ホテル市場（要約版*）SPOTLIGHT

Savills Research

日本 - 2019年2月

Retail sales in Beijing were up 4.4% year-on-year to RMB539.8 billion in 1H 2018* 全文は英語版をご覧下さい。

2savills.co.jp/research

ホテル市場

ホテル市況は依然として堅調

国内ホテル市況は底堅く、一連の自然災害

にも関わらず、宿泊特化型ホテルの業績は

堅調である。民泊新法の施行は競争を緩和

したが、大規模供給及びマクロ経済の逆風

は市場を弱含ませる可能性もある。

要旨

• 2018年の訪日観光客数は、前年比

8.7%増の3,119万人となった。

• 2018年の訪日外国人消費総額は、前

年比2%増の4兆5,000億円となった。

• 地方空港における格安航空会社

(LCC) の国際線拡大が、地方へのイ

ンバウンド需要を支えている。

• 訪日観光客による三大都市圏外の訪

問増加を踏まえ、大手事業者は地方

市場における事業を拡大している。

• 2019年の大規模供給には懸念が残

る。2018年における供給の影響は引

き続き注視を要する。

• 2018年の悪影響にも関わらず、ホテ

ルの稼働率は依然として底堅く、ホテ

ル業績も僅かではあるが改善した。

• 2018年のホテル市場における取引

総額は、国内不動産市場全体同様

に減少したが、他のアセットクラスに

比べるとその幅は小さい。現在の開

発ブームは今後の取引を活発させう

るだろう。

グラフ 1: 訪日観光客数、2010年～2018年

0

10

20

30

40

50

60

70

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2020 2030

訪日

観光

客数

（百

万人

）

訪日観光客数 政府の目標

CAGR 13.2%

CAGR 4.1%

出所 観光庁、 国際観光振興機構、サヴィルズ リサーチ・アンド・コンサルティング

グラフ 2: ホテル客室供給数、 1982年～2020年

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

変動率

客室

数

客室供給数 過去平均 変動率

出所 週刊ホテルレストラン、厚生労働省、各種メディア、サヴィルズ リサーチ・アンド・コンサルティング

≈≈

3

ホテル市場

グラフ 4: 訪日観光客数*及び外国人延べ宿泊者数の前年比変動率、2017年6月～2018年12月

出所 観光庁、国際観光振興機構、サヴィルズ リサーチ・アンド・コンサルティング * 2018年11月、12月の訪日観光客数は国際観光振興機構の推計値。

グラフ 3: 宿泊特化型ホテルの業績、直近12ヵ月平均、2014年～2018年

出所 J-REIT、 サヴィルズ リサーチ・アンド・コンサルティング

施設名称取引価格 （十億円）

客室単価 （百万円）

直接還元 利回り

所在地 買主

ホテルマイステイズプレミア赤坂

20.7 63 3.9% 東京都港区インヴィンシブル

投資法人

ホテルマイステイズプレミア札幌パーク

16.7 40 4.7% 北海道札幌市インヴィンシブル

投資法人

ザ・ビー 赤坂見附 6.3 49 4.1% 東京都港区 Tiger 2 GK

表 1: 2018年下半期における主要な売買取引

出所 J-REIT開示、サヴィルズ リサーチ・アンド・コンサルティング

-10%

-5%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

前年

比変

動率

訪日観光客数 訪日観光客宿泊日数 訪日観光客宿泊日数（従業者数10人以上の施設）

民泊新法施行

60%

65%

70%

75%

80%

85%

90%

95%

100%

90

95

100

105

110

115

上半期 下半期 上半期 下半期 上半期 下半期 上半期 下半期 上半期 下半期

2014 2015 2016 2017 2018

稼働率

指数

(1H

/20

14=

100

)

稼働率 ADR 指数 RevPAR 指数

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ホテル市場

連絡先

クリスチャン・マンシーニアジア太平洋地区

最高経営責任者

+81 3 6777 5150cmancini@savills.co.jp

サイモン・スミスシニア・ディレクター アジア・パシフィック

+852 2842 4573ssmith@savills.com.hk

サヴィルズ・ジャパン

Savills plc: Savills plc is a global real estate services provider listed on the London Stock Exchange. We have an international network of more than 600 offices and associates throughout the Americas, the UK, continental Europe, Asia Pacific, Africa and the Middle East, offering a broad range of specialist advisory, management and transactional services to clients all over the world. This report is for general informative purposes only. It may not be published, reproduced or quoted in part or in whole, nor may it be used as a basis for any contract, prospectus, agreement or other document without prior consent. While every effort has been made to ensure its accuracy, Savills accepts no liability whatsoever for any direct or consequential loss arising from its use. The content is strictly copyright and reproduction of the whole or part of it in any form is prohibited without written permission from Savills Research.

管野 吉洋マネージャー、リサーチ・アンド・

コンサルティング部

+81 3 6777 5142ykanno@savills.co.jp

金子 哲也ディレクター、リサーチ・アンド・

コンサルティング部長

+81 3 6777 5192tkaneko@savills.co.jp

リサーチ

市場の見通し2018年は日本ホテル業界にとって、厳し

い年であった。上半期には、西日本の大雨

及び沖縄における麻疹により観光客が激

減した。9月には、台風21号の影響により

日本の主要なLCC拠点である関西国際空

港が10日間閉鎖し、北海道胆振東部地震

から一週間で、50万人の宿泊客が道内の

予約を解約したと推計された。まさに観光

業に内在する不確実性を再認識させられ

る結果となった。とはいえ、底堅い需要及

び整備された交通インフラに裏打ちされ、

ホテル業界はこの突発的な災害を耐え忍

んだ。

経済発展の恩恵により、海外旅行の機

会が増え、特にアジア太平洋地域では国際

観光客数の増加も著しい。日本は、当地域

の主要な観光地となり、世界でもその地位

が高まっている。しかし、アジア太平洋地域

への集中はリスク要因でもある。米中貿易

戦争の日本への影響は深刻ではないが、

中国経済の減速は日本への観光客数に

悪影響を与えるかもしれない。欧州と北米

からの観光客数は二桁成長を続けている

が、東アジアからの訪日観光客が大半を占

める状況に変わりはない。世界経済の不

確実性は、この懸念を更に増大させる可能

性もある。

最大の懸念事案は、全国的な大規模供

給が宿泊特化型ホテルの業績を弱含ませ

ることである。目下のところ、ホテル需要は

底堅く、今後数年は堅調に推移しそうであ

る。また、ホテル需給の地域分散は、災害リ

スクを軽減するだろう。2018年の売却事例

同様、保有ホテルの一部を譲渡する投資

家も続くだろう。これは、日本のホテル市場

への参入を図る投資家にとって好機となる

かもしれない。大規模供給にも関わらず、宿

泊特化型ホテルの平均客室単価はほぼ横

ばいの水準で推移すると見られる。供給が

限られる高級ホテルは、訪日観光客の底

堅い需要に支えられ、より好調な業績を達

成する見込みである。

市川 智從ディレクター

ホテルアドバイザリー部

+81 3 6777 5184toichikawa@savills.co.jp

ホテル・アドバイザリー