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〔千葉医学 㔱ⴭ㔷 ㄹ㠰⤠ 〔展望〕 超音波法による心・血管系の診断 増田 善昭* ⢏몘a2日受付⤀ 䭥礠 睯牤猺 心エコー法,超音波断層法,心嚢液貯留, 僧帽弁狭窄症,左房粘液腫,心筋症 略語一覧:啃䜠 ⡕汴牡獯湯捡牤楯杲慰桹 ,心エコー法⤀ 啃吠 ⡕汴牡獯湯捡牤楯瑯浯杲慰桹 超音波心断法) はじめに 患者にたいし,痛みを与えることなく,短時間で簡単 に繰り返えし行うことのできる循環器検査として,これ まで,心電図および単純胸部X 線撮影が広く用いられて 来た。 しかし, 最近, これらに次ぐ第 3の検査法とし て,超音波検査法が現われ,従来,非観血的に充分観察 することのできなかった心・血管の内部構造やその運動 の診断に威力を発揮しつつある。現在,循環器検査に使 用されている超音波法には次のようなものがある。 ⠱) 心エコー法 ⡥捨潣慲摩潧牡灨y 畬瑲慳潮潣慲- 摩潧牡灨y 啃䜩 ⠲) 超音波心断層法 ⡔睯 摩浥湳楯湡氠 散桯捡r- 摩潧牡灨y 畬瑲慳潮潣慲摩潴潭潧牡灨礠 啃吩 リニア法 楩⤠ セクター法 ⠳⤠ 䑯灰汥r 血流測定法 ⠱) および ⠲) は超音波パルスの反射を利用し, ⠳⤠ は連続波を用いて運動する心血管系の構造物をみるもの であるが, ⠱) 1 本のビームを使いMモード法により 心構造物の時間的変動をみるもので,時間的計測に最も 適する。 ⠲) 1 本のビームを移動させ像を作ったり, 数十本のビームを並べたりして B モード法の画像を作る もので,ビームの走査が直線的に行われるリニア法と扇 形に行われるセクター法に分かれる。心構造物を現わす には,狭い肋聞からビームを入れる必要上セクター法が 用いられることが多い。 ⠳) は連続波を用い,その 䑯- 灰汥r 効果から物体の運動速度を測定するもので,主と して血流速度の測定に用いられる。以下,これらの方法 瞕泊 3 内科学教室 の心・血管疾患に対する応用について述べてみたい。 心・血管系超音波法の最近の動向 超音波の心臓に対する診断的応用はㄹ㔴 䕤汥r により初めて行われたが本法の最近の発展はまこと に目覚しいものがある。試みに外国の循環器専門誌 3 について過去年間における超音波を主題とした論文数 の推移をみると図 1 のごとくである。すなわち, ㄹ㜳 年頃 より超音波関係の論文は急増し, ㄹ㜵 年以降はほぼ平衡 䍩牣畬慴楯渠 ⾁䅜 䅭⹊⹃慲摩o ・∮⸢,,' ⼧瓦ー ⹈敡 ⸮⸮,⸭・二- ・吋 ⸮⸮ⴭ弮 o ⴭ㩟日 ㄹ㜰 ㄹ㜸 図ㄮ過去 年間における超音波を主題とした 論文数の推移 に達しているのがわかる。 とくにㄹ㜶 年における 䍩r- 捵汲瑩潮 誌では超音波を主題として論文が以上に達 し,全体の論文数のほぼㄵ% を占め,今日の循環器の診 断学の研究は,超音波全盛時代の感が深い。 日本における超音波法は, 仁村らの 䑯灰汥r 法によ る血流測定門 田中らのの超音波断層法の研究など世界 にさきがけた研究が続出しており,かつ 優れた電子工 p 学の技術とあいまって,今日,世界をリードしているとい える。超音波法は非観血法であり,組織聞の音波の反射 奏午䥁䭉 䵁单䑁㨠 䑩慧湯獩猠 潦 䍡牤楯癡獣畬慲 卹獴敭 批 啬瑲慳潮潧牡灨楣 䵥瑨潤⸠ 周攠 ㍲搠 䑥灡牴浥湴 潦 䥮瑥牮慬 䵥摩捩湥 卣桯潬 潦 䵥捬楣楮e 䍨楢愠 啮楶敲獩瑹 䍨楢愠 ㈸〮 剥捥楶敤 景爠 灵扬楣慴楯n 乯癥浢敲 2 ㄹ㜹⸠

Transcript of kW]l エケg@ノSEヌnフff - Chiba...

〔千葉医学 56,51--57,1980)

〔展望〕 超音波法による心・血管系の診断

増田 善昭*

(昭和54年11月� 2日受付)�

Key words: 心エコー法,超音波断層法,心嚢液貯留,

僧帽弁狭窄症,左房粘液腫,心筋症

略語一覧:UCG (Ultrasonocardiography,心エコー法)�

UCT (Ultrasonocardiotomography超音波心断法)

はじめに

患者にたいし,痛みを与えることなく,短時間で簡単

に繰り返えし行うことのできる循環器検査として,これ

まで,心電図および単純胸部X線撮影が広く用いられて

来た。 しかし, 最近, これらに次ぐ第� 3の検査法とし

て,超音波検査法が現われ,従来,非観血的に充分観察

することのできなかった心・血管の内部構造やその運動

の診断に威力を発揮しつつある。現在,循環器検査に使

用されている超音波法には次のようなものがある。�

(1)心エコー法� (echocardiography,� ultrasonocar-

diography,UCG)

(2)超音波心断層法� (Two dimensional echocar-

diography,ultrasonocardiotomography UCT)

i) リニア法

ii) セクター法

(3) Doppler血流測定法�

(1)および(2)は超音波パルスの反射を利用し,� (3)

は連続波を用いて運動する心血管系の構造物をみるもの

であるが,� (1)は1本のビームを使いMモード法により

心構造物の時間的変動をみるもので,時間的計測に最も

適する。� (2)は1本のビームを移動させ像を作ったり,

数十本のビームを並べたりしてBモード法の画像を作る

もので,ビームの走査が直線的に行われるリニア法と扇

形に行われるセクター法に分かれる。心構造物を現わす

には,狭い肋聞からビームを入れる必要上セクター法が

用いられることが多い。� (3)は連続波を用い,その� Do-

ppler効果から物体の運動速度を測定するもので,主と

して血流速度の測定に用いられる。以下,これらの方法

*千葉大学医学部第 3内科学教室

の心・血管疾患に対する応用について述べてみたい。�

1. 心・血管系超音波法の最近の動向

超音波の心臓に対する診断的応用は1954年� Edlerら

により初めて行われたがIL 本法の最近の発展はまこと

に目覚しいものがある。試みに外国の循環器専門誌� 3種

について過去10年間における超音波を主題とした論文数

の推移をみると図� 1のごとくである。すなわち,� 1973年頃

より超音波関係の論文は急増し,� 1975年以降はほぼ平衡�

60

40 Circulation

/、¥

20,• /~.〆/ Am.J.Cardiol. ・"..",,' ~;.-ー・

// /'瓦ー.Hea凶� J. 4・~,ー--~

〆 ....,.-・二- ・吋� ....--_.

oJ --:_日..;--~:.:::::_-.----:_~-:-:.."-:::'

1970 72 84 76 1978年

図1.過去10年間における超音波を主題とした

論文数の推移

に達しているのがわかる。 とくに1976年における� Cir-

culrtion誌では超音波を主題として論文が60以上に達

し,全体の論文数のほぼ15%を占め,今日の循環器の診

断学の研究は,超音波全盛時代の感が深い。

日本における超音波法は, 仁村らの� Doppler法によ

る血流測定門 田中らのの超音波断層法の研究など世界

にさきがけた研究が続出しており,かつ� 優れた電子工p

学の技術とあいまって,今日,世界をリードしているとい

える。超音波法は非観血法であり,組織聞の音波の反射�

YOSHIAKI MASUDA: Diagnosis of Cardiovascular System by Ultrasonographic Method.

The 3rd Department of Internal Medicine,School of Meclicine,Chiba University,Chiba 280.

Received for publication,November 2,1979.

52 増田善昭

表1.表日本超音波学会における臓器

別講演数(1978年)

器官名 講演数

主として� UCG 96 59%

55 34循 主として 断層�

12 7主として� Doppler法�

器環

小 計� 163 51%

腹部� 68 21

装置� 30 9

産婦人科� 27 8

泌尿器� 21 6

頭部� 9 3

甲状腺� 4 1

乳房� 2 1

合計 � 324 100%

を利用して検査を行うものであるが,反射が固体と液体

聞で強く行われること,微小時間での検査が可能である

ことより,運動する固体と液体から成る循環器の検査に

はまことに最適で、ある。� 1978年の日本超音波医学会の発

表論文をみると,表� 1のごとく,循環器に関する研究は

全体の約半数を占め,心・血管系の検査に超音波法がい

かに有用であるかを示している。また,その内訳をみる

と1ピームの心エコー法を使用した検査が最も多く,循

環器関係論文の59%を占めるが,超音波断層法を主題と

した論文も34%となっており,断層法が急激に普及して

いることがわかる。また,� UCGと断層法,� Doppler法

と� UCG法や断層法を組合せた報告も多く, 将来の超

音波検査はより多角的,立体的な方向へ拡がって行くも....,(2.6心と病理的検出率0.09%)....,(0.07臨床的検出率�

のと思われる。このことは超音波装置の上からも,� UCG

と断層法, リニア法とセクタ}法,� UCGや断層法と�

Doppler法の併用が可能な機器が発売され始めたことか

らもうなづけるところである。�

2. 超音波法の有用性について

各種循環器疾患に対する超音波検査の有用性を日常の

診断上,次のように整理してみた。�

A群:超音波法により疾患の確実な診断ができ,かっ

疾患の重症度判定に役立つもの一一僧111冒弁狭窄症,心房

粘液腫,心嚢液貯留,腹部大動脈癒.�

B群:これにより疾患の大部分の例で病徴的所見が得

られ,確実な診断ができるもの一一閉塞性肥大型心筋症�

(HOCM. IHSS),三尖弁狭窄症, 三尖弁閉鎖不全症�

(contrast echo法による),� Fallot 4徴,心内膜床欠

損,� Ebstein奇型,完全および修正大血管転移症,僧l帽

弁逸脱症候群,腿索断裂�

C群:疾患の一部の例で確実な診断が得られるもの,

また,大部分の例で、その診断が疑われるもの一一僧帽弁

閉鎖不全症,大動脈弁狭窄症,大動脈弁閉鎖不全症,肺

動脈弁狭窄症,肺動脈弁閉鎖不全症,肺動脈高血圧症,

心房中隔欠損症,心室中隔欠損症,ボタロー管関存在,

うつ血性心筋症� (PMD),胸部大動脈癌,解離性大動脈

癌,心内血栓,大血管内血栓,心内流賞,心臓癌,弁石

灰化,心外膜肥厚�

D群:構造上の診断一一左室肥大,拡大,右室肥大,

拡大,左房拡大,右房拡大,大動脈基部拡大,肺動脈拡

大,局在性肥大(中隔肥厚,心尖部肥厚など),壁厚薄化

(癒痕化),冠動脈拡張,各弁口面積,血管狭窄

E群:機能診断一一心不全(収縮不全,拡張不全),心

拍出量,駆出分画� (ejectionfraction),心筋収縮速度,

拡張速度,僧帽弁後退速度,心室の局在性運動障害� (pa_

radoxycal movement,akinesis,hypokinesis),心室中

隔運動障害,心内血流の速度・方向の測定,血管内血流

速度�

F群:補助診断,特殊応用一一虚血性心疾患,心筋硬

塞,心筋炎, リウマチ熱,目安原病,腫、虜の心転移,高血

圧症,動脈硬化症�

G群:除外診断一一心臓神経症,無害性心雑音�

3. 超音波診断法の実際

ここでは,超音波法がとくに有用な疾患について実例

を示しながら述ペてみたい。�

(1)心嚢液貯留

従来,心嚢液貯留は心拡大,心外膜摩擦音の聴取,心電

図の� ST変化,低電位などにより診断されていたが,

5.4%)の聞に大きな差がありへ少量の心嚢液貯留は臨

床的には看過されていた。しかし,超音波法を使えば,

心嚢内のわずか16mlの貯留液尺すなわち,健康人に

おける正常範囲の心嚢水も検出でき,かつ,貯留液の分

布状態,貯留量の推定も容易であり, 心嚢液穿刺の決

定,穿刺部位の選択にきわめて役立つ。

超音波法によるJL二嚢液貯留の診断はH蔵WJ]JL.'膜 (epicar-

dium) と壁側心膜� (pericardium)の聞に� Echofree

spaceを認めることで,このさい,� pericardiumの動き

は� epicardiumの動きに比較して減少している。� echo

free spaceは心の周囲にみられるが,� UCGではとくに

左室後面の� Echofree spaceの診断的価値が大きいと

されている。貯留量の判定には�

a)少量:echo free spaceが収縮期のみに現われる

もの。� 200ml以下, この所見は20-30mlの貯留でも現

53 超音波法による心・血管系の診断�

一�

PE:心嚢液

中隔

左室腔

僧帽弁

心内膜

臓fHU,己、膜

盟側心膜�

H.K. f.19 心嚢液貯留

図� 2・A.心嚢液貯留の� UCG

H.K.f.19 pericardial effusion

longitudinal

horizontal

PE:心'!Iti庇�

図� 2・B.心褒液貯留の超音波断層像

54 増 田 善昭

表� 2. 心襲被貯留の原因

(超音貯波留断を層像にて中等度以上)の 認めた例について

である(図� 3)。�

(a)僧帽弁の輝度増大。肥厚,硬化,石灰化による。�

(b)前棄と後葉の平行運動。� ,、IOr原因疾患 例数 (c)前葉の弁後退速度� (EFslope)の減少。�

(d) A波の消失。特発性� 10 19

虚血性心疾患� 9

3

硬塞後症候群� 1

非心筋硬塞� 5

SLE 8

PSS 4

高血圧症� 4

心筋症� 3

大動脈弁膜症� 3

僧帽弁膜症� 2

肺癌� 2

腎不全� 2

17 (f)弁口面積の減少。

6 超音波法による本症診断の� sensitivityと� specificity

2 はほとんど100%に近く,また,� (c),(f)を利用し, そ10 の重症度も推定され,診断上きわめて有用であるべ� 15

(3)左房粘液腫8

8 左房粘液腫は原発性心臓腫療の中でもっとも多くみら

6 れるものであるが,従来,臨床的に診断されることはき

6 わめて稀で、あり,多くは僧帽弁狭窄症と間違われて手術

4 を受けたさいに,あるいは,音IJ検時に診断がつけられて

4 いた。しかし,超音波法による本症の所見はきわめて特

4 徴的であり,� 1959年に心エコー法により始めて左房粘液

重)1粘液浮

霊)1悪性リンパ

2 4 腫が発見され以来9L 続々とその診断がなされるように

1 2 なった。本症は超音波法がその診断を容易にした� 1例で貧血� l 2

高グロプリン血症� 1 2

計� 52 100

われるので,必ずしも病的所見とは云えない。�

b)中等度:後壁の� echofree spaceが収縮期・拡張

期にわたってみられるもので,拡張末期における� echo

free spaceの幅が� 5mm以下のもの,� 500--200mlの液

貯留を示す。�

c)高度:後壁の� echofree space が拡張末期に� 5

mm以上の幅を持つもの。多くの場合,前面にも幅広い�

echo free spaceがあり,貯留液内の心エコー像は全体

として収縮期前方,拡張期後方へ向かう振子様運動を行

う。貯留液は500ml以上である。

教室では心前面を観察するのに有利なリニア型電子走

査式超音波断層法を用いて心嚢液貯留の研究を行ってい

るが,この方法を用いれば前方の貯留液も容易に検出で

き,かっ液貯留の状態を立体的に観察で、きるので,臨床

上きわめて有用である(図� 2)。超音波断層法による中等

度以上の心嚢液貯留を示した52例の原因について過去2

年間のデーターを表� 2に示した。これは当科新来患者の

やく� 0.9%,超音波検査患者のやく� 3%に当り, 従来の

臨床的頻度よりはるかに多いものであった7)。�

(2)僧l帽弁狭窄症

超音波法の臨床応用でもっとも最初に行われたのは,

僧帽弁狭窄症の診断で、あり,これまで多くの研究がなさ

れている。本症の超音波法での主要所見は以下のごとく

あるが,ある新しい検査法が一つの疾患の画期的な診断

手段となった好例といえよう。

左房粘液腫の心エコー図所見は図� 4に示すごとくで,

濃い雲状エコーが収縮期には左房内,拡張期には僧帽弁

前葉の後方に出現する。僧l椙弁前葉は運動の振幅は正常

であるが,弁後退速度� (EFスロープ)は低下,僧帽弁

後葉はしばしば認められない。超音波断層像をみれば,

この関係はさらに明瞭であり,粘液腫の大きさ,茎の附

着部位,弁口狭窄の程度まで容易に判定できる10)。�

(4)心筋症

心筋症の概念は漠然としたものであり,臨床的には除

外診断の上で確定されるべきものである。しかし,最近

の超音波法の進歩は,心筋症の一つで、ある閉塞性肥大型

心筋症についてはほぼ確実な診断を行うことを可能に

し,他の心筋症についても超音波所見を参考にした臨床

分類が行われている。以下にその分類を述べる。�

a)肥大型心筋症�

i)中隔肥大型心筋症

イ)閉塞性肥大型心筋症

ロ)非閉塞性中隔肥大型心筋症

ii)心尖部肥大型心筋症�

b) うつ血型心筋症(図� 5参照)

このうち, 閉塞性肥大型心筋症� (hypertrophicobs-

tructive cardiomyopathy,HOCM)は,特発性肥大型

弁下性大動脈狭窄症(idiopathichypertrophic subaor-

tic stenosis,IHSS) ともいわれ, 心室肥大とくに中隔

上部の肥大とそれによる左室流出路狭窄を病態とした特

55 超音波法による心・血管系の診断

図� 3・A. 僧帽弁狭窄症の� UCG

s.乱1. f.28 mitral stenosis

前葉

交連 後葉

図� 3・B. 僧帽弁狭窄症の超音波断層像

僧帽弁口

異な心筋症である。超音波法によれば,本症は後壁に比

較して中隔の強い肥大(asymmetricseptal hypertrophy

ASH),収縮期における左室流出路の狭窄, 左室流出路

への腿索ないし僧帽弁前葉の張り出し� (systolicanterior

movement,SAM),大動脈弁口の収縮中期の半閉鎖な

どの病徴的所見を有し,診断は比較的容易である。

非閉塞性肥大型心筋症は,当初,超音波学的には� ASH

があって流出路狭窄の所見のないものと理解されていた

が,最近では中隔に肥大がなく,心尖部のみに肥大のあ

る心筋症など種々の形態の心筋症が報告されている。

うつ血型心筋症(congestivecardiomyopathy,CCM)

は心肥大のない左右両心室の拡大を特徴とするもので,

左室流出路はむしろ拡張している。また,局所的運動障

害のないことより,虚血性心疾患との区別が可能であ

る。

おわりに

以上,循環器疾患に対する超音波診断法の有用性,最

近の進歩について簡単に述べた。超音波診断は画像診断

として有用であるのみならず,機能診断としても有用で

あり,今後ますます発展・普及して行くものと思われ

る。最後にこれから心・大血管の超音波法を学ひ、たい人

のためにおすすめしたい解説書をいくつかあげる。�

(1)Feigenbaum H.: Echocardiography (2nd ed.)

56 増田善昭�

左室腔

M.H.m. 61. 左房粘液腫

図� 4・A. 左房粘液腫の� UCG

正シゴ脈

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5cm

M.H. m. 61

左房粘液腫の術前(上)術後(下)

の超音波断層像

図� 4-B.粘液腫の超音波断層像

57 超音波法による心・血管系の診断

:::コ設3 pW:$..g民主ミ豆E ふ~Jし---J1_)し__~ _Jドー__j__Jい」 芦¢鋒迩豆E

j____J¥_

正常 閉塞性肥大型心筋症 肥大型心筋症 肥大型心筋症 うつ血型心筋症� (中隔型) (心尖部型)

図� 5. 心筋症の分類

RV:右室,� LV:左室,� Ao:大動脈,� LA:左房,� IVS:心室中隔,� AML:僧帽弁前葉,�

PML:僧帽弁後葉,� PW:左室後壁�

Lea & Febiger,Philadelphia,1976. 6) Horowitz 1¥ιS.,Schultz C. S.,Stinson E.

(2)町井潔編:心臓の超音波検査法,中外医学社,東 B.,Harrison D. C. and Popp R. L.: Sen-

京,� 1977. sitivity and specificity of echocardiographic

(3)田中元直:超音波心臓診断学,メデイカルエレク diagnosis of pericarclial e任usion,Circulation

トロタイムズ,東京,� 1978. 50,239-247,1974.

(1),(2)は主として� UCG法について,� (3)は断層 7)山崎茂,田口喜代継,村木登,小沢俊,

法について書かれたもので身近におかれて便利と思われ 宿谷正毅,平井昭,増田善昭,稲垣義明:超

る。 音波断層法による心嚢液貯留について, とくに

文 献� 心前面の観察� J.Cardiography 8,711-718,

1978.

1) Edler,I.and Hertz,C. H.: Use of ultra‘ 8) 田口喜代継,入江澄子,江原和江, 吉田秀夫,

sonic reflectoscope for continous recording 山崎茂,村木登,小沢俊,宿谷正毅,増

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Sallsk. Lund Forhandl.24,5-40,1954. 口狭窄症における僧帽弁口面積と心音計測値と

2)仁村泰治,宮武邦夫,津固定成,榊原博:超 の関係 日超医論文集� 34,45-46,1978.

音波ドプラ法, 日本臨床� 32,306-314,1974. 9) Effert,S.,ancl Domanig,E.: The diagnosis

3)田中元直:超音波心臓断層法とその応用 医学 of intraatrial tumors and thrombi by the

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4) Keith,J. D.,Rowe,R.D. and Vlad,P.: 4,1-3,1959.

Heart disease in infancy and childhood 2nd 10)渡辺滋,福島一也,村山紘,小沢俊,増

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