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スマートメーターに求められる機能について 平成2212月16日 電力・ガス事業部 資料3

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  • スマートメーターに求められる機能について

    平成22年12月16日

    電力・ガス事業部

    資料3

  • 目次

    1. 前回までの整理

    2. 電力等使用情報の提供について

    3. 需要家による電力等使用情報の取得について

    4. 電力等使用情報の取扱について

    5. スマートメーターが満たすべき要件について

    6. 新型電子式メーターとスマートメーターの関係について

    1

  • 1.前回までの整理

    2

    本検討会における成果として、我が国におけるスマートメーターの要件を整理することが適当であり、これまで①機能、②提供情報、③情報提供ルートについて議論してきたところ。

    このうち、①と②については、第7回検討会において、以下とおり整理された。ⅰ. 普及を目指すスマートメーターとして、まずは遠隔自動検針、開閉、計測データー

    の収集発信の最低限の機能を持った狭義のメーターを対象とする。ⅱ. スマートメーターが取り扱う電力使用情報は、HEMSの普及に合わせて適宜再検討

    されるものではあるが、まずは電力使用量、逆潮流値及び時刻情報とし、30分程度の粒度で提供されるものとする。※1

    なお、③については、第5回検討会において3通りのルートを示したが、今回改めてメーターから需要家への情報提供ルートについて検討し、スマートメーターに求められる要件を整理することが適当。

    データ※2 電力会社等にとっての意義 需要家にとっての意義

    電力使用量 検針業務等において必要な情報。 省エネ・省CO2を実現する上での基礎情報。

    逆潮流値(電力量)

    分散型電源による発電状況の計測が可能。 分散型電源による発電状況の計測が可能。

    時刻情報 料金算定に利用可能 省エネ・省CO2を実現する上での基礎情報。

    <スマートメーターの取り扱う電力等使用情報>

    ※1 ガスメーターについては使用量と時刻情報が該当し、1時間間隔が目安

    ※2 ガスメーターについては使用量と時刻情報が該当

  • 2-1.電力等使用情報の提供先について

    3

    情報については、誰に対して、どのようなルートにより、情報が提供されるのかを整理する必要がある。

    電力等使用情報は、現在、電力会社等及び特定規模需要の一部の需要家において活用がされているものの、一般の需要家においては十分に活用されているとはいえない。

    我が国において省エネ・低炭素社会を実現していくためには、エネルギー基本計画においても、国民の意識・ライフスタイルの改革が求められており、需要家が、自らのエネルギー使用情報をリアルタイムで把握することで省エネ意識を高め、各々の行動変化を促すといった、需要家自身の主体的な関与が重要であると考えられる。

    電力等使用情報は、次ページに示すとおり、電力会社等及び需要家双方にとってメリットがあるといえることから、電力会社等のみならず需要家に対しても当該情報が円滑に提供されるよう、スマートメーターの要件を検討するのが良いのではないか。

    ※特定規模需要では、30分値程度の詳細な電力使用情報をリアルタイムで取得することが可能なメーターが設置されており、一部の需要家が必要な機器を設置し、電力使用情報を取得・活用している。

  • 2-2.電力等使用情報が提供されることによるメリット

    4

    電力等使用情報の活用例 期待されるメリット

    遠隔検針及び遠隔開閉機能の追加 検針業務等の業務効率化や作業における安全性の向上

    電力等使用情報の見える化等の需要家へのサービス提供 需要家の省エネ意識が向上、行動変化が促進されることによる、需要家側における需要制御(デマンドレスポンス)の可能性、顧客満足度の向上

    再生可能エネルギーを含めた需給パターンを詳細に把握し、これらのデータを踏まえ新たな料金メニューの検討への活用

    効率的なエネルギー利用に資する料金のあり方の検討が可能、顧客満足度の向上、需要の誘導による負荷平準化

    スマートメーターの活用による変圧器等の配電設備の詳細な使用状況の把握

    今後設備更新を迎える配電設備の電力使用実態に応じた効率的な設備形成

    電力等使用情報の活用例 期待されるメリット

    WebやHAN側機器による電力等使用情報及び料金情報の見える化、第三者による省エネ診断サービス等の提供

    省エネ・省CO2、家計節約効果※1

    HEMSの導入による最適な機器制御に加えて、現状よりも細分化された料金メニューの設定・利用(意識の高い需要家)

    一層の省エネ・省CO2、家計節約効果

    ガス使用量等の電力使用情報以外の情報と併せた、エネルギー使用情報としての一元的な把握・管理

    エネルギーの種別にとらわれない総合的な省エネ・省CO2サービスの提供

    各時間帯の詳細な電力使用情報を需要家本人のライフスタイル情報として活用

    見守りサービスの提供や介護サービスへの活用等、電力等使用情報の枠にとらわれないメーター情報の活用、それに伴う更なるメリットの享受

    <需要家のメリット>

    <電力会社等のメリット※2>

    ※1 特に、料金がともに見える化されると、電力等使用量のみの見える化の効果に加えて、需要家は金銭負担も意識し、より積極的に行動することも期待される。

    ※2 このほかに、LPガスの場合は遠隔の残量監視による配送合理化が実現されている。

  • (参考1)料金メニューについて - 米国

    5

    米国では連邦および一部の州政府がデマンドレスポンスを推進しており、その一環として、スマートメーターの導入と併せて、料金制度の検討・導入が進められている。連邦レベルでは、2005年エネルギー政策法(EPA Act2005)や2007年エネルギー自立・安全保障法(EISA2007)においてデマンドレスポンス(及びそのためのAMIの普及)を推進することについて言及されている。

    州レベルでも、例えば、事業者に対してスマートメーターの導入が義務づけられているペンシルバニア州では、Act129のImplementation Orderにおいて、スマートメーターの要件として時間帯別料金(TOU:Time of Use)やリアルタイムプライシングをサポートできるようにすることと規定している。各事業者の料金メニューについては各州の公益委員会が審査・認可をすることになっている。

    なお、デマンドレスポンスにかかる料金を義務づける法律はないが、例えばカリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)はエネルギー行動計画を策定、目標の一つにピーク抑制の実現を掲げ、その中で需要家の自発的意志によるダイナミックプライシングの促進が定められている。事業者がこのような料金制度を採択する場合は、公益事業委員会の認可を受けた後、事業者の選択約款に記載されることとなる。

    PG&Eにおいては、TOUだけでなく、CPP(Critical Peak Pricing)等の料金メニューが採用されている。(次ページ参照)

  • (参考1)料金メニューについて - 米国

    6

    アメリカの大手電力会社の一部では需要家向けに、「時間帯別料金」(TOU:Time of Use)、特定日のピーク時料金をTOUよりも更に高く設定する「ピーク制料金」(CPP:Critical Peak Pricing)等の料金メニューの採用が進められている。

    PG&E

    TOU

    ■夏季(5月から10月)・ピーク時間帯:平日12時~18時・オフピーク時間帯:平日18時~12時、休日

    ■冬季(11月から4月)・ピーク時間帯:平日12時~18時・オフピーク時間帯:平日18時~12時、休日

    ■基本料金(最低電力料金)・全需要家一律 14.784セント■メーター料金(1メーターあたりの1日料金)以下のいずれかの料金を適用。・Rate W (2006年5月1日時点でRate W 契約者) 3.843セント・E-7 (上記以外および2007年1月1日以降の契約者) 11.532セント■電力料金<夏季>・ピーク時間帯 28.952~57.158セント/kWh(電気使用量に応じて5段階)・オフピーク時間帯 7.324~35.53セント/kWh(同上)<冬季>・ピーク時間帯 10.257~38.463セント/kWh(同上)・オフピーク時間帯 7.639~35.845セント/kWh(同上)

    なお、上記以外にも低所得者向けメニュー、電気自動車向けメニュー、ピーク時間帯が異なるタイプ等がある

    CPP

    ■5月から10月の平日(年間15回)・ハイプライスピリオド(CPP発動日の14時~19時)

    ■6月から9月の間のハイプライスピリオド以外(ノンハイプライスピリオド)

    ■ハイプライスピリオドにおける加算 60セント/kWh加算(1~5段階)■ノンハイプライスピリオドにおける割引 2.992セント/kWh(1~5段階)■6月~9月の全期間における割引 1セント/kWh(3~5段階)

    Duke Energy TOU

    ■夏季(6月から9月)・ピーク時間帯 平日13時~19時・オフピーク時間帯 平日19時~13時、休日■冬季(10月から5月)の平日・ピーク時間帯 平日7時~12時・オフピーク時間帯 平日12時~7時、休日

    ■基本料金・夏季 6.68ドル/kW・冬季 3.33ドル/kW

    ■電力料金(冬季、夏季同一)・ピーク時間帯 6.2024セント/kWh・オフピーク時間帯 5.1766セント/kWh

    各社公表資料より事務局作成

  • (参考1)料金メニューについて - 米国

    7

    Gulf Power CPP

    ■夏季(5月から10月)の平日:休日は時間帯2と時間帯3が同じ・時間帯1 23時~6時・時間帯2 6時~13時、18時~23時・時間帯3 13~18時■冬季(11月から4月)の平日:休日は時間帯2と時間帯3が同じ・時間帯1 23時~5時・時間帯2 5時~6時、10時~23時・時間帯3 6~10時

    ■カスタマー料金 10ドル■プログラム参加費 4.95ドル■料金単価・時間帯1 1.785セント/kWh・時間帯2 3.021セント/kWh・時間帯3 7.598セント/kWh・CPP 28.5セント/kWh

    SCE TOU■ピーク時間帯 10時~18時、平日■オフピーク時間帯 上記以外の時間帯

    ■夏季・ピーク時間帯 54.933セント/kWh・非ピーク時間帯 24.303セント/kWh■冬季・ピーク時間帯 25.71セント/kWh・非ピーク時間帯 22.267セント/kWh

    なお、低所得者、月消費量400-600kWh、600kWh以上の3タイプがある

    PPL TOU

    ■夏季(6月から9月)・ピーク時間帯 平日13時~18時・オフピーク時間帯 平日18時~13時、休日■冬季(10月から5月)・ピーク時間帯 平日17時~19時・オフピーク時間帯 平日19時~17時、休日

    ■夏季(6月から9月)の平日・ピーク時間帯 15.695セント/kWh・非ピーク時間帯 9.355セント/kWh■冬季(10月から5月)の平日・ピーク時間帯 14.250セント/kWh・非ピーク時間帯 10.158セント/kWh

    各社公表資料より事務局作成

  • (参考2)料金メニューについて - 欧州

    8

    イタリアのENELでは、スマートメーター導入を受けて、「時間帯別料金」(TOU:Time of Use)が採用されている。また、このTOUについては、ライフスタイルの違いに応じ複数のメニューから選択できるようになっている。

    NIGHT: lower price for energy consumption from 7pm to 1am (TOU)

    WEEKEND: lower price for energy consumption on Saturday+Sunday (TOU)

    8pm-7am: lower price for energy consumption on from 8pm to 7am (TOU)

    19時から深夜1時までの6時間が割安なTOU料金

    週末(土曜日日曜日)が平日よりも割安なTOU料金

    平日の20時から7時までの11時間、及び週末が割安なTOU料金

    出所:ENEL, "From Smart Metering to Smart Grids"

  • 3-1.需要家の電力等使用情報の取得方法

    9

    需要家が自らの電力等使用情報を取得する方法については、第5回検討会において示されたとおり、A 電力会社等の通信ネットワーク~Web経由 B メーターからの直接取得C 第三者経由の3通りが考えられる。いずれの方法においても、需要家が取得する電力等使用情報は、電力等使用量、逆潮流値及び時刻情報の30分値であることに差異はない。

    蓄積

    ・電力使用量 ・料金 ・契約種別・お客様番号 ・氏名 ・住所 等・他、プライバシーポリシーに基づき収集した

    個人情報

    データベース

    民間企業等(第三者)

    電気事業者

    加工

    電力会社等のネットワーク

    HGW

    PVヒートポンプ・燃料電池

    蓄電池

    エアコン

    TVIHD

    HEMS

    PCS

    PC

    「見える化」

    スマートメーター

    ・電力使用量・逆潮流値・料金情報 ・契約情報・「見える化」等、サービスにより加工された情報

    ・機器制御信号 等

    データベース

    加工

    ②電力会社等

    ③第三者

    ①スマートメーター

    ④需要家

    ・電力使用量・逆潮流値 B

    メーターにより計測されたデータ 電力会社等により付加・加工されたデータ機器制御信号 HEMSによるリアルタイム通信

    メーターから直接データを取得

    第三者経由で取得

    C蓄積

    随時~1日後

    ~1日後

    随時

    随時

    公衆通信ネットワーク

    A

    ※上記情報の流れはガスも共通

    電力等の通信ネットワーク、Web経由による取得

  • 3-2.各取得ルートに対する評価

    10

    <Aルート、Cルート> AルートやCルートにおいては、電力等使用情報に料金情報や他のエネルギー情報等が付加・加

    工された情報を需要家が取得することが可能である。 ただし、リアルタイムでの情報取得については、想定される大量な情報のトラフィックへ対応

    するために、通信網及びサーバー等の情報通信設備への追加の投資を要することから、コストとの兼ね合いもあり、将来的な技術革新の可能性はあるものの、現時点においては課題もある。実際には、提供に一定程度の時間を要することとなり、諸外国の事例においても通常は翌日の提供となっている。

    <Bルート> Bルートについては、需要家は情報をメーターから直接取得することから、その情報は加工され

    ていない単純な数値であるものの、上記2ルートのような情報通信設備を必要としないことから、比較的円滑にリアルタイムの情報を取得することが可能である。※

    ただし、HAN側への通信に係る規格が定まっていないため、標準化も含めた技術的検討が必要となる。また、需要家側で設備設置の必要がある。

    ケースA.電力等の通信ネットワーク、Web経

    由による取得B.メーターから直接取得

    C.第三者経由による取得(電力会社等又はメーターから第三者へ情報提供)

    データ内容*

    ・電力使用量・逆潮流値(電力量)・時刻情報・料金情報・「見える化」等のために加工された情報(例:省エネ診断) 等

    ・電力使用量・逆潮流値(電力量)・時刻情報

    ・電力使用量・逆潮流値(電力量)・時刻情報・料金情報・「見える化」等のために加工された情報(電力情報以外も含む) 等

    情報提供までの所要時間

    ~1日後 リアルタイム リアルタイム~1日後

    <各取得ルートで取り扱われる情報及び取得に係るタイムラグ>

    *ガスメーターにおいては逆潮流値以外が該当

    (※ガスメーターについては電池容量の制約に関し、別途、技術的検証が必要。)

  • 3-3.需要家が情報を取得するタイミングについて

    11

    需要家が情報を必要とするタイミングについては、ユースケースによって異なるものであることから、各ユースケースに応じて最適な提供ルートが採択されることが望ましい。

    例えば、電力やガス等を含めた総合的な省エネ診断を行う場合であれば、情報に即時性が求められないことから、AルートやCルートであってもその目的は十分に達成可能であると考えられる。

    一方、需要家によっては複数のユースケースを同時に利用することも想定されることから、情報提供の在り方についてはこれらのニーズを同時に実現させることができるものであることが望ましい。

    電力等の使用状況の見える化やHEMSへの情報提供等については、需要家が電力等使用情報をリアルタイムで取得することで、より効果的な需要家の省エネ意識の向上と、それによる積極的な行動変化の可能性が期待される。

    したがって、現在、一部電力会社等においてAルートによる需要家への情報提供が行われているが、引き続きこれを積極的に進めるとともに、即時性を追求する観点から、 HAN側機器の技術動向も踏まえ、Bルートによる情報提供についても検討を行っていくことが期待される。

  • (参考3)海外のHAN側通信について

    12

    海外においてもBルートでの情報提供の検討が進められている。 フランスeRDFのLinkyプロジェクト※で用いられているメーターは、別途HAN側通信機

    をメーターの外部に設置、有線で接続できる方式となっている。 アメリカの大手電力会社(PG&Eなど)では、HEMSとの通信装置が一体となった電力メ

    ーターを採用している。

    フランス(eRDF)

    出所:Metering Europe 2010

    HAN側通信機(Zigbee(無線))

    有線接続

    ※Linkyプロジェクト:eRDFが実施しているスマートメーター導入実証プロジェクト。実証実験の結果を踏まえて本格導入をするかどうかを決定する予定。使用しているメーターは電力会社との通信機能のみを有している(通信方式はPLC)。

    電力側との通信と家側との通信の2つの通信が1ボードに搭載。

    出所:Silver Spring Networks社ホームページ(http://www.silverspringnet.com/products/emeters-ge-I-210+.html)

    電力側との通信と家側との通信の2つの通信が1ボードに搭載。

    米国(PG&E)

    http://www.silverspringnet.com/products/emeters-ge-I-210+.htmlhttp://www.silverspringnet.com/products/emeters-ge-I-210+.htmlhttp://www.silverspringnet.com/products/emeters-ge-I-210+.htmlhttp://www.silverspringnet.com/products/emeters-ge-I-210+.htmlhttp://www.silverspringnet.com/products/emeters-ge-I-210+.htmlhttp://www.silverspringnet.com/products/emeters-ge-I-210+.htmlhttp://www.silverspringnet.com/products/emeters-ge-I-210+.html

  • 4-1.プライバシー・セキュリティーの確保について

    13

    第5回検討会で示したとおり、電力等使用情報の取扱に際しては、個人情報保護法の基本的考え方を踏まえると、需要家が自己コントロールすべきものである。また、電力等使用情報を取り扱う事業者においては、いずれの情報提供ルートにおいても、プライバシー・セキュリティーの観点から、後述のような現行の個人情報保護制度上の対応が求められる。

    セキュリティーについては、スマートメーター固有の問題ではなく、一般的な対応として、メーター情報が漏洩したり、電力会社等のサーバーに対してハッキング等が行われないよう、常にその時点における堅牢なセキュリティー技術を適用することが求められる。

    一方、プライバシーについては、「第三者への提供」に関し、個人情報保護法を踏まえ、効率的な情報提供の在り方も今後検討する必要がある。

  • (参考4)個人情報に関する基本的な考え方

    14

    現行の個人情報保護法は、OECDガイドライン(※)に定められた8原則(※※)を反映するかたちで制定された。OECDガイドライン8原則のうち、「個人参加の原則」は、自己に関するデータが適正に利用されるよう、個人の関与を保障することを規定。

    この原則を反映して、現行の個人情報保護法では、原則的には個人情報取扱事業者が保有する個人情報は、本人の求めに応じて、保有する個人情報を開示・訂正することや、利用を停止する義務を負うことが定められている。また、個人情報の取扱いの透明性を高めるとともに、事業者が保有する個人情報の扱いに対して個人の適切な関与を保障している。

    ○OECDガイドライン・個人参加の原則個人は次の権利を有する。

    (a)データ管理者が自己に関するデータを有しているか否かについて、データ管理者又はその他の者から確認を得ること

    (b) 自己に関するデータを、(i)合理的な期間内に、(ii)もし必要なら、過度にならない費用で、(iii)合理的な方法で、かつ、(iv)自己に分かりやすい形で、自己に知らしめられること。

    (c) 上記(a)及び(b) の要求が拒否された場合、その理由が与えられること及びそのような拒否に対して異議を申立てることができること

    (d) 自己に関するデータに対して異議を申し立てること、及びその異議が認められた場合、そのデータを消去、修正、完全化、補正させること

    ※プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに関するOECD理事会勧告(1980年)

    ○個人情報保護法上の義務・開示義務・訂正義務・利用停止義務

    ※※目的明確化、利用制限、収集制限、データ内容、安全保護、公開、個人参加、責任についての原則

  • (参考5)個人情報保護法上の義務

    15

    電力等使用情報は、個人情報保護法上の個人情報に該当すると考えられるため、当該情報の取扱については、電力会社等に限らず民間事業者は法律上の各種義務を負うことになる。

    例えば、電力会社等の保有する個人情報は本人の同意を得ることなく第三者に提供されることは認められていない(第三者提供の制限)。また、本人の同意を前提として電力会社等が保有する個人情報が第三者に提供されたとしても、第三者も個人情報取扱事業者としての義務を負う。

    個人情報取扱事業者の義務一定規模以上の民間事業者は、個人情報の取扱に関して以下のような義務を負っている。・利用目的による制限・適正な取得・安全管理措置・第三者提供の制限・開示・訂正・利用停止等

    個人情報の定義(第2条)この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう

    ・消費者の同意が無ければ事業者Aは事業者Bに対して保有する個人情報を提供することはできない(同意があった場合でも提供の義務は無い)。

    ・本人同意を前提に事業者Bが事業者Aから個人情報の提供を受けた場合、事業者Bにも個人情報取扱事業者としての義務が発生。

    事業者A 事業者B

    消費者

    個人情報保護法

    個人情報取扱に係る義務

    個人情報

    個人情報

    第三者提供への同意

    個人情報保護法 第23条第1項個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。1 法令に基づく場合2 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。3 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって本人の同意を得ることが困難であるとき。

    4 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

  • (参考6)スマートメーター用情報ネットワークが考慮すべきセキュリティー対策の例

    16

    (第6回スマートメーター制度検討会 NTTプレゼン資料より抜粋)

  • 4-2.電力会社等から第三者への電力等使用情報の提供について

    17

    第三者が需要家を経ずに電力会社等から直接電力使用情報の提供を受ける場合( Cルート)は、事前に「本人の同意」を取得している必要がある。本人の同意を前提として個人情報を第三者が取得した場合、第三者も個人情報取扱事業者としての義務を負うこととなる。

    本人の同意の取得方法については「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」において示されており、本人からの口頭又は書面で確認や本人からの同意する旨のメールの受信、本人による同意する旨のウェブ画面上のボタンのクリック等による入力、等が挙げられている。

    一方、本人の同意を取得したにせよ、電力会社等が有している情報を提供するか否かは個人情報保護法上任意であり、情報提供のフロー及び本人同意の取得スキームが需要家の受容性の高いものでなければ、需要家及び電力会社等双方において第三者への情報提供は容易ではない。

    国としては、個別ケース毎に同ガイドラインへの適合性についての疑義が生じないよう、他業種での先例や諸外国の事例等も含めた積極的な情報提供、具体的な事案に則した個別相談に着実に対応していくことが重要である。

  • (参考7)「本人の同意」の取得方法

    18

    個人情報保護制度上、第三者への情報提供には「本人の同意」が必要。 電力会社等が需要家から「本人の同意」を得ることが求められるが、第三者が介在して実

    務レベルで効率的に「本人の同意」を取得する方法についてどう考えるか。

    サーバー

    電力等使用量

    照会サービス等

    ①スマートメーター

    ②電力会社等

    HAN(HEMS)

    ④需要家

    ③第三者

    【本人の同意を得ている事例※】

    事例1)同意する旨を本人から口頭又は書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。)で確認すること。事例2)本人が署名又は記名押印した同意する旨の申込書等文書を受領し確認すること。事例3)本人からの同意する旨のメールを受信すること。事例4)本人による同意する旨の確認欄へのチェック事例5)本人による同意する旨のウェブ画面上のボタンのクリック事例6)本人による同意する旨の音声入力、タッチパネルへのタッチ、ボタンやスイッチ等による入力

    ※「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」

    民間企業等(第三者)

    プライバシーポリシーの提示、情報の管理義務

    【電力会社等→需要家】・・・既に一部で実施

    本人の同意

    【メーター→需要家】・・・未実施

    【電力会社等→第三者】・・・現在手作業により一部実施

  • 19

    米国では、OpenADEにおいて、産業界が中心となり、電力会社等から第三者への情報提供のフローについては、需要家の受容性が高いモデルとして、電力会社に第三者が登録するルートが議論されている。

    具体的には、電力会社等が第三者の登録を行い、電力会社等のポータルサイト上で需要家本人に対して提示、本人が第三者への情報提供に同意することで、電力会社等から第三者へと本人の電力等使用情報が提供され、第三者から本人へサービスが提供されるスキームとなっている。

    一方で、本検討会において、第三者の信頼性の担保への懸念や、運用に向けた各主体の役割や具体的な課題の明確化及び国民や企業への理解促進の必要性等が指摘された。

    このようなスキームも参考に、我が国においても、第三者提供に対する事業者側のニーズや需要家側のニーズ・受容性、電力会社等の業務負担やリスク等も踏まえつつ、当該スキームのような効率的な情報提供の手法を検討する必要があるのではないか。

    4-3.効率的な電力等使用情報の提供手法について

  • (参考8)Open ADE における情報提供手法の検討① ※ Automatic Data Exchange

    <ADEで検討されているビジネスフロー> ※OpneADE 2.0 System Requirements Specification version:draft v1.8

    電力会社

    需要家

    第三者

    認証・規制機関

    電力会社に登録

    登録処理

    第三者申請の確認 承認

    ADEへの登録

    第三者サービスへの登録

    ユーザー認証の処理

    ユーザー認証の付与

    ユーザー登録の処理

    第三者へのデータ提供

    データ受取サービス

    提供

    サービス利用

    記録、費用の清算

    yes

    no終了

    OpenADEにおいて、情報提供のフローは、4つのプレイヤー(電力会社、需要家、第三者、認証・規制機関)で構成。

    需要家の受容性が高いモデルとして、電力会社に第三者が登録する方式(次ページ参照)が議論されている。・電力会社が、第三者の登録を行い、需要家に提示することによって、需要家が、安心して第三者からのサービスを受けることができるモデル

    20

  • (参考9)Open ADE における情報提供手法の検討②

    (例:電力会社に第三者が登録する方式) ※OpneADE 2.0 Business and User Requirements Document version v1.8

    電力会社のポータルサイト

    電力会社

    需要家

    第三者○○電力会社.COM

    第三者へ、下記データを提供しますか?

    【提供データ】<エネルギー使用情報>○期 間:2007年1月1日~2010年1月1日○内 容:電力使用情報、ガス使用情報、住所、氏名等

    提供を許可提供を拒否

    サーバー

    加工

    蓄積○○電力会社.COM

    第三者サービスメニュー

    見える化

    見守り

    省エネ

    第三者A 第三者B

    見える化

    省エネ

    故障診断

    第三者C

    見える化

    省エネ

    健康管理

    クリック ○見える化

    ○省エネコンサル

    ○安心・安全

    ○利便性向上 など

    ①ポータルサイトにアクセス

    ③第三者への情報提供

    ④サービスの提供

    電力会社のポータルサイト

    ②情報提供に合意

    サービスを受けるために

    21

  • 5.現状においてスマートメーターが満たすべき要件

    22

    以上の観点及びこれまでの検討会における議論を踏まえると、現状においてスマートメーターが満たすべき要件は、以下のとおりとするのが良いのではないか。

    遠隔検針(インターバル検針)、遠隔開閉

    情報提供のタイミングについては、需要家の省エネ行動の促進や更なるビジネス展開といった観点からは、リアルタイムが理想ではある。しかしながら、AまたはCルートでリアルタイムを実現するには、情報通信設備への多大な投資コストがネック。技術革新も踏まえ、高度な双方向通信システムの実現に向けた検討の中で実現していくことが必要。したがって、Bルートについては、需要家ニーズ等を踏まえつつ、標準化も含めた技術的課題を早急に解決すべく検討を進めることが期待されている。

    一方で、即時性が求められないユースケースもあり、かつBルートでは需要家側で設備設置の必要があることから、スマートメーター情報活用のメリットを多くの需要家が享受するという意味では、A又はCルートでの情報提供も有用である。現に新型電子式メーターを活用して情報提供を行っている会社においては、これらの取組も引き続き積極的に進めていくことが望ましい。

    いずれの情報提供ルートであっても、プライバシー及びセキュリティーは確保されることが求められる。 HAN側への通信を行う場合については、HANと通信が支障なく行えることが重要であり、通信方式を有線か無線に制限するものでは

    ない。また、通信機がHAN側機器の技術進歩が阻害することが無いよう、今後の技術的検討において留意する必要がある。 なお、これらの要件は、いわばスマートメーターの初期機能であり、その時点の社会的ニーズ、技術進歩の状況等を踏まえ、必要に応

    じて最適なスマートメーターについては再度検討されるべきである。

    (※ガスメーターについては使用量、時刻情報の1時間値)

    需要家及び電力会社等双方への電力等使用情報の提供

    <機能>

    <情報>

    取り扱う情報は電力使用量、逆潮流値、時刻情報の3つとし、電力使用量の粒度は30分値※

    <提供先>

    <情報提供のタイミング>

    現時点においては原則翌日まで

  • 6.新型電子式メーターとスマートメーターの関係について

    23

    現在、電力等各社において開始・検討されている新型電子式メーターを用いた実証実験は、業務効率化及び需要家サービスの向上を目的として、通信機能の検証、遠隔検針に関する技術や業務ノウハウの検証及び蓄積等が行われている。

    各社の実証はあくまで業務効率化等の観点から実施されるものであり、一部の電力会社等においてAルートによる情報提供が実施されているものの、現在の実証においては、その段階まで至っていないケースもある。

    一部の電力会社等の実証においては、Aルートでの情報提供が検討・実施され、データが翌日に提供されており、通常の検針票による情報提供と比較すると格段に省エネ行動に資するものになっているといえる。

    これらのメーターについては、前述のスマートメーターの基本要件を満たし、電力会社等と需要家双方に情報が提供され、一定のユースケースを実現しているものであることから、現時点においてはスマートメーターと位置付けられると考えられるが、将来的にはリアルタイムでの情報提供を可能とすることが期待される。

  • (参考10)電力各社における新型電子式メーターの実証実験

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    電力(電力量計取付数)

    実証実験の概要

    北海道電力(366万個)

    お客さまサービスの向上と業務運営の効率化を目指し、通信機能付の新型電子式メーターの導入に向け、平成23年度より、600戸を対象に実証実験を開始予定。

    東北電力(674万個)

    業務効率化およびお客さまサービスの向上などに向け、遠隔検針に関する技術や業務ノウハウの獲得とその蓄積を図るため、平成22年度下期から、2000戸を対象に新型電子メーターを利用した遠隔検針の実証実験を実施予定。

    東京電力(2744万個)

    通信機能など新型電子式メーターの新たな機能の検証を目的として、平成22年度下期以降、東京都の一部地域で5000戸程度に試験導入予定。実証実験の結果次第では、平成23年度に10万戸程度まで拡大することも検討中。

    中部電力(946万個)

    遠隔検針に関する技術や業務ノウハウの獲得とその蓄積を図るため、平成23年度から、約1500戸を対象に新型電子メーターを利用した遠隔検針の実証実験を予定。

    北陸電力(181万個)

    お客さまサービスの向上と業務運営の効率化を目指し、平成23年度から平成24年度にかけて、約500戸を対象に実証実験を開始予定。

    関西電力(1277万個)

    平成11年から研究を開始。平成14年からは本システムのベースとなる新型メーターの開発に取り組んでおり、平成20年度より、通信機能を持つ新型メーター(新計量システム)の本格導入に向けた実証実験を開始。(平成22年11月末時点で約61万戸に導入)

    四国電力(273万個)

    お客さまサービスの向上と業務運営の効率化を目指し、平成24年度を目途に、約1000戸を対象に実証実験を開始予定。

    九州電力(823万個)

    平成21年度より、通信機能を持った低圧新型電子メーターの導入を開始。(平成22年度6月末時点で約2.5万戸に導入) 現地運用状況等を確認・検証のうえ、順次導入拡大予定。

    各社プレス資料等を元に事務局作成