「ジェトロ対日投資報告2018 - JETRO · 2018. 11. 29. · 500 Startups 日本進出...
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「ジェトロ対日投資報告2018」発行~イノベーション創発に寄与する外資~
2018年11月29日日本貿易振興機構(ジェトロ)
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28.6 29.9
5.2
0.0
1.0
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0
5
10
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対GDP比
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1 堅調に推移する対日直接投資 ~存在感を増すアジア
2017年末の対日直接投資残高は28.6兆円で4年連続過去最高を更新。
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対日直接投資残高と対GDP(名目)比の推移
過去最高(兆円) (%)
欧州
14.1兆円
49.4%北米
6.9兆円
24.0%
アジア
5.3兆円
18.6%
その他
2.3兆円
8.1%
地域別対日直接投資残高の割合(2017年末時点)
0
200
400
600
800
1000
1200
2000 2017
100
345
459
1,025
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1 堅調に推移する対日直接投資 ~存在感を増すアジア
地域別では唯一、北米の対日投資残高が前年比で縮小(▲4,442億円)。 他方、アジアの対日投資残高は2000年比で10.3倍に拡大し、アジアは欧州、北米に次ぐ
対日投資の担い手に急成長。
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地域別対日直接投資残高の伸び(2000年=100とした場合)地域別対日直接投資残高の増減(2016年-2017年)
10倍超
北米
アジア
欧州
地域 2016年 2017年 増減
アジア 51,864 52,978 1,114
北米 72,955 68,513 ▲4,442
欧州 136,620 140,917 4,297
中南米 16,139 18,168 2,029
大洋州 3,953 4,159 206
中東 579 587 8
アフリカ 171 186 15
合計 282,318 285,545 3,227
(億円)
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1 堅調に推移する対日直接投資 ~存在感を増すアジア
インバウンド関連(LCC(格安航空会社)による日本の地方都市への新規就航、キャッシュレス決済サービス)、越境EC運営企業による調達拠点の設置に加え、新しいサービス形態の一つであるシェアリングエコノミー分野での投資が拡大。
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インバウンド関連
越境EC運営企業による調達拠点の設置
シェアリングエコノミー分野での進出
LCC(格安航空会社)による日本の地方都市への定期便新規就航ジェットスター・アジア(シンガポール):2017年11月、シンガポール-那覇便を開設
エアプサン(韓国):2018年6月、釜山-中部便をLCCでは初めて就航。
キャッシュレス決済サービスアリババ(中国)、クールペイ(シンガポール)等
Ruten(PChome Online、台湾)電子商取引台湾最大手。2017年11月、東京都に続く2つ目の拠点を大阪市に設置。台湾の消費者と日本企業の懸け橋となる「代理購入サービス」を2018年5月から開始。
モバイク(中国)シェア自転車大手。2017年6月に日本法人を設立。国内各地でサービスを展開。
滴滴出行(ディディチューシン、中国)配車サービス大手。2018年6月にタクシー配車分野でソフトバンクと共同出資会社を設立。
途家(トゥージア、中国)民泊大手。2017年8月に日本の民泊事業会社との業務提携を発表し、日本での業務を拡大。
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1 堅調に推移する対日直接投資 ~存在感を増すアジア
2017年度のJETROの対日投資成功件数は193件で過去最高。 存在感を増すアジアからの成功件数は5割超に。
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193件
0
50
100
150
200
250
JETROの対日投資誘致成功実績の推移
北米
21%
欧州
23%
アジア
51%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
アジアからの投資成功件数が5割
を超過
JETROの誘致成功実績の地域別比率の推移
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新たなトレンド ~イノベーションを生み出すエコシステムに外資が本格参入
日本のスタートアップエコシステムに外国企業が相次いで参画。 海外での豊富な経験をもとに日本の創業環境に寄与。
20182017201620152014
Tech in Asia日本進出
マッチングイベント等(シンガポール)
Slush Asia日本でイベント開始スタートアップイベント(フィンランド)
500 Startups日本進出
起業家育成プログラム等(米国)
Plug and Play日本進出
起業家育成プログラム等(米国)
Kickstarter日本でサービス開始クラウドファンディング
(米国)
PwCエクスペリエンスセンター 開設イノベーション促進施設
(英国)
WeWork日本進出
コワーキングスペース(米国)
Venture café 日本進出
イノベーション促進プログラム(米国)
Y Combinator日本で初イベント
起業家育成プログラム等(米国)
アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京 開設イノベーション促進施設(アイルランド)
KPMGイグニション東京 開設
イノベーション促進施設(オランダ)
AWS Loft Tokyo開設イノベーション促進施設
(米国)
図は、日本のスタートアップエコシステムに参画する主な外資系企業に関して、各種報道等に基づき、日本で拠点設立やサービス開始をした年別にJETROがまとめたもの。
2017年頃から日本のスタートアップエコシステムに参画する外資が急増の傾向。
2017年7月に東京・渋谷に進出した世界最大のテクノロジーアクセラレーター兼VC。
フィンテック、IoTなどを主軸に、国内のトップ企業とアクセラレーションプログラムを運営。
3カ月間のプログラムを通じてスタートアップの成長に必要なノウハウの提供などを実施。
2020年までに日本のスタートアップ50社に投資することなどを視野に。
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新たなトレンド ~イノベーションを生み出すエコシステムに外資が本格参入
日本のスタートアップエコシステムに外国企業が相次いで参画。 海外での豊富な経験をもとに日本の創業環境に寄与。
WeWork(米国)
Plug and Play(米国)
コワーキングスペース大手。2018年2月に日本第1号オフィスを開設以降、半年で計6拠点を次々に展開。
世界の約300カ所(2018年6月時点)に拠点を設け、26万人以上のメンバーをグローバル規模で繋げ、相互に刺激し合い、新たなビジネスやイノベーションを生む機会を提供。
コミュニティマネージャーによる最適なネットワーキングの場のコーディネートも特長。
2018年3月に東京に拠点を設立し、スタートアップ企業間のネットワーキングイベントやセミナーを開催。
イベント開催を通じてイノベーター同士の交流の輪を広げ、事業のヒントを得る機会等を提供。
官民連携によるスタートアップ集中支援プログラム「J-Startup」等、政府機関や自治体の取組とも連携。
Venture Café(米国)
日本のスタートアップに対する投資を通じた起業家育成を手掛けるベンチャーキャピタル。
2016年より神戸市とパートナーシップ契約を締結し、起業家育成プログラムを毎年開催。
同プログラムに参加した起業家の中には、VCからの資金調達や、企業との提携に結びついたケースも。
500 Startups(米国)
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7割を超える外資系企業が日本を収益性の高い市場であると評価。
JETRO実施【日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018】結果より2018年5~6月、日本の投資環境について、在日外資系企業にアンケート調査を実施。外資企業266社より入手した回答をもとに分析。
日本市場における外資の積極姿勢 ~イノベーション創発にも前向き
収益性が高い市場である
19.2%
どちらかというと収益性が高い市場である
51.5%
どちらかというと収益性が
低い市場である
25.4%
収益性が低い市場である
3.8%
収益性の観点からの日本市場に対する評価
n=260
10
17.8
0
5
10
15
20
総合 サービス業(金融・保険業を除く)
(%)
日本は22カ国中、総合で3位サービス業で1位の投資リターン
対内投資の投資リターン(2014年)
(参考)OECDのレポート”FDI in Figures”(2016年4月)
新規
出所:ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」
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約7割の外資系企業が今後の投資拡大・雇用拡大に意欲。 投資拡大に意欲的な企業の過半が日本企業に対するM&Aに関心
日本市場における外資の積極姿勢 ~イノベーション創発にも前向き
69.9%
27.8%
0.8%
0.8%
0.8%
拡大する
現状を維持する
縮小する
国内の他地域に移転する
撤退する
70.5%
28.4%
1.1%
増員する
現状維持する
減員する
今後(5年以内)の事業展開
今後(5年以内)の日本拠点での雇用見込み
n=266
n=264
関心がある
53.8%
関心がない
46.2%
日本企業に対するM&Aによる二次投資への関心
n=184
新規
出所:ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」
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外資系企業の約7割が日本企業・大学等とのオープンイノベーションに関心。 業種別では、ライフサイエンス分野で関心が高い傾向。 相手先として、「日本の中堅・中小企業」、「大学・研究機関」に対する関心が高い。
51.2%
51.2%
44.2%
26.2%
12.2%
11.6%
1.7%
日本の中堅・中小企業
大学・研究機関
日本の大企業
日本のスタートアップ企業
在日外資系スタートアップ企業
その他の在日外資系企業
その他 n=172
日本企業・大学等とのオープンイノベーションに対する貴社の取組状況をお聞かせください
貴社のオープンイノベーションの相手として関心のあるものを選んでください。(複数可)
既に実施したことがあり、
今後も継続・拡大する
21.1%
実施したことはないが、関心がある
46.4%
関心がない
30.7%
その他
1.9%
n=261
日本市場における外資の積極姿勢 ~イノベーション創発にも前向き
新規 新規
出所:ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」
現在、特定の規制があって困っている
のでぜひ制度を活用してみたい
11.2%
将来、必要があれば
活用してみたい
50.8%
特に関心はない
38.1%
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「規制のサンドボックス」制度(※)を利用してみたいと回答した外資系企業は、ライフサイエンス分野を中心に6割超。
規制の「サンドボックス」制度について、貴社の関心をお聞かせください。
n=260
日本市場における外資の積極姿勢 ~イノベーション創発にも前向き
新規
(※)革新的な技術やビジネスモデルについて、参加者や期間を限定して、既存の規制にとらわれることなく実証を行うことができる環境を整備することで、迅速な実証および規制改革につながるデータの収集を可能にするもの。
出所:ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」
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今後のJETROの取り組みの方向性
支援メニューを拡充するなどし、スタートアップ企業の将来性を見極めながら、革新的な技術やビジネスモデルの日本への呼び込みをしっかりと行っていく。
1.来年度から本格的に海外からのスタートアップの誘致の取組を実施
世界各地に設置した「ジェトロ・グローバル・アクセラレーション・ハブ」も活用し、アウトバウンドでの支援のみならず、インバウンドでも有望な外国スタートアップの発掘を行う。
地方でのイノベーション創出や経済活性化に向け、スタートアップの育成や誘致に取り組む自治体とも連携し、地方への誘致も図る。
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今後のJETROの取り組みの方向性
日本の大学・大学院において、日本で活躍する外資系企業がシリーズで登壇する講座を開く。2019年4月の開講に向け、候補大学と具体的に検討中。
大学生・大学院生(留学生含む)のキャリア形成において、在日外資系企業が有力な選択肢となることを支援。
2.新たに日本の大学・大学院でシリーズ講座を開催
3.ビジネス環境のさらなる改善への貢献
在留資格「経営・管理」の取得に関し、外国・外資系企業からJETROに寄せられた要望をもとに経済産業省と法務省が協議した結果、一定の条件の下、コワーキングスペース等でも取得が可能となる特例措置が認められた。
JETROは引き続き外資系企業の声に丁寧に耳を傾け、その声を政府に届けていくことにより、日本のビジネス環境のさらなる改善に貢献していく。
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ビジネスの阻害要因のトップは「人材確保の難しさ」。 とくに、「外国語能力のある人材の不足」、「専門人材の不足」を困難とする声が多い
順位 回答票数
得点1位 2位 3位
1 人材確保の難しさ 87 35 37 368
2 外国語によるコミュニケーションの難しさ 54 69 31 331
3 ビジネスコストの高さ 41 45 63 276
4 行政手続の複雑さ 36 40 39 227
5 許認可制度の厳しさ 24 32 31 167
6 ビジネスパートナー発掘の難しさ 11 25 15 98
7 入国管理制度 7 6 9 42
8 資金調達の難しさ 0 7 12 26
9 外国人にとっての生活環境 0 2 11 15
その他 6 5 18 46
日本でビジネスをする上での阻害要因は何ですか(上位1~3位までそれぞれ選択)
[注] 各回答者が選択した1位、2位、3位の回答項目について、それぞれ1位=3点、2位=2点、3位=1点として得点化し、合計得点順に順位を記載。
n=266
(参考)日本でビジネスをする上での阻害要因
出所:ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」
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ビジネスの阻害要因のトップは「人材確保の難しさ」。 とくに、「外国語能力のある人材の不足」、「専門人材の不足」を困難とする声が多い
54.4%
41.8%
34.2%
29.7%
19.8%
3.8%
外国語能力のある人材の不足
専門人材の不足
人材の募集・採用・雇用手続にかかる
コストの高さ
労働者の意識(強すぎる大企業志向、
外資で働くことへの消極的姿勢)
雇用流動性の不足
その他
58.7%
47.1%
21.2%
5.4%
9.7%
技術者
営業・販売・顧客サービス
経営・企画
総務・管理
その他
人材確保に関して、特に困難と感じていること(上位2つまで) 人材確保が特に困難な職種(複数可)
(参考)日本でビジネスをする上での阻害要因
出所:ジェトロ「日本の投資環境に関する在日外資系企業アンケート調査2018」
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Link to the World~ Exploring Your Career Path with Global Companies
日時 : 2018 年 6 月 13 日(水)16:00~20:00
場所 :東京大学 浅野キャンパス
主催 :JETRO、東京大学
参加者:外資系企業34社、学生234名
参加した外資系企業からは「最近の学生の会社選びのトレンドを得ることができた」とのコメントや「大変優秀なエンジニア専攻の学生と出会えた」とのコメントがあった。
留学生と外資系企業のための交流会
日時 : 2018 年 6 月 20日(水)15:00~18:00
場所 :東北大学 片平キャンパス
主催 :JETRO、東北大学
共催:東北イノベーション人材育成コンソーシアム
参加者:外資系企業13社、学生106名
外資系企業が学生とフランクなコミュニケーションを持つ懇親の時間を設けたところ、「学生との距離が近く、相互理解につながった」とのコメントがあった。
東京大学 東北大学
東京大学でのイベントの様子 東北大学でのイベントの様子
(参考)グローバル人材(留学生等)と外資系企業との交流会
多くの外資系企業が理系人材を求める中、大学との連携により、理系の留学生を多数集客。
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実態
コワーキングスペースで日本法人等を立ち上げ、事業をスタートしたい。
それにより初期コストを抑えることもできる。
外国人起業家や日本法人代表等の外国人が「経営・管理」の在留資格を申請する際、コワーキングスペース等は事業所要件に適合せず、発給が認められない(事業所として鍵のかかる個室/パーティションで囲まれた執務室が必要)。
外国企業の
ニーズ
外国企業のニーズと実態
JETROが支援している外国企業の日本法人・支店の外国人経営者は、一定の要件を満たせば、事業所がコワーキングスペース等でも「経営・管理」の在留資格の「事業所の確保」の要件に適合しているものとして取り扱う。
JETROの対日投資支援認定企業であること。 日本での起業時(登記で確認)から3年未満の申請であること。
事業所として利用するコワーキングスペース等の所在地に登記していること。
<主な要件>
JETROの「外国企業パーソナルアドバイザー制」を通じて、ニーズ・実態・改善要望を把握
入国・在留審査事務の特例措置
当該コワーキングスペース利用期間中の就労時間について、一定の場所の利用保証があること。
特例措置の適用を受ける者は原則1企業につき1名であること。
コワーキングスペース等で在留資格「経営・管理」の取得が可能に。
改善要望
(参考)ビジネス環境のさらなる改善への貢献
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(参考)報告書の概要
1.対日直接投資の現状
2.ビジネス環境の改善に向けて
3.対日投資の動向~イノベーション創発に寄与する外資
4.外資系企業による日本のビジネス環境の見方
5.ジェトロの対日投資促進事業
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ジェトロ対日投資報告 2018JETRO Invest Japan Report 2018
Copyright (C) 2018 JETRO. All rights reserved. 19
日本貿易振興機構(ジェトロ)対日投資部東京都港区赤坂1-12-32Tel. 03 3582 5234, Fax. 03 3505 1990
★本書で提供している情報は、ご利用される方のご判断・責任においてご使用ください。ジェトロでは、できるだけ正確な情報の提供を心掛けておりますが、本書で提供した内容に関連して、ご利用される方が不利益を被る事態が生じたとしても、ジェトロは一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
対日投資報告 ウェブ掲載頁和文:https://www.jetro.go.jp/invest/ijre/英文:https://www.jetro.go.jp/en/invest/reports.html