NewSUBARU マシンスタディ報告書1.04 479.92 BU3 -45.7 487.02 BPM#6 BU4 534.72 -12.8 521.92...

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1 NewSUBARU マシンスタディ報告書 2006.7.3. 三井 貴之 テーマ:パルスセプタム電磁石の漏洩磁場の測定 実施日時:2006.5.24. 21:00~5.25. 9:00 (12hour) 参加者:三井貴之、庄司善彦、久岡義典 目的 今回のスタディは、入射部のパルスセプタムに近い所でのパルスセプタム漏洩磁場 の分布を測定する為の前段階である。周回ビームをパルスセプタム付近へ蹴る為に用 いるパルスバンプについての測定を行った。 1.実験手順 (1)設定、測定条件 a.オシロスコープ BPM#5#6 からの生信号を測定した。 ・サンプリングレート:20GS/secBPM AB 端子からの信号を測定した。 ・モニタートリガーを測定トリガーに用いた。 b.蓄積リング ・フルフィルで一周入射して測定を行った。 (2)測定手順 a.入射タイミングの測定 ・ビームの無い状態からシングルバンチで一発ずつ入射した時の BPM からの信号 を測定し、BPM#5#6 でのモニタートリガーから入射までの時間を求めた。 b.各パルスバンプの励磁タイミング測定 ・フルフィルで入射した後、各パルスバンプを一台ずつ励磁して各パルスバンプ の励磁のタイミングを測定した。 BU12 BPM#5BU34 BPM#6 からの信号を測定し、a の測定結果と合 わせて四台のパルスバンプの励磁タイミングが揃っているかを調べた。 ・測定時の横軸スパンは BU1 2 200nsec (20nsec/div) BU3 4 500nsec (50nsec/div)であった。

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NewSUBARUマシンスタディ報告書 2006.7.3. 三井 貴之

テーマ:パルスセプタム電磁石の漏洩磁場の測定 実施日時:2006.5.24. 21:00~5.25. 9:00 (12hour) 参加者:三井貴之、庄司善彦、久岡義典

目的 今回のスタディは、入射部のパルスセプタムに近い所でのパルスセプタム漏洩磁場

の分布を測定する為の前段階である。周回ビームをパルスセプタム付近へ蹴る為に用

いるパルスバンプについての測定を行った。

1.実験手順 (1)設定、測定条件

a.オシロスコープ

・BPM#5、#6からの生信号を測定した。

・サンプリングレート:20GS/sec、BPMの A、B端子からの信号を測定した。

・モニタートリガーを測定トリガーに用いた。

b.蓄積リング

・フルフィルで一周入射して測定を行った。

(2)測定手順 a.入射タイミングの測定

・ビームの無い状態からシングルバンチで一発ずつ入射した時の BPMからの信号

を測定し、BPM#5、#6でのモニタートリガーから入射までの時間を求めた。

b.各パルスバンプの励磁タイミング測定

・フルフィルで入射した後、各パルスバンプを一台ずつ励磁して各パルスバンプ

の励磁のタイミングを測定した。

・BU1、2 は BPM#5、BU3、4 は BPM#6 からの信号を測定し、a の測定結果と合

わせて四台のパルスバンプの励磁タイミングが揃っているかを調べた。

・測定時の横軸スパンは BU1、2 が 200nsec (20nsec/div)、BU3、4 が 500nsec

(50nsec/div)であった。

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c.パルスバンプを 4台励磁した時の軌道測定

・フルフィルで一周入射し、COD補正後六極電磁石を切って測定を行った。

・パルスバンプを 4台励磁した時の BPM#5、#6からの信号を測定し、バンプが閉

じているかどうかを調べた。

・パルスバンプの高さ及びタイミングを変えた時についても測定を行った。

・測定時の横軸スパンは 2μsec (200nsec/div)であった。

2.測定結果及び解析 (1)軌道の計算方法

BPMの A、B端子からの信号電圧から、以下の式を用いて軌道を計算した。

BPM各電極の電圧 peak-to-peak値:VA、VB、VC、VD(V)とすると

U =12V A−V B

V A+V B

+V D−V C

V D+V C

V =12V A−V D

V A+V D

+V B−V C

V B+V C

S =U

1−U 2、

T =V

1−V 2

x(mm) = (8.4437 − 4.7408T 2)S+ (−1.1528 +1.4278T 2)S3

+ (0.1482 − 0.1940T 2)S5

+ (−1.0312 +1.3273T 2)S7 *10−2

+ (3.8561− 4.7513T 2)S9 *10−4

+ (−7.29 + 8.45T 2)S11 *10−6

+ (5.47 − 5.83T 2)S13 *10−8

y(mm) = 21.328 + 0.001932S4 + 3.78*10−5S6 + 4.13*10−8S10 − 6.27S2

1+ S2

T

+ 8.109 + 0.0207S4 − 4.49*10−4 S6 + 7.6*10−8S10 − 11S2

1+ S2

T 3

今回の測定では VAと VBのみを測定したので、VA=VD、VB=VCとした。この時の

計算式は以下の様になる。

U =V A−V B

V A+V B

V = 0

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3

S =U

1−U 2、

T = 0

x(mm) = 8.4437S −1.1528S3

+ 0.1482S5 −1.0312*10−2S7

+ 3.8561*10−4 S9 − 7.29*10−6S11

+ 5.47*10−8S13

y = 0

今回はパルスバンプによる水平方向のキックを見る事から、以上の様にして

x(mm)を計算した。

(2)BPM#5、BPM#6での入射タイミング モニタートリガーから入射までの時間:T(nsec)とした。

Tの測定を 5回行い、その平均値をトリガーから入射までの間隔とした。

表 1.BPM#5、BPM#6でのモニタートリガーから入射までの時間。

BPM No. Tの測定値(nsec) 平均値(nsec)

BPM#5 478.8、478.8、479.2、478.8、478.8 478.88

BPM#6 534.9、534.6、534.8、534.6、534.7 534.72

(3)各パルスバンプの励磁タイミング 各パルスバンプを励磁した時の軌道測定データから x(mm)を求め、キックの立ち上

がりを見てキックのタイミングを求めた。

以下のグラフの横軸は時間 t(nsec)で、t=0 を入射のタイミングとした。縦軸はキ

ックの前の xの平均値を計算してそこからの変位(mm)を取った後、5点でスムージ

ングを行った。

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4

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

10

-600 -550 -500 -450 -400時間(nsec)

Δx(mm)

BU1BU2BU3BU4

図2.各パルスバンプを励磁した時の水平方向軌道。入射タイミングを 0(nsec)とした。

各データのキックの立ち上がりを見る事により、各パルスバンプのキックのタイミ

ングは以下の様に得られた。

表3.各パルスバンプのキックから入射までの時間。

BPM No.

Bump No.

Triger→Injection(nsec)

Kick→Triger(nsec)

Kick→Injection(nsec)

BU1 22.73 501.61 BPM#5

BU2 478.88

40.91 519.79 BU3 -32.95 501.77

BPM#6 BU4

534.72 -11.01 523.71

次に、各パルスバンプのキックの立ち上がりを比べる為に、各データに定数を掛け

てキックの傾きが平行になる様に計算した。その結果を図4に示す。

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5

入射タイミング=0(nsec)

-1

0

1

2

3

4

5

6

-600 -550 -500 -450 -400Time(nsec)

Δx(mm)

BU1BU2BU3BU4

図4.傾きが平行になる様に計算した結果。

更に、図4から各パルスバンプのデータを横にずらし、どれくらいずらすと各バン

プのキックが重なるかを検証した。その結果を図5に示す。

(0,+30,0,+20)(nsec)

-1

0

1

2

3

4

5

6

-600 -550 -500 -450 -400Time(nsec)

Δx(mm)

BU1BU2BU3BU4

図5.図 4から各バンプのデータを(BU1,2,3,4)=(0,30,0,20)(nsec)だけずらした結果。

(4)パルスバンプを 4台励磁した時の軌道測定 ここでは、パルスバンプを 4台全て励磁した時に出来るバンプが閉じているかどう

かを調べた。その為、(3)の測定中に生のデータから各バンプのキックタイミング

を大まかに求め、その結果に対して各バンプのディレイを変更した状態で測定を開

始した。測定中に大まかに求めたキックのタイミングを表6に示す。

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表6.(3)の測定中に求めた各バンプのキックタイミング。

BPM No.

Bump No.

Triger→Injection(nsec)

Kick→Triger(nsec)

Kick→Injection(nsec)

BU1 -11.08 467.8 BPM#5

BU2 478.88

1.04 479.92 BU3 -45.7 487.02

BPM#6 BU4

534.72 -12.8 521.92

測定中に求めた結果から、各バンプのディレイを(BU1,2,3,4)=(+18,+30,+20,0)(nsec)

だけずらした。

又、BU1~4 のディレイと高さの設定を更に変更した時のデータも測定した。各

測定データに対して定義した名前を表7に示す。

表7.各データでの各パルスバンプのディレイ、バンプ高さの設定。ディレイは元の設定か

らずらした量を示している。

データ

名 ディレイ

(BU1,BU2,BU3,BU4)(nsec) バンプ高さ

(BU1,BU2,BU3,BU4)(mm)

BH0 (10,10,10,10)

BH1 (9,10,10,9) BH2 (13.5,15,15,13.5) BH3

(+18,+30,+20,0)

(4.5,5,5,4.5) BH4 (+18,+30,+20,+20) (10,10,10,10)

BH0と BH1を比べる事でパルスバンプの高さを変えた時のキックの変化、BH1~3

を比べる事でバンプ高さに対するキックの非線形性の有無、BH0 と BH4 を比べる

事でパルスバンプのディレイを変えた時のキックの変化を調べた。

以下に示すグラフでは、縦軸は(3)と同じくキックの前での x(mm)の平均からの変

量としており、BPM#5 のデータは 40 点、#6 のデータは 15 点でスムージングを行

っている。

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7

-2

-1

0

1

2

3

4

5

-500 0 500 1000 1500 2000

BPM5での測定結果BH0BH1BH1-BH0

Δx (mm)

Time(nsec)

リング1周

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

-500 0 500 1000 1500 2000

BPM6での測定結果BH0BH1BH1-BH0

Δx (mm)

Time(nsec)

図8.BH0と BH1のグラフ。縦軸に沿った黒点線はキック開始から一周毎に引いている。

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8

-0.2

-0.1

0

0.1

0.2

0.3

-500 0 500 1000 1500 2000

バンプ高さ依存性@BPM5 BH1BH2BH3

Δx/バンプ高さ(mm)

Time(nsec)

-0.3

-0.2

-0.1

0

0.1

0.2

-500 0 500 1000 1500 2000

バンプ高さ依存性@BPM6 BH1BH2BH3

Δx/バンプ高さ(mm)

Time(nsec)

図9.BH1~3のデータをバンプの高さで割った結果。

図 9から、パルスバンプの高さに対するキックの非線形性は無い事がわかった。

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9

-3

-2

-1

0

1

2

3

4

-500 0 500 1000 1500 2000

バンプタイミング依存性@BPM5BH0BH4BH4-BH0

Δx (mm)

Time(nsec)

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

-500 0 500 1000 1500 2000

バンプタイミング依存性@BPM6BH0BH4BH4-BH0

Δx (mm)

Time(nsec)

図 10.BH0と BH4のグラフ。

BH0、1、4 のデータを用いて、BH1 から BU4 のディレイを変更した時の軌道を計

算した。

表 11 の様に新しくデータ名を定義し、BH0+BH’1+nBH’4(=BH1+nBH’4)の計算を

行った。

表 11.計算に対して定義したデータ名。

データ名 データの意味 BH’1 BH1-BH0

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10

BH’4 BH4 -BH0 nBH’4 (BH4-BH0)の n倍

-2

-1

0

1

2

3

-500 0 500 1000 1500 2000

BU4+10nsec@BPM5 BH1nBH'4BH1+nBH'4

Δx (mm)

Time(nsec)

-3

-2

-1

0

1

2

-500 0 500 1000 1500 2000

BU4+10nsec@BPM6BH1nBH'4BH1+nBH'4

Δx (mm)

Time(nsec)

図 12.BU4のディレイを 10nsec増やした時の結果。

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

2

-500 0 500 1000 1500 2000

BPM#5での結果BU4+10(nsec)BU4+20(nsec)BU4+30(nsec)

Δx (mm)

Time(nsec)

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11

-3

-2

-1

0

1

2

-500 0 500 1000 1500 2000

BPM#6での結果BU4+10(nsec)BU4+20(nsec)BU4+30(nsec)

Δx (mm)

Time(nsec)

図 13.BU4のディレイを 10~30nsec増やした時の結果。

今後について 今回のスタディでは、パルスバンプ 4台のキックタイミングが揃っていない事、それ

によって 4台で励磁した時のバンプが閉じていない事が分かった。

各パルスバンプのキックタイミング測定で求めたタイミングがあまり精度よく得ら

れていないので、次回のスタディでもう一度キックのタイミング測定を行う予定である。