。なので,どういう動物がいたのか興味を

もちました。

・動かない鳥,あれは写真なのか,動画なのか?

・ウガンダのスーパーマーケットは品が多くて楽しそう。

・ルガンダ語が韓国語みたい。

・ウガンダでも野球が広まるといいと思う。

・ウガンダの人はみみんな仲がよさそう。

・日本より学校がボロボロ、勉強机が小さいけれど楽しそうだった。

・授業の様子はあんまり日本と変わらない。 ・学校とかないイメージだったけどあってびっくりした。

・思っていたところと違くて,すごく楽しそうな所だと思いました。 ・みんな笑顔で素敵だった。

◇生徒たちは今まで存在を知らなかったアフリカの中のウガンダという国に,普段教わっている教員が実際

に行き,その話をするということで,興味をもって授業に取り組んでいた。特に,二年生は,昨年度,マラウ

ィについての授業が行われていたことから,マラウィとの違いなどを積極的に聞いてくる傾向があった。ま

た,ハシビロコウやルガンダ語のあいさつを気に入った生徒もおり,会う度に「オリオチャ」「ブルンジ」とい

うやりとりをしたり,ハシビロコウのかわいさについて話すという姿がみられた。

3 使用した教材

<教材1> 自作ハンドアウト <教材2> パワーポイント・写真・動画

ウガンダってどこにあるの?

ウガンダってどうやって行くの?

成田 (日本 )→ ドバイ ( U A E )

1 0時間4 0分

ドバイ→ エンテベ (ウガンダ )

5時間1 0分

1 0時間4 0分+ 5時間1 0分

= 1 5時間5 0分

日本との時差は6時間

ウガンダ国旗について知ろう

⇒ アフリカ人

黄色

⇒ 夜明けの太陽

⇒ 人民の同胞愛

ホオジロカンムリヅル

⇒ 中立性

ウガンダのお金は?(通貨)

ウガンダシリング

1000シリング

=約40円

10000シリング

=約400円

50000シリング

=約2000円

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カダフィ・モスク

ルガンダ語講座How are you?

⇒oli otya? (オリ オチャ)

I’m fine.

⇒Bulungi. (ブルンジ)

Thank you very much.

Webale nyo. (ウェバレ ニョ)

②チブリ教員養成学校

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時限 時限目「ウガンダに触れ,味わおう」

1 子どもの活動の流れ

①ウガンダで購入してきたバナナの皮で作ったサッカーボール,

太鼓,ウガンダシリング,アフリカでのイスラム教徒の服,サ

ッカーユニフォームなどに実際に触れてみる。

② ウガンダで購入したバナナやパイナップルのドライフルーツ,

ウガンダのお菓子,やウガンダティー,ウガンダコーヒーを試

食してみる。

③ 日本で購入できるドライフルーツをウガンダのものと食べ

比べ,その感想を記入する。

2 子どもの活動の成果・反応

◇生徒の反応

・お金が日本と全然違っていてびっくりした。・お金はかわいい。

・ウガンダの食べ物,マトケとかルオンボの匂いとか味の想像がつかなくて,すごく興味があります。

・食べ物は美味しくなかった。

・ドライフルールは沢山種類があってすごいと思いました。

・パイナップルのドライフルーツがおいしかった。

・バナナの皮でできたサッカーボールがかっこよかった。

・ドライフルーツは口の中でパサパサして,変な感じがする。

・お菓子はなんか味がないような感覚で,パイナップルも日本の方がおいしかった。

◇ウガンダの物品を実際に触れ,生徒たちは楽しんでいた。通貨に関しては動物が描かれているところから,

そのデザイン性を気に入っている生徒が多かった。サッカーボールは,説明されるまでは何に使うのか予

想がつかない状態だったが,ボールだと理解するとそれで遊んでみたくなったようである。ドライフルーツ

やウガンダのお菓子は物珍しそうに食べていた。どの食べ物についても,気に入る生徒と気に入らない生

徒の両者が存在していた。実物に触れる活動を通して,生徒のウガンダへの親近感は増していた。

3 使用した教材

<教材 1>ウガンダで購入した品々

2

・ウガンダの物に実際に触れ,ウガ

ンダに親しむ。

・ウガンダの食べ物を試食し,日本

のものとの違いを感じる。

この時限のねらい

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6

時限目 「国際協力推進員による国際理解教育」

1 子どもの活動の流れ

① 国際協力推進員である星野優輝氏によるラオスでの協力隊

経験についての話を聞く。

② 「世界がもし 100人の村だったら」を基にしたワークショップに

参加する。

③ 「貿易ゲーム」の簡易版を体験する。

2 子どもの活動の成果・反応

◇アフリカのウガンダとはまた違う東南アジアのラオスについての話をクイズ形式で聞いて,楽しみながら話

を聞いていた。特に,代表の生徒は,ラオスの民族衣装を着せていただき,とても喜んでいた。

◇「貿易ゲーム」には普段消極的な生徒が積極的に参加する姿が見られた。生徒たちは今回の活動だけで

国際問題を理解する段階には至っていないが,今後,外の世界に目を向けるきっかけへと繋げていきた

い。

3

・外国の生活習慣,文化,伝統に

関わる体験を伝え,海外へ関心

をもつきっかけとする。

・発展途上国の実態を聞き,日本

に住む自分自身を見つめ直す契

機とする。

この時限のねらい

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7

時限目 「アフリカの国を調べよう」

1 子どもの活動の流れ

① グループを作り,発表するアフリカの国を話し合う。

② インターネットや本を使って調べ,発表の原案を作る。

③ 発表の原案を基に,調べたことを模造紙にまとめる。

2 子どもの活動の成果・反応

◇生徒が選んだ国は,エジプト,南スーダン,マラウィ,タンザニア,

マダガスカル,ガーナ,セーシェル,赤道ギニアなどであった。

国を決めるのは時間がかかるのではと考えていたが,想像以上にスムーズに決めることができた。マラ

ウィは昨年度の国際理解教育の授業で扱われており,タンザニアは英語の教科書でセレンゲティ国立公

園について学んでおり,既にかなり親近感があるようだった。エジプトのように日本で知名度が高い国を

選ぶグループがある一方で,南スーダンのような国を選ぶグループもあり,それぞれのグループが興味

をもった国が特徴的であった。こちらが考えているよりも生徒のアフリカへの好奇心が高まっていることが

伝わってきた。

◇生徒たちはこの時間の活動を積極的かつ楽しんで行うことができた。普段は大人しい生徒も自分の役割

をしっかりと見つけ,どのグループもそれぞれの特徴を活かしたチームワークを発揮していた。また,各

グループとも模造紙のレイアウトを見やすくしたり,写真や絵を準備したりするなど,発表を面白くいいも

のにしようと工夫する姿が見られた。

3 使用した教材

<教材 1>模造紙,マーカー

4・5

・ウガンダをヒントに他のアフリカの

国を調べることで,個々のアフリ

カの国の特徴を理解する。

・ウガンダ=アフリカではなく,アフ

リカにはそれぞれの歴史や文化

をもった国があることを学ぶ。

この時限のねらい

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時限目 「アフリカの国について伝えよう」

1 子どもの活動の流れ

① それぞれのグループが順番に,自分たちが調べたアフリカ

の国についてプレゼンテーションを行う。

② 聞いている生徒は,評価表を記入する。

2 子どもの活動の成果・反応

◇どのグループもそれぞれの持ち味を活かした個性的な発表がで

きていた。人前で話すのが苦手な子が一生懸命に話していた

グループもあれば,エンターテイメントに特化したグループもあった。どのグループも自分たちが調べた国

のことをクラスメイトに伝えることを楽しんでいた。

◇発表を聞く生徒たちの態度もよかった。しっかり聞くべき時には聞き,反応すべきときには反応し,発表し

やすい空気を作っていた。

◇今回の調べ学習から発表までの活動は楽しかったようで,最初から最後まで積極的に参加していた。今

度また,別の国や地域でやってみたいという声も聞かれ,アフリカや海外のことに興味をもつようになった。

今後は,この流れを継続し,生徒たちが自分のコミュニティーだけでなく,外の世界にも目を向けるきっか

け作りを模索していきたい。

3 使用した教材

<教材1>生徒制作ポスター <教材2>評価表

・グループで調べた情報を発表す

ることで,情報や想いをクラス内

で共有する。

・アフリカの国について発表するこ

とで,自分の考えを深め発信する

ことを学ぶ。

この時限のねらい

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■ 全体を通して

1 授業の様子

<写真1> <写真2>

以上